5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

売り残した瓜売り

2017-08-11 22:20:53 | たべもの

韓国の夏の果物といえばチャメと呼ばれるマクワウリもその一つ。大邱市に近い慶州北道の星州地区がブランドのマクワウリ産地として知られている。名古屋のスーパーにも時折顔を見せることがあるが今年は未だのようだ。

マクワウリも自分の子供の頃にはよく食べた果物だが最近は見かけなくなった。ウリの類いなら甘味が強くジューシーなメロンの方に客の嗜好が移ったせいかもしれない。夏の果物はよりどりみどりなのだ。

だが、果物の種類が少なかった昔、ウリの人気は相当のものだったらしいと書いているのは「ことばの歳時記」の金田一春彦先生。

昔の貴人たちは「瓜見」と称し避暑を兼ねて、見事なウリ畑を眺め試食する催しもあったという。現代で云うイチゴ狩りやぶどう狩りの如くだ。

京都郊外の桂は古来からウリの産地として名高く、瓜見をしてこの地を気に入った八条宮が建てた別荘が「桂離宮」というわけだ。

ここで金田一先生は中国のことわざ「瓜田に履を入れず、李下に冠を正さず」を引いて、畑にゴロゴロころがる瓜はよほどよく盗まれたものらしいと笑っている。「李下の冠」の方は夏前の永田町のスミモ畑が問題になったが、冠は被り直して知らぬ顔だろうか。

瓜畑にゴロゴロころがる星州のチャメはどうやら取れ過ぎて生産農家の首を締めているようだ。韓国のウェブ記事にあった。

今年は暑くて作況は極めて良く、価格が昨年より二割も低下した。値が下がっても「ウリ残す」在庫過多。地方自治体の補助金制度では間に合わず、いっそ捨てたほうがいいと考える瓜農家が多いのだそうだ。

温暖化の環境下、このままだとチャメの大量廃棄は毎年繰り返されことになるから対策を考えねばと言うのだが、彼らに妙案はあるのだろうか。

日本へ輸入されたチャメ。去年は高いなあと感じたのだから、安価でアピールすれば日本市場でも売れそうな気がするのだが。

「瓜売りが瓜売りに来て売り残し売り売リ帰る瓜売りの声」

 


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