5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

Bon Vacance

2008-08-15 22:15:45 | 社会
お盆の墓参りは日が沈んだあとにと思って、一駅前で下車し田圃の道を旦那寺の墓地にむかう。西空には陽の名残、東の空には十四夜の月が眺められる。

まだ午後7時前だというのに、どうやらこちらは最後の墓参者らしく、残っていた人たちが静かにフェイドアウトしたあとは、線香の煙と匂いも、僧侶が唱える墓経の声もなく、広い墓地にただひとり取り残された。

子供の頃のの盆参りとはずいぶん様子が違ってしまった。墓参する側の意識変化もあろうが、寺の主の意向も影響しているのだろう。

マイカーでそそくさとやってきた家族たちはそれぞれに墓参を済ますと、またそそくさと車で戻り「北京オリンピック」のTV中継でもみるのだろう。

日本人には馴染みの「安近短」型夏休みだが、今年のアメリカもどうやらご同様らしい。

NBCのニュースによると、アメリカは1991年以来17年ぶりのインフレ状態(5・6%6月対前年比)にあるという。エネルギーコストの伸びが著しく前年比で29%アップ、食料全体の上昇は6%だが、中にはコメのように35%アップの品目もある。さらに航空料金は20%を値上げし、必需の衣料品値上がりも顕著だ。問題は、物価の上昇に見合った給与のアップが無く、インフレを加味すれば実質の収入減だということ。遊び好きのアメリカ人たちも財布のヒモを締めざるを得ないことがわかる。

"staycation"はただ今流行中の新米造語だ、とはVOAのアメリカンモザイク(8月14日放送)。

インフレ傾向の著しい旅行関連の出費を回避しようと彼らが考えたのは、「自宅に居ながらヴァケーション=stay+(va)cation」というわけだ。これなら、ガソリンも飛行機代も食事やホテル代もかからない。自宅でヴァケーションといっても、準備は実際の旅行に行くのと変わらず、留守中の家事はあらかじめ終え、目的地も事前計画を立てて臨むのだという。根がプラグマティストのアメリカ人、納得すればやることは日本人の我々より徹底しているかもしれない。

地方都市の行政が、こうした市民のステイケーションに素早く対応して、各種のサービス企画を提供するのもアメリカ的で、たとえば、ボストンでは街中の文化・歴史施設にドでかいピン(高さ3.5メートルの施設案内針)を建て、市民や旅行客の注目を集めているというし、カリフォルニアのサンディエゴでは、一日のドライブで来られる距離に住む人々の為のステイケーション・キャンペーンをWEB上でPRし、注目のレストランやイベントの紹介に力を入れている。

さらに、ニューヨークも"Go Local"という新しいWEBを運営しており、街中で行われる無料または低価格の各種イベントを積極的に告知して「安近短ヴァケーション」の面白さをアピールする。先週のイベントではハーレム周辺での食べ歩き企画と国際ヨーヨー会議(たしか名古屋の若者が参加したのではないか)が紹介されていたようだ。

すべてが値上がりし給料があがらない状態は日本も同様。わが町あたりも、"staycation"の考え方を上手に取り入れて、市民を楽しませる都市マーケティングの行政を始めてもらいたいものである。



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