5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

投票用紙

2019-07-16 21:31:25 | 政治

今日はなつかしい単語に再会した。それは中日夕刊の〈夕歩道〉にあった。「ユポ」というその単語、「結婚式はホテルで」というのが親たちのステイタスを表していた昔のこと、披露宴の招待客たちが持ち帰る手提げの大きな引出物袋をあらわすホテル従業員たちの符丁だった一時期があったのだ。その前は紙の袋だったのだが、雨に濡れて破れたり、重い引出物の荷重に耐えられなかったりして利用客からは不評だった。

そこに現れたのがユポという合成紙、ホテル出入の印刷会社に「こんな製品があるが」と紹介を受けたものだ。1970年代後半だったと記憶している。ポリプロピレンを原料にした合成紙で、耐水性に優れ、変形や変質、崩壊もない。引っ張りにも強く、洋紙と同じように切り裂くこともできる。おかしな名前だが、三菱ケミカルと王子製紙が造った合弁会社の製品なのだ。

印刷には多少面倒が残ったが、その堅固な特性が、引出物バッグとして最適だということになり、我がホテルでも他に先駆けて導入した。それから半世紀近く、ホテル婚礼は最早親たちのステイタスではなくなったようだ。森林資源保全を目的にしたユポも、世の中に溢れるプラ製品の社会問題化で、その立場を変えつつあるのだろうと思う。

さて「夕歩道」のユポだが、21日に実施される参院選挙の投票用紙にも使われているというのでホホウと思った。

「開票」とは投票箱を開いて投票結果を調べることの意味だが、昔は、票を数える前に、二つ折りの投票用紙をそれこそ「開く」作業が必要で、その作業には莫大な労力と時間が費やされていたのだと夕歩道氏はまず説明する。

ところが、近年の投票所では、有権者に渡される投票用紙が合成紙のユポに切り替わり、二つ折りで投票箱に投入された用紙は、箱の中で自動的に平らに戻る。折り難さはユポの特性である。おかげで、開票時間は昔の三分の一に短縮されたのだそうである。ユポを使ったらどうかと選管にプレゼンしたのはいったい誰だったのだろうか。

14日現在の期日前投票数は前回の参院選とほぼおなじだそうだ。こうなると、21日の投票率がどうなるのかが大いに気になる。低率であれば現行保守の勝ち、日曜日には遊びたい若者たちが投票所に出向いたのなら、もしかするとリベラルが一矢報いる逆転もありうる。開票技術の改善があるのだから、投票数ならいくら増えても心配はないと夕歩道氏は投票を呼び掛ける。

ちょっとしっとりしたユポの手触りを感じながら、落ち着いて自分が信ずる候補者の名前を書いてもらいたいものだ。投函した後は、自分の投票用紙がゆっくりと「開いていく」のを想像しながら、投票所を後にするのがよい。



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