5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

国家戦略、彼と我

2015-12-15 22:17:35 |  経済・政治・国際
今日のBBCのニュースポッドにはちょっとびっくりした。中国とアメリカがその覇権を争う南シナ海の南沙諸島付近。環礁を固めて土地を作り、その上に滑走路などの戦略基地をつくろうとする中国。時間の経過とともにその既得権があきらかになっていく。アメリカも牽制のメッセージは送るが、結局は切歯扼腕。

そんな環礁のひとつに近づいてみようと「挑戦的なセスナ飛行」を試みたのがイギリスBBCのレポーター氏。上空から工事の進捗具合を確認するのと、中国側がセスナに対してどう出てくるかを見てみたいというのだ。日本のマスコミなら、こんなリスクは侵さずに、配信される他人のレポートで上手にまとめるところだろう。

中国海軍からの「ここは中国領土、速やかに離れるように!」という警告無線に対して「こちらは民間機。ここは公海上であるから通過する権利があるはず」と返しながら、環礁上空からしっかりと観察。パイロットもレポーターも正直、怖かったことだろう。

サンゴ礁の上に建設中だった滑走路、周辺の建物は完成しており、レポーターの言によれば、「西側の牽制ももはや遅すぎた感じだ。ここから飛び立つ中国の戦闘機はものの10分でフィリッピンを攻撃できる」とレポートを結んだ。

いつのまにか着実に実効支配をし、既得権益を手に入れたかに見える中国政府の「戦略的判断」の迅速性には脱帽するしかない。覇権国家の面目躍如である。「中国の横暴極まった」と怒っているだけでは詮無いことだ。

ところで、彼の国の「国家戦略」に比べ、我が国の「国家戦略」はこんなに薄っぺらだったかたと可笑しくなった今日の政治ニュースは「国家戦略特区に4自治体の追加決定」である。

安倍政府が諮問会議までつくって旗を振る「国家戦略特区構想」、東京圏、関西圏、愛知県、などに続いて、広島県、千葉市、今治市、北九州市の4自治体が追加されるのだという。

広島県は起業する外国人の在留資格の要件緩和を、千葉市は小型無人機を活用した宅配サービスやTV電話を使った薬剤師による服薬指導を、今治市は獣医師養成の国際教育拠点整備を、北九州市は介護ロボットの導入促進、民泊の実施などが、アジェンダとして上がっているのだとニュースにはある。

だが、これで国家戦略だと云えるのだろうか。

そんな疑問がまず最初に浮かんできた。仰々しすぎる。すべからく現状派生の事象に肉付けをするだけの「マーケティング」ではないのか。こんなことなら、どこにいても民間レベルで実効可能なものばかりだ。下手に役人を絡ませることで却ってことがややこしくなり、出来るはずのことも出来なくなるのがオチだ。

我が愛知県はどんなアジェンダなのだろう。首相官邸のHPを読むとこうあった。

1)公立学校運営の民間開放に係る学校教育法などの特例
2)NPO法人設立手続き迅速化に係る特定非営利活動促進法の特例
3)雇用条件明確化の為の雇用労働相談センターの設置

音感からしてもいかにも現実的で、未来の見通せるような「戦略論」ではないというのが良く判った。「国家戦略」という言葉の意味するところが、中国と日本とではまるで異なっているのだ。



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