5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

四半世紀後のチマパラム

2013-07-28 22:10:19 |  経済・政治・国際
「スカートの風」がベストセラーになった作家の呉善花。1990年の作品だからすでに25年近くになる。ソウル五輪が1988年だったから、韓国社会の中でも女性の文筆家の活動が始まった時代とシンクロする。彼女は日本に渡って、韓国社会の批判を始めた初めての韓国女性という点でなかなかユニークだ。

ここしばらくは彼女のことがマスコミの話題になることはなかったのだが、NHKの夕方のニュースが「親族の結婚式に参列するため、仁川空港に到着した呉善花には何故か入国許可が下りず、結局成田に引き返した」と報道した。この入国拒否は日本での評論活動が影響したとみられるとNHKは云う。

7月25日の雑誌に寄稿した「ハングル偏重によって漢字が書けない韓国人が増加し、学歴社会の裏で《知の崩壊》が進んでいる」という内容が問題視され、「ハングルに対する蔑視発言」だというマスコミ論調が広がるなど、韓国内での社会的非難に対処すべく「入国拒否」がされたのだろうという日本の新聞記事も見つかる。

日本国内での四半世紀にわたる執筆活動を批判し反対する韓国人もかなりの数に上るようで、彼女には「嫌韓派」や「新親日派」のレッテルが貼られているのだそうだ。入国拒否の情報が広がった韓国ネットには様々な呉善花批判のコメントが書き込まれているという。

知り合いの韓国人Jさんは自他共に認めた知日派のはずだと思ったのだが、呉善花の執筆活動についてはなぜか批判的である。自身のブログに彼はこう書いている。

『日本の書店に行けば韓国批判の本がたくさん見つかる。竹林のような本棚の中に《日韓、愛の幻想》という本をを見つけた。立派なタイトルだと思って開いてみたら内容は《韓流》批判が主だった。著者が日本人ではなく韓国人なのにはなんとも驚いた。

「心根の良い花」という名前の彼女が母国批判の先頭に立っているのは情けない。韓国の批判本を《韓国人》が出版すれば日本人たちの喜ぶ顔が眼に浮かぶ。昨年、MBCの番組での発言を聞いても驚愕を禁じえない。

曰く「韓半島に台風がほとんど来ないのは日本が全部防いでくれるから。韓半島から見ればありがたいことです。」、、、云々』

そして、詩人・具常の《最終陳述》という詩を彼女の為にと引用している。

  わたしが万一
  祖国を売ったならば
  そいつの手先になったならば
  またそいつの手に乗ったならば
  裁判長!
  懲役ではなく
  死刑を仰せ付けください......

日頃の彼とも思えぬ厳しい云い方にこちらが驚く。韓国人による韓国批判が気に入らないというのだが、日本人の日本批判本など掃いて捨てるほど出版されるのだからいちいち目くじらを立てるほどのことでもないと思うし、内容が気に入らないといって官憲が入国を中止させるなどということはあるべきではないとおもうのだ。

状況がこれほどに違ってくるのが日韓関係というものだというのだろうか。愛国心の発露というより、日本コンプレックスの裏返しにも見えるし、四半世紀前に彼女が指摘した「チマパラム」を嫌う男社会が依然として存在するということの証のような気もする。
















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