5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

秋入学は世界標準?

2013-06-21 22:25:32 |  経済・政治・国際
一時期は「世界標準の秋入学を日本の大学の先頭を切って実施する」という鼻息も荒かった(マスコミ報道ではそう見えた)東京大学が、今になって「全面的な秋入学は当面見送る」と発表した。裏になにがあるのかはよく見えないが、国際社会に向けたメッセージとしては余りみっともよくはない。

文科大臣は「大学教育の国際化に向けて秋入学導入を促すための環境整備に取り組む」と発言したというが、これは東大決定を容認するという意味であろう。

秋入学は世界の多くの国でなされていて、NHKニュースによれば、欧米を中心に全体の70%の国が導入しているのだという。

グローバル化が進み、このままだと海外の大学との競争に生き残れないという「強い危機感」が東大側にあったのだと、NHKは書いている。英国タイムズ紙の大学の世界ランキングで、東大は27位。留学生構成率も8%と低位。だから、入学時期を一緒にすれば、留学生の派遣も受け入れも楽にできるし、日本を代表する大学としてアピールしやすいと東大側は考えたともある。

学内の検討会議、秋入学に関心を持つ11の大学への呼びかけと協議組織の組成、卒業生を受け入れる経済界への配慮要請など、過去1年以上に亘って準備してきたのだが、社会的な環境整備は進まず、国家試験や企業採用の時期変更に動きは見えぬまま。学内でも意見は乱れて、結局はまとまりを欠く混沌に陥ったというわけらしい。

「総論賛成・各論反対」は日本的組織のお約束ではないか。

「高いハードルに対して社会環境が変らないのは大学にとって厳しい」と学長は一言イヤミ発言をして、新しく提案したのが「4学期制」の導入。すでに早稲田はこのシステムと採用しているというが、実質は秋入学と同じ効果が得られるはずのこのシステム、東大側が気付かなかったわけはなかろう。

学長も大臣も「秋入学」を諦めたわけではないと痩せ我慢だが、国際化への対応というなら、これで充分ではないか。実より名が欲しいということそれ自体が、日本の高等教育の限界点を見るようでさみしい。

秋入学の導入だけすれば、大学の国際化が進んで、タイムのランキングは上がるというのか。誰が考えてもこれは「否」である。

留学生を呼び込むのなら、海外の学生が日本に来て学びたいと思うような教育内容や研究体制、つまり大学の「魅力」を磨き、発信していく必要があるとNHKも書いている。

授業料が高額になりすぎたアメリカの大学の例もあるが、日本への留学を希望する外国人学生に対して奨学金は幅広く与えられているのだろうか。産学協同という言葉の割に、日本の企業はスポンサーになる気持ちがなさそうだ。卒業後の就職口(インターンでもよかろう)が留学生に向かって開かれていなくては安心して勉強もできなかろう。

大学が留学生や研究者を受け入れて、社会に戻すには、結構お金が懸かるのだ。4月であろうと9月であろうと同じである。

「国家戦略としての大学教育」がある、それが実現したいというのならば、ここにも「アベノミクス」が援用される必要があるのですぞ、安部総理。










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