朝食の食パンにつける甘味がなくなった。夏前で身体がだるいこともある。スーパーのジャム棚を見て回ったが、結局、蜂蜜にすることにした。CPの高いものはなかろうかと価格表とラベルを読んでいく内に「ひまわりはちみつ」という商品を見つけた。原材料の箇所にはウクライナ産とある。チェルノブイリ原発事故のあったところとか、プーチンのロシアがクリミア半島の主権を奪取に動いているとか、チョコレート会社出身の大統領からタレントの大統領に代わったとか、つねに隣国ソヴィエト・ロシアの影響を受け続ける国柄を考えてみて、面白そうだと一本買った。こくはないが悪い味ではない。
そういえばと思い出したのが、ヴィットリオ・デシーカがメガホンを取り、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが出演した映画〈ひまわり〉のことだ。1970年公開の伊・仏・ソ合作映画だった。ヘンリー・マンシーニの主題曲にあわせて繰り返しスクリーンにあらわれる見事なひまわり畑。第二次大戦の戦場になったところというわけだ。実は、このひまわり畑はソビエト連邦の一員だった当時のウクライナの南部、黒海に沿ったヘルソン州で撮影されたものだったという。
そんなひまわりの種まきが三重県の松阪であったというNHK津局のローカルニュースを読んだ。真夏を思わせる厳しい暑さの中、地元のJAが企画した子供の為の催事だ。花を栽培する楽しさを知ってもらうためというのが目的だとある。
参加したのは小学生を中心にした100人ほど。30アールある畑にひまわりの種一万粒を蒔く。今日の松阪地方は29度近くまで気温が上がった。参加者は、帽子などで日ざしを避け、こまめに水分補給をして熱中症対策が第一だったようだが、「花が咲いたら写真を撮ってみんなに見せたい」と子供たちは頑張ったとある。
自分たちが蒔いた種からひまわりが育って大輪の花を付ける夏。彼らの記憶にはしっかりとそのイメージが刻まれるだろう。スーパー棚にあるウクライナ産ひまわりはちみつもこれまでとは違った意味を持つことになるだろう。半世紀も前のイタリア映画を観る機会があれば、ひまわりと戦争との関係を考えることもあるのかもしれない。
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