今日は各地が初真夏日。たしかに暑いが湿気がないだけ体感としては楽だ。いよいよ夏モード満開ということ。ここ数年、身体のラジエーターが故障しがちな年寄としては体調に気を付けねば長い暑さは乗り切れまい。
今日夕方のツイッターは一斉に、英国のテレサ・メイ首相の辞任会見の映像を流している。登場した時からマーガレット・サッチャーの政治スタイルを意識したと思える英国二人目の女性宰相だったが、自信をもって臨んだはずの Brexit の移行案について自分で自分の首を絞めた結果らしい。残念ながら第二の「鉄の女」と呼ばれるレガシーは消えてなくなった。あまり力のありそうな首相後継がいそうにないというのは、どこか我が国の政治に似ているような気がする。
毎日違った仕立ての洒落た衣装で議会やTV会見に臨んだ、人一倍格好いいしいのメイ首相だったが、今はずいぶんと落ち込んでいるのではないのか。
彼女の心理状態を詠った和歌などなかろうかと「百人一首」をパラパラめくって見つけたのが第89番、式子内親王のこの歌だ。
「玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば しのぶることの 弱りもぞする」
〈わが命よ、絶えるのなら絶えておしまい。このまま生きながらえていれば、心が弱って、思っていることが我慢できなくなってしまいそうだから〉
熱き恋の想いを歌っているのだけれど、さしずめ〈英国のEU離脱〉という相手に愛想をつかれそうなメイ首相の焦りの歌と言うふうに読み替えられたら面白かろう。
文芸評論の池田弥三郎の〈百人一首故事物語〉にはこうある。
式子内親王は後白河天皇の皇女。平安末から鎌倉にかけての第一流の女流歌人のひとりで藤原定家との恋も噂されていた。彼女の歌は、すぐれたものは分りやすく、一度に心の中に入ってくるのだが、この歌の場合は、第一第二句は決然としていても、第三第四句がもたついて、はっきりと心にとけて来ないのが残念だ。狂歌の蜀山人はそれを突いてこう茶化している。
「玉の緒よ 絶えなば絶えね などと言ひ 今と言ったら まづおことわり」
プライドの人一倍高そうなメイ首相のこと、6月初旬まである任期のうちに、なにか、もう一言二言いうかもしれないとも思っているのだ。「第三の女性後継候補の擁立」などというのもありそうなオプションだが。
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