5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

アメリカの葬儀事情

2013-06-04 23:10:02 |  経済・政治・国際
NBCの米国内のニュース写真、 広いショールームに置かれた深紅のキャデラック。クラシックな丸型だなあと思って記事を読むと、これは、なんと棺桶だという。

既に60歳を超えたアメリカのベビーブーマーたちが自分の葬式について考え始めているというのだ。団塊前世代の自分とすれば、外国のハナシということではない。棺桶の形状を考えるのも良かろう。

以下は記事のサマリーである。

《また逢う日まで》が社名のカンサスの注文棺桶業者が作った自動車型の棺桶(これが前述の紅いキャデラックだ)が人気だ。

ベビーブーマーは60年代のヒッピー世代でもあり、中にはオートバイをテーマにした注文も多いとか。棺桶業と云っても2輪メーカーはもとより、プロスポーツからヴァチカンまで、ライセンス契約は多岐にわたる。

気持ちは若いベビーブーマーの考える《天国への階段》は斯様に様々で、葬儀業界もそうしたニーズに対応しはじめた。買う方も売る方も《パーソナライズ》がキーワードらしい。

アメリカの葬儀市場は全国で170億ドルの規模。240万人から260万人が毎年亡くなる。この死亡者数は横ばいではあるが、46年から64年の間に生まれた7600万人のベビーブーマーが歳を重ねてゆけば、死亡者率は上昇するものと業界は強気だ。

「個人尊重の独立した生き方がアメリカ的というのなら、死に方も同じだろう」というのがブーマーたちの見方だと専門家も指摘する。ということであれば、棺桶、葬式、メメントまで、カスタム化は葬儀の全ての面に及び、結果として業界の収益に結びつく訳で、付加価値の追求が葬式業者の今後の命題になるのだ。

中小の葬儀屋が多い中、《サービスコープ・インターナショナル》という大手業者が、《スチュワート・エンタプライズ》という競合相手を 最近14億ドルで買収し、全米一の葬儀会社になった。各地に2100以上の葬儀場と墓地を持つ新組織は、14年の利益を06年の3倍とし、年間売上を30億ドルと目論んでいるそうだ。

60代の入口にいるベビーブーマーには自分の死はまだ先なわけだが、何事にも拘りたい彼らは、予測不可能な《死》についても同様で、業者の提案する《生前予約》に興味を惹かれるものが多いとか。

これは、不景気だった10年前に考え出された葬儀マーケティングのアイデア。客の前払いが業者の固定収入につながったというわけだ。《サービスコープ》によれば、昨年の墓地の生前予約は10.2%の伸びだというが、まだまだ生前予約の可能性は高いようだ。

アメリカ慣例の墓地土葬も1件6500ドル以上も掛かるとなれば、現実的なベビーブーマーが考えるのが《火葬》。《生前予約》といい《火葬》となれば、日本の葬儀事情も調べられていることだろうと。TPPが成れば、 《サービスコープ》という業者についても知っておく必要がありはしまいか。

1653の葬儀場と515の墓地を持つ巨大葬儀会社がスケールメリットを盾に攻めてくるとすれば、トヨタ《クラウン》型の棺桶を売りつけられるかも知れない。

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