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ユン・ヒジェは愛する息子ナムの裏切りによって自分は捕まったと考えています。
裁判の時、ナムは未成年ということや犯人の親族という理由で、別室で裁判長の質問を受けました。家族ということで、答えを拒否しても良いと言われましたが、ナムは答えました。
ナグォンの両親の事件の日のことを、正直に全て話したようです。
そして、ユン・ヒジェは死刑囚となったのです。
そんな状況にあっても、ユン・ヒジェは思っていました。ナムの中に、自分の悪の部分は受け継がれている・・・と。
ユン・ヒジェに、裁判の時から関心を示していたのが、パク・ヒヨン記者でした。
パク記者は、何度もユン・ヒジェに面会し、話を聞きました。そして、自叙伝出版に協力したのです。
ヒジェは、パク記者は自分の話を信じ、考えに共感したからこそ、こうやって協力してくれていると思っていました。
でもね、違うんです。
パク記者の本心がどこにあるかは分かりません。
仕事柄、多種多様な人と会うので、人の気持ちや考え方は千差万別だと充分分かっていました。まぁ、良く言えば、偏った考え方に固執しないと言えましょう。
しかし、彼女の場合、公平な考え方をするというよりは、人の奥底に眠る悪の部分までも揺さぶり起こして白日のもとに晒す事が正義だと考えているようです。人を傷つけてでも・・・。
パク記者の興味が湧いた部分は、世間の人々も知りたい事に違いないと思い、だからこそ公表することが記者としての自分の使命だ・・・なんてね。
勿論、有名になったり、注目を浴びることも、目的の一つである事に違いはないでしょう。
あなたは私の事を信じてくれるのですか?・・・とユン・ヒジェが聞いた時、パク記者は答えました。
「裁判官じゃないから、善悪は私には決められません。ただ、様々な人がいる中で、中には生まれるべきでない人も確かにいるんですよ。」
この言葉、ユン・ヒジェの悪の部分を動かした気がします。
続けて、ナムの顔をマスコミに公表するとパク記者は言いました。大衆が望んでいるから・・・と。
ユン・ヒジェの表情が固まりました。ナムの行く手を邪魔する者を取り除くというのが、ナグォンの両親殺害の理由でした。もしかしたら、パク記者もその対象だと感じたのかもしれません。
でも、パク記者が公表しないまでも、ナム・・・ドジン自ら、マスコミに顔を出す事を選択しました。
自叙伝の出版社に抗議に行ったのです。
全て嘘だ・・・とね。
そして、顔を出してのインタビューに応じたのです。
「インタビューの目的は一つだけです。父の自叙伝を販売禁止にすること。遺族に集まってる不快で不当な視線を父と私の方に向けたいのです。」
パク記者は、今度はジェイの元を訪ねて行きました。
ヒジェからの伝言がある・・・と声をかけましたが、ジェイは無視しました。
声を発せない人の代わりに自分が代弁者となっただけだと言うパク記者。
「勘違いしないでください。あなたは代弁者などではなく、再び凶器を与えて振り回させた人で、また大勢に傷を負わせたんだから。」
ジェイは真っ直ぐにパク記者を見ながら言いました。
ジェイもまた決心したのです。逃げないで立ち向かおうと。
彼女もインタビューを受けました。
加害者の名前が売れ、再び被害者が傷ついているのが我慢できなくなったと言いました。そして、パク記者とユン・ヒジェに対して言いました。
「パク記者、あの加害者も、私を応援すると言いましたね。女優として顔が売れると・・・。嫌な気持ちです。加害者からの同情なんてお断りします。汚らわしい応援無しでも成功しますから。」
この放送を、ドジンも見ていました。
そして、ジェイはホテルを引き払い、事件現場となった自宅に戻ったのです。
敢えて向き合おうと決心したのでしょう。
警察大学の卒業式の日になりました。
ドジンは首席として大統領賞を受けました。
ところが、壇上から降りようとしたドジンに向かって生卵が投げつけれる事件が起ったのです。
ユン・ヒジェ事件の被害者遺族たちでした。
彼らにとって、怒りのぶつけどころは、ここしか無いのです。ドジンは、甘んじて受けました。
生卵で制服が汚れても、かけられたメダルを引き千切られても、胸倉を掴まれても、黙って耐えました。
そして、帽子を脱いで、言いました。本当にすみません・・・と。
ところが、これも、悪用したのが、パク記者。
敢えて、ドジンのその姿をカメラに収めようとしたのです。
遺族の一人は、それが、ドジンが世間に向けて偽善者ぶる作戦だと誤解したようです。掴みかかりました。
パク記者は、それを狙ったのでしょう。遺族が誤解するように仕向けたんだと思います。騒ぎが大きくなるように・・・と。
そこに、オクヒとソジンが駆け付け、ドジンを庇いました。
遺族はオクヒたちにも怒りをぶつけました。
「私の夫は何度だって殺されるべきです。でも息子は違います。自叙伝の販売を止めたくてTVにも出ました。父親とは違う人生を送ろうとしています。」
オクヒは涙ながらに訴えました。
誰もが辛いのです。
ドジンは、オクヒとソジンを友人に託し、一人その場を離れました。
きちんと頭を下げて・・・。
オクヒには笑顔まで見せて・・・。
でもね、一人になった時、もう我慢できなくなってしまいました。よろよろとしたその時、ジェイが走り寄って来て、ドジンを抱きしめたのです。
「辛いなら辛いと言わなきゃ。我慢しないで。答えて。ナム・・・。」
突然の思いがけない事に、ドジンは何も言葉が出ませんでした。涙だけがぽろっとこぼれました。
父親が幸せの全てを奪ってしまった人で、人生をかけて償いながら逃げなければいけない人だから・・・。
その二人の姿を見つけたのがパク記者。
スクープですわな、彼女にとっては。
すぐにシャッターを切りました。それに気づいたドジンは、ジェイを庇いました。
得意満面の顔で二人に近づこうとしたパク記者の手からカメラを奪った人が。ムウォンでした。
ムウォンは、パク記者から、撮影の時、偶然ジェイとドジンが再会したという話を聞いていたのです。
だから、不安になってやって来たのでしょう。
怒るパク記者に、カメラは買い取ると言ったムウォンは、メモリだけ抜き取ってカメラは壊しました。
そして、ドジンを殴りつけ、ジェイを連れ去ったのです。
「二度と現れるなと警告したろ。」
と言い放って。
ジェイも、黙ってついて行きました。
9年前も、あの子にかまうなと言った筈だ・・・とドジンはパク記者に声を荒げました。
まさか、まだ想ってるの・・・と呆れたようにパク記者は言いました。
「あの子の境遇はあなたの所為でもあるわ。父親がモンスターだと知ってて彼女の手を握ったのは、あなたの過ちよ。自覚してるでしょ。」
そうでした・・・。ナムは父親の悪を知っていました。
だからあの時言ったのです、ごめん、好きになって・・・と。
オクヒとソジンは、島の家を引き払っていました。
周囲の目に耐えられなくなったのです。
ドジンは刑事になりました。
怪我も恐れずに凶悪犯の逮捕に臨んでいます。
ジェイも、女優として注目され始めました。
何者かが、ジェイを狙っている様子です。