アルプスの旅も終わりに近づいてきました。
早朝、ホテルから見た、朝日を浴びる峰々。
アイガーの山頂も淡いピンクに染まっています。
ほんのわずかな時間の光景。
次の瞬間には、このロマンチックな色合いは消えていました。
(「これはエンチアンよ」と登山者。アルプスの名花といわれるものか)
(下・秋が感じられるお花畑が広がっていました。赤い実はコケモモですね)
高山植物を見たり、アルプスの眺望を楽しんだりしながら、下っていくと、
クライネシャイデックの駅舎が見えてきました。
このコースの終着点です。
数日前アップした「クライネャイデック」(タイトル)の撮影場所とは、
駅を挟んでちょうど反対側から降りてきたことになります。
ゆっくり歩いて2時間ほど。
たいして体力を使うこともなく歩ける道を、
よくもまあ、この絶景の山中に造ったものだ・・と、
観光立国スイスの底力をまたしても感じさせられる、
ハイキングルートでした。
ベルナー・オーバーラント地方のアルプスを代表する三山。
アイガー,メンヒ、ユングフラウ(上の写真左から)の大パノラマを
眺めながら歩ける!
これがこのコースの最大の魅力です。
目を凝らせば、メンヒとユングフラウの間の岩場に
ユングフラウヨッホのスフインクス・テラスが見えるではありませんか(写真下)。
高山植物の盛りは過ぎていましたが、
日本で見られるものと似たお花たちが、足元を彩っていました。
(マツムシ草の仲間でしょうか)
(礼文島で見た、チシマリンドウによく似ています)
Mannlichen(本来はaにウムラルトがつく)メンリッヒェンから
Kleine Scheideggクライネシャイデックまでのハイキングコースは、
距離にしておよそ4.4㎞。高低差168mを緩やかに下っていく
歩きやすいコースです。
行く先々、どこからも絶景を楽しむことができて、山歩きを堪能しました。
Eigerアイガー(標高3970m)の北壁が目前にせまってくる2枚目、
一番下の写真は、その反対方向の景色です。
谷底に見える村はグリンデルワルトだと考えられます。
ユングフラウヨッホへ登った翌日もいいお天気だったので、
メンリッヒェンからクライネ・シャイデックまで
ハイキングをすることにしました。
グルント駅からゴンドラで30分。
スタート地点のメンリッヒェンからの眺望も、またすばらしいものでした。
ちょうど吹奏楽団の発表会?が開催されていて、
数組の楽団がカフェの前を行進していきました。
アルプスの山々を背景に、この標高2000mを超える尾根で・・。
何とも粋ですね。
ユングフラウヨッホからクライネシャイデックまで
登山鉄道で戻ってきました。
ここは登山の基地、鉄道の要衝でもあります。
駅舎にレストランがあり、
駅のホームもちょっとしたカフェになっているところがおもしろい。
乳牛が草を食む草原を縫って、ハイキングコースが延びていています。
カラン・カラン・カラン・カラン・・と賑やかなカウベルの音が聞こえてきます。
一番下の牛をご覧ください。
見た限りにおいて、スイスの牛は皆カウベルをつけていました。
スフインクス・テラスの展望台では、屋内に入ると息苦しさを感じ、
なるべくゆっくり歩いて、呼吸を整えました。
レストランもあったのですが、ここで食べる気にはならず、
およそ1時間30分で下山。
写真はユングフラウヨッホ駅のホームで撮ったものです。
高山病対策としては、
「登山の前に甘いものを食べて、血糖値を上げておくとよい・・」という
記事を読んだのでチョコレートを、
またイチョウの葉エキスが効く、と聞いて、
1週間ほど前からサプリメントを服用していました。
そのおかげかどうかはわかりませんが、
頭痛などの症状に悩まされることはありませんでした。
ユングフラウヨッホのスフィンクス・テラス展望台から
北側を見ると、こちら側は、緑の草原。このあたりがクライネ・シャイデックです。
この方向は雲がかかっていてちょっと残念。
この展望台にはキバシカラスが訪れて、
観光客の人気を集めていましたが・・・、
はたして、彼らは何を餌として生活しているのでしょう。
ユングフラウヨッホ駅からエレベーターで昇ると
スフインクス・テラスに出ます。
ここが標高3571m、ユングフラウヨッホの最高地点。
360度のパノラマの中でも最も目を引くのが
アレッチ氷河 Aletschgletscher(写真上)。
全長はおよそ22㎞、氷の厚さは900m、
このヨーロッパ最長の氷河は、ゆっくり流れているというのです。
右手にはユングフラウ(標高4158m)(2枚目の写真)、
反対側にメンヒ(標高4099m)の山塊が堂々と横たわり、
4000m級の山々が目線の位置にあるという
稀有な体験をしました。
クライネシャイデックから50分でいよいよユングフラウヨッホ駅に到着。
標高3454m。ヨーロッパの駅としては最高地点です。
冬山用の支度をして、
まずは、プラトーPlateauと呼ばれる展望台へ出てみました。
Jungfrau(標高4158m)が目の前に迫ります。
眩く輝く万年雪は凍っていて、ツルツル。
出口から張られたロープにつかまって、そろりそろりと歩きます。
気温、-5度。
周囲の景観に圧倒されて、寒さを感じるどころではありませんでした。
(プラトーへの出口・上)
お天気をみながら、グリンデルワルト滞在3日目にユングフラウヨッホへ。
グリンデルワルトからクライネシャイデックまで登山鉄道で34分。
ここからいよいよユングフラウ鉄道に乗ります。
ゆっくり蛇行しながら、どんどん高度を上げていき、途中からは
何と、Eigerアイガー(3970m)とメンヒ(4099m)の山中に掘られたトンネルを走行。
標高3454mのユングフラウヨッホ駅をめざします。
途中、2つの駅で停車し、5分の停車時間内にトンネルに掘られた「窓」から
外界を眺められるという贅沢な演出。
上の写真はアイガーヴァント駅のアイガー北壁の「窓」から覗いたもの。
幾多のアルピニストが命をかけて挑戦した壁・・
何とも凄みのある北壁です。
次の停車駅、アイスメーアはユングフラウ連山の南側を「窓」から眺めます。
ガラス越しに見る氷の世界です(写真3枚目)。
(5分の停車時間に急いで窓を見に行く。走ったら胸が苦しくなった。上)
ブスアルプは、ハイキングコースの終着点でもあるので、
グリンデルワルトへの帰りのバスの出発時間にあわせて、
登山者が集まってきます。
バス停の横には1軒屋のレストラン。
そこにいるシェパード犬が、突然吠えだしたので、何だろう・・と行ってみると、
2頭のヤギが散歩中。
まもなく迎えにきた牧場のおじさんに促されて、
ヤギたちは、おとなしく帰って行きました。
まあ、何と賢い犬とヤギたちなのでしょう!
楚々とした花の姿がよく似合うブルアルプでした。
ブラダー・カンピオン(ナデシコ科)
グリンデルワルトからバスで35分ほど。
ブスアルプは1792mの展望地です。
展望台に立つと、あっという間に雲が湧いてきましたが、
さすがにアイガーだけは堂々と雲の上に聳えています。
4000m級の山々も一望。(写真2枚目)
ただ、山の名が特定できないので調査中です。
眼下には牧草地が広がり、黄色い村営バスが登ってくるのがみえました。
山頂にレストランが1軒。観光客もまばらで、
なんとも長閑なブスアルプの午後でした。
(北海道東川のネイチャーガイド・鳥羽さんからコメントをいただき、
「山の名はフィンスターアールホルンFinsteraarhorn4274mだとおもいます」
とのこと。ありがとうございました!)
グリンデルワルト駅は登山鉄道の終点、そして始発の駅です。
登山電車は、とてもゆっくり走るので、
近づく電車の前を平気で横切る人たちの姿も多々見かけます。
駅の改札などはなく、車掌さんが列車を巡って、切符を切ります。
ホームに続いてレストランやホテルがある駅も多く、
とても親しみ易い、のんびり鉄道なのであります。
しかし、スイスの鉄道のすばらしいところは、
いくらノロノロ運行であっても、出発・到着時刻は正確で、
乗り換え時の乗り継ぎ時間も、5分~10分の待ち時間、と、まったく無駄がなく、
そのうえ列車は清潔で綺麗です。
さすが「鉄道大国」!
とくにイギリスから行くと、その優秀さを感じずにはいられません。
雨があがり、アイガーを仰ぎ見たときの感動。
目前にそそり立つその威容は、考えていたより、ずっと迫力がありました。
ホテルの前の乗り場からゴンドラリフトに乗り、
Firstフィルスト(2171m)へ。
前日の雨の影響か、途中からガスがかかり、
山頂の展望台周辺は真っ白でした。
そこで、引き返し、途中でリフトを降りてあたりを散策。
スイスには、登山というほどハードではないハイキングコースも数多くあり、
初めはそのついもりでなくても、景色に惹かれてついつい歩いてしまうのです。
(ゴンドラリフトから村を眺める)