連れ添いバトル

なにかと夢さんを指図したがるオバサンだった。
そんな彼女は3年間の闘病を経て他界した。

ミッチュラン?

2008-11-24 | 家ごはん
「おとうさーんご飯よー」オバサンから声が掛かった。はいよ階下に下りる夢さん。 

あれっまだ出来てないのかな?食卓はまだ準備半ばの様子。「すぐだから座っててね」   

台所からは油のはじける威勢のいい音そしていい匂い。すきっ腹にこたえるな。

「はーいお待たせ熱いうちにね」「揚げたてだから美味しいわよ」おー、かき揚げかぁ。 

「先に食べてて」オバサンまた台所へ。天つゆに大根おろしをたっぷり、いただきまーす。

たまねぎの甘さが口いっぱいに広がる。エビがぷりっぷりだ、これは美味い。「上手に揚がったね」

「もっと食べる?まだあるわよ」気を良くしたオバサン、小鼻がぴくぴく機嫌がよい。

「これも当たったわ」かぼちゃの煮物を押してよこすオバサン。ほんとだホクホクだね。  

「明日のお昼、おうどんにしようかしら?」かき揚げうどんか?いいね。

大分冷え込んできた。ポッカポカのコタツで温かい夕食。気分だけは ”三つ星” だね夢さん。

マリのマイウェイ

2008-11-21 | 柴犬・マリ
遊歩道の端っこを鼻を擦り付けるようにして匂いを嗅ぎながら歩くマリ」

「フンガフンガフンガ」何時もそうだなオマエは。

もうちょっと顔を上げてシャキッと歩けないのかな。その方が凛々しく見えるぞ。

向こうから男の人がきた。手を大きく前後に振りながら、やはり端っこを歩いてくる。

夢さんの直感で言うと、この人は決して道を譲らないな。早めによけた方が良さそうだ。

リードを引っ張り道の中央によせる。「踏ん張るな!バカタレ」ハハハすんません。

挨拶を交わす雰囲気ではない。すれ違いざまにチラッと横目で窺う。夢さんと同じくらいかな。 

視線は真っ直ぐ前に向けたままニコリともしない。頑張ってますねご同輩。

落葉を踏み鳴らしながら歩く快感。所々に掻き集められた枯葉の山、晩秋の遊歩道。
 

薄味がいいのよ?

2008-11-19 | 家ごはん
煮物を一口食べた夢さん。「ん?味が薄いんじゃない?」オバサンにしては珍しいな。

里芋、椎茸、鶏肉などの煮物。「おかあさん味見したの?」「したわよ失礼ね」睨みつけるオバサン。

「ほんとだちょっと薄いわね」味付けをし直しに立ち上がるオバサン。「薄味の方が身体にいいのよ」だと。

「今度はどうかしら?」「いいねえ~やっぱりこの味だよね」目一杯持ち上げる夢さん。

おやおやオバサン電話を架けだしたぞ?「ごめんね、一寸薄かったみたい」しきりに言い訳している。

ははぁ2孫の家にも届けたな。嫁さんの手前オバサンにも面子があるからな。

「これから食べるんだって、よかったわ」「子供にはね薄味がいいのよ」まだ言ってるよ。  

駅弁観戦

2008-11-16 | 野球・スポーツ
「マラソン見るでしょ?」見るよ、今日は楽しみにしていた東京国際女子マラソンだ。

オバサンもマラソンとか駅伝は大好き。テレビ放送があればほとんど見ている。

「午前中にお買い物行ってきちゃおうかしら?乗せてってくれる?」いいよ雨降ってるしな。

「今日は"駅弁祭り"やってるのよね食べたい?」うん食べたい。

「じゃお弁当食べながらテレビ見ようか?」そりゃいいな~そうしようそうしよう。

オバサンの手から新聞を受け取る。マラソンは3時まで。その後はゴルフを見たい夢さん。 

「夕方のマリの散歩おかあさん行ってくれる?」「うん いいわよ」話は決まった。

「ついでにお水も汲んでくるわね」はいはい何でも好きにしたらいいんじゃない。

やったな上手くいった。これで今日はすべて順調に回りそうだぞ夢さん。

よく見てから言ってよ

2008-11-15 | 高齢生活・健康
「おとうさん また何か買ったの?」夕方の買い物から戻ったオバサン怖い顔。

何の事なのか分からない夢さん。「何がだよ?」ポストに宅急便の不在連絡が入っていたと言う。

16時29分?なんだ少し前だな。夢さん居たのにチャイムが聞こえなかったらしい。

差出人は通販会社。3ヶ月毎に送ってもらう事にしたサプリメントではないか。

「よく見てから言えよな」「なあ~んだそうだったの」オバサンしゃらっとしている。

差出人をよく見もしないで、オバサンの場合はまず「代金引換」の文字に目がいくらしい。

自分だって毎日飲んでるくせに。何でも夢さんを疑うんだから、いまいましい女だ。

冗談じゃねえぞ。目ん玉ひんむいてよく見ろてんだ、このすっとこどこい。言ってやれ言ってやれ。 

化粧がえ

2008-11-12 | Weblog
 
散歩から戻った夢さん、マリの足を拭いて毛にブラシをかける。今朝は寒かった。

この寒いのにガラス戸も障子も、あっちこっち開け放って、オバサン掃除機を掛けてる。

「おーい」庭からオバサンを呼ぶ。聞こえないのか?目が合ったところで手招きする。

「どうしたの?」「コタツの布団出してくれないかな、もう毛布だけじゃ寒いよ」

「そう言うと思ったさっき出したわよ」ん?さすがオバサン素早いな。

「少し赤くなってきたわね」オバサンも手を休めて庭に目をやる。あー、ドウダンツツジか。 

「昼飯は温ったかいものがいいな」「あらもうお昼の心配?」オバサン呆れ顔。

「ラーメンでもいいかしら?」いいよ
野菜いっぱい入れてね。  

プロ野球終宴

2008-11-10 | 野球・スポーツ
早朝6時半、一般紙が休みなのでスポーツ紙を買いに走る夢さん。

あちゃー、売れ行き好調とみえてもう2部しか残っていない、みんな出足が早いな。

残っていた2部は「スポーツ報〇」案の定1面トップは負けた側の記事。仕方ない1部買う。

もう一軒幹線道路を外れたコンビニに廻る。おっ有った有ったついてるな最後の1部だ。

朝食後オバサンと交換しながらそれぞれの紙面をむさぼり読む。 

「今年の日本シリーズ面白かったわよね」そうだなトラだったらもっと良かったけどね。 

「今日からつまんないわね」そうだな、また来シーズンのお楽しみだ。

それにしてもオバサンの入れ込み様は大したもの。あの元気さなら当分は大丈夫そうだ。
 

たわ言

2008-11-06 | 一人の時間
 
辺りが薄暗くなってきた。早々と秘密基地(自室)に篭り、一杯やり始めた夢さん。 

CDをセットする「葉加瀬太郎ベストアルバム」軽快なテンポのこのアルバムは大好きだ。

夕食までのこの時間は何となく持て余すひと時だ。雑誌をめくりながらあれこれ思いを巡らす。

仕事から完全に離れて半年以上が経った夢さん。このままでいいのか?

田舎暮らしをしたいなんて言うと「またかっ」と言わんばかりにオバサン嫌な顔をする。

何とか話に引き込もうとするのだがオバサン乗ってこない。機嫌を損ねるばかりだ。

やれやれこのまま何もしないで、ただ老いさらばえて行くなんて、癪な話だな夢さん。

海の傍なんかいいぞ~、山や川もあったら尚いいな。こんな気持ち分かんないかな~。

階段を上がる足音、ドアが開いてオバサンが顔を出す「おとうさん ご飯よ」

現実に引き戻される夢さん。やっぱりオバサンに逆らっちゃ生きていけないか。 

「寒いからお鍋にしたわよ」おっ、いいねいいね。オバサン定番の鍋だな。中身はだいたい想像がつく。   

夜中のトイレ、気を使って叱られて

2008-11-04 | 高齢生活・健康
足音を忍ばせトイレに向かう。オバサンを起こしたら悪いしな。

最近は夜中に必ず一度はトイレに行く夢さん。どうやら癖がついてしまったようだ。

情けねえな前はこんなんじゃなかった。夜の水分は少し控えた方がよさそうだ。

トイレはオバサンの部屋の前。カチャッと音がしないようにそっとドアを開ける。

終わるとドアを少しだけ開けた状態で部屋に戻る。これですっかり眠気が覚めてしまう。 

「トイレいつも開いてるわね。しっかり閉めなさい」朝時々オバサンからクレームがつく。

面倒なので黙っている夢さん。別にボケたわけじゃねぇやい。これでも気を遣ってるつもりだ。

新聞のスポーツ欄を開く。「今日はどっちが勝つかしらね?」お茶を淹れてきたオバサンが覗き込む。