連れ添いバトル

なにかと夢さんを指図したがるオバサンだった。
そんな彼女は3年間の闘病を経て他界した。

我儘はお互いさま

2013-12-26 | Weblog
外から戻った夢さん、手にはオバサンの好きな店のケーキ。

「さっきは酷い事を言ってご免なさい、どうぞ召し上がってください」

食事の支度をしているオバサンに、カウンター越しにペコリと頭を下げる夢さん。

ちょっと大袈裟かなと思ったが、芝居がかったジョークを交えて思い切ってやってみた。

照れるんじゃないかと思いきや、すんなりには本人がビックリ。おいおいマジかよ!

平気でこんな事が出来るとは驚き。歳を取ると言うのは実に恐ろしい夢さん愕然。

もっとも、いまさらオバサン相手に突っ張ってみてもはじまらないからね。

能面のようだった、オバサンの顔がフッと緩んだ。おっご機嫌なおったかな?

「そうよね あんな酷い事 普通は言わないわよね」オバサンがやっと口を開いた。

「自分だってあんな事言われたら腹が立つでしょ?」チクリチクリと二言三言。

ムカッ!  

そうかいそうかいそう言わせたのは一体誰なんだっけ?

一言多いんだよなったく!・・・・・・


「あら美味しそうねありがと」箱を開けたオバサンニッコリ。

「あたしこれ好きよ」 だろそうだと思ったよ。

「ご飯食べてからね、片付けてから」うん いいよ。  

自分が好きな”栗のモンブラン”も、しっかり入れてもらった夢さんだ。フフッ

炬燵をはさんで・・・・・

2013-12-19 | 高齢生活・健康
台所から味噌汁のいい匂いがしている。「おはよっ」オバサン今朝も元気そう。

「ウッス」玄関に回って新聞を取ってきた夢さん、「寒い寒い!」を連発して茶の間へ。

「おっ点いてるな」炬燵のコンセントを確認、テーブルには既に食器が並んでいる。  

「温ったけぇ~」炬燵に潜り込み、リモコンを新聞で引き寄せテレビを点ける。

「始まっちゃうよ~」何時もの時間、朝ドラが始まる。

「はいはいはい」ご飯と味噌汁のお盆を手にオバサン。パタパタパタパタけつまずくなよ。

「はいはいお待たせ」炬燵の中で夢さんの足にオバサンの足が触れる。

声には出さずさりげなく足をずらす夢さん。なんとなくね・・

「あっそうだ今日ね〇〇さんがご飯食べに行こうって言うのよ」

「いいわよね?何もないでしょ?」ぜ~んぜんどうぞご自由に。

オバサンが「あっそうだ!」と言うのは何時ものパターン。フフッ

話はとっくに決まっているのに、多少遠慮の気持ちがあぁ言わせるのだろうか?

「おとうさん今日は出掛けないわよね?」うん気にしなくていいよ。

今日は夢さん年賀状の仕上げをしなければならない。

あと残っているのは「一言の添え書き」これがなかなか面倒なのだ。

リタイアしてから10年以上、顔を見ることも話す事もなく、年賀状だけの付き合いも多い。

もう「止めてもいいんじゃないか」と思いながらも、避けられないしがらみに流される。