連れ添いバトル

なにかと夢さんを指図したがるオバサンだった。
そんな彼女は3年間の闘病を経て他界した。

あいつに義理立て?

2014-03-05 | 柴犬・マリ
BS放送の「世界ネコ歩き 」を見るたびに、可愛いネコの仕草が心を掻き乱す。
「飼ってみたい?飼いたい?お前はどうなの?」「おとうさんこそどうなの?」
こちらの真意を探るかのようなオバサンの視線を感じる。本音はどっちなんだい・・・

犬のマリが死んでから一年。「あいつに悪いよ・・・・裏切るようで」
いやマリだって分かってくれるよ。「そうかなぁ・・・・」「怒るわよきっと」   
色々な思いが頭の中を駆け巡る。二人になっちゃって寂しい事は寂しいけどね。

子供の頃は犬も猫も家に居た夢さん。いじめて引っ掻かれた事もある。
「ネコはあっちこっち破くぞ」可愛いだけじゃない事も分かっている。
だけど二人で炬燵に入ってテレビを見ている時などにふと思う。
こんな時、傍にいたらなぁ・・・・犬でもネコでも・・・・・

マリの時と同じで、可愛くて可愛くて、またオバサンのめり込んじゃうかもしれないな。
「あーあ、駄目だ!駄目だ!」現実に戻って頭から邪念?(笑)を追い払う。

マリが死んだあの時、「もう生き物を飼うのは止めようね」って約束したからな。
「私達が先に死んじゃったら可哀そうじゃない」う~んそれだよね・・・・

風になったあいつ

2013-06-22 | 柴犬・マリ
シャカ シャカ シャカ シャカ、フローリングの床をマリが走ってくる。
「なんだよ、おまえ?」 夢さんの部屋の中をあちこち嗅ぎ回っているマリ。
「なんにもないよ」尻尾をクルッと立てたその姿は、動きも早いし毛艶も良く若々しい。

「こっち、こっち。来いよほら」全く反応なし。相変わらずのマイペース振り。柴犬だもんな
夢さんの足元を嗅ぎ回っていたマリ、スリッパを咥えて駈け出した。「こらこら 持ってこい」

持ってくるわけないよな。「ほら、返せって!」夢さん、風呂場まで追い掛けて取り戻す。
「あれっ、なんだなんだ」今度は夢さんの机の上にチョコンと乗っている。いつの間に・・・・

「おや?小っちゃくなったんだね」子犬に変身したマリ。キーボードに乗ってガリガリやりだした。
メガネケースも傷だらけ「おいおい、やめろって!」「何でも齧るんだから!おまえは!」

思い出に合わせて、小さくなったり大きくなったり。まるで忍者のようだな。偉いなおまえは  
死んだら”風になる”と言うのは本当なんだなきっと。だから自由に行ったり来たりできるんだ。
 
 
 
 

マリの供養で対立

2013-06-21 | 柴犬・マリ
「霊園に納める方がいい」と言う夢さん。「庭に埋めてやりたい」と言うオバサン。
マリのお骨の埋葬を巡って、オバサンと夢さんの意見が対立。
「霊園なんかに入れたら寂しいじゃない、何時も遊んでた庭に埋めてやりたいわ」
オバサンは頑として譲る気配はない。身近に置きたい気持ちは分かるけどさ・・・・・・・

「49日が過ぎたら埋葬しよう」と申し合わせていたその日が近づいても結論が出ない。
庭に埋める事の可否について、オバサンは夢さんに内緒で、住職さんにも相談したらしい。
そこまでされたら、ここは夢さんが折れるしかない。ただしこちらにも言い分はある。
※これはお墓ではない。 ※孫達にマリの骨は見せない。※土に戻れるよう骨壷から出して埋める。
これら夢さんの考えを言葉を選びながらオバサンに説明。どうやらオバサンも納得した。

当日は二人で心を込めてひっそりと。キクとバラの根元の日当たりの良い場所に穴を掘った。
マリを納める役はオバサン。飾ってあった花を底に敷きつめ、白布に包んだマリを入れた。
その上に孫達がマリの回復を願って折ってくれた千羽鶴も入れた。「土を掛けてやんなよ」 

オバサンが土をかぶせ、後を夢さんが引き継いで、出来るだけ目立たないように土を盛り上げた。
そこにタツナミソウを植えた。タツナミソウは繁殖力が強い、すぐに緑で覆われるだろう。

少し離れた場所に、オバサンのたっての希望で小さな石を置いた。 
その石の前に、手の平の半分くらいの平たい石を埋め込んだ。水飲み台だそうだ。
あれから2ケ月が経った。オバサンは毎朝一番に必ず水を換えている・・・・・・・

マリあの時・・・

2013-06-20 | 柴犬・マリ
「おとうさん、マリが死んじゃった」呼吸が荒くなってから数時間後の事だった。
「えっ!」オバサンの声にリビングに取って返した夢さん。すでにマリの呼吸は止まっていた。
「しまった!」見開いた目とわずかに空いた口。どんなに苦しかった事か。「ごめんな!マリ」
どうして肝心の時に・・・・・・どうして最期を看取ってやれなかったのか・・・・・・
目と口をそっと閉じてやりながら、呵責の念に苛まれ、涙がボタボタと手の甲に滴り落ちた。

その時オバサンは洗濯物を取り込みに二階へ。夢さんは気になるテレビを見に居間へ。
二人ともほんの数分間マリの傍を離れた、その僅かな時間の出来事であった。
だがオバサンの感じ方は夢さんとは少し違った。「マリの思いやりだったのよ」 とオバサンは言う。 
「きっと私達に最後の姿は見せたくなかったんだと思うわ」そうかオバサンの言う通りかもしれない。 
「気を遣わせちゃったねマリちゃん」お前は優しくて誰にも好かれる、それはそれは可愛いやつだった。



マリの想い出に浸っていた夢さん。いきなりの携帯音にびっくり、「おっ、もうこんな時間か」
オバサンからのランチコールだ。「うん分かった」わざと素っ気なくこたえる夢さん。
フランスパンに頂き物のジャム、それにヨーグルト。それらを忙しげにテーブルに並べるオバサン。
体操から戻ったばかりのオバサン今日もよく喋る。「〇〇さんって凄いのよ、私よりずっと上なのに」 
「ふ~ん、へ~、大したもんだね」聞いてる振りしてやり過ごす夢さん。〇〇さんって誰??? 

マリとの別れ

2013-06-19 | 柴犬・マリ
強風が吹き荒れている。黒い雲に覆われた空から、時折バラバラッと大粒の雨が窓ガラスを叩く。
何処に目をやるでもない、椅子の背もたれに頭を乗せ、揺れに身を任せてただボンヤリ。

犬のマリが死んでから、すでに4ヶ月が過ぎた。
脳梗塞を発症してから死ぬまでの3ヶ月、オバサンは少しも辛そうではなかった。
それまでのドックフードを止め、毎日手作りの餌を食べさせ、糞尿の始末も厭わない。
顔をすり寄せては、語り聞かせるような毎日。マリはジッとオバサンの目を見ていた。 
口が利けたらどんなに良かったかな・・・・・・・・

そんな甲斐が有ったのか、半月後には先生も驚くような回復を見せた。
それからの毎日は楽しかった。「マリちゃんマリちゃん」って、みんなに大事にされたしね。
しかしそれは一時的なものだった。ちょうど3ヶ月目に容態が急変し直ぐに先生の所へ。
「強めの注射で様子を見ましょう」その注射が効いたのか、元気が戻ったように思われた。
翌日の午前中も元気そうに見えたのだが、昼頃に急に呼吸が荒くなり横たわってしまった・・・

49日が終わってから2ヶ月、オバサンはすこぶる元気。ふっ切れたんだろうな・・・・
「あたしは悔いが無いわよ」マリが死んだ後のオバサンの一言は、今でも耳に残っている。
女は強いな・・・・ 夢さん、お前さんも負けちゃいられないぜ   

立場逆転、夢さんと犬のマリ

2012-12-07 | 柴犬・マリ
飼い犬のマリが脳梗塞を発症してから3週間が経った。
食欲も出てきたし、少しよろよろするものの、歩けるようにもなってきた。
首は傾いたままだし、左側の足が思うようにならないらしく転んでばかりいる。

時々吠えるようになったが、それは餌の催促の時だけで、以前と比べたらずっと弱々しい。
餌は薬を飲ませる都合もあって、朝昼晩3食ともオバサンの手作り。
「今日は魚を入れたのよ」ささ身、肉、野菜、ご飯などなど、オバサンいろいろ工夫している。

「そんなに食べさせて大丈夫?」「いいのよ美味しいもの食べたほうが嬉しいわよきっと」
そりゃそうだなもう一度再発したら「助からない」と先生にも言われてるしね・・・・・・
リビングとデッキを行ったり来たり、この頃は和室まで入って来る。炬燵の間に割り込んでチョコン。

二人とも叱らないし、何をしても「えらいね、よく出来たね」と褒められてばかり。
身体は少し不自由になったが、孫達も周りの皆んなも優しいし、今が一番幸せじゃないのかな。
今朝もオバサン台所で忙しそう。「待っててねぇ~直ぐだからねぇ」 

マリはオバサンに纏わりついて離れない。舌をペロペロ「早くしてくれ~」と言わんばかり
「はいはいおとうさんもお待たせ」せわしなく食器を並べるオバサン。やれやれやっと朝飯だ。
「この味噌汁少し冷めてるんじゃない?」「あらそうかしら?温め直そうか?」いいよもう!

犬にも”脳梗塞”があるとは・・・・

2012-11-22 | 柴犬・マリ
毎日を平々凡々と過ごしていた我が家に突然の異変。
飼い犬が、脳梗塞を発症してしまった。

散歩から戻ったオバサンが足を拭こうと縁側に犬を座らせ、雑巾を絞っている間の出来ごと。
縁側から仰向けに、もんどりうって芝生に転落したのを目撃。「あらあら何やってんの」

だが、どうも様子がおかしい。嘔吐を繰り返し、足元がふらついて立つ事も出来ない。
目は視点が定まらぬかのように、パチパチとまばたきを繰り返し、途切れることなくよだれを垂らす。

よほど打ち所が悪かったのかな?そう思ったがどうも普通ではない。オバサン慌てて先生に電話。
「直ぐに連れてきなさい」と言われ、抱き抱えて車で病院へ。

一目見るなり先生曰く「これは脳梗塞ですね」、えっ?犬が脳梗塞??まさか?唖然・・・
「有るんですよ、珍しいですけどね、ほら見てください、首が右に傾いているでしょ?」 

なるほど言われてみれば確かに首が傾いている。犬も人間も同じなんだなぁ・・・・・
「いつ頃なったの?」まだ1時間も経ってません。「そりゃ早く来て良かった」

直ぐに注射を打ってくれた。よだれで診察台はベトベト、オバサンがティッシュで拭き取る。
相変わらず嘔吐とまばたきを繰り返し、焦点も定まらない様子。

立ち上ろうとすると、足がグニャッとなってしまって、へたり込んでしまう。
「水が飲めないようだと危ないです、まずは様子を見ましょう」

2日目
まったく症状は変わらず、嘔吐とよだれ、目のまばたきも治まらず。
水も飲まないくらいだし薬は受け付けない。「無理にやらなくてもいいですよ」
ずっと診てもらっている先生なので信頼している。こういう時は実に頼もしい。

3日目
水を飲んだ。首が傾いているので水面との間隔が合わないらしく、飲み方がぎごちない。
飲んでは吐き、飲んでは吐きを繰り返している。目はうつろ足元はおぼつかない。

「もう一本打っておきましょう」注射をしながら先生、犬に向かって「頑張れよ~」
「水さえ飲んでれば、餌なんか喰わなくたって大丈夫だからな」先生いつも笑わせてくれる。

4日目
少しだけ餌を食べた。先生の言葉に従ってハムを少し千切って食べさせてみたのだ。
最初は怪訝そうな様子だったが、匂いに誘われたのか恐る恐る口にした。

さっそくオバサン、錠剤をハムに仕込んで口の中へ。普段なら吐き出してしまうのだが、
頭が朦朧としているのだろう、薬と気付かずに飲みこんでしまった。うふふシメシメ

「もういい歳(14歳)なんだから、気にしないで美味いものを食べさせたらいいですよ」
たしかに先生の言う通りだ。太ったっていいじゃないか、もうドックフードとはおさらばだな。

あれから10日・・・・・
吐くのは治まった。激しいまばたきも落ち着いてきた。食欲も少し出てきた。
だが足はグニャッとしたまま。歩こうとしても直ぐに倒れる。首も傾いたまま。

それと声がまったく出ない。あれ以来一度も吠えていない。犬にも言語障害があるのだろうか?
オバサンは毎日寝たきり状態犬の世話と食事作りに奮闘。ふふ結構楽しそうにやっている。

以前は「うるさい!静かにしなさい!」なんて言ってたが、こうなると邪険にはできない。
犬は口をきけないしね、どんな気持ちでいるんだろうか・・・・・可愛い家族だからねぇ。

知らなくても幸せ

2009-10-04 | 柴犬・マリ
「じいちゃんどうしてマリはお手をしないの?」2孫の問いに返事に詰まる夢さん。

ううん?そうだよね・・・・「マリって言葉が分からないの?」そうじゃないけどさ。

「教えなかったからね・・・・」「犬って教えないと出来ないの?」そうだよ。

「友達んちの犬はちゃんとお手をするよ」「伏せもするんだよ」ムカッ!そうかいそりゃよかったね。

だんだん面倒くさくなってきた夢さん「お手なんかしなくたっていいんだよ」

「マリちゃんに聞いてごらん、お手が出来ないと困るかどうか」ついには大人気ないことを口走る。

「おやつを貰うときは、黙っててもお座りするもんね~マリちゃん」
いいんだよそれで。

呼んだ時は来ないくせに何時の間にか足元に擦り寄ってうずくまってる。なんともマイペースなやつ。

ネタ仕込み

2009-09-28 | 柴犬・マリ
「お買い物行ってくるわね」オバサンが出掛けたんじゃマリの散歩は夢さんが行くしかないな。

ラジオのイヤホンを耳に押し込み帽子をかぶり鍵も持った。ウ〇チ袋も持ったし準備OK。

ん??玄関先から賑やかなオバちゃん達の声。出掛けたはずなのにオバサンまだ居たのか?

早く行きなよこれじゃ出るに出られない参っちゃうよな。

二階に戻り窓からそっと覗いてみる。やっぱりな話し好きな〇〇さんだ。隣りの奥さんもいる。

しかしオバサンも付き合いがいいよな。何も玄関先で長々喋ってるこたぁないだろうに。

もう駄目だ待ってられない。庭から回って表に出る。「あら~散歩ですか?」

「いいわね~マリちゃん おとうさんと一緒で」大きなお世話だ。仕方なく愛想笑いでごまかす夢さん。

背中にオバチャン達の嬌声が追いかけてくる。聞こえよがしだなからかってるのかよ。

話のネタの仕入れに余念がないオバサン。また見てきたように聞かせるんだろ笑っちゃうよな。
  

無言でもマリとは以心伝心

2009-09-07 | 柴犬・マリ
なんか元気ないなもっとしっかり歩きなよ。今朝はそんなに暑くないだろ?。「・・・・・」

もう歳です?還暦過ぎましたからって?。何言ってんだよまだまだこれからだよ。 

並んで歩く彼女の背中をしげしげと見る。そう言えば毛の艶が少し悪くなったかな。

「ハァハァ、ハァハァ」舌を出しうつむいて歩く姿は、確かに暑さのせいばかりではなさそうだ。

そうか一緒に暮らし始めてからもう11年か。「早いもんだねマリちゃん?」「・・・・・・・・」

だけどさ、オバサンなんか見てみろ。オマエの何倍も一緒に暮らしてんだぜ。元気過ぎるくらいだ。 

見ててわかるだろ?まだまだ先は長そうだよ。オマエもがんばって長生きしろよな。「・・・・・」