ハッと気が付いたら、時計は９時半を過ぎている。あらら！
炬燵でウトウトしてしまった。そうだ、洗濯干さなきゃ！
急いで二階に駆け上がる。デッキは陽が燦々、勿体ない事をした。
やれやれ、自室のカーテンを全開。陽の射した箇所の埃が目立つ。
指でなぞってみる「すげえなこりゃ！」今日こそ掃除しなくっちゃ。
明日は大晦日か・・彼女が居ればもっと楽出来るのになぁ・・
今更もって妻の有難みを知る。そりゃ勝手すぎるぞ夢さんバカタレ！
「はいはい」まずは髭を剃って顔を洗って、風呂掃除から始めるか。
「おかあさん今日はやるぞ！」妻の写真に向かって宣言。
時間はどんどん過ぎて行く「スタートが遅いんだよオマエは！」
もうひとりの夢さんが耳元で煽る。「分かったよ、そう焦るな」
見上げれば雲一つない青空。気分好し！今日は絶対やってやる！
主冶医の先生に呼ばれ、妻の余命について知らされてから半月が経った。
先生には「今月いっぱいでしょう」と言われているので毎日がビクビク。
夜も昼も携帯電話を傍に置いて、もしもの時の連絡に備えている。
妻が告知を受けたのは今回で２度目。１度目は昨年の春先の事。
「よくもって年内いっぱい」と、言われてから１年以上が経っている。
余命告知を受けてからも、ずっと長生きした人の話はよく聞く。
妻の場合もそうなのだろうか？身体の根幹が丈夫なのだろう。
寝た切りで意識が混濁していても、人を生かすのが現代医学なのか。
会話もできず車椅子にも乗れず、全てを介護士さんのお世話になっている。
あの日先生の特別の計らいで会えた妻は、すっかり小さくなっていた。
鼻からの栄養補給と点滴に、命を委ねている妻は幸せなのだろうか。
通常の面会が出来ないだけに、その心の内は推し量るすべもない。
今日も頬杖をついて彼女の写真と話す。毎日の習慣になってしまった。
「家の工事終わったぞ」「今朝は寒かった！」「味噌汁作ったんだぞ」
掃除が苦手な事。久し振りに歩いたら身体の節々が痛くなったこと。
何でも話す。写真の彼女は何時も笑って聞いてくれている。
男のくせに意気地が無いだろ？ 顔を近づけて聞いてみる。ん？
クッソ！ この頃涙もろくなっちゃったよ。誰も見てねぇからいいけどな。
テレビ見ててもいきなり泣き出すんだぜ、まったく始末に負えないよ。
告知を受けてからは、妻の写真と語り合う日々が続いている。
お早うから始まって、何かにつけて彼女に語り掛ける毎日。
今迄こんなに顔を近づけて話したことが有ったかなぁ・・
今なら何を言っても許される感じ。笑って聞いてくれてる。
だけど何時も笑ってなんかいなかったな。怖い時も多かった。
我が儘を言っては叱られたっけ。ク〇ババァと何度思った事か。
弁天様がいきなり夜叉に変わるんだものね。くわばらくわばら
とか何とか言いながら楽しかったよ。俺は全く悔いはない。
今年もあと少し。年が明けると俺は８０おまえさん７７。
余命告知を受けた君なれど、その日まで精一杯生きような。
家の塗装工事が本格的に始まった。昼前には雨が止んで作業再開。
この先一週間ほどは晴天が続きそうなので作業が捗るのを期待。
今は下地作業が終盤の段階だが、その丁寧な仕事振りに驚く。
やはり自分で選んだ業者さんなので、とても嬉しい気がしている。
家族を中心に据えて纏まっている感じは流石５０年の実績を思わせる。
息子さん達も丁寧で感じが良い。立派な後継者に育ちそうな予感。
お任せしたからには、余計な口出しは一切しないのが上策。
このイラストはネットの無料イラストから拝借しました。
昨日午前はグラウンドゴルフ。風も無く絶好のコンディション。
スコアは 15-19-22-15＝71（ホールインワン２回）好調なり
年末に掛けての恒例行事は、コロナで何れも自粛ムード。
そんな中、近々家の塗装工事が始まる。何とも慌ただしい。
今朝は柿の頂き物と睨めっこ。どうやって食べるか思案・・
温かくして食べる方法は無いか？レンジで焼いてみる事にした。
以前焼リンゴを作ったことがある。あれと同んなじだろう？
切れ込みを入れて、６００Wで３分焼いてみた。何とも適当
熱々はいいのだが大して美味くもない。失敗作と相成った(笑)
家事の中で一番苦手なのは掃除機掛け。どうにかしないと・・
「待てよ」と考えたのが空気清浄機。結構効果があるらしい。
何事にも慎重な小生(笑)、ネットで色々と情報集めをした。
「うんいいだろう」と、早速注文したのがこれ。
ほんとだ！効果あるな。テレビ台の埃も目立たないぞ！
これは下の和室にも使えるな、移動すればいいんだから。
大嫌いな掃除の手間が省けそう、なんか凄く楽になった気分。
オバサンが居たら許しっこないけど、今ならへっちゃら。
毎日彼女の事を思う、いい日も悪い日もあったけど・・・
今の自分があるのはあいつのおかげ。日々その思いが増すこの頃。
国内の新型コロナは数字だけみると減少しているかのよう。
そんな空気に水を差すようなニュースが飛び交っている。
新たな変異種オミクロン、次から次へとどうなっていくのか。
高齢者施設の面会規制が緩和される様な報道も有ったのだが・・
こんな状況ではどうなる事やら。我慢も諦めに変わりつつある。
月に一回１０分間のリモート面会では何も分からないのが実態。
直接面会出来れば有難いが、こればかりは許可を待つしかない。
話す事は出来なくても、直に顔を見るだけで随分違うと思う。
５０数年を共に生きて来て、このまま終わるのは余りにも残酷。
