一瞬のオアシス

「どうしたの元気ないね」「そんなことないわよ」
リビングのテーブルに頬杖をつき、ぼんやりしているオバサン。珍しいな・・・

朝食の時間帯も過ぎ、さっきまでオバサンなんやかやと忙しそうだったのに・・・・
掃除機の音が聞こえていたが、何時の間にか、うつらうつらしていた夢さん。

階下があまり静かなので、気になって降りてきた。
「お昼　何にするか考えていただけよ」そうかな疲れてるんじゃない？

お昼食べに行こうか？と言う問いにも首を振るオバサン。
「おとうさんにご馳走して貰わなくたっていいわ」家にいる方がいいそうだ。

昨夜皆が帰ったのは９時過ぎ、まさに嵐が去ったが如くであった。
今日は朝から涼しく、湿度も感じさせないほどのまるで秋のような陽気。

ソファーにもたれ、オバサンが聴いているラジオに耳を傾ける。
お気に入りのラジオが、今朝はオバサンの疲れを癒しているのかな？

レースのカーテンが風で舞い上がり、デッキの向こうの木々が揺れている。
昨日までの厳しい暑さはどこへやら、一瞬のオアシスが出現したかのようだ。

明日からはまた暑くなるのだろうが、たとえ一日でもこの涼しさは有難い。
ぼんやりと、ただぼんやりと風の感触を楽しむ。