連れ添いバトル

なにかと夢さんを指図したがるオバサンだった。
そんな彼女は3年間の闘病を経て他界した。

手持ち無沙汰の大晦日

2004-12-31 | 家ごはん
「何か手伝おうか?」
「いいわよいいわよ」おとうさんのやる事は無いからとオバサン。

オバサンは、朝から煮物やおせちの支度に忙しい。
家の中には、煮物の良い匂いがただよっている。いよいよ正月だな。

元日には、子供達や嫁さん、孫達まで全員が揃う。
みんな、このオバサンの煮物が大好きだ。

毎年好評なものだから、オバサン益々張り切っている。
もう無理することないのにと言ってもオバサンは耳を貸さない。

昔気質の性格は変えろといっても無理な話だ。
今日も午後から雪。東京の大晦日の雪は21年ぶりだという。

蛍光灯の取替え、風呂場の掃除と、夢さんも忙しく働いた。
マリの散歩を済ませたら、一杯はじめるか大晦日だしな。

年の暮れの初雪

2004-12-29 | Weblog
「暮れって気がしないよね」味噌汁の湯気越しにオバサンに話しかける。
「そうね、世の中変わったのよ」と、オバサン大した感慨もなさそう。あっそ 

「俺たちの生活が変わったって事だろうね?」寂しい話だよなぁ。
テレビは、大津波のニュースばかり、犠牲者の多さに唖然とする。

戦争や大災害の連続、過去にこんな年があっただろうか。
子供や孫たちの事がふっと頭をよぎる・・・・・・

「雨は止みそうにないね、マリの散歩は俺が行くから」夢さんめずらしいじゃん。
「いいわよ、私が行くから」と、何時もなら言ってくれるオバサンなのだが。

「ああそう、じゃお願いしようかな」だってさ。あてが外れたな夢さん。
まぁ、いいっか!この雨じゃな。

げぇ、雪じゃん!
朝の散歩から戻ってしばらくした頃、ひょいと窓の外に目をやってビックリ。

なんと、雪が降り出した。「やっぱしか予報どおりだな」
午後になっても降り続いている雪。辺りは白一色になってしまった。

「マリの散歩は早目に行ったほうがいいよね?」
「そうね、おとうさんお願いしますね」やっぱしな。

今日はオバサン勘を働かせたな、それにしても鋭いな。 
「あぁ、いいよいいよ、こんな雪なのに、おかあさん行けるわけないでしょ」

合羽を着込み、ウンチ袋を手に、本日2度目のマリの散歩。
「かなり積もっているな」振り向くと、マリと夢さんの足跡がくっきり。

「新潟も降ってんだろうな」”白い天使”だなんて浮かれてはいられない。
被災地の人達にとっては、まさに”白い悪魔”だろうからな。

孫達はおしゃまさん

2004-12-26 | 6人の孫
「こないだのビデオ見る?」「そうね、見ようか」とオバサン。
クリスマスに撮った、2孫と4孫姉妹のビデオだ。

「こうして見ると、色んなこと喋ってるわねえ」
当日忙しく動き回っていたオバサンには、ビックリのシーンが続く。

「2孫も、随分おしゃまさんになったわね」と感心しきりだ。
「だけどさぁ」「ウチの孫は、ほんと可愛いよね」と、鼻高々の夢さん。

「おとうさん!」ほら来た「そんな事、表で言わない方がいいわよ!」
「みんな、どこの家でも自分とこが一番って思ってるの!」「笑われるわよ!」

わかってるよ、うるさいな。
「そんな事言うわけないだろ、俺だってそれくらい分かってるよ」

からかって見ただけだよオバサン。  
ジョークが通じねぇんだから、困っちゃうよね。

 嘘だろ!癌だなんて有りっこない 

2004-12-23 | 高齢生活・健康
「いいんだよ、何時でも」「お前の起きたい時間に起きればいいんだから」
ん、何の話?いやに夢さん、やさしいじゃん。

我家の朝は、BS放送の朝の連続ドラマに合わせて7時30分に始まるのが常だ。
食事の支度を終えたオバサンが、時間を見計らって起こしに来る。
新旧のドラマを見ながらの30分。これが我家の朝食の時間である。

昨日、2ヶ月に一度の定期健診でオバサンを病院へ乗せていった。
夢さんは、何時もと同じアッシー君だ。

診察を終え、支払いを済ませて戻ってきたオバサンの顔色が何となくすぐれない。
「ん?、何の細胞?」 検査のために細胞を採取したとの事。話がよく見えない。

来月5日に結果が分かるとの事。本人は、すっかり子宮ガンと思い込んでいるらしい。
馬鹿馬鹿しい!そんな事が有るわけないだろう!

と思いつつも、さし当たっての言葉が見つからない夢さん。
帰りの車の中は無言である。チラッと盗み見ると、オバサンは前を見据えたまま。

ふざけんなよお前、ただの検査だろうが。
「弱っちゃったな!」様々な思いが夢さんの頭の中を駆け巡る。
まぁ、「このまま様子を見るしかないな」、騒ぎ立てても仕方がないし。

今朝になって、オバサンの目を盗んで、1嫁(長男の嫁)にだけは電話で知らせた。
「なんでもないかも知れないし」そっとしておく事で話がまとまった。

「今度のお正月が皆と会える最後かも知れない」
「年金を一回も貰えないのは悔しい」

何とも、オバサンらしくもなく話が飛躍する。
「ふざけんな!」「安心しろ!」お前は俺より10年は絶対長生きするよ。

障子貼り、オバサンの協力が有ればこそ

2004-12-19 | Weblog
「やぁ、終わった終わった」
「おとうさん、お疲れ様」綺麗になった障子に、オバサンの機嫌も良い。

夢さん一人でやる積りが、結局オバサンの指揮下でこき使われた。
「剥がしといてくれて助かったよ」ゴマをする夢さん。

オバサンが昨日のうちに、すっかり段取りをしてくれていたのだ。
「よかった、よかった」「これでお正月が来ても大丈夫ね」

その内オバサンが物置から何か出してきた。
「なにそれ?」「見たら分かるじゃない、クリスマスの飾りよ」

「え~っ、今年は出さないって言ってただろう」
「だって、〇〇ちゃん達が来たら可哀そうでしょう」

ふざけんなよ!この間俺が出すって言ったら迷惑そうな顔したくせに!
「いいから、ほら、ずっと線を這わせて」張り切って仕切りだすオバサン。

「しょうがねぇな・・・・」
「やっぱり、いいわね」電飾のカラフルな点滅に、すっかりオバサンご満悦だ。

猫なで声で犬と話す

2004-12-15 | 柴犬・マリ
雨になりそうな雲行き、外は寒そう。
散歩から戻ったオバサンが誰かと話している。

それにしても、尋常の口調ではない。
まるで赤ん坊とでも話しているようだ。

ん?「なんだ、なんだ」、あれれ、マリに話しかけてんのか。
足を洗ったりブラシを掛けたりしながら、しきりにマリに話しかけている。

あきれたもんだ。ああいうのを、猫なで声ってんだろ?
犬に対して猫なで声かい、マリも迷惑な話だよな。

夢さんなんか、一回だってあんな声掛けられた事無いぞ。
もっともな、あんな声で話されたら気持ち悪りぃけどな。

あ、ヤベェ、来たぞ・・・・「おかえり~、寒かった?、大変だったね?」
おいおい夢さん、それって猫なで声じゃないのかよ?
 

見透かされた魂胆

2004-12-12 | Weblog

階段を上がる足音がして、「お父さん、ご飯よ」と、オバサンが顔を出す。
「はいよ」と、返事は素直なものだ。

カーテンを開けてビックリ。あちゃあ雨かよ。
へたをすると、マリの散歩に行かされるぞ。

「一寸飲みすぎかな?疲れちゃったよ、帰って来てからパソコンやってさぁ」
「寝たのは3時だよ」と、本当に疲れたふり。

「だいじょうぶよ、あたしが行くから」と、すっかり魂胆は見透かされている。
シメシメ、食後、新聞を読むのもそこそこに、そそくさと自室にこもる。

「おっ」、オバサンがマリを連れて出掛けたらしい。
テレビを見ながら15分ほどマッサージ。立ち上がって窓の外を見る。

雨は大した事はない。この分では濡れるというほどの事はないな。
「疲れた」と言った手前、今日は一日パジャマのまんま。


2孫のマスクは格好だけ

2004-12-10 | 6人の孫
ママに連れられて、2孫と4孫姉妹がやってきた。
2孫は風邪を引いているそうでマスクをしている。

蝶々の刺繍がされたマスクから、鼻がはみ出ているぞ。
「なんかそりゃあ格好だけだな」

真っ赤な顔をして目も赤い。おいおい大丈夫かよ。
2嫁にそれとなく聞いてみる。

「いつもこんなもんですよ」あっけらかんとしたものだ。やはり母は強しだな。
仕事人間であった夢さんには、その辺のことは良く分からない。

最近は、家に居る事が多いので、そんな事がやたらと目に付くようになった。
しかし、子育てに関しては、どうやら男が口を挟む事ではないらしい。

あのくらいどっしり構えていないと、年子の姉妹を育てるのは大変だろう。
お世辞半分でもね 嫁さん達には何かと気を使う。

品物が揃ったら完成も同然 

2004-12-09 | Weblog
「おとうさん、障子は何時貼るの?」と背中にオバサンの声。
おいでなすったな。

「昨日は雨だったし、今日は午後から仕事でしょうよ」
「あそう、何時ものパターンね」「何だよそりゃあ、じゃあ自分で貼れよ」

「貼り替えるといったのはおとうさんでしょ」「責任持ってやりなさいよ」
分かってるよ。「そうなんだよな、何時もこうなんだよ」 

最初の意気込みはいいんだけどさ。
品物が揃うと、もう済んだ気分になっちゃう。

悪い癖だと分かっちゃいるんだけどね。
エンジンが掛かるまで時間が掛かるんだなあ。

そのかわり掛かったら早いよ。終わるまで一気だからね。
その辺りをすっかり、ク〇バ〇ァに見抜かれてるのがシャクだよね。

子供の頃の障子貼り

2004-12-06 | 一人の時間
買い込んだ障子紙と材料を前に考え込む夢さん。
我家の障子は巾が広い。94センチの規格品だと、まったく合わない。

横に合わせて、上下をカットしなければならない。
「まぁ、昔の事を思えばこれでも楽さ」昔の紙は巻紙で巾が狭かった。

横巾に合わせて切ったものを、何枚も貼り重ねたものだった。
破いては、よく貼らされたっけ。「障子はね、下から貼ってくんだよ」

上から貼ると、ハタキを掛けるのに具合が悪い。
貼りあがった障子に、霧を吹いてしばらく置くとピンと張る。

「〇〇ちゃんは上手ね」なんて褒められると嬉しくてさ。
だからかなぁ、障子の破れてるのは嫌なんだよね。