おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

晴の会 + 九雀の噺

2024-08-19 23:46:06 | 観たもの
 「晴の会」と「九雀の噺」の感想を書いておこうかと…。

【第9回あべの歌舞伎晴の会「伊賀越道中双六」】
 
 千次郎さん、千壽さん、松十郎さんが中心となって始まった「晴の会」でございます。今年は「伊賀越道中双六」の通し上演ということで、亀屋東斎先生(千次郎さん)が筆を取られました。

 「伊賀越」の通しは以前国立劇場で見ております。吉右衛門さんが主役の唐木政右衛門で、「岡崎の段」が何年振りかの上演ということで国立まで見に行きました。それが読売演劇大賞を受賞され、その凱旋公演も見ました。発端も大詰も見ているはずなんですが、全く記憶になく…。「岡崎」の場面の吉右衛門さんが煙草を刻んでいて、そこに雀右衛門さんのお谷がやってくるっていうところは強烈に覚えているのですが…。雀右衛門さん、ダイエットされてやつれた感じがすごかったんです。って、そこが見どころではないはずなんですが。この時は「沼津」が出ませんでした。

 今回のは「沼津」を中心に発端と大詰がつきました。この公演のプレセミナーで聞いたところによれば、「沼津」はずっと演りたかった演目だそうです。上方歌舞伎会でかけたいそうですが、登場人物が少ないので却下されます。昨年の「晴の会」で「沼津」をかけようとしていたら、松竹座の夏歌舞伎でがんじろはんがなさったので、出来なかったそうです。いろいろご事情があるんですね。

 今年が“満を持して”って感じでしょうか。発端の場面がコンパクトにわかりやすく描かれていて、その後の「沼津」が「あぁ、こういうお話だったんですね」ってよくわかりました。千次郎さんの平作、千壽さんのお米、松十郎さんの呉服屋十兵衛、それぞれのお師匠さんの持ち役をお勤めになりました。松竹座で本役でもいけるんちゃうん?ってくらいの出来栄えでした。千次郎さん、老け役ですが、無理くり顔に皺を描かず、それでちゃんと老人になっていました。元々上手い役者さんでしたが、春先から、玉ちゃんに抜擢していただいていろいろご指導を受けられて、さらに上手くなられました。千壽さんは秀太郎さん譲りの何とも言えない色香がにじみ出ておりました。松十郎さんも孝夫さんをよく写しておられ、上背のあるシュッとした方なので結構でした。松十郎さんってお師匠さんの孝夫さんが本当に大好きで(他の皆さんももちろんお師匠さんLOVEだと思いますが)、晴の会とか上方歌舞伎会とか自分たちが主役の会で、孝夫さんから直接手取り足取り指導が受けられるのが嬉しくて嬉しくて仕方ないっていつもおっしゃっています。

 晴の会の「沼津」の見せ方、絶対いいと思うんです。浅草でも南座でも花形歌舞伎の公演で取り入れていただきたいものです。本当にわかりやすいです。それでいけば、何年か前の「四谷怪談」の通し上演もコンパクトでありながら、破綻なく最後まで通していたので、あの脚本もぜひどこかで使ってほしいなぁと思います。

【九雀の噺 美吉屋ご一門を迎えて】
 
 桂九雀さんの会に美吉屋の吉弥さん、折乃助さん、われらが吉太朗クンがゲスト出演されました。チケットは即完売だったそうで、歌舞伎ファンと「刀剣乱舞」ファンが押し寄せたようです。

 番組
 「まめだ」 桂九雀
 「蔵丁稚」 上村吉太朗
 「転宅」  上村折乃助
 「質屋芝居」 上村吉弥
 ー中入りー
 「芝浜」  桂九雀

 九雀さんが前座、座布団返し、めくりを担当されました。九雀さんは、ワタシが枝雀さんの追っかけまがいのことをしてた頃(ってもう40年前になりますが)の記憶しかなくて、まだ若手、まだ前座みたいな記憶しかなくて、すっかり立派なお師匠さんで、ちょっとビックリしました。スビバセン、失礼な客です。

 中入りまでの噺はいずれも歌舞伎が登場します。われらが吉太朗クン、高座に上がった時はさすがに緊張Max?カチコチって感じで、こちらもミョーに緊張しましたが、マクラが終わって本題に入るとあとは滑らか、芝居の部分はお手の物なので、安心して聞いておりました。折乃助さんは、落語は2回目だそうで、お三方の中では一番落ち着いていらっしゃったようにお見受けしました。義太夫の女師匠が登場するのですが、まぁ、それはそれは婀娜っぽいお師匠さんで、女形の面目躍如でした。吉弥さんが一番緊張されていたようで、マクラが終わって羽織を脱ぐタイミングも何となくぎこちなくて、そこで一瞬客席も緊張しました。「忠臣蔵」のお芝居が出てくるのですが、立ち回りの場面は折乃助さんと吉太朗クンも出て来られ、三人で立ち回りも披露されました。美吉屋さんは皆さん女形さんなので、立ち回りを見られるっていうのも非常にレアで、貴重でした。九雀さんの「芝浜」は、美吉屋さんが慣れない落語に挑戦されるので自分も江戸弁に挑戦しますということで、全編江戸弁でした。でも、お江戸の方がお聞きになったら「訛ってる」って思われたような気がしますが。でも、お正月に聞いた小朝さんの「芝浜」よりは良かったかと(←個人の感想です)。

 
 天満の天神さんです。
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