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おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

市川猿之助 春秋座特別舞踊公演

2021-09-05 23:08:51 | 観たもの
 春秋座で開催された「市川猿之助春秋座特別舞踊公演」でございます。コロナで緊急事態宣言発令中、客席は間隔を空けないということもあるのでしょうが、休憩込みで1時間30分の上演時間でチケット代が諭吉さん1枚というのはなかなかの強気?でございます。エビサンのナントカ公演に比べれば、充実してるし見応えあるとは思いますが…。何となくモヤッとしております。のっけからスミマセン。
 
 今回は「大学開学30周年劇場開場20周年記念公演」という角書き(と書いていいのか?)がついており、まずはこの芸術劇場の芸術監督である亀ちゃんの「ご挨拶」から始まりました。ちゃんと紋付袴の正装でお出ましでした。伯父様の猿翁丈が大学で歌舞伎を教えることになった理由、劇場建設の経緯など真面目にお話になりました。本花道・すっぽん・鳥屋口があり、舞台はもちろん廻り舞台、セリもあります。天井が高く、宙乗りができるように機械?が最初からセッティングされています。客席は1階2階合わせて735席、前後を広く取り(座っていても前を人が通れる)、配置は千鳥で前の人の頭が被らない、床はゆるやかな傾斜で後ろでも見やすくと、非常に贅沢な劇場です。採算度外視、猿翁上の希望が全て取り入れられた素晴らしい劇場です。もう少し中心部に近ければ、と思わなくもありませんが、郊外だからこそっていうのもあったのかもしれません。

 ご挨拶の最後に「歌舞伎の灯を消さないで。演劇の灯を消さないで。一度消えた灯をもう一度おこすのはとても大変なことなんです。」と切々と訴えていらっしゃいました。亀ちゃん、こういうふうな単発の公演では京都へいらっしゃってますが、1か月公演はご自身の襲名の8年前の「顔見世」以来ないそうです。京都、大阪での歌舞伎公演が定着するようにと言ってくださってて、こちらもそれは「是非とも!」と願っているところなので、少しでも動員に協力できればと思います。

 ご挨拶の後は素踊りの「春秋三番叟」です。これは春秋座杮落し公演の折に創作されたもので、長唄の中に「花のみやこの瓜生山」「清き流れの白川に」と春秋座独自の文句が読み込まれています。長唄ってよくわからないので聞き逃してしまうかも、と思っていましたが、何とか「あ、ここや」って聞くことができました。長唄の立ては勝之弥さんでした。ご出演は澤瀉屋のお弟子さんたち、弘太郎、猿四郎、笑野、猿紫、喜猿の5名でした。亀ちゃんの舞台をよく見に行くわりに、お弟子さんたちには無関心なワタシ(スミマセン)、お顔は見たことはあるけれど…って感じでした。皆さんとてもパワフルで、後半の種蒔き(鈴を持つ踊り?)はそれに速さが加わって、素踊りの三番叟っていうのもなかなかよろしゅうございました。三番叟って様々な設定?があるそうで、そう言われれば、見るたびに違うような気がします。

 この後20分間の休憩が入りましたが、その間に「春秋座と四代目猿之助の軌跡」(?、たぶんこういうタイトルだったと思う)の映像が流れました。杮落しから始まって、亀ちゃんが出演された公演が次々と流れてきました。「亀治郎の会」を何回かされていて、それで「合邦」「鏡獅子」「隅田川」「鷺娘」となかなかのラインナップです。本公演でもぜひお願いしたいものです。特に「合邦」の玉手御前はきっとすごいのではないかと思っています。藤間ご宗家とお二人での素踊りも流れましたが、それは実際に見た時も思いましたが、ご宗家の手の動きが人間とは思えないんです。相手が亀ちゃんで、もちろん亀ちゃんだって十分きれいなんですが、お二人の手がいっしょに映ると、ご宗家の手の滑らかさ、しなやかさが際立っていました。「やっぱ、スッゲー」って改めて思いました。

 最後は亀ちゃんと鷹之資さんの「連獅子」です。こちらはちゃんと拵えつきです。亀ちゃんのほうがまだ背が高いのでちゃんと親子でした。團子ちゃんは追い越してしまったので、團子ちゃんとはもう無理かなぁ…。鷹之資さんの踊り、端正で気持ちよく、決めの箇所ではピシッ、ピシッと音が聞こえてきそうな感じです。体幹がしっかりしてるんでしょうね。本当にぶれません。真っ直ぐです。亀ちゃんと互角に踊っていました。今回は前から6列目で舞台が近く(春秋座はコンパクトなので、歌舞伎座の6列目よりは舞台が近いと思う)、オペラグラスなしで見ることができました。「連獅子」ってあまり演技してる感がなく、何となく動きだけを見ていたような気がするのですが、前半の狂言師右近ってあんなに“お父さんの顔”をしてるんですね。亀ちゃんが心配そうに見守るように鷹之資さんの踊りをご覧になっていました。「へぇ~」って感じでした。「連獅子」は結構な数をみているはずなんですが、スミマセン、今さらな感想です。11月の歌舞伎座の孝夫さんの「連獅子」はオペラグラス越しになると思いますが、ちゃんと見よう!と思いました(「連獅子」だとたぶん安定の三階席になると思う)。

 後見は段之ママです。↑休憩時間の映像でも亀ちゃんの後見でいっしょに映ってました。眼光鋭く後見のお仕事をなさっていて、「連獅子」の後見も楽しみにしていました。お家の古参のお弟子さんのじいや、ばあや、ねえやさんたちの後見、好きなんです。シネマ歌舞伎になった「吉田屋」でも松之助さんが後見で、お話しはフワフワ明るいおとぎ話のようなのに、松之助さんおひとりだけ眼光鋭くシャッ、シャッと動かれてましたね。11月も松之助さんでしょうかね。そういえば、勘太郎クンが「盛綱陣屋」の小四郎をお勤めの時は梅花さんでした。それも黒衣姿で。「ここぞ!」っていう時はそういう方たちになるんでしょうか。

 話がそれました。段之ママは鷹之資さんの後見をお勤めでした。目配り気配りがすごくて、それを見ているのも楽しかったです。あ、決して目立ってはいません、あくまで後見なので。ワタシの個人的な趣味から注目していたので“見えた”ってことです。

 後半の獅子の姿もお二人とも凛々しくステキでした。踊りがぶれません。毛ぶりは、若さがあるので高速っちゃ高速でしたが、力任せにブンブン振り回している感じではなく、回数も控えめでした。このコンビは本公演でもぜひお願いしたいものです。ついでに「合邦」と「鏡獅子」もね。

 
 劇場開場20周年ということでこれまでの亀ちゃんの公演のポスターが展示してありました。

 
 「鏡獅子」「合邦」「隅田川」「猩々」です。

 
 杮落し公演のポスターです。玉ちゃんが文楽座の方たちの演奏で「日本振袖始」を踊られました。超豪華版です。当時の三代目猿之助さんの勢いがわかるというものです。
コメント
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