しつこく「私の履歴書」を読んでいます。だって、下手な小説を読んでいるよりずっとおもしろいんですもの・・・。
今回は、東山千栄子さん、(初代)水谷八重子さん、杉村春子さん、田中絹代さん、ミヤコ蝶々さんの5人の女優さんの「私の履歴書」です。こちらも生年月日順に並んでいます。こういう順番って、気を遣うんでしょうね、きっと。いずれの方も既にお亡くなりになっています。
ご自分で書かれたのか、あるいは記者による聞き書きなのかは定かではありませんが、非常に美しい、丁寧な日本語をお使いになっています。「言葉」にかかわるお仕事をなさっている方ばかりなので、当然と言えば当然なんでしょうが。
この5人の中で舞台を拝見したことがあるのは杉村春子さんだけです。生涯初めて見た舞台が文学座の「ハムレット」(江守徹・太地喜和子)だったので、何となくその後も文学座を見る機会が多く、杉村さんの当たり役と言われている「女の一生」も「欲望という名の電車」も「華々しき一族」も見ました。実はサインも持っています。(←ちょっと、これ自慢です)
あとは、テレビで拝見していましたが、東山千栄子さんや田中絹代さんはかなりの年齢になってからのことなので、今回これを読んで「お若いときもあったのね(←当然ですが)」と、失礼ながらそういう感想を持ってしまいました。田中さんは、この中にも書かれていましたが、山口百恵チャンが「伊豆の踊り子」を演ったときに、初代の踊り子を演った女優さんとしていっしょに出てこられていた記憶があります。
どの方も新劇草創期、映画草創期の時代から女優をやってこられたわけですが、たぶん同時期の男性でもかなり苦労された時代を、今とは全然違う価値観の中で彼女たちが女優として生きてきた「履歴書」は本当に迫力があります。皆さん、最初から恵まれていたわけではなく、俳優としての演技の苦労に加え、劇団の経営、私生活では恋愛に悩み、仲間に裏切られと波乱万丈の「女の一生」です。でも、最後まで「芸一筋」で生きられ、ご本人たちは満足して幸せな一生を終えられたんでしょうね。
「履歴書シリーズ」が面白いと書きましたが、読んだのはここまでです。他にも出ているんですが、もう一つ魅かれる人物がいなくて。読む本がなくなったら、また読むかもしれませんが。