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おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

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2023-12-31 21:56:38 | 観たもの
 年末恒例の今年観たお芝居の数です。毎年書いていますが、数を数えるのが苦手、しかも同じ芝居を複数回見たりしているので、本当のところ、よーわからんのですが、とにかくたくさん行きました。お江戸遠征もとうとう12回、8月の歌舞伎座遠征はお休みしたのですが、9月が俳優祭で月に2回上京したので合計12回となりました。こんなこと、亡くなった母が聞いたらきっと卒倒したと思います。ここは身寄りのない気楽さです。それと「推しは推せる時に推せ」、これに尽きます。今年ほど、この言葉が身に沁みた年はないでしょうね。

 9割以上は歌舞伎です。文楽も感想文は上げておりませんが、大阪の文楽劇場の公演は何とか細々と通っています。歌舞伎の親元、演目的に見ておいたほうがいいのかなと思いまして…。と書いてますが、実際のところは義太夫が気持ち良すぎて意識を失ってる場面多数でございます。

 歌舞伎以外は文学座を2回見ました。「夏の夜の夢」は東京まで見に行きましたが、見に行った甲斐がありました。それにつられて大阪でも文学座を1回見ました。来年は「オセロー」があるそうなので、それも上京する案件かと思っています。もうひとつ、大竹しのぶさんの「ビクトリア」も見ました。一人芝居です。一人芝居は腕のある役者さんでないと成立しないので、大竹しのぶさんは十分OKです。

 歌舞伎は孝夫さんは2月歌舞伎座「霊験亀山鉾」、4月歌舞伎座「与話情浮名横櫛」(孝玉コンビ)、6月歌舞伎座「すし屋」、7月松竹座「俊寛」、10月御園座「四谷怪談」「神田祭」(孝玉コンビ)、11月歌舞伎座「松浦の太鼓」、12月南座「七段目」です。あと、8月の上方歌舞伎会と9月の俳優祭でご挨拶でお出ましになったのを拝見しています。

 玉ちゃんは1月松竹座「幽玄」、3月歌舞伎座「髑髏尼」「吉田屋」、4月歌舞伎座「与話情浮名横櫛」(孝玉コンビ)、7月南座「坂東玉三郎コンサート人生は歌だけ」「坂東玉三郎夏のひととき」、8月南座「怪談牡丹燈籠」、9月「口上&衣装解説」、10月御園座「四谷怪談」「神田祭」(孝玉コンビ)、11月「お話と素踊りの会」、12月歌舞伎座「天守物語」です。

 印象に残ったのはやはり孝玉コンビ、「お富さん」をお二人で見られたのはほんと嬉しかったです。赤間山荘の場面は「いいんですか、そんな場面見せてしまって…」と顔を手で覆いながら指の間から見てるって感じでした。コンビ結成50年超のお二人だからこそですね。打ち合わせなしてやってしまうそうなので。御園座はメインは「四谷怪談」のはずなんですが、「神田祭」のほうは話題になっていたような…。とにかくイチャイチャ、ラブラブで多幸感満載でした。こちらも打ち合わせなしで踊られているそうです。

 こうやって見ると、お二方ともお舞台が続いていますね。贔屓からすれば、御目文字の機会が増えることは有難いのですが、働きすぎでなければいいのですが。孝玉コンビは松竹株式会社のキラーコンテンツですからね。亀ちゃんのことがあって、キラーコンテンツが孝玉コンビ一択になったような気がします。孝玉コンビはもちろん見たいけれど、ご負担になっても…と揺れるオトメ心です。と殊勝なことを書きつつ、4月の歌舞伎座の演目は当然ご両人のラブラブを見られるんですよね、と念押ししておきます。

 孝玉コンビ以外は、やはりこっそり贔屓の鷹之資さんでしょう。2月の「船弁慶」は圧巻でした。あの大きな歌舞伎座を完全に自分の世界にされましたから。9月の翔乃會も大変結構でした。それ以外の月もほぼ出ずっぱりではないでしょうか。踊りの名手ということで舞踊の場面に引っ張りだされることが多いように思いますが、たくさんで踊っていても鷹之資さんはすぐにわかるっていうのは凄いことだと思います。もちろん踊りもいいのですが、義太夫狂言もちゃんと出来そうなので、「忠臣蔵」「菅原」「義経千本桜」あたりで良いお役で出てくださったらと思います。

 「達陀」を見られたのも嬉しかったです。松緑さんも今年は大活躍でした。左近ちゃんとの「連獅子」も記憶に残ります。左近ちゃんも踊りがしっかりされています。頼もしい限りです。

 まだまだあると思いますが、キリがないのでこのあたりで…。75回、切符を買った数だけ見ることができたのも丈夫に生んでくれた両親のおかげと毎年この時期になると思います(コラっ、いつも思いましょう!)。来年も無事に観劇ができますように。「推しは推せる時に推せ!」です。

 今年も一年拙ブログにご訪問くださって有難うございました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 どうぞ良い新年をお迎えくださいませ。
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當る辰歳吉例顔見世興行東西合同大歌舞伎

2023-12-31 14:53:26 | 観たもの
 “京の冬の風物詩”という枕詞が必ずつく南座の顔見世でございます。今年は「十三代目團十郎白猿襲名、新之助初舞台」でした。正直、あまり(否、全然?)興味もなく、行くこと自体どうしようかと思ったのですが、せっかく関西までお越しいただいているので、とりあえず夜の部だけ行くことにしました。「助六」の揚巻が前半が壱太郎さん、後半が児太郎さん、どちらも初役だったので三階の一番後ろの四等席ですが、2回見ました。

 夜の部は孝夫さんの「七段目」、襲名の口上、「助六」の三つです。「七段目」は令和元年の顔見世、昨年の秀山祭で見ていて、正直なところ「え、またですか?」感は否めず、孝夫さんの由良さんでしたが、舞台から一番遠い席での観劇となりました。ま、昨年の秀山祭の時は歌舞伎座の一階の二列目か三列目で見ているので、いいのかなと思いまして…。

 特に感想がない、っていうのも失礼なんですが、孝夫さんの由良さんはいつもかなりの高レベルで安定しているので、悪いところがあるはずもなく、「とても良い」しかないもので…。酔っ払いのフリをしているところと素に戻る時の顔つきが一瞬で変わるんですよね。映像ならばCGか何かを使った?って思うくらいの表情の変わりようで、いつものことながら「すごいよなぁ」って思いながら見ておりました。平右衛門は芝翫さん、お軽はタカタロさんです。令和元年の顔見世と同じ配役です。このお二人、芸質が似ているのか、「兄妹です」って言われるとなぜか心底納得できるんです。Twitterで「アホなところがいっしょ」って呟いていらっしゃるのを見ましたが、あまり物事を考えない、気持ちだけで動いてるって感じなんですかね。

 三人侍は進之介さん、隼人クン、美少年染五郎クンです。進之介さん、年に一度の顔見世での御目文字です。前は七月の松竹座にも出てらしたと思うのですが。姿も声も口跡も良いのに、何だかもったいないような気がします。隼人クンと染五郎クンって、美少年の無駄遣いのような気がしてならないのですが、前に出る主役級ではなくこういうお役もなさるのは親御さんの教育方針もあるのでしょうか。それに比べると千ちゃんは絶対目立つきれいなお役しかしなくて、それってどうなん?って思ってしまうのですが。隼人クンは切られ与三を孝夫さんに習われるそうで、顔見世の時もいろいろご指導を受けられたのでしょうか。

 続いての「口上」は主役のエビサンとカンカンをはさんで、右側に孝夫さん、左側に梅玉さんが座られていました。進行は孝夫さんです。年齢順なんですかね。個人的には梅玉さんのほうが安定していて、見てるこっちも安心なんですけどね。絶対に間違っちゃいけない場面で噛んだりしたらどうしよう、ってなぜかワタシがドキドキしてしまうんです。大きなお世話なんですけどね。何カ所か「うっ?」って感じのところもなきにしもあらずでしたが、無事にお勤めになられました。続いて、梅玉さんの番になりますが、相変わらず流暢に淀みなくご挨拶されて、さすがでございました。お二人ともお父様の十二代目團十郎さんが中心でした。ま、そうなりますわね。エビサンの神妙なご挨拶の後は、カンカンですが、妙に変なクセがついてて、以前見た時も「ん?」って思ったのですが、それがますますひどくなってて。このまま大きくなるの?って思うとなかなかお大変です。せっかく見た目も声もいいのに、もったいないことです。

 最後は襲名披露公演の「助六」です。エビサンは主役の助六でございます。でもワタシの興味は周りの役者さん、オペラグラスを覗きながら、「あ、あの人出たはる」とチェックしまくっておりました。舞台に登場する役者さんの数が半端なく多くて、あっち見てこっち見て忙しかったです。芝のぶさんが並び傾城でご出演でしたが、先月ほぼ主役のお役を勤められたのに、やっぱりこうなるのかと思いながら見ておりました。男女蔵さんが意休をお勤め、声も姿も左團次さんにそっくりで、これからこちらが持ち役になるんでしょうか。

 揚巻は壱太郎さんも児太郎さんも不足はなく、立派にお勤めでした。おじい様の藤十郎さん、お父様の福助さんがお作りになった打掛も素晴らしかったです。最近は玉ちゃん以外はこういうお衣装を新調されたって全く聞かないので、それこそ「昔は良かった」ってなるんでしょうね。「助六」はお芝居云々よりも、お衣装とか小道具とかそういうのを楽しむ演目になっておりました。スミマセン。

 
 
 
 襲名の祝幕です。

 
 スポンサー様です。

 
 エビサンといっしょに写真が撮れるスポットもありました。

 
 顔見世の竹馬も復活です。

 
 「満員御礼」の札止めでした。
 
 《かべす》
 
 
 久しぶりのひさご寿司のお寿司です。お食事の後は「助六」だったので、お腹いっぱいになってもOK!(コラっ)ということで、がっつり美味しいお寿司をいただきました。

 
 おやつは中村軒の黒豆大福です。12月限定だそうで、黒豆がほのかに甘くて美味しい大福でした。

 
 
 仙太郎のあぶり餅と栗蒸し羊羹です。12月はかならずこのあぶり餅を食べることにしているので、無事にいただくことができてよかったです。このあぶり餅も黒豆大福も時間を置くとちゃんと固くなってて、ちゃんとお餅でした。
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十二月大歌舞伎

2023-12-30 22:54:47 | 観たもの
 歌舞伎座でございます。何度も書いておりますが、今月は定額制に申し込んだので、大阪のオバチャンは「元を取るため」第1部1回、第2部3回、第3部2回切符を取りました。これに「流白浪燦星」も見てるので、3日間ずっと歌舞伎を見ていたような感じでした。月曜に仕事に戻りましたが、何かフワフワして、「ワタシ、何してるんやろう?」って思ってました(仕事の方が本業なんですけどね)。

 第1部からです。ワタシが見た日は満員御礼、札止めでした。定額制の予約で電話した時も40分以上つながらなくて、「取れるんやろうか」とヒヤヒヤしましたが、何とか二等席でgetできました。みっくんの「旅噂岡崎猫」(以下「化け猫」)と獅童さんの超歌舞伎でした。「化け猫」は春秋座で見た記憶があります。もうちょっと長かったように思います。今回は時間が短かったせいもありますが、あまりお話らしいお話はなく、みっくんの化け猫が怖い!やゑ亮さんの身体能力のすごい!にびっくりしていたら終わったって感じです。

 「超歌舞伎」は面白い、盛り上がると聞いていて、ペンライトもあったほうが楽しいと言われ、300円の使い捨てのペンライトまで買ってスタンバイしましたが、残念ながらワタシには合いませんでした。まず、初音ミクさんの映像と声がダメでした。アニメ声っていうんでしょうか、若い(幼い?)女の子の声が歌舞伎座にはそぐわない、「無理っ」って思いました。最初にそう思ってしまうと、結局最後までそれを引きずってしまって…。お話も一応「義経千本桜」をモチーフにしているそうなんですが、ストーリーがあったのは「え、これだけですか?」で、後は映像とか群舞とか立ち回りとかそれに終始してました。ライブとかに行ってればもう少し「これはライブ」と思って乗れたのかもしれませんが、ワタシは音楽は全くテリトリー外でして…。とりあえず、1回は見た、ということで。

 第2部は勘九郎さんと七之助さんの「爪王」と松緑さんの「俵星玄蕃」でした。「爪王」は以前南座顔見世で見ました。原作は動物文学の戸川幸夫さんで狐と鷹の闘いを描いています。台詞はほとんどなく、闘いの場面は全て踊りです。なかなか激しい踊りなんですが、勘九郎さんがその身体能力を如何なく発揮されています。見ていてすごく面白いんです。

 「俵星玄蕃」は講談が元になった新作歌舞伎です。三波春夫さんのイメージが強いんですが、歌詞とかは全然覚えておらず、歌舞伎を見る前にYouTubeで探さなくちゃと思いながらその時間はなく、ぶっつけ本番?となりました。そんな小難しいお話ではなく、昨年の「荒川十太夫」同様歌舞伎との親和性も高く、気楽に見ることができました。松緑さんのニンに合ってました。松緑さんのブログを読んでると、講談で歌舞伎化したいものはまだまだあるようで、楽しみです。でも、「忠臣蔵」ならば「仮名手本忠臣蔵」の通し上演をそろそろお願いしたいのですが。歌舞伎座新開場の時からかかってないように思います。大幹部の皆様がお元気なうちに、ぜひ一度!

 第3部は舞踊の「猩々」と玉ちゃんの「天守物語」です。「猩々」は松緑さんと勘九郎さんで、踊りの上手いお二人なので面白く拝見しました。「猩々」って、朱色の鬘と朱色のお衣装、お化粧も可愛らしくて、「いつもの松緑さんじゃない!」と思いながら見ておりました。お二人ともとても楽しそうに踊られるので、見ているこちらもニコニコになりました。

 「天守物語」は七之助さんの富姫と玉ちゃんの亀姫です。亀姫は妹分、年下の設定です。玉ちゃん、確かに七之助さんの妹でした。お化粧はいつもよりは丸みがあってお可愛らしく、声も数トーン高めでお可愛らしく、お衣装も赤い打掛でお可愛らしく、とにかく「カワイイ」んです。富姫と亀姫がじゃらじゃらして「お勝手」って扇をポンと放り投げる場面、「キャンッ」ってなりました。先日の中村屋さんの追っかけ番組の中でご指導されている場面がありましたが、素でもあれだけお可愛らしいんですから、ほんと、すごいですよね。そういえば、コロナ前に孝夫さんが「桜姫」のご指導で、やはり素で釣鐘権助をなさってましたが、あの時も色気ダダ洩れでした。フジテレビさまにおかれましては、孝夫さんと玉ちゃんの素顔でご指導されている場面だけを編集した番組を一つ、ぜひ作っていただきたたく、お願い申し上げます。絶対需要があると思うんですけどね。「桜姫」の時、玉ちゃんもご指導に入られたと思うので。

 話がそれました。「天守物語」、玉ちゃんの出番は前半で終わってしまうのですが、演出と照明を担当されているので、あちこちに玉ちゃんの美意識が感じられ、さすが玉ちゃんでございます。七之助さんも富姫の貫禄あって、これからこれが持ち役になりそうです。虎ちゃんも元々きれいなお顔立ちで、玉ちゃんから一挙手一投足指導されたので、図書之助のお役大丈夫でしょうね。余談ですが、中村屋さんの番組で扇雀さんがすごく心配そうにお稽古をご覧になってたのが印象的でした。それに気づかれた玉ちゃんが声をかけられて、玉ちゃん背中にも目がついてるんでしょうか。すべてにおいて人間離れした玉ちゃんでございます。

 
 歌舞伎座の新しい緞帳です。

 
 わかりづらいですが、「超歌舞伎」の時の幕です。左右両側は桜の木かと。

 
 獅童さんの次男夏幹クンの初お目見得でした。お兄ちゃんの後ろについてしっかりと踊っていらっしゃいました。
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流白浪燦星

2023-12-28 22:27:33 | 観たもの
 新橋演舞場の「流白浪燦星」でございます。これで「ルパン三世」と読ませます。戸部和久さんが脚本・演出を担当された新作歌舞伎です。日本テレビの「笑ってコラえて!」で特集が組まれていたので、ご覧になった方もいらっしゃると思います。“壮大なネタバレ”で、あれを見ただけで結構全編見た気分になれました。ワタシは推理小説を後ろから読むヒトなので、ネタバレ全然OKなんです。見ている間も、「あ、ここですね。」「あ、あれですね」といちいち確認してしまいました。

 アニメが超有名、みんなが知ってるキャラクターをどうやって歌舞伎に落とし込むんだろうかと見る前は期待半分、心配半分な気分でしたが、ちゃんと歌舞伎でした。アニメのお馴染みの台詞もあちこちに散りばめられていましたが、それだけで進むのではなく、古典歌舞伎のパロディみたいな台詞もありました。役者さんもアニメのキャラのモノマネになるのではなく、ちゃんと歌舞伎役者として歌舞伎の台詞を発せられていたのもポイント高かったと思います。

 主役のルパンは愛之助さん、テレビや映画、歌舞伎以外の舞台へのご出演で「芸が荒れる」と言う人もいる中、やっぱり本籍地は歌舞伎、座頭として立派にお勤めでした。義太夫のお稽古をされているので、歌舞伎の台詞も流れることなく、カドカド決まります。

 相棒の次元は笑三郎さんで、珍しい立役で、ニヒルにカッコいい次元でした。マントの裏地はお約束の黄緑色でした。峰不二子は笑也さん、ワタシより1歳年上のはずなんですが「年取るの忘れたはる?ってお尋ねしたいです。Twitterで見たのですが、笑也さんのことをご存じないお客さんが「今、売り出し中の若手よね~」とおっしゃっていたそうで、しらたまやさんに行った時もそのTwitterで盛り上がったのですが、笑也さんのお耳にまで届いたようで、千穐楽のカーテンコールで「売り出し中の若手です」とおっしゃったとか…。銭形警部は中車さん、ガチャガチャした感じが合ってます。役名は銭形刑部、ぜにがたぎょうぶと読ませていました。五右衛門は松也さんで、最初から最後までずっと二枚目でした。

 千壽さんが偽次元と通人萬望軒をお勤めでした。相変わらずの芸達者ぶりでオイシイお役でした。何をやっても目立つお役に作りこんでいかれますよね。中車さんからも「天才役者」と言われてて、上方歌舞伎贔屓としては「そうでしょう、そうでしょう」とちょっと嬉しかったです。

 最初から最後までダレルことなく、楽しく拝見しました。「笑ってコラえて!」の宣伝効果もあったのか、満員御礼が続いていました。早や、第二弾という声も上がっているそうです。アニメの方にいろいろお話があるので、無限に続きそうです。大阪でも演ってほしいけれど、これだけの役者さんを揃えるのは(来てもらうのは)難しいんでしょうね。

 
 演舞場玄関の看板です。「満員御礼」の札が貼ってありました。

 
 
 アクスタも売ってました。
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納めました

2023-12-23 21:09:21 | 観たもの
京都南座の顔見世で今年の歌舞伎見物を納めました。「助六」で打ち出したので、厳密に言えば、孝夫さんで納めたのではないのですが、今年最後のお芝居は孝夫さんの「七段目」ということで。perfectな由良さんでございました。

「助六」は舞台の登場人物の数が半端なく多く、番附を見ながら、誰が誰と“答え合わせ”しておりました。それと、壱クンとコタくんの揚巻の打ち掛けが、藤十郎さんと福助さんのもので、それはそれは贅を尽くした素晴らしいお衣装で、目の正月をさせていただきました。「助六」はそれだけでOKかなと…。
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吉例顔見世大歌舞伎

2023-11-28 23:19:27 | 観たもの
 11月の歌舞伎座でございます。今回は一泊二日、昼夜それぞれ1回ずつの観劇でした。「夜の部」→「昼の部」の順番で見たので、「夜の部」からです。

 夜の部は孝夫さんの「松浦の太鼓」、「鎌倉三代記・絹川村閑居の場」と舞踊三題でした。

 「松浦の太鼓」は昨年の南座顔見世でも見てるし、その前の秀山祭で白鸚さんでも見てるし、正直なところ「え、またですか…」って感じで、遠征もどうしようか一瞬迷ったのですが、“推しは推せる時に推せ”で頑張って上京してきました。とにかく「孝夫さんかいらしい~」につきますかね。愛嬌のある、それでいて知性も感じられる良いお殿様でございます。もちろん男前だし、perfectな松浦候でした。白塗りほわほわの孝夫さん、頭のてっぺんから出る高音の台詞、くるくる変わる表情、孝夫さんの良いところが全て出たお役でした。「ばか、ばか、ばかぁ」も何度もおっしゃって、「うふっ」となりました。周りも大変結構でした。歌六さんはすっかり持ち役になっているし、マシュマロ米吉クンもすっかりお姉さんになったし、松緑さんの直情径行な源吾も適任でした。ゴマ近も豪華な配役で、今回はケチって三階A でしたが、オペラグラスであっちもこっちも見ないといけなくて忙しかったです。「またか」と思いつつ、最後はhappyendで、温かい気持ちになれるのそこがよくかかる理由なのかもしれません。とは言いつつ、松浦候を演るにはそれなりのキャリア、風格がないとダメだと思うので、次の世代でまたかかるようになるには間が空くかもしれません。幸四郎さんが手がけていらっしゃるようですが、ワタシそれを見て「吉右衛門さんで見たかった」という感想を残しておりました。難しいお役ですね。

 「鎌倉三代記」は梅枝さんの時姫で、葵さんの竹本だったので、「ちゃんと見られるかも…」とちょっと期待して臨みましたが、見事撃沈、ほぼ意識を失っておりました。フッと目覚めると、そのたびに時蔵さんと梅枝さんが目の前にいらっしゃって、きっと物語は進んでいるはずなんですが、それもわからず…。歌女之丞さんと梅花さんもご出演ということで、お二人のツーショットってなかなかないので、楽しみにしていましたが、それも欠片すら見てなくて…。情けないことでございます。三姫の義太夫狂言はワタシの鬼門です。死ぬまでにはちゃんと見てみたいものです。

 最後の舞踊はフワフワと見ているうちに終わったって感じです。「春調娘七種」では左近ちゃんの静御前がきれい!とか、「三社祭」のみっくん、さすが!とか、「教草吉原雀」はタカタロさんがやっぱり上手い!とか、時姫よりはちゃんと見ていたと思うのですが…。

 続いて昼の部のインド歌舞伎でございます。筋書を買って見る前に一応読みましたが、登場人物が多く、二役の役者さんもいて、誰が誰かわからないまま見ておりました。芝のぶさんが本当に大活躍でした。ほぼ主役ですものね。千次郎さんと千壽さんもエエお役がついていて、上方歌舞伎贔屓としては、「上方の人、上手いでしょ?」って隣近所に触れて回りたかったです。好蝶さんという名題下さんが隼人クンの相手役に大抜擢で、品の良いお綺麗な方で、これからが楽しみです。菊ちゃん、FFX歌舞伎の時も、名題さんや名題下さんをどんどん使ってらして、何か嬉しくなります。坊ちゃん方もいいんですけどね、やっぱり腕の良い役者さんで見ると物語がもっと面白くなりますからね。

 こっそり贔屓の鷹之資さんとわれらが吉太朗クンが双子の兄弟のお役で、わちゃわちゃと楽しそうでした。「刀剣乱舞」の時も確か兄弟のお役で、プライベートでも仲良しだそうです。二人とも踊りがお上手なので、二人が主役の舞踊も見てみたいです。

 舞台面がとにかくゴージャスで、大道具も小道具もお衣装も全てキラキラしてました。光と色の洪水でした。今回再演ということで、何年かしたらまた次があるかもしれません。菊ちゃんの新作歌舞伎って、再演率が高いような気がします。思い付きだけではなく、綿密に計算してきちんと歌舞伎に落とし込んでいらっしゃるので、再演に耐えうるんでしょうね。亀ちゃんもそうですが、古典歌舞伎が出来るから、なんでしょうね。次はお正月の「石切」です。それも楽しみです。
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「人間国宝 坂東玉三郎 お話と素踊り」@枚方市

2023-11-26 22:36:05 | 観たもの
 枚方市総合文化芸術センター大ホールで開催されました玉ちゃんの「お話と素踊り」に行ってまいりました。わが地元でございます。最寄り駅は京阪電車の枚方市駅です。こちら、ほぼ毎日通っていますが、通勤とかお出かけの通過駅で、この駅を目指して出かける時はスーパーでの買い物ぐらいです。今日は玉ちゃんの公演なので、まさかスーパーへ行くような恰好では行けず、ちゃんとワンピースを着て、ネックレスをじゃらじゃらつけて、パンプスを履きました。何だか不思議な感覚でした。

 こちらのホールはコロナ禍真っ只中の2021年9月にオープンしました。大変な状況の中それなりにいろいろと公演がありましたが、いまいち食指が動かず、今日の玉ちゃんの公演がワタシのデビューとなりました。

 幕が上がると舞台中央に玉ちゃんがいらっしゃいました。本日のいで立ちは薄いグレーのスーツ、シャツは白、ネクタイは濃いチャコールグレーのシャドウチェック柄でした。足元は見えませんでした。舞台には小さなテーブルが置かれ、金色の糸で刺繍が施された青色のテーブルクロスがかかり(ちょっと和柄?龍村の帯の柄っぽかった)、真ん中にピンク系のお花の盛花が飾られていました。

 この「お話と素踊り」は今回で19回目だそうです。コロナ禍に墨田区のホールで始められました。素踊りは六世藤間勘十郎さんがなさっていたそうで、生涯素踊りで通されたそうです。勘十郎さんは六代目菊五郎さんの影響を受けて歌舞伎舞踊の振り付けを担当されるようになりました。玉ちゃんはこの勘十郎さんと養母の藤間勘紫恵さんから日本舞踊を習われました。勘十郎さんは紋付と袴だけで「おろち」とか「海士」とか「卒塔婆小町」とか踊られたいたそうで、それはそれは素晴らしいと玉ちゃんはずっと思われていたそうです。ただ、自分が2年前に始めた時は、お化粧せず、衣装も着けずに踊るってちょっと恥ずかしかったとはにかんだ感じでおっしゃって、“かわゆし”でした。

 地唄舞「雪」は上方の芸妓ソセキさんが作詩し、それに曲がつけられました。これを一躍有名にしたのは武原はんさんで、はんさんご自身は南地大和屋の芸妓さんで、50歳を超えてから日本舞踊家に転身、お座敷舞だった上方舞を舞台の舞にされました。歌舞伎座で年に一度「武原はんの会」が開催されていたそうですが、全てSold outで、玉ちゃんも伝手を頼りに切符を取ってもらってご覧になりました。

 はんさんは麻布に「はん居」という能舞台がある料亭を開店し、そこで玉ちゃんはちゃんとお化粧と衣装をつけて踊られたことがあるそうです。舞台の出の前、はんさんがそっと背中に手を添えて送ってくださったそうで、とても有難かったとおっしゃって、今は自分が手を添える立場になったと。

 枚方には初めて来られたそうです。本当にこれと言って何もないところですが、案外歌舞伎の舞台で登場するんです。「双蝶々曲輪日記」の通しを見た時に枚方の地名がいっぱい出てきた記憶があるのですが。それには触れてほしかったなぁとちょっと思いました。

 大阪には10歳の時に守田勘弥さんについて新歌舞伎座で一ヶ月お芝居に出られたのが最初だったそうです。玉ちゃんご自身は大塚の料亭でお生まれになって、江戸弁、べらんめえ調(玉ちゃんもそういうしゃべり方できるそうです)の世界から大阪弁の世界にやってきて、カルチャーショックが大きすぎて体調を崩され、気晴らしに大阪城に行ったら、中身は鉄筋コンクリート造りでがっかりした思い出があるそうです。成人して、ようやく慣れてきたと。ただ、24歳の時に勘弥さんが亡くなられ、歌舞伎公演で大阪に来ることもなくなったけれど、1990年以降、キョードー大阪から「フェスティバルホールで舞踊会をされませんか?」とお誘いを受けて、大阪に通われるようになりました。

 松竹座の建て替えのことにも触れられ、ここからしばらくは松竹座のお正月公演の宣伝タイムとなりました。お年玉公演、小朝さんとの公演、コンサートと盛りだくさんなので。お年玉公演はまだ発売になっていませんが、小朝さんのはよく売れているそうです。コンサートはちょっとまだ空席があるようで「ぜひ!」とおっしゃっていました。

 ここでトークはいったん終了し、映像を3本見せてくださいました。一つ目は「道成寺のお化粧、鬘、着付け~それを取るところ~鷺娘の鬘、着付け」を3分間で見せる超早回しで。玉朗さんも写っていました。二つ目はダイビングのビデオ、2007年のロタ島でのスキューバダイビングの映像です。50歳を過ぎてから、「関節を緩めるための運動」として、ダイビングをお始めになったそうです。最後はお歌の映像、「セントインザ?(ちゃんと聞き取れず)」「人生は歌だけ」「冷たい部屋の世界地図」の三曲が流れました。歌ってるところだけでなく、パリの景色やダイビングの映像も入り、本格的なミュージックビデオでした。

 お話の最後に再び枚方のことを触れられ、ホールの近くに淀川が流れているので「多摩川みたい」っておっしゃっていましたが、ちょっと無理くり感ありました。リップサービスで何か言わなければと思われたんでしょうけど、ほんと、何の変哲もない地方都市なので、難しいでしょうね。おそらく昨日の八尾もお大変だったのではないかと思います。

 続いて質問コーナーです。毎日放送の山川さんが登場されました。関西地区の「お話と素踊りの会」の専属司会者のようです。

 Q:大阪の好きなところは?
 A:人間が熱い。人と人との間が近い。そうそう、大阪ではお好み焼きもたこ焼きもはり重もいらっしゃるそうです。

 Q:一日の中で一番充実している、アイディアが浮かぶ時間はいつですか?
 A:お風呂に入ってシャワーを浴びている時かなぁ。そういう時によくいろいろなことが閃くそうです。海に潜っている時、水が身体を滑る時に、自分は動物だなぁと思うっておっしゃっていました。そういえば、ワタシもお風呂に入っている時に「あ、あれ」って思い出すことが多いです。

 Q:「大劇場にはもう出ない」っておっしゃいましたが?
 A:引退宣言をしたわけではありません(←ここはキッパリ)。なぜか誤解されて、こういうお仕事(トークとか歌とか?)が増えて、玉ちゃんご自身はちょっと「ラッキー」って思われている節あり。年齢的、体力的に「道成寺」や「桜姫」はもう無理です、と。ここで、山川さんが「先月は名古屋で『四谷怪談』をされてではないですか」と振ると、「できるものは演る、大きな役は出来ない、演れない」とちょっと強い口調で山川さんにおっしゃると、山川さんがちょっと委縮してしまい、玉ちゃんが「もう、冗談よう~」っていたずらっぽくおっしゃる場面あり。

 Q:芸能人って良い香りがしますが、どういう香りをおつけになってますか?
 A:香水は歌舞伎にはそぐわないのでつけない。お若い時は着けてらしたこともあったようです。初代水谷八重子さんは、ジャン・パトゥのジョイを愛用されていたそうですが、舞台に出る時は、鏡台の前のガラスに一滴垂らして、それをガーゼでふき取り、指先にちょこっとつけられていたそうです。指を目の前まで持ってこられたら香りがかすかに感じられる、そういうつけ方をされていたそうです。

 Q:美容についてどんな心掛けをされていますか?
   ↑こういう質問はNGと思っていたら、質問者が37歳男性で、最近美容?身だしなみ?に目覚めてお聞きになったようで、それで取り上げられたのかなぁと勝手に思ってました。
 A:何もしてません。「お化粧をして、コールドクリームでふき取って、石鹸で洗って、乳液をつける」という毎日の繰り返しがパックをしているようでいいかもと言われたことがあるそうです。目の下の涙袋の脂肪は以前取ったことがあるそうです。←これって美容整形の類ですよね?そんなこと言っていいんですか?ってちょっと思ってしまいました。
 あと、食事、睡眠、規則正しい生活は大切です、と。体重は60キロ~61キロをずっと維持されているそうです。1キロ2キロなら、すぐに調整できるけど、3キロは無理。パリのクレージーホースではサイズが変わると契約破棄されるそうで、自分たちは体重、体型を維持することも仕事ですから。←耳が痛い…。

 Q:NHK大河「麒麟が来る」にご出演になって、男性のお役で苦労されたところは?
 A:舞台の人間はオーバーアクティングになるので、出来るだけ「何もしない」ことを心がけたけれど、やっぱり過剰に演技していた。撮り直したかったとおっしゃっていました。
 映画「ナスターシャ」で永島敏行さんと共演した時に、撮影中は何を言ってるかわからないくらいだったのに、出来上がった映像を見ると素晴らしくて、「映像の人には叶わない」と思われたことがあるそうです。

 Q:人生で一番うれしかったこと、苦しかったことは?
 A:人生、バラ色の時もあるし、鉛色の時もある。一番っていうのは言えない。ただ、自分は70年代後半から80年代にかけて、素晴らしい演劇を見られたのは幸せだと思う。

 Q:お能をなさってる方から、どうしたら玉さまのようにしなやかに動けますか?
 A:肺が固くなって、肋骨が固くなって、息をジッと止めているのではないですか。呼吸が大事。肺でいっぱい息を吸って肺を十分に広げる。酸素が十分に行き渡ると細胞が活性化する。深呼吸は美容にも良い。歌を歌う基本もそこで、それを習った。

 Q:商業ライターですが、自分でも表現したいと思うようになった。自分を表現するためにどういうことをされていますか?
 A:日本は、脚本家、演出家を蔑ろにしてきた国。経済的にやっていけない。それではダメ。ぜひ、脚本を書いて、賞に応募してください。

 Q:仁左衛門さんとの裏話、エピソードは?
 A:玉ちゃんが16歳、孝夫さんが22歳の時からコンビを組んできて、裏話みたいなのはない。若い頃はよくケンカしたけど、仲直りも早かった。それでずっと来たから打ち合わせなしですぐにお芝居に入れる。国立劇場で玉ちゃんが28歳、孝夫さんが34歳の時に「盟三五大切」をやった時は、一から作ったので、いろいろあーでもないこーでもないとあったようですが、この後の「桜姫」は全くそういのがなく、スッとできたそうです。
 ここで山川さん、「御園座の『神田祭』もですか?」ってお聞きになって、玉ちゃんは何もしてないとお答えになってました。「あの、何とも言えない雰囲気なのに…?」とボソッとおっしゃると、御園座の千穐楽は「ほんなら」と握手しただけ、「次はいつかなぁ?」と二人で言い合って別れられたそうです。←次、いつなんでしょうか?玉ちゃんは来年は歌舞伎座は秋ごろっておっしゃっていたので、その時までないのでしょうか。ここ、非常に重要なのでハッキリさせていいただきたい!です。

 Q:いつも穏やですが大笑いされることはありますか?
 A:いつも冗談ばかり言ってるおかしな人間ですよ。お家ではモノマネをされているそうです。ただし、杉村先生とか水谷先生とかだそうです。お手伝いさんに「アレ、やって」とリクエストされることもあるとか。お手伝いさん、ウラヤマシすぎです。

 質問コーナーは以上でした。玉ちゃん最後に「直接お目にかかるこういうイベントは続けていきたい」とおっしゃっていました。「お話と素踊りの会」、結構先まで予定が出ていますものね。

 休憩ではないのですが、舞台転換に10分ほど待ちました。その間に、八千代座の写真集のPRがありました。

 素踊りは「雪」です。今回は演奏はテープでした。富山清翁さんだそうです。最初のお話の時に「雪」の歌詞には「いっそ、せき上げて」というところがあって、こっそり自分の名前の「ソセキ」が入ってるとお聞きしたので、とりあえず「そこは聞かねば」と必死で聞いていたら、何とか聞こえて、ホッとしたら途端に意識を失っておりました

 カーテンコールは1回、舞台中央に正座して中央、左右、上方と何度も頭を下げられていました。

 
 
 ホールの外観です。雲一つない青空、玉ちゃん日和でした。

 
 ホール内ロビー
 
 
 大ホール
 3階まであります。今回は「わたくし、コンサートもやります」とはおっしゃいませんでした。昨年の東大阪の時はおっしゃっていたので。
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木ノ下歌舞伎「勧進帳」

2023-11-12 22:42:33 | 観たもの
 木ノ下歌舞伎「勧進帳」を京都の春秋座で見ました。木ノ下歌舞伎は昨年「桜姫」を見ています。「桜姫」は元々のお話が複雑、ごちゃごちゃしていたせいもあるのか、歌舞伎の「桜姫」を何度も見ているワタシでも「???」が飛びまくりましたが、「勧進帳」はまあまあ忠実に歌舞伎の「勧進帳」をなぞっていました。

 今回、チケットを取ったら「整理番号付自由席」となっていて、ワタシは45番でした。春秋座って確か700名くらい入ったと思うので、わりと最初の方で入れるのかしらと思い、どのあたりに座ろうかとシミュレーションしてたのですが、全然違う客席でした。通常の椅子席は全て取っ払ってあって、真ん中に舞台があり、それを挟んで階段状に椅子が並べてありました。周りは全て黒い布で覆われ、黒色の大きな箱の中で芝居を見るようになってました。客席はおそらく200席ぐらいかと…。玉ちゃんの「ナスターシャ」、文学座アトリエのお芝居を思い出しました。どちらもそんな感じだったので。

 春秋座の「勧進帳」、チケットは前売りが完売してて、追加公演も出たんです。ワタシは700席をイメージしてたので、「木ノ下さんってそんな人気なん?」とビックリしたのですが、ではなく、座席が200席しかなかったからなんですね。劇場で席についてようやく納得しました。2回公演が3回になったので、それで春秋座1回分がほぼ満席です。木ノ下さんのネームバリューなんでしょうね。大したもんやねぇと感心しておりました。

 で、かんじんのお芝居ですが、台詞は現代語、衣装もイマドキの黒ずくめの洋服とスニーカー、もちろん鬘やお化粧もありません。何より弁慶役の役者さんはアメリカ人、日本語は大丈夫なんですが「ガイジンがしゃべってる」感はいっぱい(昔々の大相撲のパンナムのデビット・ジョーンズさんみたい?)でした。でも、なぜか時々古典歌舞伎の小道具が登場します。義経の4人の家来は数珠を持ってるし、富樫から弁慶への贈り物はちゃんと三方にのってました。いつもなら、ワタシはここで混乱して???が飛びまくるところですが、そこはほれ、“またかの関”と揶揄されるくらいかかる歌舞伎の「勧進帳」なので、それなりの回数を見ていることもあり、ちょっと余裕?、「あ、これですね。」「あ、あれですね」と何とか最後までついていくことができました。最初こそ、見た目で惑わされましたが、だんだんと「木ノ下歌舞伎の勧進帳」の世界に引き込まれ、面白く拝見しました。

 弁慶・富樫・義経は一人の役者さんが演じられましたが、義経の家来4人(常陸坊とか、です)と富樫の番卒4人は同じ役者さんが右に行ったり左に行ったりしながら交互に演じられました。家来になると数珠を持つんです。それが「役が変わったよ」のスイッチでした。番卒の時のほうがよりカジュアル?というか、イマドキの若者っぽかったです。

 そして、最後の富樫の解釈が新鮮でした。富樫が義経を逃がすところは、歌舞伎でも役者さんによっていろいろ解釈があるようで、正体を知らずに逃したのか?知ってて逃したのか?じゃあ、なぜ逃したのか?…わりと曖昧模糊な感じになってるように思うのですが、今回は知ってて逃したっていうのとても分かりやすかったように感じました。ただね、富樫については、どうしても孝夫さんが演じられた見目麗しい頭脳明晰な富樫のイメージが大きくて、「そんなん、富樫違うわっ!」ってつい思ってしまうのですが。スミマセン。

 終演後は、木ノ下裕一さんのトークショーがあり、今回の木ノ下歌舞伎「勧進帳」の解説をしてくださいました。ワタシ、本は後ろの解説から読む人、推理小説は最後の謎解きを見てから最初から読む人なので、できれば、解説を聞いてから見たかった、って思ったのですが。「勧進帳」はお能の「安宅」から来ていて、「安宅」の前は「義経記」で、さらにその前は「平家物語」にさかのぼることができるそうで、古い方から次の物語へ移る時(木ノ下さんは「ボーダー」という言葉をキーワードになさっていました)、新たな物語が誕生すると…。「平家物語」から「義経記」、「義経記」から「安宅」、「安宅」から「勧進帳」といくつもボーダーを超えて来て、「勧進帳」から「キノカブ勧進帳」に超えた時は…? 自分で見て確かめてって言われてしまって、だからぁ、最初に解説をしてほしかったんですけど…。そんな気持ち悪い?状態で帰るのかと思っていたら、東京で中高生向けの鑑賞会があったそうで、その時に作った「観劇ノート」というのを配ってくださいました。ちょっとすっきりしました。にしても、中学生高校生がこういのを見るんですか?それにまた驚いてしまったのですが。

 木ノ下さん、キノカブ「玉手御前」があるんですよね。それもまた見たいって思いました。あのお話が木ノ下さんの手にかかるとどういうお話になるのか、興味津々です。春秋座でぜひお願いしたいものです。

 
 ロビーにあった座席図です。弁慶を見たいのか、義経を見たいのか、全体を見たいのかによって木ノ下さんがオススメ座席をチェックされていました。でも、ワタシは全く何が何やらわからなかったので、最前列通路側に座りました。

 《春秋座のかべす》
 2時開演だったので、行く前に高島屋でおやつを調達しました。

 
 鳴海餅本店の栗おはぎと栗もち(大福の中に栗が入ってる)
 開演前に春秋座でいただきました。

 
 今西軒のおはぎ
 久しぶりにgetできました。やっぱり美味しいです。

 
 笹屋春信の亥の子餅
 この前、マツコさんの番組で大々的に「亥の子餅」が取り上げられ、それ以来「亥の子餅」を見ると反応してしまいます。

 
 鳴海餅本店の求肥マロン
 こちらはお餅でなく求肥の中に餡子と栗が入っています。
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錦秋十月大歌舞伎

2023-10-17 22:44:55 | 観たもの
 歌舞伎座の「錦秋十月大歌舞伎」でございます。今月は歌舞伎座はパスするつもりでしたが、彌十郎さんの「水戸黄門」が良いと聞き、夜の部の「水戸黄門」だけ見てきました。本当に「水戸黄門」しか見る気がなくて、国立劇場が終わってそのまますぐに行けば夜の部の開演に間に合う時間なのに、国立の近くのドーナツ屋さんで大学時代の友人とまったりお茶してから行きました。

 両親が月曜8時のTBSの時代劇が好きで、テレビの「水戸黄門」はずっと見ておりました。それもあって今回一度見てみようかと思ったわけで…。

 あらすじは以下の通りです。
さきの中納言・水戸光圀公(水戸黄門)は、お供の佐々木助三郎(助さん)と渥美格之進(格さん)を引き連れて、お忍びで四国の讃岐にやって来ました。助三郎と格之進は金毘羅宮の境内でお蝶という美しい娘に出会いますが、お蝶が長次という男であることが露見したうえに、財布を掏られてしまいます。一方、水戸の百姓老爺に身分を偽ってうどん屋にいた黄門様は、そこで領主松平頼常に対する領民たちの不満を耳にします。実はこの頼常こそ黄門様の長男。果たして黄門様一行は藩の内部ではびこる悪の根源を成敗することができるのか…。

 もちろん、最後は「めでたしめでたし」で終わりました。“一件落着”することはわかっているので、ハラハラドキドキすることもなく、安心して見ていられます。文字通り「娯楽」時代劇です。彌十郎さんの水戸黄門、ぴったりニンに合ってました。ちょっと時政パパ上と通じるところがある?あるいはあえて近づけたのかなぁ?人情味あふれる黄門様でした。助さんは福之助クン、格さんは歌之助クンでした。

 残念だったのは、「人生楽ありゃ苦もあるさ~」の主題歌が歌われなかったこと、「この印籠が目に入らぬかぁ!」という台詞が無かったこと、です。Twitterを見てたら、“大人の事情”があって、主題歌とか印籠とかは出なかった、ようです。(←あくまで伝聞です)それと上演時間が2時間近くあり、テレビのように1時間で終わりませんでした。生の舞台は場面転換があるので、テレビと一緒って訳にはいかないとは思うのですが、ちょっと長かったように思いました。

 彌十郎さんの「水戸黄門」、8月の「納涼歌舞伎」でシリーズ化してもらったらいいのではないでしょうか。「弥次喜多」ができなくなったので。ぜひヨロシクでございます。

 《オマケ》
 
 
 
 ディズニー100周年を記念して、銀座和光の時計台とショーウィンドウがミッキーマウス仕様になっておりました。
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通し狂言妹背山婦女庭訓 第二部

2023-10-15 23:58:39 | 観たもの
 今の国立劇場での最後の歌舞伎公演「通し狂言妹背山婦女庭訓」の第二部でございます。序幕が「道行恋苧環」、二幕目が「三笠山御殿の場」、大詰が「三笠山奥殿の場」「入鹿誅伐の場」です。

 今回も二階の一列目で拝見しました。先月も戻りをgetしたので、ずっと待ってたらやっぱり戻りました。見やすくて良いお席です。

 「道行」は菊ちゃんのお三輪ちゃん、梅枝さんの求女、マシュマロ米吉クンの橘姫でした。舞踊ですが、ワタシにしては珍しく?意識を失うこともなく最初から最後までしっかり見ました。義太夫もちゃんと聞いて、初めてお話を理解できたような気がしています。葵太夫さんの竹本がいいからですかね?葵さんってTwitterで「ご見物を退屈させないように」っていつも呟いていらっしゃって、そういう工夫のおかげなんでしょうか。「この、道行、面白い!」って思えたので。

 もちろん、菊ちゃん・梅枝さん・米吉クンのお三方が良かったってことがまずあるのですが。見る前は、菊ちゃんが上手すぎてバランスが取れるんやろうかと思っていたのですが、それは杞憂でした。三人の実力は伯仲、それぞれのお役の関係性もはっきりとよくわかり、梅枝さんの優柔不断なモテ男ぶりも大変結構でした。米吉クンも大きなお役が続き、菊ちゃんに負けていません。二人のバトルの間にはバチバチと火花が飛んでました。

 二幕目「三笠山御殿の場」は例の“疑着の相”の場面です。でも、「道行」で頑張りすぎたせいか、少し疲れてしまい、ここはちょっとまだらになっています(おにぎり弁当をしっかり食べたせいもあるかも…)。「いじめの官女」が8人もいました。いつもそれくらいいましたっけ?お三輪ちゃん、いじめられているのですが、菊ちゃんの素の強さがでるのか、いじめられてる感は少なかったような気がしました。決して、対抗してやり返すってことはないのですが。最後のこと切れる場面も“北の方”としての矜持を保っていたような…。玉ちゃんとは違うお三輪ちゃんでした。

 大詰めの「三笠山奥殿」「入鹿誅伐」は初めて見た場面でした。背景に三笠山が見えて、奈良が舞台ってことを思い出しました。歌六さんが入鹿で、白塗りに青い隈で、見るからに手強そうな悪役でした。どんなお役もこなされますね。「吉野川」の大判事清澄が登場して、「あぁ、ここに繋がるんですね」って、ようやく通し上演を納得しました。だって、「吉野川」と「御殿」の登場人物って全然どこも重ならないので、同じお芝居であることを忘れてた?意識してませんでしたから。

 「入鹿誅伐」の藤原鎌足は当初は菊五郎さんでしたが休演、代役は時蔵さんでした。時蔵さんのチョビ髭姿、新鮮でした。最後は鎌足、采女の局、大判事清澄、藤原淡海、金輪五郎が勢ぞろいしました。皆さんのお衣装も煌びやかで「大団円」って感じでした。

 やっぱり「通し上演」は重要です。国立がなくなったらどうなるんでしょうね。建替えなくても耐震工事でいいんちゃうん?と思うのですが。あと10年ぐらいはかかるようです。何かモヤっとします。

 
 
 
 
 ロビーと客席です。広くて見やすくて良い劇場です。
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