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おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

演劇界8月号 

2012-07-08 23:15:32 | 読んだもの
 「演劇界」の8月号です。表紙は当然のことながら亀ちゃん(四代目猿之助)の「ヤマトタケル」です。そして、巻頭大特集も当然のことながら「澤瀉屋襲名披露開幕」です。

 先月号も巻頭大特集が「澤瀉屋四人同時襲名」で、亀ちゃんや中車さん+團子ちゃんのインタビューなど読ませるところがいっぱいあって、久しぶりに「さすが『演劇界』やわねぇ」と思ったので、今月号はめちゃめちゃ期待して買いましたが、先月号で燃え尽きてしまったのか、何かもひとつでした。

 ほとんど舞台写真でした。確かに「演劇界」の写真はきれいなんですが…。読むところは「座談会 六月襲名披露興行を語る 奈河彰輔×水落潔×山川静夫」だけで、この座談会が演舞場の劇評も兼ねていました。それぞれ澤瀉屋さんにかかわってこられた方たちなんですが、ページ数は5ページしかなく、「え、もう終わり?」って感じでした。これだけの人を揃えるのなら、もう少し話があるような気がするんですが。

 それと、売り文句が「唯一の歌舞伎専門の雑誌」なので、ご本人たちへの取材もあるのかしらと期待していましたが、それもなく(公演中は難しいのかもしれませんが)、何だか期待はずれ感が非常に大きかったです。

 本屋さんで立ち読みでもよかったかしら、とちょっと思ってしまいました。
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女優 杉村春子 ②

2012-06-09 23:40:19 | 読んだもの
 この本をまとめるにあたって、大笹さんは都合9回杉村先生にお会いになっていますが、そのスケジュールを合わせるのがとてもお大変だったそうです。杉村先生の舞台出演年譜を見ると、大体年に4~5回ご出演がありました。本の中にもありましたが、新劇のお芝居は1ヵ月ぐらいお稽古があって、東京で2週間ぐらい公演、その後地方へ回って最初から最後まで大体4ヶ月ぐらいかかるそうです。ということは、ほとんどお芝居をなさっていて、さらにテレビや映画にもお出になって、思っている以上に過密スケジュールをこなされています。大笹さんは、時には、巡演の旅先にまで追っかけていらっしゃったそうです。

 お金の話もありました。新劇の劇団は本当に食べていけないみたいです。上に書いたように、1回の公演につき実際にお客さんが来て入場料がもらえる期間は2ヶ月ほどしかありません。あとの2ヶ月は全くお金が入らない、持ち出しになります。入場料をもらっても、劇場を借りたり大道具を作ったり宣伝をしたりしないといけないし、何よりも俳優さんたちのお給料を払わないといけません。だから、通常の公演だけではやっていけないみたいで、提携公演にしたり、俳優さんが外部出演(舞台やテレビ、映画)したり、労演のような鑑賞会で買ってもらったりされるそうです。外部出演されると、2割が劇団に経費として落ちるそうです。杉村先生のような方でも、外部出演されてそのギャラを見ると「え、こんなにもらっていいの?」と思われるそうで、劇団だけでは苦しいようです。

 そんな状況ですので、少し世間に顔が知られるようになると、お辞めになる方もいらっしゃる中、なぜか渡辺徹さんはずっと文学座に止まっていらっしゃいます。文学座の本公演にも年に一度はご出演されているようで、テレビで見るキャラは結構ちゃらちゃらしていますが、案外「おえらいわねぇ」といつも拝見しています。(←この本の中には出ていない話です。私がいつも思っていることです)

 本の内容にもどします。杉村先生の代表作と言えば「女の一生」「欲望という名の電車」「華岡青洲の妻」「ふるあめりかに袖はぬらさじ」などが挙げられます。「女の一生」と「欲望という名の電車」は何度か「もうこれきり」宣言をなさったのですが、文学座の経営状態が思わしくなくなると、経理のほうから頼まれ、世間から「えー、この前が最後って言ったのに」と言われるのを覚悟の上、「じゃあ、もう一度」と何度か再演されたそうです。こういうのを見ると、本当に「文学座=杉村春子」「文学座と一心同体」だったのねぇと思います。でも、それをイヤと思う劇団員さんもいらっしゃったようで、劇団の中でも昭和38年の二度の分裂以外にもいろいろあったようです。

 杉村先生ご出演のお芝居の話はもちろんそこここに登場します。大笹さんが「この年の○月には『○○○○○』を演っていらっしゃいますね」と振っていかれます。私が文学座をよく見ていたのは昭和51年から約10年くらいでしたが、結構見てました。支持会に入っていたので、とりあえず、大阪に来たのは全て見ていたと思います。最後に見たのはお亡くなりになる2年前の「怪談牡丹燈篭」でした。これも代表作の一つで昭和49年に初演、その後何度も再演され、私は最後の再演を見たことになります。

 玉ちゃんは「怪談牡丹燈籠」も演っています。孝夫さんとの共演でした。玉ちゃんとの共通の演目は「ふるあめりか」と「牡丹燈籠」だけではありません。実は、杉村先生は「天守物語」の富姫も演じられたことがあったそうです。でも「失敗」だったそうです。ご本人もそうおっしゃっています。「よくやったと思いますよ。ほんとに。むろん失敗でしたよ。~中略~見た方には気の毒でしたけどね。~略~あたしがどっちかっていうと、ひどく現実的で、ああいう夢見たいなものを持ってませんから。」と。
 
 そう思うと、「ふるあめりか」と「牡丹燈籠」をやりきった玉ちゃんってやっぱりすごいですよね。玉ちゃんのイメージって杉村先生とは正反対ですものね。

 非常に面白い興味深い本でした。お芝居(舞台)の歴史としても読めると思います。オススメしたいけれど、人を選ぶでしょうね。

 
 
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女優 杉村春子 ①

2012-06-08 23:20:55 | 読んだもの
 「女優 杉村春子」を読みました。大笹吉雄さんの聞き書きとなっています。初版発行は1995年、まだ杉村先生がご存命でした。その後、版を重ね、現在は第4刷となっています。ずっと存在は知っていた本でしたが、定価が2957円、総ページ数465ページ、お高いし重いし嵩張るしと敬遠、「そのうち文庫になるかしら」と思い、何となく私の頭の中からはフェードアウトしていました。

 ところが巡りめぐって、昨年の秋、玉ちゃんが稲盛財団の「京都賞」を受賞し、そのワークショップで、著者の大笹吉雄さんが進行役を務めていらっしゃったのです。ワークショップでの玉ちゃんのお話の中でも杉村先生のことがよく話題にのぼり、それを聞いていたら、俄然杉村春子関連の本が読みたくなり、これも何かのご縁と思い、大笹さんのご本、お買い上げです。

 で、読み始めたんですが、私は家で本を読まない、通勤電車でしか本を読まないので、このように重い本はちょっとNo thank youで、さらに、玉ちゃんのワークショップでも感じたことなんですが、大笹さん、よーしゃべらはるんです。“聞き書き”なので、お芝居の台本みたいに、「杉村 ・・・・・・」「大笹 ・・・・・・」という体裁なんですが、ほぼ同じぐらいの分量をしゃべっているような感じで、私は杉村先生の話を聞きたいのに!と思ってしまって、最初の50ページぐらいのところで、挫折してしまいました。ただ、せっかくの大ファンの杉村先生の本を放っておくのも、何となく気になっていて、ちょうど先月半ばに読む本がなくなったので、もう一度読み始めました。

 あとがきを読むと9回にわたって話を聞く機会を設けられたそうで、章立てもそれにそってあります。
第1章 築地小劇場のころ
第2章 女優誕生
第3章 戦前の文学座
第4章 『鹿鳴館』まで
第5章 嵐の季節
第6章 文学座の路線をめぐって
第7章 多様なレパートリー
第8章 人生模様
第9章 映画の話、演技のこと

 これに付録として「舞台出演年譜」「映画出演年譜」「索引(人名、作品名」がついていました。

 第1章、2章ぐらいまでは、杉村先生の話というよりも、その周りの話題が多く、若干冗長、退屈してしまいました。出てくる俳優さんや作家さんの名前って存じ上げない方がほとんどで、読んでいてもイメージしづらいんですよね。あ、ここで、この前国立近代へ見に行った「村山知義」さんが登場していました。この本で読んだから、気になったのかしら…。

 文学座ができると、いろいろ知ったお名前や出来事が登場するので、だいぶ読みやすくなり、このあたりからペースが早くなりました。特に、第5章は二度にわたる分裂の時期のことで、他の本でも読んで知っていたけれど、やっぱり杉村先生直接のお話って、なかなか興味深うございました。

 「ふるあめりか」のお話もされていました。有吉佐和子さんが杉村先生のために書いた本ですが、お三味線のお稽古をしないといけなくて、本が出来て即公演というわけにはいかなかったようです。杉村先生、これ以外にもピアノを弾くお役もなさったことがあります。「劇団の若い人に「『いつどんな役が来るかわからないから、広く浅くでいいから、何でも経験しておきなさい』って言うんだけれどねぇ」と苦言を呈する場面も一度ならず二度三度とありました。いろいろ思われることがあったんでしょうね。
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演劇界7月号

2012-06-05 23:19:06 | 読んだもの
 雑誌「演劇界」の7月号でございます。表紙は福助さん、「『紅葉狩』の更科姫実は戸隠山の鬼女」です。

 今月号は読むところがたくさんありました。巻頭大特集は「澤瀉屋四人同時襲名」で、二代目市川猿翁の寄稿、四代目市川猿之助(亀ちゃん)、九代目市川中車(香川照之)・五代目市川團子のインタビューが掲載されています。さらに、スペシャルインタビューは菊ちゃんで、2、3日前からネットでは話題になっていたので、本日発売初日にソッコー買ってきました(ネットの方たちは定期購読されている方たちで、書店に並ぶ前に来るようです)。

 「スーパー襲名」と呼ぶそうです。山川静夫さんが名付け親で、猿翁丈が気に入って使っていらっしゃいます。猿翁丈は、まだまだ上置におさまることなく、やりたいことをやり続けると、スーパー歌舞伎の新作も準備中だそうです。身体はご不自由そうですが、中車さんと團子ちゃんのお稽古はちゃんとつけられたようです。6月の興行は昼の部の「口上」だけですが、7月は役者として舞台に出られます。お元気で勤めていただきたいと思います。

 亀ちゃん(←やっぱりこう呼んでしまいます)へのインタビュー記事は全部で8ページあり、読み応えがありました。亀ちゃんの歌舞伎への「愛」が溢れていました。他のメディアでは必ず「香川照之さんは…?」という問いが入りますが、さすがに「演劇界」はそんな失礼なインタビューはせずに、全編「四代目猿之助襲名」についてでした。

 中車・團子インタビュー記事は7ページありました。團子ちゃん、ファンなんです。あの自由さ、いいですね。ひそかに「フリーダム團子」と呼んでおります。インタビューでも自由でした。お祖父様からの隔世遺伝ではないかと中車さんもおっっしゃっていました。でも、中車さんが「公演が失敗したら全て僕の責任だから」とおっしゃると、團子ちゃん「だけど、お父さんが失敗していないのに、僕が失敗したら僕の責任だよ。」と泣かせることを言っちゃってくれています。

 菊ちゃんのインタビューも非常に興味深い内容でした。玉ちゃんに教わる機会が多いそうです。先月の「寺子屋」の千代も玉ちゃんご指導だそうで、だからお上手だったんですね。後ろの劇評でも亀岡典子さんが「初役と聞いて驚いた。………今後菊之助の当り役になっていくであろう」と書いていらっしゃいました。
 
 「演劇界」は来月も澤瀉屋さん特集だそうです。襲名披露興行を特別バージョンで見せてくれるそうです。4月号からずっと襲名特集です。重なっている年だから仕方ないのかもしれませんが、どうなん?と思ってしまいます。
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日本のデザイン -美意識がつくる未来

2012-05-30 23:43:42 | 読んだもの
 原研哉さんの「日本のデザイン-美意識がつくる未来」を読みました。原研哉さんはデザイナーさんです。長野五輪の開・閉会式プログラム、愛知万博公式ポスターをデザインされたそうで、2002年より無印良品のアドバイザリーボードメンバーも務めていらっしゃいます。

 内容紹介です。 
まさしく歴史的な転換点に立つ日本。大震災を経て、とりわけ経済・文化活動のあらゆる側面において根本的な変更をせまられる今、この国に必要な「資源」とは何か? マネーではなく、美を、幸福を、誇りを得るために、立ち戻るべきは「感受性」である──。つねに「ものづくり」の最先端をリードしてきた著者が、未来への構想を提示する。

 久しぶりの岩波新書です。何度も書いておりますが、岩波を読むと何だか少し賢くなった気分になります。あくまで“気分”ですが。

 序に「いま、上空から眺めて一番きれいな夜景は東京」とありました。本当に東京の夜景ってきれいですよね。大阪と比べても(本のなかでは海外と比べてあったけれど)、灯りの数とか光の点滅具合だとか全然違うなぁといつも思っていました。やっぱり世界一の夜景なんですね。著者の原さんは「掃除をする人も、工事をする人も、料理をする人も、灯りを管理する人もすべて丁寧に篤実に仕事をしている」からだと述べていらっしゃいます。それが日本の誇るべき価値観で、パリでもミラノでもロンドンでも手に入らない価値観だそうです。日本は天然資源に恵まれないので、工業製品を生み出すために高度な「技術」を磨いてきたといわれていますが、この「技術」こそが、日本人の持つ価値観、すなわち繊細、丁寧、緻密、簡潔にものづくりを遂行することであり、それは感覚資源が適切に作用した結果、獲得できた技の洗練だとおっしゃっています。日本人って謙虚なのか、Mっ気が強いのか、もひとつ自分たちがやってきたことを卑下するところがありますが、もっと自慢しましょう!吹聴しましょう!

 全体にそういう論調、「日本っていいよね。捨てたもんじゃないよね。世界から注目される文化をもってるよね」で覆われており、「あ、日本ってすごいやん」って思える事例が満載でした。

 その事例のひとつとして、2008年にパリとロンドンの科学博物館で開催された「JAPAN CAR 飽和した世界のためのデザイン」という展覧会が挙げられていました。原さんがキュレーションとグラフィックデザインを担当されたそうです。日本の乗用車メーカー7社とソニー、パナソニック、日立などが出展したそうで、決していわゆる“モーターショー”ではなく、あくまでデザインが主人公となる展覧会です。その説明の文章と写真を見ているだけで、何だかとてもワクワクする展覧会のようで、日本のクルマなのに、なぜパリとロンドンなんでしょう?と思いました。でも、日本国内は反対にやりにくいのかもしれませんね。いろいろしがらみがあって。

 最近の新書って奇を衒ったタイトルで読者をひっかけようとするのが多いように思いますが、シンプルなタイトルで、おそらくこれも著者の原さんの「デザイン」なんでしょうけれど、なかなか気持ちよく読むことができました。

 
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演劇界6月号

2012-05-25 23:42:58 | 読んだもの
 遅くなりましたが「演劇界6月号」です。なかなか記事にするタイミングがなくて今頃になりました。今月の表紙は時蔵さんで、「絵本合法衢」のうんざりお松です。実際に自分が見たお芝居が表紙になると、ちょっとウレシイかもと思います。

 巻頭大特集は前月に引き続き「歌舞伎の襲名」で、又五郎さんと歌昇さんの親子特別インタビューと襲名名舞台撰の写真が掲載されていました。付録も「戦後歌舞伎襲名年表 <下巻> 昭和51年~平成24年」と前月からの続きです。舞台写真は「現代の俳優たち」と副題がついており、何れもご存命の方たちのお写真です。吉右衛門さんなんて昭和41年なので、めちゃくちゃ若いです。もちろん孝夫さんもあります。私の好きな「廓文章」の藤屋伊右衛門の写真でした。白塗りのへなちょこ若旦那でございます。キャッ、ステキです

 襲名特集なので、私は、てっきり今月号で「二代目猿翁・四代目猿之助・九代目中車・五代目團子」のことも触れてあるのかと思っていたら、それは来月号だそうです。来月号の巻頭大特集が「澤瀉屋四人同時襲名」です。(インタビューは菊ちゃん!楽しみです)

 『襲名』だけで3ヵ月引っ張りますか…。ここ最近の「演劇界」って、ちょっと手を抜いているように思うのは私だけでしょうか。編集部さん「もうちょっと仕事してよ」と言いたくなりますねぇ~。
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女神記 (+はじめての日本神話『古事記』を読みとく)

2012-05-07 23:40:18 | 読んだもの
 桐野夏生さんの「女神記(じょしんき)」を読みました。

 ストーリー紹介です。
遙か南、海蛇の島の大巫女の家系に、二人の姉妹が生まれた。
姉・カミクゥは生まれながらに、大巫女を継ぐことが運命づけられていたが、妹・ナミマには、別の運命があった。
ナミマが16歳になった年、祖母で大巫女のミクラが亡くなった。
葬儀の祭祀はカミクゥが司ったが、その晩、ナミマに怖ろしい運命が告げられる。
島を抜け出し、海上で出産をしたナミマは、16歳で死んだ。
地底で目覚めたナミマの前に現れたのは、1日に千人の死者を選ぶ、黄泉の国の女神イザナミだった。
イザナミは、夫イザナキによって、黄泉の国に閉じ込められ、死の支配者となっていたのだ。

 とりあえず“桐野夏生だから”という理由で、あまり中味も確かめずに手に取った本です。読み始めて少し物語の設定に驚いたけれども、“桐野夏生だから”途中で挫折することもなく、最後まで一気に読める本でした。

 そうやって読了はしたけれど、何となく???が残る本でした。神話あるいはファンタジーのような感じなんですが、やはりそこは“桐野夏生だから”、結構男女のドロドロした部分もあったりして、私は何を読んでいるんでしょう?って途中で何回か思いました。

 

 「女神記」を読んでいたら、途中で「稗田阿礼」が登場し、これは「古事記」もちょっと勉強せねばいけないかしらと思い、本屋さんに行きましたが、普通の新書では私はついていけないような気がしたので、ちくまの中高生向けのプリマー新書で坂本勝さんの「はじめての日本神話『古事記』を読みとく」というのがあったので、そちらをお買い上げです。ちょうど今年は「古事記1300年紀」に当たるそうで、いろいろ関連書籍が出ているようです。(せんとくんも「古事記1300年紀」にちなんだ衣裳を身に着けています)

 中高生向けと言っても、あらすじが現代語訳になっているというだけで、説明は本格的(新書の性格上端折ってあるのは仕方ないけれど)、いろいろな神様の名前や地名が次々と登場するので、それを追うだけで精一杯、読了するまですっごい時間がかかりました。

 ところで、玉ちゃんの「日本振袖始」という舞踊を古事記の八岐大蛇伝説を題材にしており、そこだけはちょうど舞台を思い出し、生き生きと読むことができました。「見る」って大切ですよね。

 
 
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演劇界5月号

2012-04-06 23:06:55 | 読んだもの
 「演劇界」の5月号です。今月の表紙は『仮名手本忠臣蔵』「九段目 山科閑居」の坂田藤十郎さんの戸無瀬でございます。3月の新橋演舞場でかかっていました。すっごく良かったようです。皆さん、大絶賛されていました。藤十郎さんぐらいになれば、全て手の内に入っているんでしょうね。

 そういえば、関西では長らく藤十郎さんの“お芝居”がかかりませんでしたが(ずっと踊りばかりでした)、来月の松竹座の「團菊祭」では久しぶりにお芝居にご出演です。十八番の「封印切」の忠兵衛です。ただ、周りが菊ちゃんの梅川、三津五郎さんの八右衛門、東蔵さんのおえんです。お江戸の方ばかりなんです。まあ、團菊祭、團十郎さんと菊五郎さんのお祭なので仕方ないといえば仕方ないけれど、どうでしょうか。先月も演舞場で「小さん金五郎」という上方のお芝居がかかりましたが、上方の役者さんは秀太郎さんお一人、あとはすべてお江戸の方ばかりで、お大変だったようです。演劇評論家の上村以和於さんがこのお芝居の秀太郎さんのことを「一生懸命英語劇をやっているところへ、ひとりネイティヴスピーカーが登場して、それもロンドンの下町のコックニイみたいなやつをべらべらやるようなものだろう。」と評していらっしゃいました。そんな出来だったようです。

 さて、今月の特集は「歌舞伎の襲名」です。「心に残る襲名舞台」というタイトルでいろいろな方がいろいろな襲名披露について書いていらっしゃいます。孝夫さんの十五代目片岡仁左衛門襲名は、エッセイストの関容子さんが「夢の舞台に居合わせた幸せ」というタイトルの文章を寄せていらっしゃいます。超豪華な配役で、「寺子屋」の涎くりを勘三郎さんがなさったそうです。襲名披露では「助六」もなさいましたが、あまりの美しさに、客席では“口をあけて、腑抜け状態”のご婦人がいらっしゃったそうで、「そうよねぇ~、きれいものねぇ~、かっこいいものねぇ~」と激しく同意いたしました。「助六」は大阪でもありました。揚巻はもちろん玉ちゃんで、ステキでございました

 付録として「戦後歌舞伎襲名年表【上巻】」がついており、昭和20年から50年までの襲名の年表と写真が掲載されています。玉ちゃんが昭和39年6月に五代目坂東玉三郎を襲名したときの「口上」のお写真もございました。本当の女の子みたいです。昭和46年2月に我當さんが五代目片岡我當を襲名されたときの「口上」のお写真には十三代目仁左衛門丈、我當さん、秀太郎さん、孝夫さん、初舞台の進之助さんと、ご一家が写っていました。孝夫さん、ひょろっとしていて、何だか視線も定まらず、「この先、ちゃんとやっていけるのかしら…」とちょっと心配になるようなお姿でした。

 この「襲名特集」は来月号にも続きます。何かと話題の猿之助襲名・中車襲名もありますし、来年、新しい歌舞伎座が開場する折には、今の福助さんが歌右衛門を襲名するのではないかともっぱらのウワサだし(←あくまで、本当にウワサです)、まだまだ続きます。まつたけさん的には、襲名と追善興行をやっていればお客さんが入るので、手っ取り早い収入源ですから。
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芸者論 花柳界の記憶

2012-03-31 22:51:23 | 読んだもの
 岩下久史さんの「芸者論 花柳界の記憶」を読みました。

 内容紹介です。
花柳界、芸者、三業地…文字としては馴染みがあっても、実態は殆ど知られていない世界。長年新橋演舞場に身を置き、数々の名妓たちと親交のあった著者が、芸者の成り立ちから戦前、戦後の東京の花柳界全盛の時代までの歴史と変貌を細やかに描写。処女作にして和辻哲郎文化賞を受賞した、画期的日本文化論。

 岩下久史さんと書いてもどこのどなた?とお思いになるかと思いますが、「はこちゃん」と書けばご存じの方もいらっしゃるかもしれません。私もつい先日「ぴったんこカンカン」というテレビ番組で初めて拝見した方です。近頃珍しくきちんと撫でつけた御髪で、羽織袴のお姿もびしっと決まっているんですが、そこはかとなく「組合」の雰囲気が漂っていました。その番組の中でも時折安住アナウンサーに言い寄っていて、何かまたアヤシイ人がテレビ出たはるねぇと思っていたのですが、その肩書きが“伝統芸能評論家”とあり、ちょっと興味がわきネットで検索してみると、もともと新橋演舞場株式会社にお勤めで、新橋花柳界の調査研究を進め、社史「新橋と演舞場の七十年」を編纂されたとか。新橋演舞場とくれば、やはり、これは一度は読まなければなりますまいと思い、とりあえず文庫になっている「芸者論」を読みました。

 芸者の歴史と伝統を古代の巫女にまでさかのぼっています。それから白拍子、吉原、辰巳芸者、柳橋、新橋と筆を進めます。それぞれのところで、それぞれ詳細な説明があって、歌舞伎にもこのあたりはよく取り上げられていますので、「白拍子」とか「吉原の傾城」とかが出てくると、つい、静御前?八ツ橋?揚巻?と玉ちゃんのお美しいお姿を思い浮かべながら読んでおりました。何となく“芸者さん”と十把一絡げで見ていましたが、そうではないんですね。まず、芸妓と娼妓は全く別物。よくお芝居で「芸は売っても身は売らぬ!」と芸者さんが啖呵を切っていますが、それからきているんですね。結髪やお着物も場所によって違うそうです。花街としては、京都のほうがまだ昔ながらの伝統が残っていると書いていらっしゃいました。舞妓さんから芸妓さんになる流れとかが。そして、やっぱりお芝居で見る「旦那」にも触れていらっしゃって、イマドキはまずないみたいですね。昔は家1軒持たせて、死ぬまで一切合財を面倒見たそうです。今は、マンションのお家賃だけ、着物だけ、それも一定の期間しかなくて、次から次へ旦那を探さないといけないとか。これも一種の婚活のようなものでしょうか。

 日本史・芸者版みたいな本で、難しい言葉も出てくるし、独特の文体というか、おそらく新橋演舞場にお勤めで、きちんとした敬語を使わないといけない環境からくるものなんでしょうか、時々バカがつくくらい丁寧な物言いが出てきたり、するするとは読めなかったけれど、ま、面白く興味深く読みました。

 岩下さん、三島由紀夫に関するご本があるようで、そっちのほうも読んでみたいです。三島由紀夫では文庫にはならないかしらねぇ~。

  
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螻蛄-シリーズ疫病神-

2012-03-28 23:38:36 | 読んだもの
 黒川博行さんの「螻蛄(けら)」読みました。タイトルの後ろにシリーズ疫病神とついているとおり、自称建設コンサルタント二宮とイケイケヤクザ桑原のおなじみ(って読んでる人の間だけですが)のコンビのドタバタコンビの小説です。

 内容紹介です。
 
信者500万人を擁する伝法宗慧教寺。その宗宝『懐海聖人絵伝』をめぐるスキャンダルに金の匂いを嗅ぎつけた、相性最悪の二人組、自称建設コンサルタントの二宮とイケイケ経済ヤクザの桑原。巨大宗派の蜜に群がる悪党どもは、腐敗刑事、新宿系極道、怪しい画廊の美人経営者。金満坊主から金を分捕るのは誰か。東京まで出張った最凶コンビの命運は?

 この「疫病神」シリーズ、毎回いろいろな分野に首を突っ込みますが、今回は宗教界です。「お東紛争」を取り上げています。「お東紛争」とは、1969年に真宗大谷派が、「同朋会運動」を推進する改革派と、法主を継承する大谷家とそれを擁護する保守派との宗門内の対立から、同宗派が4派に分裂するまでに至った事件のことで、奇しくも、と書いていいのかどうかわからないけれど、昨日京都地裁で「お東紛争」の判決が出ていました。

 文庫で700ページを超える大作です。このシリーズが大好きで、新刊が出るとすぐに本屋さんに行き、すぐに読みます。これも1月末に発売、おそらく1週間もかからずに読了して(自分の降りる駅を乗り越すくらい熱中してしまいました!)、早く記事にアップしなければと思いながら、1ヵ月以上放置、ちょっと“忘却の彼方”なんですが

 とにかく登場人物が多くて、対立している宗派が3つか4つ(京都、大阪、名古屋、東京にある)あって、それぞれに銀行や檀家代表、パトロンのようなものがくっついていて、それに上に書いたような腐敗刑事、東京のやくざ、画廊の美人経営者がからみ、その間を二宮・桑原コンビがすり抜けたり掴まったり、やったりやられたり、相変わらずジェットコースターに乗ってるような、面白い小説でした。いつも思いますが、黒川さん、よう混乱しないですよね? 私は面倒くさがりなので、途中で誰が誰だか、特にお寺さんの中の人物関係がわからなくなって、テキトーに飛ばしながら読んでおりました。二宮も桑原も毎回「もうあかんやろ?」というような大怪我をしますが、しぶとく生き残りますね。小説の中の話とはいえ、感心します。

 これまであまり意識しなかったので、以前のシリーズではどうだったかわかりませんが、結構“服装チェック”が入っていました。例えば、桑原の服装「チャコールグレーのスーツにライトグレーのクレリックシャツ、ネクタイは濃紺の織り柄だ。眼鏡は縁なし、靴はスリップオンタイプのフォーマルなもの…」、怪しい画廊の美人経営者は「濃紺のスーツに白のシルクブラウス、ボタンをふたつ外した襟元から真珠のネックレスがのぞいている。右手の薬指にはめているアンティーク風の指輪も真珠だ。いかにも仕立てのよさそうなスーツは、たぶん、エルメス。白い文字盤のシンプルな腕時計はカルティエだろう。」というような具合です。着るもの大好きな私は、ストーリーとは別に、この部分でも楽しませていただきました。

 個人的には大いにしますが、ただ、いつも思うんですが、登場人物のばりばり河内弁の会話の部分って、関西以外の地域にお住まいの方には理解できるのか?とちょっと疑問が残るところなんですが。

  
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