goo blog サービス終了のお知らせ 

おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

脇役本

2018-05-27 23:56:57 | 読んだもの
 濵田研吾さんの「脇役本」を読みました。

 内容紹介です。
 旧作映画や往年の舞台で活躍した名脇役たち。かれらに関するたくさんの著書を古本の山から見つけ出す。知られざる素顔や、専門家顔負けの意外な分野での研究、波乱にとんだ生涯などを紹介する。加東大介、志村喬、古川緑波、芦田伸介、徳川夢声、浪花千栄子、伊藤雄之助、岸田森、若水ヤヱ子など七十数人のバイプレーヤー、二百数十冊の本が大集合。単行本を大幅増補。

 最初、このタイトルを見たとき、脇役の役者さんたちを紹介した本だろうと思い、ネットで注文、届いたのを見ると「脇役の役者さんたちが書いた本を紹介する本」でした。ちょっと想像していたのと違うなぁ、読めるかしらと一瞬不安に思いましたが、それは杞憂、さくさく楽しく読めました。本を紹介するってことは役者さんも紹介しているので、ま、そんなに外れてはいませんでした。

 こちらの本、元々は平成17年に発刊されたそうで、それの増補文庫版として今年ちくま文庫から出ました。
 
 著者の濵田研吾さん、1974年生まれ、私よりも10歳以上お若い方なんですが、チョイスしている役者さん、かなりシブイです。私でも見たことがない人が取り上げられていて(もちろん濵田さんもリアルタイムでご覧になっているわけではなくビデオとか本とかでお知りになったようです)、マニアック感ありました。でも、私はそういうマニアックなところ、好きです。

 この本の「脇役」の定義?が、濵田さんが「脇役のうまい役者」「気になるバイプレイーヤー」と思っていらっしゃる役者さんなので、滝沢修や三津田健、志村喬、芦田伸介なんかも入っています。テレビや映画の脇役って、新劇の劇団の人たちが資金稼ぎに出てるってパターンが多いので、この本でも文学座、俳優座、劇団民藝の役者さんが結構取り上げられていて、元・演劇女子高生だったワタクシはちょっと“遠い目”になってしまいました。

 で、急に文学座が見たくなって、来月見に行こうかと、文学座大阪支持会にお願いしました。支持会って劇団の後援会みたいな組織で、花の女子高生時代、杉村春子先生に会いたくて、入ってたことがあります。その時ちょうど文学座創立四十周年で、その記念誌がどうしても欲しくて、父にねだって買ってもらいました。その本、まだ持ってます。文学座はもう創立八十周年を迎えているそうで、私が入っていたのは40年も前ってことになります。“40”っていう数字に我ながらビックリしました。自分がすっごい年寄りのような気がしてきました。

 話が逸れました。役者さんたちですが、自叙伝や芸談、軽いエッセイみたいなのが多いのですが、たまに役者とは全然関係のない「こけし」や「盆栽」、「寿司」の専門書みたいなのもあります。その道のプロフェッショナルっていう役者さんもいらっしゃったようです。あとは「まんじゅう本」と呼ばれるジャンルの本、ご本人がお亡くなりになった後に、遺族や関係者がその人のことを書いた本を制作、それを一周忌とか三回忌とかに配られた本のことをさすそうです。もちろん、私家版、自費出版なので一般に出回ることはなく、古本屋さんで出てくるそうです。私家版と言っても、文集のようなちゃっちいモノではなく、きちんと装丁してあり、題字とか素材とか凝ってるモノも多いみたいです。この本では白黒なので、もひとつその良さがわからないのが残念でした。

 この本に紹介されている本って、基本、古本です。読みたいのがあれば、古本屋さんで探さないといけません。それがチト面倒です。そんなにマメなほうではないもので…。まだまだ取り上げられていない役者さんがたくさんいらっしゃるので、ぜひ、第二弾、第三弾をお願いしたいものです。

 濵田さんのそれぞれの役者さんたちに対する“愛”が感じられ、いろいろな発見もあり、楽しい本でした。です。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Hanako「大銀座特集」

2018-03-23 22:53:13 | 読んだもの
 雑誌Hanakoの今号は「大銀座特集」です。Hanakoでは年に2回銀座特集があって、結構楽しみにしています。今回は創刊30周年ということで、通常よりもページ数が増えています。銀座だけではなくその周辺、日本橋、日比谷、有楽町、東京駅までカバーしています。

 Hanakoでは30年の間に銀座特集はなんと70回もあったそうです。春と秋の2回だと思っていましたが、年に3回以上特集したこともあったってことですね。それだけ特集を組みやすい街なんでしょう。

 ここ数年、上京する回数が増え、主たる目的地は銀座なので、Hanakoの「銀座特集」はmust buyになっています。毎号、いろいろと新しいお店の紹介があって、「今度、東京に行ったら、ここ行こう」と思いながらページをめくっています。が、なかなか行けてません。雑誌掲載直後ってとんでもなく混んでそうなので、ほとぼりが冷めてからにしようと思っているうちに、次の銀座特集が出て、その前のは忘れてしまいます。それと、歌舞伎観劇メインなので、案外時間がありません。1泊2日だとほぼ歌舞伎座にお籠もり状態になってしまいますからね。日比谷ミッドタウンも出来るそうですが、いったい、いつになったら行けることやら…。

 「銀座特集」とは別に「30周年特集」もありました。バブル華やかなりし頃の創刊だったんですね。今のHanakoを見ていると“タウン誌”だと思ってしまいますが、案外いろいろと主張する雑誌だったようです。それも時代時代で変わっていきます。イケイケでとんがっていたのが、お地味でまったりとしたテイストになってきています。180度転換って感じで、「創刊の主張!」みたいなのはないのかしら、こんなに変わってしまっていいものかしらとちょっと思ってしまいました。

 そういえば「Hanakoという雑誌が面白いらしい」というのは聞いたことあったように思いますが、今みたいにリアルタイムで情報をキャッチできるような時代ではありませんから、本屋さんでは見ないし、「どんなんやろうね?」と思っていました(梅田の紀伊国屋書店ぐらいなら置いていたかもしれませんが、わざわざ探しに行くほどではなかったので)。

 「銀座特集」の次号はなぜか必ず「京都特集」が来ます。東西まんべんなく取り上げるってことなんでしょうか。次号もきっと買うと思います。

 
 これは私の東京土産の今回の新顔です。左上は日本橋三越で見つけた山文という新潟のおかき屋さんのおかきです。焼いたお餅にお醤油を染み込ませた味そのままのおかきです。右上と下は銀座松屋に入っていた桃林堂のお菓子です。桃林堂はもともとは大阪の八尾のおまん屋さんで、父が大好きでした。一応、まだ本店は八尾なんですが、上野や表参道に出店され、セレブなマダ~ムの画報系の雑誌でよく取り上げられています。銀座にあることがわかったので、また買いに行こうと思います。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

直木賞物語&芥川賞物語

2018-02-11 21:55:49 | 読んだもの
 もうひとつ読書話題を。

 川口則弘さんの「直木賞物語」と「芥川賞物語」を読みました。川口則弘さんは“直木賞オタク”だそうで、ご自身で「直木賞のすべて」というWebsiteもお持ちだそうです。その中から生まれた本ということになります。非公式なWebsiteなんですが、文庫は本家本元の文藝春秋社から出ています。文藝春秋の懐の深さの表れなのか、あるいは、話題づくりなのか、あるいは、自分のところでしようと思ってたことを代わりにやってくれたから出版したのか…。

 内容紹介です。
 「直木賞物語」
芥川賞と並び称されるも、大衆文学・エンタメ小説が対象の直木賞はいつもオマケ扱い、その時々の選考会でブレまくる選考基準、山本周五郎賞や「このミステリーがすごい!」、本屋大賞など次々とライバルが出現!波乱万丈の直木賞の歴史を、人気サイト「直木賞のすべて」を運営する著者が描く、人間臭さ全開のドキュメント。

 「芥川賞物語」
賛辞も非難もすべて盛り上がりの血肉にしてきた恐るべき文学賞・芥川賞。1935年の創設から八十余年、第1回から第155回まで、受賞者、選考委員、候補者、マスコミが繰り広げてきた壮大なドラマを、著者独自の愛と棘ある視点で描き、“日本一有名”なこの賞の秘密を解き明かす。いちばん面白くて読みやすい芥川賞史を文庫化。

 元文学少女のワタクシとしましては、好き嫌い、読む読まないは別にして、芥川賞・直木賞の受賞のニュースが流れるとつい見てしまいます。芥川賞も直木賞も、数多ある文学賞の中でも、一番権威があるとずっと信じてきました。だから、すごい厳格な贈賞規定のようなものがあって、それに基づいて審査されていると思っていました。でも、この本を読んでビックリ!!!かなりエエ加減、その場その場で基準が変わり、何だかずいぶんとテキトーに決まっているように見受けられます(審査の先生方は真剣なんでしょうけれど)。

 芥川賞は最初の頃は1回候補になると、二度と候補になれないという決まりだったそうで、太宰治は第1回の候補になりながら石川達三に負けたので、この規則があったたため芥川賞はもらえませんでした。今だったら、何回でも候補になれるのに、残念でした。太宰治は芥川賞が欲しくて欲しくて仕方なかったんですよね。

 それでも芥川賞は何となく「純文学」(←この言葉も死語でしょうか)っていうくくりがあるからわかるけれど、直木賞は何が対象なのかよくわかりません。一時「中間小説」っていうのもありましたが、今やそれが何を指すのか全くわからないし。歴史小説はダメという時代もあったそうで、ぐちゃぐちゃです。さらに、上にも書いてるように、最近はいろいろな賞が乱立、直木賞といえどもその地位が脅かされているようで、さらにぐちゃぐちゃになっているようにお見受けします。20年ぐらい前になるでしょうか、宮部みゆきが直木賞を取った頃あたりからだと思うのですが、既に功成り名遂げた流行作家がもらうようになってきて、賞が決まるときのワクワク感のようなものがなくなってきました。

 ま、そういう(ってどういう?)ゴシップ?ワイドショー?みたいなことが満載の本です。審査員の顔ぶれとか候補作を見ていると、「そういえば、あの頃…」とちょっと遠い目になります。知ってる作家だけ見るとか、パラパラと飛ばし読みして、トリビアちっくに読める本でした。ただし、文学に真摯に向き合ってる方にはオススメしません。

 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

等伯、永徳、利休

2018-02-10 17:51:29 | 読んだもの
 超絶久しぶりの読書話題です。

 昨秋、京博で開催された「国宝展」、何度も自慢タラタラ書いて恐縮ではございますが、ワタクシ全4期コンプリートいたしました。右を向いても左を向いても国宝だらけ、見所いろいろで、その分キャッチコピーもいろいろありました。その中の一つに「長谷川等伯・久蔵親子の対面!」というのがあって、等伯と久蔵の屏風絵が同じ部屋に展示してありました。京博では何年か前に「長谷川等伯展」もあって、等伯にはちょっと興味を持っており、タイトルがそのままずばりの安部龍太郎の「等伯」という小説を見つけました。上下2巻ということで、読了できるかどうか不安でそのままにしておりましたが、久蔵のことも知りたいし、読むことにしました。
 
 
 

 文庫のカバーは上下で「松林図」の白黒を反転させたもの、なかなかステキです。私は等伯のことを、この「松林図」だけ見て、何となく枯れた人物、達観した人物だと思い込んでいましたが、なかなかすごい野心家というか、ギラギラしていました。「長谷川派」を目指していたそうです。久蔵が若くして亡くなってしまったので、それは叶わなかったようですが。ちょっとびっくりしました。“小説”なので、真実ではありませんが。文庫帯に大きく「直木賞受賞」の文字が躍っていますが、伊達に直木賞は受賞していないなと思いました。本当に面白くて、上下2巻でしたが、あっという間に読めました。

 その続きで読んだのが山本兼一の「花鳥の夢」、等伯のライバル、狩野永徳が主人公です。amazonで本を検索すると、その後も「これも興味がありませんか」と勝手に本を紹介してくれるのですが、それで見つけました。まんまとamazonにしてやられているワタクシ。

 
 「等伯」のほうでは、等伯のライバル、敵役として描かれており、ちょっと「ヤな奴」でした。主人公で描かれたらもうちょっと「よい人」になるのかと思っていたら、そんなことはなく、ヤな奴っぽい奴でした。出自にプライドがあったのでしょう。“狩野派の長”という立場もすごいプレッシャーだったんでしょうね。昨年、サントリー美術館で「狩野元信展」が開催され、NHKの日曜美術館で見ましたが(実際は行ってません)、全体に「元信、すごい!」で終始していたので(←ものすごくざくっとした感想でスミマセン)、その孫である永徳はもちろん才能はあるんだけれど、それ以上のものを求められる(求められていると思っている?)から大変だったんだろうなと本を読みながら思っておりました。

 さらに、等伯と永徳を読んでいると必ず登場する利休。同じ山本兼一で「利休にたずねよ」があったので、そちらも読みました。
 
 

 これって、読み始めてから知ったのですが、エビサンで映画化されたものなんですってね。普通、そういうのを聞くと、何かと影響を受けやすいワタクシはその役者さんを思い浮かべながら本を読んでしまうのですが、エビサンはあまり出てこなかったです。違うような気がするのですが、作者の山本兼一さんは大絶賛だったそうです。それよりも、ワタシの場合、石田三成=山本耕史となっていて、しょっちゅう山本耕史クンの顔が浮かんでおりました。ついでに黒田官兵衛が出てくると、やっぱり、岡田クンですね。

 話がそれました。この本、ストーリーに追い方が海外の推理小説みたいで、「おっ」って感じで読みました。利休の美意識がとにかくすごくて、文字だけで表現するのも大変だろうけれど、これを映像でとなるともっと大変だろうなぁと思いました。

 こういう歴史小説を読んでいると、浜村純の映画解説ではないけれど、本当に“見てきたように”なので、ほんまかいなと思いつつ、引き込まれます。それだけ描かれている人物がドラマチックで魅力的なんでしょう。

 歴史小説、面白くてサクサク読めるので読みたいけれど、何となく、ゴツゴツと読みにくい本も読まないといけないような気がして、何冊か読むとしばらくお休みです。この年になれば、そう無理しなくてもいいんですけどね。何となく、読書に“お勉強”を求めてしまうところがあります。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

銀座 千と一の物語

2017-02-08 23:32:52 | 読んだもの
 最近、本はもっぱらインターネットで買うことが多くなり、本屋さんに行かなくなりました。「ポチッ」で家まで届けてくれるのは便利ですが、インターネットって過去に買った本の履歴をもとに「オススメ」が出てくるので、何か読む本の傾向が偏ってしまいます。ちょっと飽きてきたので、先日久しぶりに本屋さんに寄ったら、大好きな銀座の本を見つけました。

 藤田宜永さんの「銀座千と一の物語」で、銀座のお店でよく見かける「銀座百点」という冊子に連載されていたそそうです。

 本の紹介です。
 
だれもが憧れる街、銀座。そこには恋も、挫折も、野心も、生きがいもある。なにかを期待するから、この街に男も女も引き寄せられ、なにかが起こるから、人生は彩られていく。銀座は、何気ない日常の中の特別な舞台―。「銀座百点」で好評連載された33のショートストーリーに、撮り下ろしの写真を多数収録。宝石箱のような一冊。

 藤田さんの本なら男女のラブストーリーばかりかしらと思って読み始めたら、案外そうではなく、ラブストーリーもあるけれど、親と子、祖父と孫、果ては猫まで主人公になったお話がありました。ドロドロした内容は一切なく、ホワッと温かで、さわやかで、ちょっと切なくなるような、そんな内容のお話が33ありました。全てが全てHappyendではないのですが、読後感は不思議とすっきりしています。お店や建物などが全て実名で出てきます。巻末に地図までついていました。今度、上京したら行ってみようかしらと思いました。

 ただ、頁数の制約なのかあるいは「銀座百点」が性善説?だからか、登場人物たちが出会ってすぐにお茶に行ったり、食事に行ったりするんです。確かに良い人しか登場しない小説ばかりなんですが、そんなに簡単に人を信用していいものかとひねくれた性格のワタシはちょっと思ってしまいました。あ、それとみんなすごく“ご縁”があるんです。小説の世界なんだから、とわかってはいるんですが、あまりに都合よく話が展開するので、「エエッ~~~」って思うことも何度か…。

 でも、元文学少女はこういう夢のようなお話は好きなので、33しかないのがとても残念です。もっと続けていただきたかったなぁと思いました。心地よい小説です。です。

 今回「銀座百点」のWebsiteを見たら、無料で配っているんですね。銀座のお店の店頭でよく見かけるんですが、何か買い物をすれば「入れておきますね」っておっしゃっていただきましたが、何も買わないのにもらっていいのかどうか田舎者は悩んでおりました。今度から遠慮せずにもらってこようっと。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

図書 2016年12月号

2016-12-05 23:50:18 | 読んだもの
 岩波書店の雑誌「図書」の12月号です。この号の巻頭に京舞の五世井上八千代さんと孝夫さんの対談が掲載されているということで急遽取り寄せました。定価が税込み100円で、本屋さんで買ってもよかったのですが、岩波書店のWebsiteに行くと「見本誌進呈」というボタンがあったので、思わずポチッとしてしまいました。

 

 井上八千代さんがこのたび岩波書店から「京舞つれづれ」というご本を出版され、それに孝夫さんが序文を寄せられたことから、この対談が実現したようです。



 ステキな対談です。井上八千代さんの美しい京言葉が忠実に文字になっています。それにつられてか、孝夫さんも関西弁でお話なさっていて、こういうのこそ“はんなり”って言うんでしょうね。

 井上八千代さんの舞は拝見したことはありませんが、今年2月に藤間ご宗家の勘十郎さんの踊りの会が京都春秋座であったときにお客さんとしてお見えでした。舞妓さん芸妓さんがひっきりなしに井上八千代さんのお席までご挨拶に来られていて、何か「スゲー!(←下品な物言いでスミマセン。でも、ほんと、スゲー!って感じだったんですもの)」って思ったのを覚えています。

 
 「京舞つれづれ」です。品のある優美な装丁です。定価3240円、若干ひるむ金額ですが、買ってみようと思います。

  
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

僕らの歌舞伎 先取り!新・花形世代15人に聞く

2016-11-08 23:56:48 | 読んだもの
 淡交社から出版された「僕らの歌舞伎」という新書です。あちこちで紹介されているので、お読みになった方も多いと思います。

 出版社による内容紹介です。
 伝統芸能の魅力を次世代につなげる新書シリーズ企画。主に現在30歳前後までの若手歌舞伎役者総勢15名に、芸と役、家、将来についてなどを聞いたインタビュー集です(松也・梅枝・歌昇・萬太郎・巳之助・壱太郎・新悟・右近・廣太郎・種之助・米吉・廣松・隼人・児太郎・橋之助〈年齢順、敬称略〉)。聞き役は元NHKアナウンサーで、伝統芸能をわかりやすく伝える活動を続ける葛西聖司さん。歌舞伎界の将来を担う役者たちの、現在の立ち位置を記録した資料としても有用な書です。カラー口絵では各役者の舞台写真も掲載。

 この世代、私自身も注目している役者さんたちということもあり、また、実際の舞台も見ているので、全員が興味深く、面白く読みました。インタビューされた葛西さんが、皆さんご存じのとおり、伝統芸能に通じていらっしゃって、それぞれに対する質問も的確で、それぞれの個性を上手く引き出し、無駄の無い構成になっています。

 全体を読んで、よく出てきたのが「玉三郎のおじさま」です。女形さんは全員一度は玉ちゃんのご指導を受けていらっしゃいます。なかなか厳しいようです。マシュマロ米吉クンは「日本振袖始」で初めて玉ちゃんと共演なさったそうですが、その時のお稽古では「貴方、歌舞伎の家に生まれたんでしょ、ああ、生まれただけだね」とおっしゃって帰ってしまわれたこともあったそうです。玉ちゃんって素のときは体育会系ですからね。結構、ポンポンとおっしゃるんでしょうね。女形さんはその洗礼を受けていらっしゃいます。立役さんも、相手役に抜擢されると、やはり玉ちゃんからのビシバシとご指導が入ります。玉ちゃんが、よくおっしゃっている「後進の指導」、着々とお進めになっていらっしゃるようです。

 孝夫さんも何度も出てきました。「仁左衛門のおじさま」ですね。男女関係なく“憧れ”の対象となるようで、共演された方は「仁左衛門のおじさまと同じ舞台に立てるなんて…」と皆さん痛く感激されています。格好いいから、ステキですから、当然っちゃ当然のことなんですけど。孝夫さんの指導は、わかりやすいそうです。吉右衛門さんとかは「このお役はこういう心持で演じるように」とおっしゃるそうですが、孝夫さんの場合は「こういうふうに見せるためには、身体のこの部分をこうして、声はこう出して…」とより具体的に教えてくださるそうで、若手にとっては、非常に有難いご指導のようです。

 それと登場する作品や役柄について、葛西さんが本文中に【】を使って解説を入れてくださっています。普通、こういう本って解説は巻末につくことが多くて、いちいち後ろのページを見ないといけないんですが、この本はその場でわかるので、ずーっと引っかかることなく読むことができます。また、その解説が簡潔だけど過不足なくて、ご本人がよく理解したはるからなんでしょうね。ただ、人によったら、本文中にいろいろ詰め込んであって読み難いと思う方もいらっしゃるかもしれませんが。

 淡交社って裏千家の出版社というイメージで、そっち関係の本しか出さないのかと勝手に思っていましたが、結構いろいろなジャンルの本を出していらっしゃるようです。

 
 
 この2冊も買いました。今は「僕らの落語」を読んでいます。こちらも面白い本です。淡交社、GJです。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

週刊誌記者近松門左衛門

2016-09-12 23:45:36 | 読んだもの
 久しぶりの本の話題です。文春新書の「週刊誌記者近松門左衛門」でございます。サブタイトルとして「最新現代語訳で読む『曽根崎心中』『女殺油地獄』」とありました。

 内容紹介です。(文春新書のサイトから)
 [日本のシェイクスピア」と讃えられ、今も再演がたえない近松門左衛門──その正体は「週刊文春」のエース記者だった!?
 近松門左衛門の作品は、今なお、映画、TVドラマ、歌舞伎、文楽、宝塚で繰り返し上演されている。「チカマツ」の何が大衆をこんなにも惹きつけるのだろう?
 実は、近松の姿は、今の週刊誌記者に非常に近かったのだ。心中事件があったと聞けば、駕籠で現場にかけつける。菰の下からのぞく女の死体の白い足に衝撃を受け、とってかえして一気に書き上げ、すぐに舞台にかける──。
 一方、時を経て、近松作品は大幅に潤色されている。現代劇や映像はもちろん歌舞伎、文楽とて例外ではない。300年経っても色褪せない俗の面白さは、原作を読めばますますリアルに伝わってくる。
 何よりこんなに面白い「チカマツ」を神棚に飾ったままではもったいない!
 そこで、近松作品の中でも人気が高い『曽根崎心中』と『女殺油地獄』を読みやすい現代語訳でお届けする。近松研究の第一人者である早稲田大学名誉教授・鳥越文蔵博士の監修で伝統芸能に詳しい小野幸恵が現代語訳を担当。
 解説では、文楽の桐竹勘十郎、吉田玉男という当代きっての人気人形遣いと、美しい徳兵衛を演じて話題になった歌舞伎の市川染五郎のインタビューも交え、近松に魅力に迫る。

 タイトルの「週刊誌記者」を見て、それこそ「読売屋文春(よみうりやふみはる)」の実態?正体?をレポートしたものかと下世話な興味から読み始めましたが、本書の8割から9割はサブタイトルの「現代語訳」でした。NHKの「ちかえもん」の印象がまだまだ強烈に残っているので、心中や殺人の現場での取材、浄瑠璃の執筆の様子、公演の入り具合など浜村淳の如く、“見てきたように”事細かに描かれたものを期待していた身には若干肩透かしのような感じでした。まあ、それでもいいんですけどね。原文・現代語訳いずれにしても文字で読むことはまずないので、「ナルホド、こういうことね」とよくわかりました。

 文楽のインタビューが勘十郎さん(今日の「プロフェッショナル仕事の流儀」よろしゅうございました)と玉男さんなのは順当な人選だと思いますが、歌舞伎が染ちゃんって…。「女殺」といえば孝夫さんでしょう。それから舞台上の“油”についても「お笑いのバラエティ番組などで使われているゼリー状の液体」とさらっと書いていらっしゃいますが、狂言方の堀本さんの秘伝の調合の特別な“油”なんですけど。堀本さん、4月の明治座での菊ちゃんの「女殺」の時も、わざわざ上京してあちらの道具担当の人にご指導なさったそうですから。

 新書のタイトルには気をつけようと思いました。別にこの本が面白くないということではなく、思ってたのとは違うという意味です。「曽根崎」も「女殺」も上手いことできたお話のようで、現代語訳も単なる単語の置き換えではなく、ちゃんと文章として再構成されているので、引っかかることなくサクサク読めました。

 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

客席から見染めたひと

2016-06-29 23:16:15 | 読んだもの
 超絶久しぶりの本の紹介です。一応、本も細々と読んでいるのですが、なかなか感想文を書くところまでたどり着きませんでした。

 そういえば、拙ブログは「読書日記」をつけたくて始めたようなものなのですが、それがいつの間にか「おやつブログ」になり、「歌舞伎ブログ(のようなもの)」になりましたが、最近は感想文も書けず、なんだか「告知ブログ」のようになってしまい、自分でも「なんだかなぁ」と思っております…。

 この本は秀太郎さんが一昨日のブログで「読んでください!!」というタイトルで紹介されていました。どんな本なのかを調べたら、結構ワタシの趣味嗜好に合う方々の名前があり、早速その夜ネットで注文したら、今日届きました。日本の物流ってすごいですよね。ビックリしました。

 以前から勘三郎さんのご本などを書いていらっしゃったエッセイスト関容子さんがいろいろなジャンルの「舞台人」にインタビューされたものを一冊の本にまとめられました。

《本の紹介》
 30代から80代まで、世代を超えて語られる「芸」の世界の深淵。そして師弟の情愛──。舞台俳優から歌舞伎役者、狂言師、落語家まで、普段は語られざる彼らの表現者としての本音、舞台論、芸や技など受け継ぎ後進に伝えるべき「伝統」への思い、そして数奇なみずからの人生……。本人の生き生きとした肉声を通して紡がれる数々の物語が、読む者の心を捉えます。
 舞台を愛するすべての人に贈る、「読むと舞台に足を運びたくなる」究極の1冊です。

《インタビューを受けられた方々》
仲代達矢──「型」と「オーラ」の無名塾長
串田和美──人間の虚実を操る魔法使い
小日向文世──説明しない演技の巨人
岸部一徳──遊びと逸脱の永遠の音楽少年
麻実れい──男と女の狭間で踊る麗人
桐竹勘十郎──人形に命と色気を注ぐ伊達男
中村扇雀──遅れてきた現代の兼ねる役者
片岡秀太郎──濃厚な上方の色香を漂わす女方
藤間勘十郎──日本舞踊の全てからの飛翔
中森貫太──伝統世界の二代目アンファンテリブル
野村萬斎──変幻自在の「狂言サイボーグ」
矢野誠一──「名人のいる風景」の立会人
桂米團治──夢見るフルオーケストラの浪速男
柳亭市馬──落語界の唄う徳望家
柳家小満ん──粋と和みの文人墨客
春風亭小朝──多芸多才の横丁の若様

 
 さすがにまだ全ては読めておりませんが、岸部一徳さん、麻実れいさん、桐竹勘十郎さん、扇雀さん、秀太郎さんまで読みました。ターコさんはやっぱりかっこいいです。一部上場の大企業の社長夫人だということは知ってましたが、義理の息子さんのちゃんと「お母さん」もなさってたんですね。桐竹勘十郎さんは小さい頃は身体が弱くいつもお姉様(三林京子さん)の後ろからそっと顔を覗かせるような少年だったそうですが、「三つ子の魂百まで」です。今でもそのクセ抜けていないようにお見受けします。秀太郎さんの項にはもちろん孝夫さん登場です。今の歌舞伎界にとってはオンリーワンの存在であることが随所で強調されていました。確かにそのとおりだと思います。舞台に登場された途端のあの濃密な空気感、存在感は誰も真似できません。

 関容子さんは「インタビューの名手」と言われているそうで、その看板に偽り無しです。これまでもどこかで聞いたことある話の中に、「え、そんなこと?!」みたいな話が散りばめられ、非常に興味深く面白く読めそうです。400ページと少々厚みはありますが、ハードカバーではなくので、持ち歩けそうです。でございます。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上方芸能197号

2015-08-19 23:17:21 | 読んだもの
 雑誌「上方芸能」の最新号でございます。米朝師匠の特集号になっています。タイトルのとおり“芸能”というジャンルの雑誌なので、「演劇界」を買いに行くとその近くに置いてあり何度か手に取ったことがありましたが、もひとつ食指が動かず、買ったのはおそらく初めてかと思います。“季刊”だったんですね。私はてっきり月刊誌だと思っていて、前号(5月に発行)の予告で次は米朝師匠の追悼号になると書いてあったので、6月になってすぐに本屋さんに行きましたが何もなく、それ以降も本屋さんへ行くたびに見に行くんですが全然出なくて、前号をよく見たら“季刊”となっていました。8月11日にようやく発行されました。

 特集にあたっての巻頭の言葉です。
 特集 桂米朝逝く
 ―上方落語の金字塔
 
もしも20世紀後半に桂米朝を擁していなかったら、上方落語はわずかな断片を残すか、あるいは滅亡していたかもしれない。戦後間もなく、寄席演芸好きだった一人の青年が、他に例を見ない素晴らしい笑いの文化である落語をこのまま滅ぼしてはならないと自らの人生を賭けて再興し、多くの財産を遺して今年早春に逝去した。
 その業績は演目の復活、再生に始まって、活字や音、映像による記録、解説や考証、研 究論稿の執筆まで幅広く、かつ深い。論じる対象は落語に止まらず、寄席の諸芸から古典芸能にまで及んだ。演者、研究者として一流を極める一方で、数多くの個性的な弟子を育て、上方落語を大樹に築き上げたのである。
 本誌にも初期から寄稿を続け、最盛期の多忙な中で綴られた「上方落語ノート」の充実ぶりはまさに労作の名にふさわしい。
 今号特集は桂米朝の業績を跡付け、お人柄を偲んだ。謹んで師匠に捧げる追悼である。

 先に雑誌「ユリイカ」が米朝師匠の特集号を出しています。執筆者が何人か被っています。米朝師匠をよくご存じの方に書いてもらおうとするとまあ仕方ないことなんですが。「どっかで読んだことある?」っていうのは少し感じました。それとページ数の違いもあると思いますが、「上方芸能」のほうは一人当たりの持ち字数(っていう言葉はあるのか?)が少ないからか、もうちょっと詳しく読みたいなと思うところで終ってしまいます。「ユリイカ」のほう皆さん自由に詳細に書いていらっしゃって読み応えがあったように思いました。「ユリイカ」には加藤武さんの文章もあって、「米朝さん、待っていておくんなさい。私も直に逝きますから……」と書いていらっしゃいました。この言葉の通りそんなに律儀に実行に移されなくても、と思ってしまいました。

 「さようなら、米朝さん」と39人の方が哀悼の言葉を寄せていらっしゃいます。その人選を目次で見たとき「何かベタな人選やなぁ」と正直なところ思ったんですが、読んでみると通り一遍の内容ではなくて、おひとりおひとりがそれぞれエピソードをお持ちでそれを自分の言葉で語り、その人らしいお悔やみの気持ちを表していらっしゃって、ちょっとジーンとくるものがありました。さすが大阪を拠点にしている雑誌です。

 上方芸能を応援する雑誌なので、私も何かお役に立ちたい(要するに定期購読ね)と思いましたが、季刊なので劇評が3ヶ月遅れ、今頃3月の南座のことが書いてあって、仕方ないこととは言えそれはちょっとキビシイですね。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする