<群馬を歩く> 2016.7 白根山を歩く2 本白根山ハイキング/白根火山ロープウェイ コマクサリフト 中央火口 コマクサ 本白根山展望所
2日目、朝方は靄がかかっていた。じきに靄は飛んでいったが空には雲が残っている。カンカン照りだとハイキングはきついから、雲が少しあった方がいい。窓からのぞくが噴火口跡は乾いたままで、空吹は見られない。
最近は寝起きの温泉を避けるようにしている。かつて、知人が朝の露天を出たあと倒れ救急車で運ばれ何とか助かった話をしていた。テレビの健康番組でも、寝ているときは血圧が穏やかだが、寝起きで全身に酸素を送るため血圧が急上昇する、風呂で衣類を脱ぐと血管が収縮してまたも血圧が上がり、温泉で血管が広がり血圧が一気に下がる・・ややうろ覚え・・、こうした血圧の急変で心筋梗塞や脳の血管障害が起きやすくなる。とりわけ、血管・血圧に持病のある人や高齢者はリスクが高くなる。ということで寝起きの温泉は避けている。
朝食後落ちついてから入っても良し、連泊だからハイキングのあとに入っても良し、のんびりゆったりが健康にも適っていると思う。
朝食後、本白根山に向かう。車で県道466号線を上り、本白根山を右に、白根山を左にして国道292号線を下る。硫黄が臭う場所を抜けると、白根火山ロープウェイ山麓駅に着く。9時半過ぎ、駐車場に車を止め、厚手と薄手のウィンドブレーカーと、ペットボトル、ジュース、チョコレートなどを持って、6人乗りのロープウェイに乗る(写真)。
往復1500円だが、斜面長さ2407m、高低差472mを13分で上るのだから高いとはいえない。眺めもいい。下には曲がりくねった国道292号線、その先の山あいに山麓駅が見える。道路を下った先が草津温泉のようだ。
山頂駅からは少し先のコマクサリフトと名づけられた2人乗りのリフトに乗る(写真)。リフトを降りるとハイキングコースがあり、本白根山をぐるりと回るコースはロープウェイ山頂駅に出るので、リフトは片道にした。全長327mのリフトは片道400円である。
薄いウィンドブレーカーを着たが、風は冷ややかで強い風だと冷たく感じる。リフトを降りたところで、厚手のウィンドブレーカーを重ね着した。
おおむね10:00、歩き出す。ロープウェイ乗り場でくれたパンフレットのコース案内には見どころの花が記されている。白い線香花火のような小さなチラチラした花のマイズルソウ、楕円形の5弁の白い花のミツバオウレン、白い玉のような小さな実をつけたシラタマノキ、房状の小さなピンクの花をつけたイワナシ(花の見頃は過ぎている)、紅色の先が細かく裂けた花を下向きにつけたイワカガミなどが、足もとの草むらや右側の乾ききった斜面地に彩りを添えている。
左手は下り斜面で、ダケカンバ林が続く。植物にも疎く、花の名前は後付けの知識であり、林もコース案内に記されたダケカンバ以外は自信がない。
上り道は汗ばむ。樹林で風も抑えられているので、途中で薄手のウィンドブレーカーを脱いだ。山好きな人が多い。前にも後ろにも、マイペースでハイキングを楽しんでいる。しっかりしたカメラで、高山の花や山の風景を撮影している人も少なくない。
ゆるやかな上りもあるが、ややきつい勾配もある。歩き始めでまだ元気だ。急に視界が開け、中央火口が姿を見せた(次頁写真)。足もとは石が多くなり、ロープを張った細い道に変わる。樹木はなくなり、強い風であおられながら踏みとどまっているような姿のハイマツが砂利の斜面にしがみついている。
砂利の斜面には、高山植物の女王と呼ばれるコマクサが誇らしげに赤紫の小さな花をつけている。本白根山はコマクサの群生地としても知られるそうで、あちらでもこちらでもコマクサの写真を撮っている。まだ時期が早いのか、砂礫が動くためか、コマクサの特性か、赤紫の花はまばらだった。
中央火口のをぐるりと回るように歩く道が決められていて、火口を半分ほど進むと、右の本白根山山頂2150mと左の展望所2145mを経由したハイキングコースの分かれ道になる。だいたい10:30、まだ元気なので、右手・山頂の道を選んだ。雲はなくなり、日射しが強まった。厚いウィンドブレーカーを脱いだ。半袖のハイカーもいるが、風は冷たいので薄いウィンドブレーカーに着替える。
15分ほど石だらけの斜面を上ると、平坦な道になる。ここで一息し、北に見える山並みの風景を眺める。まだ山頂は遠い。コース案内を確認する。日ごろ山道を歩いているわけではないので、足腰の疲れが読めない。ここで体力を使い過ぎ、この先のハイキングに支障が出ては困る。長く山を歩いていないので大事を取って、山頂はあきらめ、分岐点に戻った。
分岐点に戻る。時計は10:55、コマクサリフトを降りてからおおよそ1時間歩いた。左手の中央火口を見下ろしながら、石がごろついた道を上る。右手の石がむき出した斜面にはけなげにもコマクサがしがみつき、赤紫の花をつけている。
きつい上りに変わった。木の階段は気をつけないと踏み外しそう。足もとを確かめながら上りきる。晴で良かった。雨だったら石混じりの土面も木の階段も滑りやすかったに違いない。
標高2145mの本白根山展望所にたどり着いた。分岐点からはわずか10分ほどの上りだったが、かなりの急勾配で息が切れた。まずは腰を下ろす。風が心地いい。ぐるりと見渡す。どちらを見ても彼方に山並みが続いている(写真、下方の町並みは草津温泉か)。
山頂2150mは逃したが、展望所2145mも十分に達成感を感じる。持参したジュースを飲む。ふだんジュースなどの甘味飲料は飲まないから甘みをきつく感じるが、糖分補給になりそうだ。チョコレートも食べる。落ちついてきた。展望所登頂記念に写真を撮る(写真)。
展望所の標識には日本百名山と記されている。本白根山、白根山、逢の峰を総称した草津白根山が日本百名山だそうだ。展望所は山頂ではないが、標識に記されているから、当たらずとも遠からずであろう。
学生のころ、誘われて標高2356mの尾瀬・燧岳に登ったが、燧岳も百名山だそうだ。そのころは百名山を知らなかった?、あるいは百名山がまだ知られていなかった?。それ以来だから、二つ目の百名山になる・・百名山を踏破するサークルもあるそうで、その方々からはたった2つ?と笑われるかも知れない・・。
たっぷり休んでから、下り始めた。 (2016.7)