![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/28/1bd3452ec373c3eb5f6bb384c9ce0871.jpg?1686581499)
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著者は現在の中国新疆ウィグル自治区(以前の東トルキスタン)で生まれ育ったカザフ人女性。
本の初めには遊牧民族として平和に暮らしていた子供時代の思い出が綴られています。
新疆ウィグル自治区はドイツやフランス、スペインの三国を併せた面積より広大な地域で、
周囲を7000メートルを超える山々に囲まれた雄大な風光明媚な所だったそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/46/d5506c183bea2fe26cac808d9f5df0db.jpg?1686582203)
この地域に1980年代前半から中国人が大挙して押し寄せるようになったのはこの地の膨大な地下資源が理由です。
原油、ウラニウム、金鉱、鉄鉱石、そして世界最大級の石炭鉱床が地下に眠っています。
そして綿花栽培の労働力としてもウィグル人が動員されました。
90年代になると無制限に鉱石を採取し続けたため泉は枯れて環境汚染も進みました。
2009年には東トルキスタン出身のウィグル人少女が複数の中国人にレイプされた事件があり、
その後騒乱や数千人のウィグル人が大規模なデモを行います。
そして中国政府によるウィグル人の中国への同化政策がますます熾烈になります。
それはナチがユダヤ人を大量虐殺したような殺戮は行われないものの中国政府が行なっているのは
「生かしたままウィグル民族を消滅させること」と著者のサウトバイさんは語っています。
現在この地域の強制収容所には120 万人から180 万人が拘束されていると言われます。
収容所で行われているのは強制労働だけではなく、「再教育」の名の下での思想教育、民族アイデンティティの否定、漢族と中国文化への同化強制、従わないものへの虐待、拷問、性犯罪です。
成人女性への強制不妊手術については文藝春秋の記事があります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/77/4ecafae86b532bc71af06c6b0b713ba3.jpg?1686584143)
当時幼稚園の先生をしていたサウトバイさんは突然「再教育収容所」に連行されてしまいます。
その後強制収容所に拘束されてしまうこともなく何故厳しい監視体制の新疆ウィグル自治区から脱出できたかというと
「再教育され漢民族に同化した」と当局が認め再び幼稚園で働くことを許されたからです。
夫と二人の子供がいる隣国のカザフスタンに逃れ家族と再会出来たのは2018年のことでした。
医者で教師の資格を持つサウトバイさんは公務員で2016年7月には全ての公務員のパスポートが没収されてしまいました。
そのためご主人が二人のお子さんを連れてカザフスタンに一足早く逃れていたのです。
現在この地域に住むウィグル人は全てパスポートを没収されてしまっています。
本の中で1番戦慄を覚えたのはサウトバイさんが収容所で取り調べを受けていた時に目にしたという中国政府の三段階計画です。
第一段階(2014−2025)
新疆において同化する意思を持つ者は同化させそうでない者は排除
第二段階(2025–2035)
中国国内での同化完了後、近隣諸国の併合
(キルギス、カザフスタン、ウズベキスタン)
第三段階(2035-2055)
中国の夢の実現後はヨーロッパの占領
(本の224ページに記載)
この本は友人の所有で明日お返しするので、その前に読後感を記す事にしました。
長文になり恐縮です。
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