神気、上色見熊野座神社

2023-05-27 10:03:47 |  熊本の旅、多彩
翌日は阿蘇観光二日目。
まずは南阿蘇にある上色見熊野座(かみしきみくまのざ)神社へ。
泊まったペンションから車で15分くらいだったろうか、駐車場に車を止めてお詣りに。



道路のすぐ横に入口の鳥居があり、そこから石段を登っていく。
この神社は山の斜面に参道があって、その雰囲気が神気に満ちていて来たかったところである。
阿蘇にこんな神社があると知らなかったのだが、なかなか人気があって、たくさんの方がお詣りに来ていた。



参道は背の高い木々が林立する暗い林の中にあり、両脇には大きな石灯籠がたくさん並んでいた。
昔から信仰を集めていたことが分かる。
朝の光が斜めに差し込み、苔むした灯籠や石畳みを照らす中のぼっていく。



最初真っ直ぐに伸びていた参道は緩やかに右に曲がり、途中の古びた鳥居の向こうに社が見えてくる。
最後は少し傾斜が強くなり、登り切ると拝殿と小振りな本殿があった。
お詣りし、写真を撮りに来たことを報告、撮影の無事を請うた。



さて、お詣りも済んで拝殿の周りを撮影して戻ろうかと思っていたら、拝殿に神社の由来が書かれた紙が貼ってあったので読んでみた。
神話の時代、阿蘇におわした大明神が弓を射て遊んでいた。
鬼八法師という従者がその矢をいちいち拾っていたのだが面倒になり、足の指に挟んで投げ返したそうだ。
その不遜な行為に激怒した大明神から追われ逃げ出したが、この地にある岩の壁に行く手を阻まれてしまった。
しかしこの岩壁を蹴破ってさらに逃げたという。



その岩穴は穿戸岩(うげといわ)と呼ばれ、さらにこの上にあるとのことなので行ってみることに。
本殿の左側から今度はつづら折れの道が山の上へと向かっていた。
傾斜を増した林の中を登っていくと、巨大な何かが頭上に見えてきた。



急な斜面の上にこちらに覆い被さるようにせり出して居るので、なにやら重い圧迫感を感じる存在だ。
さらに登っていくと正体がはっきりしてきた。
分厚く高い岩壁が立ちはだかっていたのだ。
そしてその岩壁には神話にあったとおりの大きな穴が開いていた。



間近で見るとすごい存在感、なんか圧倒された。
昔の人がこの雰囲気に神を感じても不思議のない光景だ。
今なら岩山の成分はこれこれで、柔らかい地層部が侵食を受けて穴が開いたんだろう、なんて分析をすると思うが、神様が蹴破ったという説の方が夢があるなあ。



岩壁の厚さは5mくらいだろうか。
根元には石が幾つも積まれていた。
磐の向こうにはもう何もないようで、入ると危険だから責任取れないよと立札があった。



この神社へは雰囲気ある参道に身を置きたくて来たのだが、思わぬ別の神気に触れさせて貰った。
本殿に戻り、上から見下ろす参道は、お詣りする前に通った参道とまた違ったものに感じられたのは気のせいだろうか。
目が開いたからか入口の鳥居横に、来た時に気付かなかった古い狛犬も居るのを見つけた。
(新旧あうんで四体居たのであった。)