7月の尾瀬

2011-06-26 00:09:42 |  7月の夏休み
梅雨真っ只中。
ですが、大阪の梅雨は中休み。
昨日今日と日中青空が広がりました。
こんなに濃い青を見たのは久しぶり。
今週はいよいよ気温も上がって、じめじめむしむし。
もう夏ですね。

夏と言えば夏休み。
昨年を思い返すと、梅雨も終盤に差し掛かった7月初め、早くも休みをとって、鳥海山と尾瀬に行ったのでした。
良かったなぁ。
今年は長期休暇は取れそうにないので、分断された夏休みになりそう。
7月、8月、9月にそれぞれ1日ずつ取得し、山の遅い初夏と、盛夏の高原、早い初秋を、少し遠出して楽しむのだ。

おや、記事を書き出した時は、長い休みが取れなくて気分は下向きだったのに、こう書いてみると分割取得もなかなか面白そうではないですか。
…きちんと考えてみよ。

さて7月を目前にして、今年は行けない尾瀬の旅を追体験したく、フォトチャンネルを作成しました。
大きなディスプレイでも見えるようにしてますから、全画面表示してみてくださいね。




←その時の様子を記事にした、特集カテゴリ「7月の夏休み」も、どぞよろしく。


駒草

2010-07-31 01:01:30 |  7月の夏休み
昨日、一昨日と曇ったり雨が降ったり、久しぶりに過ごしやすい日となりました。
きっと梅雨時と気温湿度は変わらないんでしょうけど、ジメジメした感じは受けず。
それだけ過酷な猛暑だったんですね。
日差しがないとこんなに楽なんだ、と実感。

さて、7月の夏休みシリーズ最終話は、旅の帰り道に寄った草津白根山のお話し。
(信州の山をちょっと寄ってく場所にできるなんて、東北旅行はなんて贅沢なんでしょう。)

なんで白根山なのか、選択理由は明確です。
前に書きましたが、7月初旬に夏休みを取った目的の一つは、花咲く季節の山を歩くため。
狙い通りいろいろ観賞する事ができたのですが、鳥海山と尾瀬にはいない7月の花があり、それを写真に収めたかった。
その花はコマクサ。
8月に盛りを過ぎた花は見た事があるのですが、今が旬、という奴を見てみたかったのです。
白根山は他の季節に何度か来ていて、群生地までの道が易しいと知っていたので、疲れていても挫けず歩けるかなと白羽の矢を立てました。
湯釜も最高地点も無視して群生地だけを目指し歩く。



おー、咲いてる咲いてる。
ふわりと葉を広げた株のほとんどが花をつけてます。
凄い、壮観。

こんなにたくさん咲くのですね。
早速遊歩道近くの花を狙う。
…でもなんか思い描いていた画にならない。
なんだろー。

どうも土壌の色がイメージと違うのが原因のよう。
前に秋田駒ヶ岳で見た時は、灰黒色の礫の上にモスグリーンの葉と桃紫色の花弁が映えて素敵だった。
一般の植物を拒絶する荒涼とした地に咲く健気さが際立つのでしょうか。
ここの石ころは白や茶色が目立ち、花がもう一つ映えない。
…贅沢な文句ですね。


奥羽三楽郷

2010-07-28 21:40:59 |  7月の夏休み
東北地方は旅する機会が少ないので、訪れた事の無い温泉地がふんだんにあり、選ぶのに困りません。
個人的な感想ですが、泉質も温泉宿や施設の佇まいも珍しいものが多いような。
いつものように、次の目的地までの途上に良さげな所を物色し、今回は二ヶ所の温泉に入って来ました。

順番前後しますが、先に二つ目を紹介。
鳥海山を登り終えて、米沢に向かう途中、上山(かみのやま)温泉へ寄りました。
街中にある公衆浴場、下大湯共同浴場へ。
歴史はとても古いらしいのですが、建物は戦後建て替えられたそう。
それでもモルタル(かな?)の外観とタイル張りの浴室は、十分郷愁を誘う造り。
浴室内の注意書きが時代を感じさせる。
街の公衆浴場なので、お客さんは地の人がほとんど。
桶にシャンプーなど入れてたくさん来てました。
熱いお湯で、汗を流したのに、風呂を上がった後なかなか火照りが収まらず、また汗をかいてしまった。
車を止めさせてもらったお城の駐車場まで、涼みつつ下町を歩きました。

もう1日は旅の初日、延々と高速を走り、まだ明るい内に山形県に入って通りかかった湯野浜温泉。
海岸沿いにある駐車場に止めて、手近な宿に立ち寄り入浴させてもらえないか聞く事にしました。
入った所はなんかとっても立派な旅館で、綺麗に整えられた内庭や離れがあり、ロビーは高く広くお土産売り場も洒落て今風な宿。
フロントで問合せると、もう外来入浴時間は終わったとの事。
街に公衆浴場など無いか聞いてみると、温泉街の地図をくれて、親切に場所を説明してくれました。

薄暗くなった人気の少ない道を歩き、バス停のロータリー横にある鶴岡市湯野浜下区公衆浴場に到着。
公衆浴場にしては小さめで、ここはあまり特徴のない造り。
やはり地元の人がほとんど。
皆さんきちんと「こんばんは」と挨拶して浴室に入ってきます。すばらしい。
その時間、洗い場のカランは入れ替わり立ち替わりほぼ埋まり続ける盛況ぶり。
小さな町なのでみんな顔見知りのよう。
話が途切れません。
そしてそして地の人同士なので、方言100%、何を話しているのかまったく分かりません。
少しにごり、アクセントが逆の、流れるよう話される異国の言葉。
聞き取れる文節、いや単語すら一つもありません。
いやあ、遠くまで来たもんだ、と実感。
こんな瞬間に出会えるのも旅の醍醐味。
東北旅行の楽しみの一つです。

お湯はとても熱く、私はゆっくりゆっくりと体を沈めますが、他の皆さんは「シュッ」とか「むん」とか気合もろとも一気に首まで浸かります。
血圧に注意してくださいね。
後から分かったことですがこの二つの温泉、偶然にも奥羽三楽郷と呼ばれる温泉地の三つの内の二つだそうです。

<湯野浜温泉手前の日本海>

小屋の食事

2010-07-25 22:36:01 |  7月の夏休み
鳥海山で1泊、尾瀬で2泊、山小屋に泊まりました。
何れの山小屋も、朝夕、たっぷり食べさせてくれます。
お蔭で、お昼の12時になってもお腹が空かない。
いつも山に登る朝は、パンを1つ2つ食べるのですが、10時くらいにはお腹が空きだす。
ご飯って腹持ちがいいんですね。

尾瀬にはコンビニがないので、お昼は小屋にお願いしてお弁当を作ってもらいます。
だいたい800円くらい。
どこも判で押したように丸型おにぎり二つが木の皮を模した紙に包まれ、付け合せのおかずがチョロッと付いてる。
このおにぎりが大きい。
コンビニで売ってるおにぎりの1.7倍くらい米を使ってる。
付け合せのおかずは小屋によって様々。
子袋に入った1食分のきゅうりの漬物や、魚肉チーズソーセージや、鮫だか鱈だかの干物が入ってる。
やっぱり、保存食中心。
量が多いので、食事時間もこれまでの山行の2倍を掛けて楽しみました。
おかげさまで、夕刻、次の食事までお腹が空くことなく、バッチリ持ちました。
携行食として用意した高カロリーのクッキーに手を付けることなく、帰って来た次第。
(山でなら食べる気になりますが、日常で食べると太りそう。部屋の片隅にまだ食べれずに置いてある。

平日の尾瀬は小中学校の遠足だか修学旅行だかで、子供たちの団体が多いようで。
沼尻、山ノ鼻でお昼にしたときは、横で団体様も食事中。
いや、姦しい姦しい。
だいたい8人くらいの班で行動するみたいで、尾瀬の案内人のおっちゃんが付いていろいろ説明してもらいながら歩く趣向にしているところが多いよう。
「この花の名前はなにかな?」
「この橋が傾いているのは雪のせいです。」
「みんな、ハッチョウトンボは見たかな?」
などなど、聞こえてきます。
一緒に歩いても面白いかも。
<池塘に映る白い雲>


彼らがいるのはメインストリート。
尾瀬ガ原三叉からヨッピ橋の方に入ると途端に静かになります。
やっぱり静かな方がいいか。
山に近いこの道には熊さんが出没するそう。
静かだからホントに出そう。
鈴を付けて、一人にぎやかに歩く。
<ワタスゲ>

早朝散歩

2010-07-25 00:03:01 |  7月の夏休み
霧の尾瀬を見てみたいなと、旅に出る前ガイドブックを見ながら思っていました。
でも旅は梅雨時、雨が降らなければそれだけで万々歳。
期待半分、尾瀬1日目の小屋に泊まりました。
泊まるその日は16時半頃から雨が降り始め、夜にかけて土砂降り。
霧が出るのは早朝。
明日の朝は雨は上がってくれるかしらん。

翌朝、朝4時に起床。
窓外からは雨だれの音。
ああ、雨なのかと思いましたが、葉っぱを叩く音が不規則。
薄暗い外を見てみると、雨は降っておらず、夜間の雨で濡れた木々が雫を落としている音が響いていたのでした。
よおし、空模様は暗くて分かりませんが、とりあえず準備して外に出ることに。

曇っているものの、空は高く青空が一部見えたりして雨の気配はありません。
湿った木道を歩む。
山裾に霧がたゆたっています。徐々に晴れつつある。
撮影撮影。
・・なんかイマイチ。
霧が薄れて、ああ、もう終りかと思って別の方向を撮っていたら、元の山裾にまた霧がかかってる。
消えてはかかり、消えてはかかり、一時も同じ表情は保ってくれません。
いいですね。

空がだいぶ明るくなってきました。
日の出が近いようです。
青空の面積も増え、どうやら今日のお天気はよさそう。
燧ケ岳から日が昇るようです。


そうこうしている内に朝食の時間(6時)が迫ってきました。
コロコロ変わる景色をまだ撮影していたかったのですが、仕方が無い。
一旦小屋に帰ります。
朝食中に外を見ると、今度は湿原全体を覆う霧が出てきて窓外を真っ白にしています。
部屋に戻って出発の準備。
<窓から見た景色>


7:20、また霧の尾瀬を撮るぞと勇んで外に出たら、あれま、もう霧は晴れてしまって至仏山まですっきり見える。
ありゃりゃ、ゆっくり準備しすぎだ。
<霧の名残と至仏山>


小屋の朝食は前日に頼んでおけば、お弁当にしてくれて早朝出立も可能です。
そうしておけば、ずっと外にいられて、美味しい時間を撮影に当てられたのに。
でも、もし雨だったら外で雨の中食べなければいけない・・。
・・あ、部屋で食べればいいのか。
後悔先に立たず。

勉強したよかばかでした。

小屋泊まり

2010-07-24 02:11:23 |  7月の夏休み
しかし、連日すごいお天気ですね。
昼休みに外に出ると、ビルが切り取る空は雲ひとつ無い青一色。
夜、部屋に帰り、蒸した空気を入れ替えつつ、キッチンで洗い物をしようと水の蛇口をひねるとお湯が出る。
この2日は熱湯と言っていい。
これからしばらく睡眠の友は寝汗の日々が続きますね。


さて、早寝早起。
夏休みの旅の間のかりそめの生活習慣でした。
山小屋に泊まると朝だけでなく夜も早い。
娯楽設備などなく、消灯時間が設けられ、何より昼間の疲れが夜更かしを許さない。

山小屋への到着はいつも早く4時頃だったので、小屋の近くを歩いたり、風呂に入ったり(尾瀬の小屋には風呂がある!!)、夕食までの時間を過ごし、夕食後は明日の行程チェックなどしますが、満ちたお腹と疲れがまぶたを押し下げる。

鳥海山と尾瀬の1日目は、19時半には寝入ってしまった。
しかし、こんなに早く寝てしまうとさすがに夜中に目が覚める。
浅い眠りと浅い覚醒、辛い時間の過ごし方で嫌いです。

早く寝るとこういう事態になることは分かっていたので、消灯時間までなんとか意識を保っていたかったのですが、難しかった。
どうすれば何も出来ない夜、きちんと眠る時間にできるのか。
答えを尾瀬の2日目に見つけました。

その日も小屋に4時前に着いて、部屋で横になってホッとしていたら、瞬時に食事の時間になってました。
・・寝ちゃったみたいです。
それで頭も体もすっきり、食事後も眠くならずに消灯時間を迎えました。
反対に眠れなくなるのではと不安を抱いていたのですが、旅も後半、蓄積された疲労があっさり夢の世界に連れて行ってくれました。
翌早朝、明るくなる頃目覚めて言う事無し。
次回、山中泊する時はこの対処法で安眠確保したいと思います。

<池塘に浮かぶヒツジグサ>

尾瀬の印象

2010-07-23 00:54:44 |  7月の夏休み
尾瀬を訪れてまず感じたのは、とにかく広~~~いという事でした。
尾瀬沼から尾瀬ガ原に向かい、北東端、木々に囲まれた山道から開ける見晴からの眺めに目を見張る。
小屋のベンチに座ってしばし眺める。
地図で見ると一番幅の広い場所のようで、こういう所なんだと驚いてしまった。
木道を竜宮十字路の方へ歩いて行くと、一旦拠水林が視界を遮りますが、そこを抜ければまた湿原が広がる。
そんな繰り返しが山ノ鼻まで続く。
、凄い。
<至仏山と牛首に伸びる木道>


次に思ったのが、湿原らしからぬ?草丈。
横から見ると原っぱのように丈高い草木で覆われてます。
上から覗かないと、湿原に見えない場所が結構ある。
富栄養化が進んでいるのでしょうか。

後、木道が立派。
基幹部に設置された木道は整備が行き届き、がっちり脚高く、増水時(そんな事態があるのか知りませんが)にも冠水して困る事はなさそう。
しかしこれが写真撮影には大敵。
湿地に咲く小さな花を撮ろうと思っても、木道の下方に可憐な君は居て、見目麗しい表情をアップで撮る事の邪魔をする。
つまらない、ああつまらない。
<タテヤマリンドウ。遠い


しかしあきらめかけた私に救いの手が。
尾瀬ガ原の周辺に点在する小さな湿原の木道は古く、湿地面に直接板を敷いてる所があって、花が近い。
ひとけが無いのをいいことに、木道に腹這いになってGETしました。
<タテヤマリンドウ。近い


<モウセンゴケ>


予定外だったのは

2010-07-20 23:48:59 |  7月の夏休み
今回の山行、入山日程や宿への到着時刻など、ほとんどが事前の計画通りで、あれれ、心中意外でした。
大抵、大幅に出発が遅れたり、取り止めたりなんて事になる計画事項があるんだけれど…。
まあ、理由としては、今回の山行の性質上あらかじめほとんどの旅程を計画し、宿も予約しておく必要があり、途中で次の行き先を検討する時間が不要だった事が大きいと思う。

いつもの行き当たりばったりな、制約のなさは楽しめなかったけれど、必然的に付いてくる、旅先の時間を無駄にする勿体なさを感じずよかった。
こんな旅もいいなとちょっと見直してしまった。
充実感を感じたのは、そんな理由からかもしれない。

しかしそれでも予定外の事がありました。
それはコースタイムの読み違え。
鳥海山も尾瀬も1日の歩行時間を、ガイドブックや登山地図のコースタイムで3時間半から4時間半に抑え、写真撮影の時間を2時間くらい確保して、残りをボンヤリする時間に充てようとしました。
ところが写真撮影に時間を取りすぎて、特に尾瀬で、落ち着ける時間が手に入れれなかった。
昔はこの割合で撮影して山も歩けたのに。
写真に時間を使うようになったが、手元に残る画像は代わり映えしない…。
これはスランプと言うのだろうか。

雫たっぷり

2010-07-18 23:30:31 |  7月の夏休み
「7月の夏休み」で前回書いた雲中の道行き。
湿り気は鬱陶しかったですが良いこともありました。
外輪山上も花が多く、しかも加えて雫をいっぱい付けてくれてて。
風が強かったものの、風の通り道のすぐ脇に無風エリアがあったりして、そこに咲く花を狙いました。

<アオノツガザクラ>


<イワブクロ>


<イワウメ>


<ハクサンシャクナゲ>

雪渓の恐怖、再び

2010-07-16 00:10:56 |  7月の夏休み
翌朝も晴れ。
空はすっきり晴れ渡り、草花は朝露に濡れ、吸い込む空気はすがすがしい。
これは住環境の悪い山中に泊まったが故のご褒美。
山小屋の朝は早い。
5時半から朝食。
しっかり食べて今日の道行きに備え、さっ出発だ。

行く手にそびえる外輪山の上から太陽が顔を出し、露を纏った草花が逆光に輝き私の足を止める。
<イワベンケイ>


<ミヤマキンバイ?>



今日の行程は外輪山に上り、稜線を七五三掛まで下り、昨日来た道を戻る。
まずは外輪山へ。
山小屋の人に道を聞くと、雪渓があるので上に登り横切れと言う。
雪渓手前で先に歩いていた人がルートを探して立ち止まってる。
私:「おはようございます。」
彼:「おはようございます。外輪山へは、あの矢印を登るのですかね?」
 と雪渓を横切った先に見える、直登コースを指差す。
彼:「さすがにあれを登ると言うのは無いのでしょうか?」
私:「どうでしょう。上に行けと聞いたので、私は雪渓を登って見ます。」
と分かれました。

雪渓は夜固く締まったようで、昨日より滑りやすく脚に余計な力が入り、疲れる。
やだな。
傾斜は外輪山に向かいどんどん急になり、危険を感じる様になる。
これ、滑ったら途中で止まれないだろうな。
怖いので、アイゼンを付ける事にする。
初アイゼン。
大昔に買って一度も使わず置いてあった6本爪の軽アイゼンを、もしもの時の為に持って来た。
やっと日の目を見る。
レジ袋を取出しお尻に敷いて雪渓上に腰を降ろし、装着。

…これはいい。
滑る気配は全く見せず、少し位の傾斜はものともせず歩ける。
さくさくと歩き、先を見通せる場所まで行って、この先に外輪山への取り付き場所はどう見ても無さげであることが分かる。
さっきの人が向かったコースが正しそう。
そちらに戻ろうとすると、途中まで登っているらしいその人が、「こちらの道でいけますよ。」と大きな声で呼びかけてくれました。
そこからだと傾斜が急なので、一度戻って横切るといいですよと教えてくれる。
私:「はーい。」

戻る途中、下からガスが湧いて来るのが目に入る。
あれれ。
元の場所に戻った時には一気にガスが広がり、目の前が真っ白になってしまった。
これは歩けない。
ガスが晴れるのをしばらく待つことにする。
10分ほど岩に座って待っていると、少し霧が薄くなり、10mくらい先まで見えるようになる。
それでも対岸はまったく見えず、さっきは見えた上り口がどこにあるのか分からないので、目測で歩いて行かねばならない。
迷ったが、左から右への傾斜傾向がはっきりしているので、方向が分からなくなることはないだろうと、横切ることにした。

アイゼンのおかげで、足元の不安がまったく無いのが力強い。
歩いていくと、対岸の斜面が見えてきた。
白くガスっているので白い矢印が見えず取り付き場所が分からない。
下のほうを探すか、上のほうを探すか。距離の短い上から探してみる。
ビンゴ、登山道発見。
見た目垂直に見える凄い斜面(大袈裟。60度位)ですが、雪渓の恐怖に比べれば、フリクションの効く岩土の道はなんてことはなし。
行く手を照らす太陽の光が雪渓からの脱出先を指し示してくれるよう。


登りきり、外輪山の稜線に到着。
その頃には太陽は隠れてしまい、稜線の反対側もガスって真っ白。
すっかり雲の中に入ってしまったようだ。
この日は、濃くなり薄くなりする雲の中をずっと歩く事になる。
左から右に風が強い。
目に見える水の粒が吹き流れ、メガネに付着して水滴となり視界をふさぐ。
雨の中を進む状態となり、カッパを着る事に。
朝のあのお天気は一瞬で終わっちゃって、幻のよう。
ホントに山の天気って…。