子供の頃は旅するのに乗り換えが多いほど嬉しかったものだ。

2016-08-29 22:48:47 | その他旅行き
夏の帰省はお盆を避け、土日に一日お休みを付けて帰ってきた。
そして今回は行きだけルートを変えてみた。
普通なら新幹線で名古屋まで行き、あとは近鉄だ。
今回は新幹線を豊橋で降り、豊橋鉄道で三河田原へ、バスで伊良湖岬へ、フェリーで鳥羽へ、そして近鉄、なんてコースにしてみた。
何処かで道草して遊ぶ代わりに、たくさん乗り換えして、移動を楽しむ旅だ。
接続が悪くて馬鹿ほど時間がかかるが、意外と安価で帰れた。

まず時間がかかったのは新幹線。
豊橋で降りるためにはこだま号に乗らねばならない。
もう途中駅でのぞみやひかりにバンバン抜かれる抜かれる。
いかに新幹線が過密ダイヤで運行されているか実感する。
5~6分駅に停車していると、その間に2列車に抜かれるのだ。
豊橋まで7駅あるのだが、そのうち4駅で5~6分停車した。
新横浜から豊橋まで2時間もかかった。
まあ、車なら2時間では行けないから遅いと言うには当たらないが。
比較の問題ですな。

<ハマボウは茶色>


次は豊橋鉄道渥美線。
全線単線。
街中を走るが、まあローカル線と言っていいだろう。
先頭車両に乗って前からやってくる景色を眺めた。
緑が線路の両脇から侵入してきて、枕木が草に覆われている所が随所にある。
夏の名残の日差しが緑を輝かせていた。
渥美線の車両は東急電鉄のお下がりだが、まだまだ元気でぐいぐい加速する。
カラフルトレインと名付けられ、車体の一部を渥美半島に咲く花の色に塗り、その花のヘッドマークをつけている。
待ち合わせ、すれ違う電車の色がみんな違い、なかなか面白い。
どこの地方鉄道も独自色を出して、経営頑張ってますなあ。

車掌さんが乗ってるのに運転士が時々扉開閉するので、なんでだと思ったら、車掌さんは無人駅のホームで料金収集業務をこなさねばいけないからのようだ。
車掌さん、後ろからホームを渡って先頭車両で扉操作したり、車内放送したりと、なかなか大変だ。
運転士が扉開閉を受け持つ駅となにもしない駅がある。
助け合い分業?してるのですなあ。
新豊橋から三河田原駅まで18km、35分、楽しませてもらった。

<サイドミラー>


三河田原駅裏の食堂でお昼を食べて、豊鉄バスで伊良湖岬まで。
ずっと「いらこ」だと思っていたが、「いらご」と発音するらしい。
乗車時間は約50分。
路線バスにそんな長時間乗るなんてあまりない。
少年野球大会でもあったのか、ユニフォーム着た少年達が2チームも乗ってきて賑やかだ。
三々五々途中のバス停で降りていった。
進むに従い乗客は少なくなり、最後は私ともう一人二人くらいだった。
車でならともかく、電車旅でわざわざ手間のかかるルートを取る物好きは少ないようだ。

<伊良湖岬の海>


港は岬の内側にあり、海の近くらしく照葉樹の山を後ろに、明るく開けた場所だった。
灯台は意外に遠く600mほど歩く必要があり、行けないことは無かったが駐車場の外れで充分きれいな眺めが広がっていて、灯台も見えていたのでそこで良しとした。
良い波がくる場所なのか、狭い範囲で多くのサーファーが波に乗っていた。
フェリー乗り場に戻ると、ちょうど鳥羽からのフェリーが入ってくるところ。
先日乗った苫小牧行きのフェリーとは比ぶべくもないが、私にとっては充分大きな船。
航送する車と同じ場所から乗船するという、建物は立派なのに飾り気のない乗り場だった。
車は車両甲板の前の方に10台程固まって乗せただけ。
乗客もとても少なく、広い船内にずらりと並んだ座席は好きな所に座り放題。
これで経営は成り立っているんだろうかと心配になる。
土日はそれなりにお客さんも乗るのかな。
55分の航海はあっと言う間。
バスの50分は長く感じたのに、乗り物によって乗ってる時間の感じ方が違う。
鳥羽港に徒歩で降りたのは私だけだった。

<中之郷駅>


鳥羽水族館の横に出て西陽の差し込む道路を横断し、最寄りの近鉄中之郷駅へと歩く。
鳥羽なんていつから来てないだろう。
思い出せない。
でも記憶にある町の雰囲気とあまり変わっていないように思う。
背後に山の迫る細長い海辺の町だ。
中之郷駅は2面2線のホームをまたぐ立派な駅舎があるが、無人駅だった。
通過していく特急を眺め、普通電車を待った。


プチ夏休み

2016-08-24 23:57:45 | 山行
8月初め、年休を土日にプラスしてプチ夏休みをいただいた。
夏山に行こう、夏山に。
夏山でイメージするのは日本アルプスの稜線歩きだが、いろいろいろいろいろいろある理由から、日帰り登山になった。
あー、正確には前夜泊の一泊一日登山。
山は山梨県にある瑞牆山(みずがきやま)。
標高2230mである。



当然天気のいい日を狙って行った。
前夜泊した登山口の瑞牆山荘奥の駐車場は真っ暗で、ヘッドライトを消すと夜空に満天の星が輝いて見えた。
写真を撮ろうかと思ったが、広い駐車場には結構な数の先客が車を止めていて、シンと静か。
ガチャガチャやっては迷惑かと見るだけにとどめておいた。



翌朝は5時半に歩き出した。
上空は青空だが南西斜面を登るので朝日は差し込まず、青みを帯びた山道をゆく。
最初のうちは傾斜もなだらかで、サクサクと歩を進める。
程なく富士見平小屋を通過。
小屋前の広場は、ベンチで朝食を摂ったり、出発の準備を進める方でいっぱい。
奥に金峰山もあるからか、登山口からすぐのとこなのに人気の小屋みたいだ。



小屋を過ぎてしばらく行くと、道は下り坂となる。
降り切った天鳥川から再び上り。
ここからの上りは急斜面で、膝に手をついて登らねばいけない段差が頻出。
花崗岩の巨岩の横や下をヒーコラいいながら登る。
なかなかに体力を削がれる道だ。
登山道は幅が広く、急斜面で岩がちだからか一本の道は形作られにくいようで、網目状に直登するルート、回り込むルートが入り乱れていた。
上り下りのすれ違いのやり易い登山道と言える。



なんのマジないだか、花崗岩の大きな岩に木の枝を立てかけてあるのをたくさん見た。
太い丸太や細い小枝まで、いっぱい立てかけてある。
登山に来た巡礼者がお供えしているみたい。
あれだな、石を積んでケルンを作るような感覚なんだろうか。
急斜面を岩が転がり落ちないよう支えているように見えて面白い。



山頂到着は8時15分。
今回はお天気よく迎えてくれた。
左から金峰山、富士山、南アルプスに北アルプス、八ヶ岳と、真っ青な空の下、近く遠く峰々の稜線がくっきりと望めた。
こりゃあいい。
周りの上り終えた皆さんも一様にごきげんである。
山頂は巨大な岩上で、片側は垂直に切れ落ちて、下を覗くとあな恐ろしや。
すぐ隣にも巨石が屹立し、なかなか特徴的な山上だ。




八ヶ岳側に斜めに平らな場所があり、横になってしばし眠った。
日がさんさんと差していたが、標高のせいか暑くは感じず、上りの疲れも手伝って気持ちよく眠った。
いびきをかいてなかったろうか。
程よく眠って起き出し、お昼にした。
眠ってる間に雲が少し出て来て、富士山は見えなくなっていた。
新たに山頂に到着した方は少し残念そう。
でもまだまだ他の山々は青くくっきりと眺められた。
結局山頂には2時間もいた。
最長記録だな。
それだけ居心地が良かったということか。



下りは上りと同じ道を引き返した。
花はさほど多くなく、キノコの方がよく見かけた。
花の密度が一番濃かったのは富士見平小屋の周り。
マルバダケブキの黄色い花が咲き始めていた。
トンボが蕾に止まっていたので逃げないよう遠くから撮影。
しかしこのトンボ、結構近づいても一向に逃げようとしない。
調子に乗ってどんどん近づいて、大きく撮ってやった。
そして下山。
駐車場着は13:00だった。



今回の登山口は中央道から結構離れている。
途中山中の温泉地を抜けてさらに奥に入らねばいけない。
行きは夜で真っ暗だったから様子がよく分からなかったが、帰りに明るい中走ったらある事に気付いた。
林道は渓流の横を走り、駐車スペースも結構ある。
夏場の涼を得るのに日がな一日過ごすのに良さげな所だ。
なにも高度を稼がなくても涼しく過ごせる場所があるのではと思ったのだ。
問題は水辺でヤブ蚊がいるかどうかだな。


なんで新しく感じたのか

2016-08-21 20:05:22 | 音楽&本&映画
小説は程度の差こそあれ、我々を日常生活から離れた仮想の世界に連れて行ってくれるツールだ。
時々うんと遠い世界に連れて行って欲しくなる。
そんな時は、SFなりファンタジーな内容のものを選び読めばよい。
先日そんな気分に陥ってしまった。
それで本屋に並ぶ文庫本の背表紙の文字に、手を伸ばしたのは「図書館の魔女」4巻セットの第1巻だった。
開いてみると、本文までに登場人物覚書に話の舞台の古地図、目次はひらがなばかりで、なにやらファンタジー小説の雰囲気が整っている。
帯のコピーは当然「こりゃお勧めですぜ旦那」な文言。
4巻もあるのか。
まあ、つまらなければ全部読まなくてもいいか、と買ってみた。
反対に4巻も楽しめて良かった、が読中読後の感想だった。

ファンタジーとは、乱暴に言ってしまえばこの世とは違う異世界での冒険物語だ。
例えば魔法が幅を利かせ魔物が跋扈する不思議の国の不条理が背景だったりする。
「図書館の魔女」は舞台設定こそファンタジーだが、語られる内容は理にかなっており、現実に「ありそー」なお話し。
物語はあくまで理詰めで進む。
魔女や魔術なんて表現も出てくるが、それらは隠喩で使われるだけ。
だけど異世界情緒たっぷり。
少し無理があるのは主人公の女の子男の子の、年齢に似合わぬ異常に秀でた能力くらいか。
まあ、これがないとこの物語は成り立たないのだが。

主題は言葉の力である。
話すということ、書くということ、読むということ。
その意の伝え方によりその意味するところが変わる。
言外に託した真意、ふさわしくない言葉の裏。
これらをあやつり、把握し、状況を鑑みて利用する。
書物は言葉を撚り合せたもの。
図書館はそれら書物を納めた場所。
主人公たちはその図書館を根城とし、文献より得た知識を駆使して、最も効果的に望む結果を得るための対処策を立案し、議会工作、諜報活動を手段として国を動かし敵国に対抗していく。

ふうむ、こう書くとなんか現代のスパイ小説みたいだ。
読んでてそう思えないのはなんでかな。
そこに筆者の腕があるのだろう。
物語の中で語られる上記の言葉の力を、物語を読む我々に対して使用している。
まんまと筆者の策略に乗ってしまった事になるが、策略に乗るのがお勧めだ。
謎解きの要素も多分にあるが、謎をミステリーっぽく使っていないのもいい。
私は純粋な?推理小説は苦手である。
謎解きが主題で、人が殺されているのにコップを割ってしまったみたいなただの出来事として書かれているのがしっくりこない。
この小説のように物語を進める上で必要な謎解きとして使用されるのが良いですな。

先の舞台地図が地球上のものでないので、完全に架空の世界の物語かと思っていたが、北方東方西方南方の観念が現世界のものと似通っていて、時代も中世頃のよう。
その頃の時代背景や環境をベースに使い、しかし登場する国はまったくの仮想、そんな設定だ。
図書館の蔵書の装丁のあり方や生活で使用する備品など、我々の周りに存在する道具を表す言葉で書かれている。
物語の舞台をまったく新しく作るのでなく、既存の概念をそのまま利用して説明にかかる手間を省き、誤った解釈を避けようとしている感じ。
言葉のあやを事細かに説明するのは難しいからな。
それで正解と思う。
その代わり使う言葉はやたら古めかしい。
大体の意味は分かるが、間違った意味に取りたく無い時は、スマホ片手に辞書を引きつつ読むことになった。

最近買った小説は新たな思考方法、アイデアの参考にしようとしたもの。
だからか集中して読むことはなく、ぶつ切りに通勤時間に読んではやめ読んではやめ、座って読むことができたら途中で眠ってしまうこと多々。
しかし「図書館の魔女」は違った。
読書するための時間を設けて読みたいと思わせるものだった。
夕食後、寝るまでの時間に読み進めてもまったく眠くならない。
高校時代に好きな続き物の新刊を手に入れた日に、一晩で読み切ったような面白さ。
その頃の体力は無いので、晩に読むときは翌日の仕事に影響のない範囲ではあったが。
それでも、休日の時間を使い、夕食後に読みたいと思わせる作品に会ったのは久しぶりだ。
である。


暑さくらべ

2016-08-18 23:21:25 | Weblog
お盆も過ぎ、こちらに越してきて一年目の夏が終わろうとしている。
まだまだ暑いけどね。
でも今年の夏の暑さはさほどではなかったなあ。
暑いっちゃ暑いんだけど、辟易とするものではなかった。
関東の夏は例年より涼しかったのだろうか。
西日本は連日猛暑日が続いていたように思うが、こちらは猛暑日を記録した日が少なかったような。
それとも神奈川県が例外で、よく聞く館林市など北関東の都市は例年通り暑かったのだろうか。

私の場合、日中はビル内で仕事してるので、暑さを測る基準はエアコンの無い(今はあるけど使用しない)自室で夜過ごす時の感じ方になる。
まず帰宅時、部屋に入った時の熱気の残り方。
大阪にいた時の部屋は夏場は毎日温室に入ったようで、兎にも角にもまずは窓を開けねば居れなかった。
窓を開け放って夕食を食べ、空気が入れ替わったはずだが、就寝する時もまだ暑かった。
下に何か敷いて横になる気にはまったくなれず、畳の上に直に寝ていたものだ。
南北にある窓を開け放して寝るのだが、風のある夜は良いが、そうでなければほんの少しの涼しか得れず、汗を滴らせて寝ることになる。
毎朝畳を湿気らせて起きていた。
よく腐らなかったものだ。
あまりに暑い晩はベランダに足を出して寝たことがあるくらいだ。

あれは夜の気温が高いからではなく、蓄熱した建物が問題だったのだろう。
こちらの新しい部屋ではずいぶんと楽だった。
まず部屋に帰ってもムッとする暑さはなく、確かに窓は一番に開けるが切羽詰まった感はない。
フローリングなので越してきた時、夏場布団を敷かずにどうやって寝ようか心配したのだが、一面の窓を開けておけば布団の上で十分眠れた。
朝起きると寝汗はかいているが、まあ少し湿るくらいだ。
日に寄っては涼し過ぎる日もあったりする。

どちらの部屋も南西角部屋なので、西日に炙られるのは同じはずなのだが…。
違うのは最上階かどうかだ。
大阪の部屋は最上階で、今の部屋は途中階だ。
西日より日中の真上からの日差しの方が建物をよく暖めるのだろうか。
壁や天井の材質の違いか?
あるいは単純に、神奈川の方が日差しが弱いのかもしれない。
夏は好きだがうだる暑さだけは避けて過ごしたい。
今年は理想に少しだけ近い夏を過ごせたかな。

<ある夏の日の空>



港へのアプローチ

2016-08-15 22:48:27 |  北海道の…
今回、北海道への足はフェリーを利用した。
仙台・苫小牧間を往復。
行きのフェリーは「きそ」号と言い、とってもでかかった。
船には号ってつけないか。
仙台と苫小牧を結んでいるのになんで「木曽」なんだと思ったが、さらに航路は続いているのを失念していた。
名古屋~仙台~苫小牧が全航路だったから、まあ分からんではない。
行きも帰りも夕方に出港し、お昼前に到着するので、船内にいる時間の半分は睡眠時間で、眠っている内に距離を稼いでくれる良い運行時刻設定になっていた。



過去に長距離フェリーはいくつか乗ったことがあるが、これまでで一番豪華で過ごしやすかった。
7階建てで5~7階が客室のあるデッキ。
3階吹き抜けのホールがあり、レストラン、喫茶スペース、売店はもちろん、大浴場にゲーム室に劇場みたいなラウンジなんかもある。
ラウンジとフロアにはピアノが置いてあり、船内放送で生演奏の案内があった。



船でお風呂に始めて入った。
狭くて人がいっぱいなのを予想してこれまでお風呂があっても入ったことはなかったのだが、比較して申し訳ないが、地方都市のビジネスホテルなんかにある共用浴場なんかよりずっと広く、昔よく行っていたスーパー銭湯のシャワーやカランより贅沢にお湯が出た。



北海道に向かった日は日本列島に横たわる梅雨前線と北海道西にある低気圧の影響で波が少し高く、気分が悪くなる一歩手前の揺れ。
持ち込んだ焼酎を少し飲んで早々に就寝。
B寝台を取っていた。
普通に二段ベッドを想像していたが、二段ベッドではあっても上段と下段の入口が反対側にあり、それぞれに通路がある贅沢な作り。
しかも私は一番端っこだったので一人で通路を使えラッキーだった。
室内は冷房が結構効いてて寒いかと思いトレーナーを着て寝たのだが、ロールスクリーン状のカーテンを閉じたら思いのほか密閉性よく、自分の体温で室温が上がったようだ。
汗をかいてしまった。
そして不規則に揺れる寝床。
たくさん変な夢を見た。



朝になると揺れはあるもののだいぶ弱くなっていた。
みんなが起き出す前に起き出して、人のいない船内を撮影して歩いた。
甲板にも出てみた。
風が強い。
いいお天気の航海に見えるが、青空が覗いたのはその時だけで、以降はまた曇り空の下。
窓際の通路に並ぶソファに座って、乗船前に買って持ち込んだパンにバナナの朝食とした。



朝食を食べて歯を磨いてしまったら、しなければいけない事はもうなにもない。
何処かに行けるわけでもない。
苫小牧港到着予定は11:00だ。
ソファに陣取り、いくつも現れる小さな波頭をぼんやり眺め、写真誌に目を落とし、うつらうつらし、ゆっくりと進む船上の時間を過ごした。



たっぷり時間がありすぎ、ソファに座っていられなくなり、マーメイドクラブという喫茶スペースに移りホットコーヒーを注文。
船旅って本当に時間があるんだなあ。
名古屋から乗ったら日中もこうして過ごさねばいけないのか。
確かに娯楽設備がないといられないね。
ぼんやりするのが好きな私でも、一晩乗るのがたぶん精一杯だろう。


また少し年をとった

2016-08-12 23:34:11 | お酒
今年より制定された休日、「山の日」。
さてどう遊ぼう。
我々山好きの為にお休みを作ってくれたようなので山に行くことも考えたが、帰省ラッシュのピーク日だと言うし、関東地方の天気予報もイマイチだし、ちょっと前に山の眺めは堪能したし、で山行き気分は今ひとつ盛り上がりに欠け、それより最近見つけた面白い文庫本4巻セットの小説を読み進めたく、街に遊びに行くのを理由にして、道中の電車や茶店で涼を取りつつ読書する日にした。
お前はホントに山好きなのか。

理由付けのための訪問先は、六本木駅前にあるフジフイルムスクエアの写真展にした。
無料で4つの展示を鑑賞。
鑑賞後、お昼を食べる店を探したが、東京ミッドタウンのお店はどこも満席で待ち行列が…。
フラリと屋外に出たら見つけてしまった、「バカルディミッドパークカフェ」。
緑の公園を後ろに芝生の上にテーブルとイスが点在し、いい雰囲気。
駅で見たポスターは夜間にオープンするとあったように思うが、お休みの日は昼からやってるようだ。
ようし、昼からちょっくらやっちまうか。
でもなあ…。

こういったお店で似た様なのが梅田にあって、「キリン一番搾りガーデン」だったか、ちょっと変わった一番搾りを屋外でいただけるお店。
そこに緑はないんだけど、洒落ててイメージはおんなじ感じ。
外で飲めるけどビアガーデンではなく、ガッツリ飲むというより「暑いしちょっと一杯飲んでく?」って感じで寄るとこ。
近くを通ればいつも気になっていたが、一人では飲みに入れず、昨夏の終わり、ようやく連れを伴って行ってきた。
さてそんな「バカルディミッドパークカフェ」、一人で入ろうか入るまいか。

ふうむ、思えば人生とは一人でできる物事を増やしていくことだ(そんな分けはない?
年がいくとだんだん図太くなっていくのを実感する。
若い頃は一人で居酒屋に入れなかった。
なかなか敷居が高かったが、ある時とうとう夕食を西中島南方の居酒屋で一人食べたのだった。
そういえば酒なしで食事だけだったな。
なんで居酒屋を選んだんだ?
入る時、食事だけできるか聞いてから入ったな。
若い頃はまだ晩酌なんてしてなかった。
だから余計に入りにくかったのかなあ。
今や旅先では一人居酒屋は普通である。

はじめてのおつかいではないが、一人でするようになったあれこれ。
一人映画館は結構速かった。
中学生の時だったな。
泊りがけの一人旅は社会人になってから。
食事付きの旅館で一人食事するのはなかなか、なんというか新鮮な経験だった。
一人××で勇気がいるのは、一般的に複数人で友達や恋人と行うのが普通の行為。
「キリン一番搾りガーデン」やら「バカルディミッドパークカフェ」みたいな、ちょっと洒落たお店で一人飲むのはちょっと場違いな感じがしてしまう。
実際他のお客さんは、カップルに女性グループに家族連ればかり。
人に「なんだあいつこんなところで一人で飲んで」みたいな視線を気にしてしまうのだ。



バカルディベースのカクテルはいろんな種類があった。
スイカを半分に切って身を崩し、そこにバカルディを注いでストローを複数差し込んだ楽しいカクテルなんかがあって、やっぱり複数人で楽しむとこなんだなあと思う。
そんなメニューを見ていたら自然と飲み物食べ物を注文してしまっていた。
私はビターモヒート、ラージサイズ。
うーんトロピカル。
西日本では各地猛暑日を記録した日だったが東京は幾分涼しく、屋外でも木陰であれば汗をかくことなく、冷たいカクテルで喉を潤し、小説の世界に身を浸せた。
こうしてまた一段、細かなことを気にしなくなった自分を見つけたのだった。


漁場遺構

2016-08-09 23:00:25 |  北海道の…
余市蒸溜所を見学後、帰りのフェリーの時間まで間があったので、北海道で昔盛んだったニシン漁の漁場跡を訪れた。
旧余市福原漁場という。
海沿いの国道横を走っていたら、大きな木造建築があって見つけた。
建物が立派なんでびっくりした。
はじめはなんなのか分からなかったが行ってみると、ニシン漁全盛期に代表的漁場として使われてきた建物群の遺構だったのだ。



チケット売り場から建物の方に歩いて行くと、まずトロッコが出迎えてくれる。
レールは雰囲気出すために後付けで置いた感じだ。
手押しだろうか、ニシンをドバドバと入れて運んだのだろう。
なんてホイールベースが短いんだろう。
とても不安定な気がするが、どんな利点があってこうしたのかな。



トロッコの横にそびえ立つのが文書庫。
3階建ての立派なもので、これが一番目を惹いた。
窓の扉は漆喰で縦に3階分並んでいる。
建物はほぼ当時のままの状態で、一部復元されたあとが見えるくらい。
非常に良好な保存具合だった。



文書庫と番屋という建物は中に入れるので見学してみると、当時日常生活で使われていた備品やなんかが、これも保存状態よく残され展示されていた。
この福原漁場の最後の持ち主がいろいろと保管していたものを寄贈されたと説明書があったと思う。
漁とはまったく関係ないものもあり、昭和の生活資料館みたいな側面もあって、それはそれで面白かった。



それ以外に大きな建物は、米味噌倉と網倉があった。
文字通り米や味噌を入れておく倉と、網や浮き、縄なんかの仕事道具をしまう倉だ。
こちらは外から中を覗いて様子を伺える。
敷地にはこれら以外の建物が建っていた跡もあり、自分は行ったことはないが奈良なんかにありそうな古代遺跡の発掘地を公園にしたみたいな眺め。



ニシンなんて今ではニシン蕎麦かなんかで目に触れるくらいだが、当時は本当にたくさん獲れたようだ。
文書庫もそうだが、米味噌倉なんてただの倉なのに、神社の社みたいに凝った造りだ。
頑丈でもあるらしい。
主家の財力はいかばかりであったろうか。




蒸溜所

2016-08-04 22:28:43 |  北海道の…
北海道に来たなら行きたいと思っていた場所のひとつが余市蒸溜所。
これまで本州にある蒸溜所の主だったところは訪問してきた。
サントリーの山崎蒸溜所、白州蒸溜所、ニッカウイスキーの宮城峡蒸溜所、本坊酒造の信州マルス蒸留所。
そんな中、ニッカウイスキー創業の地、余市蒸溜所は長年の憧れの工場であった。
北海道は遠い。
いつか北海道を訪れる時が来たら必ず行くぞ、と心に誓って十数年。
ようやくその時がやってきた。



北海道滞在最終日。
前日夜半に蒸溜所隣にある道の駅に到着し、車で眠った。
翌朝開門時刻まで時間を潰し、道の駅に車を残し歩いて入口へと向かった。
前日に偵察したところでは、蒸溜所の駐車場の入口は道の駅の反対側にあったので、そこまで歩かねばいけないと思っていたが、意外や正面玄関は道の駅のある通り側にあった。
ラッキー。



施設内のガイドツアーに参加することも出来たが、ウイスキーの作り方はもう知っているし、好きに写真を撮りたかったので自由見学にした。
もちろん無料で見学できる。
正面玄関の建物をくぐると赤い屋根にコンクリートブロックの壁が統一感ある建物群が待っていた。
おー、こんなところだったのね。
入ったところは思ったよりこじんまりとした感じ。
作業の役割別に棟を分けて建物は並び、手前から順に見学していった。



蒸溜所の花形はやっぱりポットスチルだろう。
ここの蒸溜棟には銅製の釜が7個も並んでいた。
春と秋には実際に石炭をくべて蒸溜する作業を見学できるらしい。
その作業日を狙って訪問するのはとても難しいが、見てみたい光景である。
きっと暑いんだろうなあ。



敷地内には開業当時の事務棟や研究棟も残されていた。
研究棟はリタハウスという愛称がつけられていた。
マッサンの放映がなければ、リタってなんだ?と思ったことだろう。
まあ、熱心に見てた訳ではないので、撮影にどう使われたのかは分からないけど…。
リタハウスは中に入れなかったが、事務棟は備品がきれいに保存された室内をガラス越しに見ることができた。



その向こうにウイスキー樽の貯蔵庫のエリアがあった。
こちらは広い、…けど見学できるのは見学コース横の建物だけだ。
残念だったのは中に入れる貯蔵庫は見学用で、並ぶ樽は空っぽ。
本当のウイスキーを仕込んだ樽の貯蔵された蔵には入れなかった。
蒸溜所見学で私が一番楽しみにしてるのが、ウイスキーの香りでいっぱいの貯蔵庫に入ることだ。
小人になってテイスティンググラスの中に入った気分になる。
上記の4蒸溜所では全て長期のお仕事中の貯蔵庫に入れ、蒸溜所により香りの濃淡はあるものの、樽から染み出る天使の分け前をさらに分けてもらって呼吸して、幸せな気分になったのだが…。



さらに歩みを進めると、ウイスキー博物館や試飲会場、売店などがある。
当然試飲はできないから試飲会場のある建物見学はパス。
売店で自分へのお土産を買った。
一般的に蒸溜所に来る酒好きの一番のお楽しみは試飲なんだろうけど、過去蒸溜所を訪ねてウイスキーを試飲したことが無いという経歴?を持つのもなんか悲しい。
そんでもってお土産は買うから、私はいいお客さんですな。



売店の向こうは蒸溜所の駐車場だった。
ここに止めたら逆から見学するか、周りをできるだけ見ないようにして、反対側の玄関まで歩いて帰ってくる時見学するかしないといけない。
敷地の都合上仕方ないのかもしれないけど、おかしな配置になってる。
道の駅に車を止めた私にはラッキーだった。
こうして憧れの地の見学を実現できたのだった。