陸奥の旅・8
八甲田・十和田ゴールドライン沿いには歴史ある温泉がいくつもある。
どこかで日帰り入浴しよう。
その内のひとつ酸ヶ湯温泉には以前一度入った事があるので、今回は別の温泉地から選択。
蔦温泉にした。
なんでも湯船の底からお湯が湧き出してるとか。
新鮮この上ない湯浴みが出来るとか。
ええ?どんな仕組みなんだろう。
<水路>
行ってみると一軒宿で、広い駐車場と八重桜咲く庭の向こうに趣きある木造建築が。
建物により古さが違うので増築している部分もあるようだ。
一番歳を経ている建物から中へ。
内装は雰囲気を壊さないよう上手く改装が加えられ、トイレなんかは最新の設備で気持ち良く使用させてもらった。
<水路に落ち、流されたブナの雄花が集まっていた>
浴室は「泉響の湯」という男女別のものと、時間交代制の「久安の湯」という2種。
「久安の湯」は女性の入浴時間帯だったので、必然的に「泉響の湯」へ。
木造りの浴室は広く、天井がとても高かった。
上を向いて湯に浸かると、屋内なのに開放感を感じられる。
ずいぶんと薄暗いのも湯の感触を余さず感じるのに集中でき良い。
先客が何人もいらしたが声高に話す人はおらず、皆さん静かに湯浴みを楽しんでいた。
<ブナの幹>
古いお湯場なのでシャワーの設備は当然なく、それでも最近のお風呂の入り方に配慮したのか、手桶で湯をかぶれる洗い場が設けられていた。
そして肝心の湯船の底はと見てみれば、スノコ状に木の板と板の間に隙間があり、そこから湯が湧き出している様だ。
ただ薄暗さが半端なく、板と板の間の下がどうなっているのかはまったく見えない。
隙間が開いているのにお湯が抜けていかないということは、湯船の地下の源泉と直結され水圧がかかっているということだよな。
そんな事ができるのか???
<遊歩道の木の手すり一面に生えてた>
時々ぽこりと気泡が浮き上がってくる。
私のおならじゃないからね。
不思議だった。
入浴後は広間で飲み物をいただける。
窓からさっきの八重桜咲く庭が眺められた。
ちょっと一服。
<蔦沼と赤倉岳>
蔦温泉の裏手には蔦沼という湖沼が遊歩道を歩いた先にあるらしいので、湯上りに行ってみた。
遊歩道は歩き易く、沼から流れ出る水路や葉っぱのでかくなった水芭蕉の群落を横目に、ブナの森を歩いていく。
ほどなく蔦沼に到着。
開けたところにあるので沼と言うより少し小さめの湖な感じだ。
湖面の向こうには同じ高さの低い峰が取り囲んでいるので、カルデラ湖に見えなくもない。
峰の一部が欠けていて、ちょうどその向こうに雪山が顔を覗かせていた。
近くを歩く他の観光客同士の会話によると赤倉岳と言うらしい。
<ブナの森に開いた穴>
この森の遊歩道はなんか落ち着く。
奥入瀬渓流と同じ様な森だが、あちらを歩いていた時は楽しんではいたが心が急いていた。
ここは距離も短く、後の行程や時間を気にせずゆっくり歩けたからだな。
駐車場からすぐなのに、道路は遠く、森は深い。
公園を散歩するような、ゆるゆるとした歩調で駐車場へ戻った。
静かに時間の流れる晴れた午前だった。(語呂はいまいち
)