万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌3591 妹とありし3336

2020年05月16日 | 万葉短歌

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万葉短歌3591 妹とありし3336

妹とありし 時はあれども 別れては
衣手寒き ものにぞありける  ○

3336     万葉短歌3591 ShuH043 2020-0516-man3591

□いもとありし ときはあれども わかれては
  ころもでさむき ものにぞありける
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第14首。男。
【訓注】衣手寒き(ころもでさむき=許呂母弖佐牟伎)。


万葉短歌3590 妹に逢はず3335

2020年05月15日 | 万葉短歌

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万葉短歌3590 妹に逢はず3335

妹に逢はず あらばすべなみ 岩根踏む
生駒の山を 越えてぞ我が来る  ○

3335     万葉短歌3590 ShuH039 2020-0515-man3590

□いもにあはず あらばすべなみ いはねふむ
  いこまのやまを こえてぞあがくる
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第13首。男。左注(読下し)に、「右の一首は、しましく私家(しけ)に還りて思ひを陳(の)ぶ」。
【訓注】我が来る(あがくる=安我久流)。しましく(蹔)。
【文字コード】UTF-16LE


万葉短歌3589 夕されば3334

2020年05月14日 | 万葉短歌

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万葉短歌3589 夕されば3334

夕されば ひぐらし来鳴く 生駒山
越えてぞ我が来る 妹が目を欲り  ○

3334     万葉短歌3589 ShuH039 2020-0514-man3589

□ゆふされば ひぐらしきなく いこまやま
  こえてぞあがくる いもがめをほり
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第12首。男。左注に、「右一首秦間満(はだの はしまろ)」。
【訓注】夕されば(ゆふされば=由布佐礼婆)。ひぐらし(比具良之)[下記注。08-1479(題詞)晩蝉、(短歌)日晩、10-1964日晩乃(ひぐらしの)、など9か所に出現。生駒山(いこまやま=伊故麻山)[下記注]。我が来る(あがくる=安我久流)。
【依拠本注-ひぐらし】かなかな蝉。…夏の終わりから秋のはじめに、主として夕暮れと早朝に鳴く。
【依拠本注-生駒山】奈良県生駒市・生駒郡と大阪市とのあいだの山で、大和と河内の境をなす。生駒山越えは難波と奈良の都とを結ぶ最短距離。


万葉短歌3588 はろはろに3333

2020年05月13日 | 万葉短歌

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万葉短歌3588 はろはろに3333

はろはろに 思ほゆるかも しかれども
異しき心を 我が思はなくに  ○

3333     万葉短歌3588 ShuH020 2020-0513-man3588

□はろはろに おもほゆるかも しかれども
  けしきこころを あがもはなくに
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第11首。妻、答歌。左注に、「右十一首贈答」。
【訓注】はろはろに(波呂波呂尓)[集中の<はろはろに>訓は6か所]。異しき心(けしきこころ=異情)。我が思はなくに(あがもはなくに=安我毛波奈久尓)。


万葉短歌3587 栲衾3332

2020年05月12日 | 万葉短歌

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万葉短歌3587 栲衾3332

栲衾 新羅へいます 君が目を
今日か明日かと 斎ひて待たむ  ○

3332     万葉短歌3587 ShuH020 2020-0512-man3587

□たくぶすま しらきへいます きみがめを
  けふかあすかと いはひてまたむ
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第10首。妻、答歌。
【訓注】栲衾(たくぶすま=多久夫須麻)[「楮(こうぞ)の繊維で織った白い夜具」。<新羅>の頭音に掛ける。]。新羅へいます(しらきへいます=新羅辺伊麻須)。今日か明日かと(けふかあすかと=家布可安須可登)。


万葉短歌3586 我がゆゑに3331

2020年05月11日 | 万葉短歌

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万葉短歌3586 我がゆゑに3331

我がゆゑに 思ひな痩せそ 秋風の
吹かむその月 逢はむものゆゑ  ○

3331     万葉短歌3586 ShuH020 2020-0511-man3586


□わがゆゑに おもひなやせそ あきかぜの

  ふかむそのつき あはむものゆゑ
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第9首。夫、贈歌。
【訓注】我が(わが=和我)。秋風(あきかぜ)。月(つき=都奇)。


万葉短歌3585 我妹子が3330

2020年05月10日 | 万葉短歌

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万葉短歌3585 我妹子が3330

我妹子が 下にも着よと 贈りたる
衣の紐を 我れ解かめやも  ○

3330     万葉短歌3585 ShuH020 2020-0510-man3585

□わぎもこが したにもきよと おくりたる
  ころものひもを あれとかめやも
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第8首。夫、答歌。
【訓注】我妹子(わぎもこ=和伎母故)。下(した=之多)。衣(ころも=許呂母)。我れ(あれ=安礼)。


万葉短歌3584 別れなば3329

2020年05月09日 | 万葉短歌

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万葉短歌3584 別れなば3329

別れなば うら悲しけむ 我が衣
下にを着ませ 直に逢ふまでに  ○

3329     万葉短歌3584 ShuH020 2020-0509-man3584

□わかれなば うらがなしけむ あがころも
  したにをきませ ただにあふまでに
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第7首。妻、贈歌。
【訓注】別れなば(わかれなば=和可礼奈波)。うら悲し(うらがなし=宇良我奈之)。我が衣(あがころも=安我許呂母)。下にを(したにを=之多尓乎)[「<を>は命令表現(ここは<着ませ>に応ずる係助詞。間投助詞と見てもよい」]。


万葉短歌3583 ま幸くて3328

2020年05月08日 | 万葉短歌

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万葉短歌3583 ま幸くて3328

ま幸くて 妹が斎はば 沖つ波
千重に立つとも 障りあらめやも  ○

3328     万葉短歌3583 ShuH020 2020-0508-man3583

□まさきくて いもがいははば おきつなみ
  ちへにたつとも さはりあらめやも
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第6首。夫、答歌。
【訓注】ま幸くて(まさきくて=真幸而)。斎はば(いははば=伊波伴伐)。沖つ波(おきつなみ=於伎都奈美)。障り(さはり=佐波里)。


万葉短歌3582 大船を3327

2020年05月07日 | 万葉短歌

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万葉短歌3582 大船を3327

大船を 荒海に出だし います君
障むことなく 早帰りませ  ○

3327     万葉短歌3582 ShuH020 2020-0507-man3582

□おほぶねを あらみにいだし いますきみ
  つつむことなく はやかへりませ
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第5首。妻、贈歌。
【脚注】荒海(あらみ=安流美)。います君(いますきみ=伊麻須君)。障むことなく 早帰りませ(つつむことなく はやかへりませ=都追牟許等奈久 波也可敝里麻勢)[05-0894(長歌)美船播将泊 都々美無久 佐伎久伊麻志弖 速帰座勢(みふねははてむ つつみなく さきくいまして はやかへりませ)]。


万葉短歌3581 秋さらば3326

2020年05月06日 | 万葉短歌

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万葉短歌3581 秋さらば3326

秋さらば 相見むものを 何しかも
霧に立つべく 嘆きしまさむ  ○

3326     万葉短歌3581 ShuH020 2020-0506-man3581

□あきさらば あいみむものを なにしかも
  きりにたつべく なげきしまさむ
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第4首。夫、答歌。
【脚注】秋さらば(あきさらば=秋佐良婆)。嘆きしまさむ(なげきしまさむ=奈気伎之麻佐牟)[「・・・敬意の度合がかなり強い。ここは深いいたわりの情を示して用いられたもの」]。


万葉短歌3580 君が行く3325

2020年05月05日 | 万葉短歌

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万葉短歌3580 君が行く3325

君が行く 海辺の宿に 霧立たば
我が立ち嘆く 息と知りませ  ○

3325     万葉短歌3580 ShuH020 2020-0505-man3580

□きみがゆく うみべのやどに きりたたば
  あがたちなげく いきとしりませ
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第3首。妻、贈歌。
【原文】15-3580  君之由久 海辺乃夜杼尓 奇里多々婆 安我多知奈気久 伊伎等之理麻勢  作者未詳


万葉短歌3579 大船に3324

2020年05月04日 | 万葉短歌

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万葉短歌3579 大船に3324

大船に 妹乗るものに あらませば
羽ぐくみ持ちて 行かましものを  ○

3324     万葉短歌3579 ShuH020 2020-0504-man3579

□おほぶねに いものるものに あらませば
  はぐくみもちて ゆかましものを
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第2首。夫、答歌。
【訓注】大船(おほぶね)。羽ぐくみ(はぐくみ=羽具久美)。


万葉短歌3578 武庫の浦の3323

2020年05月03日 | 万葉短歌

***** 万葉集 巻15(3578~3785、二百八首) 始 *****

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万葉短歌3578 武庫の浦の3323

武庫の浦の 入江の洲鳥 羽ぐくもる
君を離れて 恋に死ぬべし  ○

3323     万葉短歌3578 ShuH020 2020-0503-man3578

□むこのうらの いりえのすどり はぐくもる
  きみをはなれて こひにしぬべし
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(題詞の略称、3578~3722、一四五首)の第1首。妻、贈歌。
【題詞】遣新羅使人等(けんしらきしじんら)、別れを悲しびて贈答(ぞうたふ)し、また海路(かいろ)にして情(こころ)を慟(いた)みして思(おも)ひを陳(の)べ、并(あは)せて所に当りて誦(うた)ふ古歌
【訓注】武庫の浦(むこのうら=武庫能浦)[「兵庫県武庫川の河口」。03-0358武庫浦乎(むこのうらを)、ほか]。洲鳥(すどり=渚鳥)[「洲に棲む鳥」。07-1162湊之渚鳥(みなとのすどり)、ほか]。羽ぐくもる(はぐくもる=羽具久毛流)[「羽で包んで暖め育てる」]。


万葉短歌3577 愛し妹を3322

2020年05月02日 | 万葉短歌

*** 万葉集 巻14 挽歌(3577、1首) 始 ***

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万葉短歌3577 愛し妹を3322

愛し妹を いづち行かめと 山菅の
そがひに寝しく 今し悔しも  ○

3322     万葉短歌3577 ShuG598 2020-0502-man3577

□かなしいもを いづちゆかめと やますげの
  そがひにねしく いましくやしも
〇=出典未詳。
【編者注】挽歌(ばんか、3577、1首)。男。左注(読下し)に、「以前(さき)の歌詞は、いまだ国土山川の名を勘(かむが)へ知ること得ず。」
【訓注】そがひに寝しく(そがひにねしく=曽我比尓宿思久)[「争った上で夫婦が背中合わせにそっぽを向き合って寝ること」]。

*** 万葉集 巻14 挽歌(3577、1首) 終 ***

***** 万葉集 巻14(3348~3577、二百三十首) 終 *****