万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌0630 初花の0565

2012年06月15日 | 万葉短歌

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万葉短歌0630 初花の0565

初花の 散るべきものを 人言の
繁きによりて よどむころかも  佐伯赤麻呂

0565     万葉短歌0630 ShuB546 2012-0615-man0630

□はつはなの ちるべきものを ひとごとの
 しげきによりて よどむころかも
○佐伯赤麻呂(さへきの あかまろ)=第405歌参照。
【編者注】題詞原文は、「佐伯宿祢赤麻呂歌一首」。
【訓注】人言(ひとごと=人事)。よどむころ(止息比者)。


万葉短歌0629 何すとか0564

2012年06月14日 | 万葉短歌

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万葉短歌0629 何すとか0564

何すとか 使の来つる 君をこそ
かにもかくにも 待ちかてにすれ  大伴四綱

0564     万葉短歌0629 ShuB546 2012-0614-man0629

□なにすとか つかひのきつる きみをこそ
 かにもかくにも まちかてにすれ
○大伴四綱(おほともの よつな)=第329歌参照。
【編者注】題詞原文に、作者の宴席歌一首。
【訓注】何すと(なにすと=奈何)。かにもかくにも(左右裳)。待ちかてに(まちかてに=待難)。


万葉短歌0628 白髪生ふる0563

2012年06月13日 | 万葉短歌

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万葉短歌0628 白髪生ふる0563

白髪生ふる ことは思はず をち水は
かにもかくにも 求めて行かむ  佐伯赤麻呂

0563     万葉短歌0628 ShuB546 2012-0613-man0628

□しらかおふる ことはおもはず をちみづは
 かにもかくにも もとめてゆかむ
○佐伯赤麻呂(さへきの あかまろ)=未詳。題詞には「佐伯宿祢赤麻呂」。「宴席で道化役を演ずることで聞こえた歌人らしい。」
【編者注】題詞原文に、作者が和(こた)えた歌一首。
【訓注】白髪(しらか)。思はず(おもはず=不念)。をち水(をちみづ=変水)。かにもかくにも(鹿煮[字注]藻闕二毛)。
 字注…「煮」の原文は「(冠)者+(脚)火」。


万葉短歌0627 我がたもと0562

2012年06月12日 | 万葉短歌

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万葉短歌0627 我がたもと0562

我がたもと まかむと思はむ ますらをは
をち水求め 白髪生ひにたり  娘子

0562     万葉短歌0627 ShuB546 2012-0612-man0627

□わがたもと まかむとおもはむ ますらをは
 をちみづもとめ しらかおひにたり
○娘子(をとめ)=未詳。
【編者注】題詞原文は、「娘子報贈佐伯宿祢赤麻呂歌一首」。赤麻呂については次歌。
【訓注】我がたもと(わがたもと=吾手本)。ますらを(大夫)。をち水(をちみづ=変水)。白髪(しらか)。


万葉短歌0626 君により0561

2012年06月11日 | 万葉短歌

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万葉短歌0626 君により0561

君により 言の繁きを 故郷の
明日香の川に みそきしに行く  八代女王

0561     万葉短歌0626 ShuB544 2012-0611-man0626

□きみにより ことのしげきを ふるさとの
 あすかのかはに みそきしにゆく
○八代女王(やしろの おほきみ)=未詳。「天平九年(737)、無位から正五位上。」
【編者注】題詞原文に、作者が(聖武)天皇へ献じた歌。脚注による一歌(別歌)を下記。
【第626歌一歌】君により言の繁きを龍田(たつた)越え 御津(みつ)の浜辺(はまへ)にみそきしに行く
【訓注】故郷(ふるさと=古郷)。みそき(潔身)。


万葉短歌0625 沖辺行き0560

2012年06月10日 | 万葉短歌

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万葉短歌0625 沖辺行き0560

沖辺行き 辺を行き今や 妹がため
我が漁れる 藻臥束鮒  高安王

0560     万葉短歌0625 ShuB543 2012-0610-man0625

□おきへゆき へをゆきいまや いもがため
 わがすなどれる もふしつかふな
○高安王(たかやすの おほきみ)=「長皇子の孫。577題詞参照。この歌の時も摂津大夫であったのであろう。」
【編者注】題詞に、裹(つつ)んだ[藻で包んだ]鮒を娘子(をとめ)に贈った歌。
【訓注】沖へ行き(おきへゆき=奥弊往)。今や(いまや=伊麻夜)。我が(わが=吾)。


万葉短歌0624 道に逢ひて0559

2012年06月09日 | 万葉短歌

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万葉短歌0624 道に逢ひて0559

道に逢ひて 笑まししからに 降る雪の
消なば消ぬがに 恋ふといふ我妹  聖武天皇

0559     万葉短歌0624 ShuB541 2012-0609-man0624

□みちにあひて ゑまししからに ふるゆきの
 けなばけぬがに こふというわぎも
○聖武天皇(しゃうむ てんわう)=題詞原文では単に「天皇」。第530歌参照。
【編者注】題詞原文は「天皇思酒人女王御製歌一首」。
【編者注-酒人女王(さかひとの おほきみ)】題詞脚注に、女王は穂積皇子の孫娘、とあるだけで、伝未詳。
【訓注】逢ひて(あひて=相而)。笑ましし(ゑましし=咲之)。降る雪(ふるゆき=零雪)。恋ふといふ(こふといふ=恋云)。我妹(わぎも=吾妹)。


万葉短歌0623 松の葉に0558

2012年06月08日 | 万葉短歌

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万葉短歌0623 松の葉に0558

松の葉に 月はゆつりぬ 黄葉の
過ぐれや君が 逢はぬ夜の多き  池辺王

0558     万葉短歌0623 ShuB540 2012-0608-man0623

□まつのはに つきはゆつりぬ もみちばの
 すぐれやきみが あはぬよのおほき
○池辺王(いけへの おほきみ)=「壬申の乱に敗死した大友皇子の孫。葛野王の子。淡海三船(…)の父。額田王の血を引くわけである。神亀四年(727)。従五位下。天平九年(737)内匠頭。」
【編者注】題詞原文は「池辺王宴誦歌一首」。宴誦歌の語は初出。
【訓注】ゆつりぬ(由移去)。黄葉(もみちば)。逢はぬ(あはぬ=不相)。


万葉短歌0622 草枕0557

2012年06月07日 | 万葉短歌

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万葉短歌0622 草枕0557

草枕 旅に久しく なりぬれば
汝をこそ思へ な恋ひそ我妹  佐伯東人

0557     万葉短歌0622 ShuB538 2012-0607-man0622

□くさまくら たびにひさしく なりぬれば
 なをこそおもへ なこひそわぎも
○佐伯東人(さへきの あづまひと)=未詳。題詞原文には「佐伯宿祢東人」。
【編者注】題詞から、佐伯東人が和(こた)えた歌。
【訓注】旅(たび=客)。汝(な)。思へ(おもへ=念)。な恋ひそ我妹(なこひそ=莫恋吾妹)。


万葉短歌0621 間なく0556

2012年06月06日 | 万葉短歌

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万葉短歌0621 間なく0556

間なく 恋ふれにかあらむ 草枕
旅なる君が 夢にし見ゆる  佐伯東人妻

0556     万葉短歌0621 ShuB538 2012-0606-man0621

□あひだなく こふれにかあらむ くさまくら
 たびなるきみが いめにしみゆる
○佐伯東人妻(さへきの あづまひとの め)=未詳。題詞原文には「西海道節度使判官(じょう)佐伯宿祢東人妻」。
【編者注】題詞から、佐伯東人の妻(め)が夫(せ)へ贈った歌。
【訓注】恋ふれ(こふれ=恋)。旅なる君(たびなるきみ=客有公)。夢(いめ)。


万葉短歌0620 初めより0555

2012年06月05日 | 万葉短歌

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万葉短歌0620 初めより0555

初めより 長く言ひつつ 頼めずは
かかる思ひに 逢はましものを  大伴坂上郎女

0555     万葉短歌0620 ShuB533 2012-0605-man0620

□はじめより ながくいひつつ たのめずは
 かかるおもひに あはましものを
○大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第563歌参照。
【編者注】第619歌(長歌)への反歌。長歌の題詞原文は、「大伴坂上郎女怨恨歌一首」。
【編者注-怨恨歌】怨恨歌の語は初出。依拠本は、中国詩の怨詩・閨怨・春怨・春閨有怨・倡婦怨情・秋閨怨・玉階怨などを学んでの創作歌だろう、とする。
【訓注】思ひ(おもひ=念)。逢はまし(あはまし=相益)。


万葉短歌0618 さ夜中に0554

2012年06月04日 | 万葉短歌

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万葉短歌0618 さ夜中に0554

さ夜中に 友呼ぶ千鳥 物思ふと
わびをる時に 鳴きつつもとな  大神郎女

0554     万葉短歌0618 ShuB532 2012-0604-man0618

□さよなかに ともよぶちどり ものもふと
 わびをるときに なきつつもとな
○大神郎女(おおみわの いらつめ)=未詳。「大神氏(…)出身の郎女であろう。8-1505 にも家持に贈った歌があり、その歌も鳥を詠む。」
【編者注】題詞原文は、「大神郎女贈大伴宿祢家持歌一首」。
【訓注】さ夜中(さよなか=狭夜中)。物思ふ(ものもふ=物念)。もとな(本名)。


万葉短歌0617 葦辺より0553

2012年06月03日 | 万葉短歌

2012-0603-man0617
万葉短歌0617 葦辺より0553

葦辺より 満ち来る潮の いや増しに
思へか君が 忘れかねつる  山口女王

0553     万葉短歌0617 ShuB528 2012-0603-man0617

□あしへより みちくるしほの いやましに
 おもへかきみが わすれかねつる
○山口女王(やまぐちの おほきみ)=不詳。第613歌参照。
【編者注】「山口女王が大伴家持へ贈った歌五首」の第五首。
【訓注】葦辺(あしへ)。いや(弥)。思へ(おもへ=念)。


万葉短歌0616 剣大刀0552

2012年06月02日 | 万葉短歌

2012-0602-man0616
万葉短歌0616 剣大刀0552

剣大刀 名の惜しけくも 我れはなし
君に逢はずて 年の経ぬれば  山口女王

0552     万葉短歌0616 ShuB528 2012-0602-man0616

□つるぎたち なのをしけくも われはなし
 きみにあはずて としのへぬれば
○山口女王(やまぐちの おほきみ)=不詳。第613歌参照。
【編者注】「山口女王が大伴家持へ贈った歌五首」の第四首。
【訓注】剣大刀(つるぎたち)。我れ(われ=吾)。逢はず(あはず=不相)。


万葉短歌0615 我が背子は0551

2012年06月01日 | 万葉短歌

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万葉短歌0615 我が背子は0551

我が背子は 相思はずとも 敷栲の
君が枕は 夢に見えこそ  山口女王

0551     万葉短歌0615 ShuB528 2012-0601-man0615

□わがせこは あひおもはずとも しきたへの
 きみがまくらは いめにみえこそ
○山口女王(やまぐちの おほきみ)=不詳。第613歌参照。
【編者注】「山口女王が大伴家持へ贈った歌五首」の第三首。
【訓注】我が背子(わがせこ=吾背子)。相思はず(あいおもはず=不相念)。敷栲(しきたへ)。君が枕(きみがまくら=君之枕)。夢(いめ)。