A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

L・H・Rのヴォーカリーズは実はウディーハーマンから・・・・・・・

2007-10-07 | MY FAVORITE ALBUM
Sing A Song of Basie / Lambert, Hendricks & Ross

オーディオ&ビデオ機器の歴史には多くの規格のディファクト争いがある。今、旬なものはBlu-rayとHD-DVDの争いだろう。そろそろ勝負が付いてきたように思うが、我々ユーザーからすれば、早く規格は一つになってもらいたいものだ。

レコードの規格も結果的に統一されたが、細かく見ると節目毎では規格争いがあった。
78回転のSPレコードも最初は回転数にばらつきがあったそうだ。SPに代わるLPレコードの規格は実はRCAビクターが1931年に早々に33回転のLPレコードを発売したのが最初だ。ところが品質が追いつかず商品としては没となってしまった。その開発者がコロンビアに移って、1948年に発売したのがLPレコードの本格的な始まりだ。
広く各メーカーに働きかけてディファクト化を図ったが、別の規格にこだわったのが最初にLPを開発していたRCA。内容は45回転のいわゆるドーナツ盤。結局、録音時間の違いが勝負にならず、LPについてはコロンビアの勝ちとなった。ビクターも2年にはLPを発売して、めでたくLPレコードの規格は統一された。
一方、ビクターが開発した45回転のドーナツ盤はポピュラーのシングル盤には丁度良く、ジュークボックスでの利用を含めて新たなマーケットを獲得した。
結果として、2つの規格が旨く棲み分けして生き残った稀有な例だろう。

モダンジャズの発展期が丁度LPレコードの普及期。SPに較べると格段によい音のジャズアルバムが数多く残されることになる。LP一枚単位でのアルバム企画が作られるようになったのも、LPが作り出したひとつの「文化」だ。ジャケットのデザインを含めてジャズが時代を超えて生き残っているひとつの理由だろう。
プロデューサーの腕はこのアルバムの企画作りだ。いわゆるA&R(Artist and Repertoire)の役割だ。大物といわれるプロデューサーの中でも、クリードテイラーは人材面でも多くの発掘をし、曲の企画特にアレンジ面にこだわりにもってアルバムづくりをしてきた。
Quincyが自己のアルバム”This is how I feel about jazz”を作ったのも、テイラーがABCのプロデューサーであった時。今でも記念すべきアルバムに仕上がっている。

そして、コーラスグループL・H・Rを発掘したのはちょうど一年後の1957年になる。
ベイシーの歴史的な演奏を選んで楽器ごとにまずは切り分け、さらにそれに詩を付けてボーカリーズする。企画ができてもそれを実現するまでにはとんでもない努力と練習が必要であったと思う。
そもそもボーカリーズ自体はEddie Jeffersonが始めたといわれるが、コーラスで楽器のアンサンブルワークを再現した斬新さはこのL・H・Rの努力の賜物。一躍脚光を浴びることになる。

彼らのファーストアルバムが、クリードテイラーがプロデュースしたベイシーのレパートリーを料理したこのアルバム。”Sing A Song of Basie”だ。
伴奏には、ご丁寧にベイシーのリズムセクションが参加。御大の代役としては、後の影武者にもなるナットピアースが努めるという最高のお膳立てだ。
このアルバムは、ABCから発売され、後にインパルスからも再発される。



テイラーにとっても彼の作品の中でも思い入れのある一枚だろう。これも歴史に残る名盤に相応しい内容である。

このアルバムも今ではCDで発売されているが、実はこのCDの中に、L・H・R結成前のJon Hendricks with the Dave Lambert Singersの時代の曲が含まれている。
11.の Four Brothersと12.のCloudburstの2曲は、Deccaに吹き込まれ、78回転のSPと45回転のシングル盤で発売されたものだそうだ。
ベイシーに取り組む前に、彼らは実はハーマンの“Four Brothers”を手がけていたのだ。
LPでのデビュー盤とシングル盤でのデビュー盤がめでたくカップリングされている。規格の統一ということではなく、デビュー作のカップリングという意味で。
CD化の企画の中でこのような企画は嬉しいものだ。

彼らのパフォーマンス付きの歌声は・・・Youtubeで

1. Everyday
2. It's Sand, Man!
3. Two For The Blues
4. One O'Clock Jump
5. Little Pony
6. Down For Double
7. Fiesta In Blue
8. Down For The Count
9. Blues Backstage
10. Avenue C
11. Four Brothers - (bonus track)
12. Cloudburst - (bonus track)
13. Standin' On The Corner (Whistling At The Pretty Girls) - (previously unreleased, bonus track)

Lambert, Hendricks & Ross
Dave Lambert, Jon Hendricks, Annie Ross (vocals)
Nat Pierce (piano)
Freddie Green (guitar)
Eddie Jones (bass)
Sonny Payne (drums).

Producers: Creed Taylor, Milt Gabler.
Reissue producer: Bryan Koniarz.


この録音は、この時代に早くもリズムセクションとバックコーラスとソロパーツを別に録音してオーバーダビングをとっている。技術の進化が成せる業である。
(1~10)
Recoreded at Beltone studio , New York , from September 2 to Nobember 26
この間で、バックの録音とソロ部分のオーバーダビングを含めてなんと20回近くのセッションがもたれている。
一朝一夕で作られたアルバムではないことがこの事実からも窺える。

(11~13)
Recorded in New York, May 12 ,1955
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする