A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

親子ほどに歳が離れた2人の大型新人のデビュー作・・・・・・

2007-10-17 | CONCORD
EVERYTHING’S COMING UP ROSIE / ROSEMARY CLOONEY

いつものようにジャケットを手に取り裏を見る。白地に「Perfect,Tonny Benett」の一言が。



他には何の解説も無い。これが、このアルバムのすべてを語っているだろう。
Concordがまた大物を復活させた。ロージーこと、ローズマリークルーニーだ。
50年代には7枚のミリオンセラーを放ち、映画にも出演し、ビバリーヒルズに居を構える彼女が。
と、バイオグラフィーを見ながらここまで書いたが、いつもとは何か勝手が違う。
ここに書いていることが全く自分の頭の中に思い浮かばない。
確かに名前は聞いたことがある。有名スターであったことも知っている。ところが、彼女は自分にとって全く知らない存在だ。
このアルバムが自分にとっても初めて買った彼女のアルバム。その後もコンコルドで発売された多くのアルバムは買い求めた。でも、何故かは分からないが、今に至るまで過去の彼女のアルバムを聴く事もなければ買い求めることも無かった。
自分にとっては、これが彼女のデビュー作である。

普段であれば、あるプレーヤーを気に入ると、過去の作品にだんだんとさかのぼることが普通なのだが。きっと、彼女がジャズ歌手といわれる範疇にはいなかったこともひとつの原因であろう。
経歴を見ると、「彼女はマクレーやサラのようなボーカルインプロバイザーではなく、excellent lyric interpreterである」との記述がある。
彼女の歌がジャズに根ざしているのは間違いないが、テクニックをひけらかすようなタイプではないということの証だろう。
そして、このような素直な歌い方がこのConcordの雰囲気に良く似合う。

68年の彼女は一度引退をする。友人であったロバートケネディーの暗殺現場に立ち会っていて大きなショックを受けたのもひとつの大きな原因らしい。悪いことが重なると続くものである。これをきっかけに、離婚などもあり精神的にもかなり落ち込んだ生活を送ることになる。
やはり持つべきものは友人である。8年間のブランクを経て、76年に親友のビングクロスビーの誘いで彼のコンサートツアーに参加し復帰の手掛かりを得る。
そしてConcordとの契約に至り、このアルバムが一作目だ。

彼女のストレートな歌に合うのは、やはりCONCORDオールスターズ。
いつものお馴染みのメンバーが彼女の復帰を称えてバックを努める。
その中に、今まで見かけない違和感のあるメンバーが一人。もちろん今見ればなんの不思議もないのだが。あの「スコットハミルトン」が参加している。
彼のデビューアルバムのライナーノーツを見ると、Concordへの録音のために、New Yorkからの飛行機のチケット貰って西海岸に来る、そして、自分のアルバムの録音の前にこのセッションに参加したと書かれている。彼にとっても実質的なConcordへのデビュー作だ。

彼女がこの録音をしたのが49歳の時。ハミルトンは1954年生まれなのでまだ弱冠23歳。一年前に生まれ故郷からNew Yorkに出てきたばかりの全くの無名の新人。年も親子ほどに違うし、経歴もプロとアマチュアの差ほどの隔たりがある2人であった。
大スターRosieのアルバムにこんな新人を起用したのも、ジェファーソンの大英断であった。結果はもちろん大成功であった。
2人のアルバムは、この後Concordのメインアーティストになっていく。

演奏を聴く限りはまったくそのような2人の組み合わせであることは全く感じさせない。他のベテランの面々に囲まれ、ハミルトンのバラードの咽び泣くようなサックスの響きはベンウェブスターのような雰囲気を醸し出す。軽快な曲ではレスターヤングやズートシムスを感じさせることも。
とても新人とは思えない。それもロック&Fusion全盛の世代に突然演歌の若手が現れたようなものだ。一瞬タイムスリップしたような雰囲気になる。これがFusion全盛期の西海岸での録音なのかと。
いつものように、オーバーダビングをしないライブのようなセッション。和気藹々とした中で、2人の大物新人の門出をスタジオ全体で祝っている雰囲気が伝わってくるアルバムだ。

復帰4年後、1981年のコンサートでの映像は

1. I Cried For You (Now It's Your Turn To Cry Over Me)
2. More Than You Know
3. How Am I To Know (TRUE instrumental)
4. I Can't Get Started
5. A Foggy Day
6. I've Got A Crush On You
7. Hey There
8. As Time Goes By
9. All Of Me (TRUE instrumental)
10. Do You Know What It Means To Miss New Orleans

Personnel:

Rosemary Clooney (vocals)
Scott Hamilton (tenor saxophone)
Bill Berry (trumpet)
Nat Pierce (piano)
Monty Budwig (bass)
Jake Hanna (drums).

Recorded at Sunwest Recording Studios, Inc., Hollywood, California,1977
Originally released on Concord CJ-47


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