A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ガレスピーのオーケストラからQUINCYが育っていった・・・

2007-03-23 | MY FAVORITE ALBUM
THIS IS HOW I FEEL ABOUT JAZZ / Quincy Jones

1956年に行われたガレスピーの文化使節としての中近東へのコンサートツアーのメンバーを見ると、あのQUINCY JONESがいる。このメンバーで録音された、「WORLD STATESMAN」にも、トランペットセクションに名を連ねている。そして、もちろんアレンジも提供している。

実は、このオーケストラ編成にあたっては、御大ガレスピーはJATPのツアーに参加していたそうだ。
実際のレパートリーの用意やリハーサルは、クインシーが段取りをしていたそうである。若干23歳で。
立派にその大役をこなして、自ら編曲も提供し、フルバンドのマネジメントで活躍していたということだ。その後の彼の大活躍の片鱗をすでにその時から見せていたのである。

ツアーを終えたQUINCYは、このバンドを抜けると、ABCのプロデューサー、あのクリードテイラーの求めで吹き込まれたのがこのアルバム。
クインシーの記念すべき初リーダーアルバムである。

たまたま文化使節としてのツアーのためのガレスピーのオーケストラが編成される。それに参加したきっかけと経験を踏まえて、クインシーのこのアルバムが生まれたと思うと、偶然とはいえ何かの因果を感じる。
後輩を数多く育てたガレスピーではあるが、その一人としてのクインシーの活躍、特に2人の共通点のBIGBANDへのこだわりと、時代とジャンルを超えた音楽へこだわりの原点がここにあったとは。

演奏の内容は10人編成のビッグコンボからフルオーケストラまで3つのセッションに分かれているが、いずれもメンバーはガレスピーのオーケストラに負けない、というよりはそれを上回る有名どころが、ずらりと並んでいる。
有名なプロデューサーに恵まれ、いい曲とアレンジが用意され、一流どころのプレーヤーが集まれば、結果、悪い演奏が生まれるはずはない。

タイトルどおり、QUINCYが「その時考えていたJAZZ」がたっぷりアレンジされて提供されている。デビュー作としては最高の出来であろう。
基本的には、あまり凝ったアレンジがあるわけではなく、原曲の素材の良さを生かしながらつぼを押さえたアンサンブルワークが心地よい。その上で多彩なメンバーがソロをたっぷりと聞かせてくれる。
A面は他人の作曲した有名曲を、B面は自分の曲を並べているが、心憎い選曲だ。
全編でフューチャーされているのは、ART FARMERのミュートのかかったトランペット。
マイルスの演奏で有名なWALKIN‘で始まるが、このシンプルでかつポイントをついたアレンジがアルバム全体のトーンを決めている。オーケストラ全体も薄皮を一枚被ったような、落ち着いたサウンド。ガレスピーのオーケストラとは一味違う、QUINCYの考えるJAZZなのだろう。

サックスセクションに目をやると、主役はPHILL WOODSだが、後のサドメルオーケストラの大番頭、JEROME RICHARDSONの名前もある。

WALKIN’ (1)
A SLEEPIN’ BEE (2)
SERMONETTE (3)
STOCKHOLM SWEETNING (1)
EVENING IN PARIS (3)
BOO’S BLOOS (2)


Band 1
Art Farmer, Bernie Glow, Ernie Royal. Joe Wilder (tp)
Jimmy Cleveland, Urbie Green, Frank Rehak (tb)
Phill Woods(as)
Bunny Bardach,Lucky Thompson,(ts)
Jerome Richardson (ts,fl)
Jack Nimitz (bs)
Hank Jones (p)
Paul Chambers (b)
Charles Pership (ds)
Recoeded on Sep.29,1956

Band 2
Herbie Mann (fl)
Art Farmer (tp)
Phil Woods (as)
Lucky Thomoson (ts)
Jimmy Cleveland (tb)
Jack Minitz (bs)
Billy Taylor (p)
Charles Mingus (b)
Charles Pership (ds)
Recorded on Sep.19,1956

Band 3
Herbie Mann (fl,ts)
Art Farmer (tp)
Gene Quill (as)
Lucky Thomoson (ts),Zoot Sims(ts) <ONLY EVENING IN PARIS>
Jimmy Cleveland (tb)
Jack Minitz (bs)
Hank Jones (p)
Milt Jackson (vib)
Charles Mingus (b)
Charles Pership (ds)
Father John Crowley (hand clapper)
Recorded on Sep,14,1956

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