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亀井大臣は鳩山内閣を救うか?

 この人くらい名が体を表さない人も珍しい。ここのところ大いに目立っている亀井静香郵政問題・金融担当大臣だ。「静香」とは一体何を間違えたのか。

 亀井氏は、なかなかに複雑な人だ。前々回の衆院選では堀江貴文氏が刺客として彼の小選挙区に向かったような古き自民党の代表的な「抵抗勢力」出身でありながら、ご本人は革命家チェ・ゲバラが大好きらしい。かつてアメリカの要人が彼の事務所を訪れて、ゲバラの写真を見て仰天したという。また、警察に影響力を持ち、かつて許永中氏とも親交があったというような普通の人は怖くてとても付き合えないような強面かと思うと、実は、死刑廃止を訴えている代表的な政治家でもある。
 親しくなりたいかどうかは別として、興味の湧く人物だ。

 この亀井氏が、大臣に就任早々にぶち上げた返済猶予構想(「亀井モラトリアム」)は大いに物議を醸し、批判を呼んだ。私は幾つかのメディアでこの問題について書いたので、詳しくは繰り返さないが、(1)銀行に損をさせるような制度にはならないだろうし(そうなると貸し渋り・貸し剥がしが深刻化するから)、(2)民主党との落とし所は大まかには最初から準備されているだろうが(もともと政策集に載っている)、しかし、そうなっても(3)金融のプライシング機能を停止させ、不正な利用が相当に紛れ込み、「出口」も難しく、制度として弊害は極めて大きいのではないか。
 本来はやるべきでない政策だというしかないが、しかし、日銀が金融緩和を十分に行わずにデフレが進行する現状では、この亀井モラトリアムが、政府による「信用の緩和」となって、金融緩和がやっと大きく進む可能性があるという意味で、悪いことばかりではないかもしれない。長期連用した場合に明らかに毒性は強いが、一時的には良薬かも知れないのだ。政策を単体で評価すると、政府が保証してコストの面倒を見るとしても、そうでなくても、「経済の仕組みを無視した愚策」と言わざるを得ないのだが、今この時点では、民主党政権を救う政策になるかも知れない(財政的にも、次年度予算は、財務省に実質的に丸投げしそうなので、不景気誘導型の緊縮予算になる心配がある)。
 この関連で言うと、日銀が社債・CPの買い取り停止を検討するとの報道に対して、亀井大臣は「日銀にはときどき寝言を言う人がいる」と言うヒットを飛ばし、これもニュースの見出しになった。

 政権発足後三週間経って、民主党の閣僚たちの動きには、物足りなさが目立つようになってきた。国家戦略室の「局」への格上げ法案も、子ども手当も臨時国会には上がらないらしいと報じられており、その通りだとすると、政権が変わったことによる政策の「変化」を国民は感じることが出来ない。今回の選挙で民主党に投票した人の何割かは、早くも民主党政権に飽きてしまうだろう。
 また、鳩山代表の「故人献金問題」の処理が遅い点も気がかりだ。「捜査中だから何も言えない」というのは小悪党がやむを得ずに行う言い逃れであり、自覚のある政治家なら自分の不始末なのだから、全力を尽くして自分で調べ、分かったことを一日も早く公表するべきだ。捜査への協力は「当たり前」であり、自分の調査とは独立の問題だ。一般論としても、やってしまった不始末は、早く認めて、他人の期待よりも大袈裟に潔く謝るのが、通常は正しいトラブル・シューティングだ。問題を長引かせると、より大きな謝罪をしなければ許して貰えなくなることが多いからだ。鳩山氏は、陳謝して、頭でも丸めたらどうか。国民もこの種の追及には些かうんざりしているから、「許してやろうよ」という話になるのではないか。
 八ツ場ダムも急には話が進みそうにないし、新型インフルエンザのワクチンも厚労省が大量輸入を渋っている。国民のイライラが募りそうな状況だ。

 こうした中、亀井大臣はニュースになる発言を連発している。
 西川氏をはじめとする日本郵政の経営陣への退任要求も、いったいこれから日本郵政をどうするつもりかという肝心の問題がサッパリ見えてこないとしても、それなりに世間の耳目を集めそうだ。
 「日経平均先物廃止」(今更そんなことをしても無意味。不便になるだけ)、「銀行の時価会計無期限停止」(時価評価を隠蔽しても実体は良くならないから情報効果上は無意味・有害)、「ペイオフの停止」(銀行も預金者も自立しない)といった亀井・国民新党の政策は滅茶苦茶であるが、これらを法案としては実現しない程度にぶち上げると、やはり世間の注意を集めそうだ。

 亀井氏が、自分自身の相対的なポジション(代表的守旧派)を意識しつつ、実際には手加減しながら、暴言・暴走的なニュアンスの発言を繰り返すことが、実は、愚図でのろまに見えている鳩山内閣の仕事ぶりから国民の注意を逸らす一種のアシストなのだとすると、これはなかなか大した役者なのかも知れない。
 「鶴は千年、亀は万年」。亀は鶴よりも10倍立派らしいが、鳩に対してはそれ以上の差がありそうだ。鳩の任期が10カ月、などということにならなければいいが・・・。

(読者へ: 私は、亀井氏の政策や行動を、大真面目に評価し、賛成している訳ではありませんので、その点は誤解無きように。亀井氏の人物は面白いし、魅力的だとも思いますが、政策は好意的には評価しません)
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コメント
 
 
 
Unknown (読者)
2009-10-08 17:28:58
あなたほどの方がWikipediaの情報源を鵜呑みにする記事をかかれては…。
(亀井氏の情報についての記述)
(情報源がWikipediaでなかったのであったらすいません)
 
 
 
意識的な演技かは分かりませんが (Unknown)
2009-10-08 19:45:39
旧来の政治基盤が崩れ去り、無党派層が最大勢力になった以上、小泉以降の全ての政治化は、劇場政治を強いられるのかもしれません。つまり大胆な演劇の出来ない政治家は、今後、埋没ないし淘汰される気がしてなりません。今や、世間の注目は、政治家にとって、最重要な「資産」ですよ(少数政党ならなおさら)。もちろん、政策の是非とは別次元ですが。
 
 
 
トリックスター (ぎんえもん)
2009-10-08 22:29:13
亀井大臣って、2ちゃんねらーに絶大な人気がありますね。
世の中が混沌としてくると、亀井さんのような無茶苦茶に引っかき回すようなキャラクターが支持されるのかもしれません。
それこそ金融行政をぶっこわしそうな勢いです。
(本人はそうは思ってないでしょうが)
任命した鳩山総理も内心ひどい人選をしてしまったと後悔しているんじゃないでしょうか。
しかし、厚労大臣に長妻さんが任命されたようにもっともお役人が嫌がる人を任命するというコンセプトだったのであれば、しょうがありませんね。
あえてフォローすると何が正解かわからない時代には基本的な部分を疑ってみるというのは、必要なんでしょう。
秀才ばかりの内閣では大きな仕事は出来ません。
東大経済学部卒の亀井さんが、馬鹿な発言だと知ってて銀行業界が嫌がる発言を連発していると思いましょう。
実際、藤井さんが金融を兼務するよりは円高を阻止しているという実際的なメリットもあります。

 
 
 
師匠もあきあきしてますね (よさぼうず)
2009-10-08 23:56:49
師匠も民主党の政治姿勢にあきあきしている様子がわかります。首相はアサッテ方向の意味不明な発言、大臣はテンデバラバラ、公約はかかげただけ、そして経済成長に対しては全くの無為無策、、。
師匠でも嘆きたくなる気持ちもわかります。しかしここはひとつがんばって冷静さを取り戻しましょう。
亀井さんは、モラトリアム発言をするなんて、金融の風上にもおけない輩です。いくらアンチテーゼのアナウンスメント効果があるからと言っても、本質を厳しく批判すべきです。現在の日本の閉塞感は極めて厚いものがあります。我々は民主党にたった1カ月程度で。所詮なにも知らない素人大臣が、官僚の作った精密なロジックによる文章や説明を河童できるとは思っていないのに、補正予算の精査をなんであんなに簡単に認めてしまうんだろう、と思う。河野太郎議員のような地道な活動が官僚の机上の論理を打ち破ることを知らないのか。大体大臣がロートルしかいないから、こんなテイタラクになるのでしょうけど。
藤井さんは即刻やめてほしいし、亀井さんも同じ。福島さん、お静かに願います。
そして民主党の若手服務308名、一体なにしとる。国費の無駄遣いか。しっかり政策をだせ。
 
 
 
亀井氏の情報 (山崎元)
2009-10-09 02:48:47
本エントリーの亀井氏に関する情報源は、主に「新聞」(東京地域の主要紙6紙)と「週刊現代」「日刊現代」です。ゲバラの話は新聞で(ゲバラの映画をやっていたとき)、その他は週刊誌(たぶん「現代」)で読んだような記憶があります。但し、記憶の正確性には十分な自信はありません。

もっとも、本エントリーの第二段落は文脈的には単なる前置きです。

それにしても、亀井氏が経済学部出身というのは、なかなか意外性があります。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2009-10-09 06:46:26
最後の念押しの文章から、絶対に誤解されたくない、という強い気持ちが感じられて、内容とは別のところで笑ってしまいました。
 
 
 
Unknown (のらひこ)
2009-10-09 07:53:53
今回のモラトリアムは金融機関のためのものではないか?保証協会の保証は、協会の判断に委ねざるを得ないが、今回は銀行自身が「3年以内に倒産しそうな」企業を作文で返済猶予にし、見通しどおり倒産したら国から損害補償してもらえるのだから。勿論、3年間倒産可能性の無い企業への返済猶予が条件付けられるだろうが、そんな作文は金融機関のお手のものでしょうから、いやだいやだと言いつつ、歓迎なのではないか?
 
 
 
返済猶予 (関西より)
2009-10-09 13:16:51
個人の住宅ローンはどうなるんですかね?
もし3年間金利のみの返済になるならどうしようかとワクワクします。
①エコなクルマに買い換える。
②中古のワンルームマンションを買って賃貸オーナー。
③ハワイのタイムシェアでコンドミニアムを買う。
④エコ家電を買ってエコポイントを稼ぐ。
⑤ソーラー発電を屋根に設置して売電する。
などなど、浮いた分を貯蓄して元金繰上げ返済しようなどと全く考えない私のような人ばかりであればまだまだ消費は活性化すると思うんですが。
如何でしょうか?
 
 
 
懐かしのブッチャー現る! (ロバのババ)
2009-10-09 16:00:11
亀井大臣の印象は、プロレスのヒールかサーカスのピエロです。大暴れすれば、冴えないヒーローも輝く。政策実行が停滞するのを見越して、総理と示し合わせて演じているのであれば、ご立派と言う他ありません。…やっぱり妄想かな?
 
 
 
RE:師匠もあきあきしてますね (よさぼうず) (青木)
2009-10-09 16:10:30
師匠って誰を指しているのかな?

>所詮なにも知らない素人大臣が、官僚の作った精密なロジックによる文章や説明を河童できるとは思っていないのに、

河童は喝破の間違い
 
 
 
自民党体質の骨董品。動いたらダメです! (かくせいⅢ)
2009-10-09 18:10:52
亀井静香氏は東大の経済出身ですが、いろんな人の意見では、当時はマル経が殆どの時代ですから、その後の経歴からして資本主義経済のことを理解してないのではないかと言いますね。まあ、近経の時代でもモリタクみたいな人もいるのですから、東大もバラツキは大きいのでしょう。

お抱えのエコノミストは、ミラーマンこと植草一秀氏と紺谷典子氏ですから、ばら撒き派ですよね。今回のマニフェスト説明でも、「よき談合の復活」なんて言ってますし、公共事業が食扶持の会社との付き合いが深いのではないでしょうか。

古い、古い体質の自民党の剥製みたいなものが、動き出すから困りますね。外人投資家が、日本株をスルーするのは当然でしょう。

こうやって時代に合わない、退場すべき企業を救いますから、生産性の向上など望むべくもありません。人口は減るは、生産性は上がらないは、外需は戻らない、政治は政策の入り口で徘徊するばかり、・・何重苦なのでしょうか。ゾンビ企業の氾濫は止めて欲しいです。
 
 
 
「私どもの責任ですか?」 (Unknown)
2009-10-09 18:18:02
亀さんが有名になったのは小泉が送り込んだ刺客との雨の演説だろうが野村證券のエコノミストと意気投合し、90年代末に小渕さんがやった財政出動は亀さんが政調会長として押した政策だった。
刺客を送られた亀さんの雨の中の姿はみじめな映像がいまだに記憶に新しい。
当時小泉絶好調で誰もが亀さんはもう終わったと思った人が多いだろうが、株と政治家は分からないものだ。あれよあれよで小泉竹中の株は大暴落し今や小泉を意のままに操った経団連が悪の商人になっている。
竹中なんぞは大学教授で似非経済学を教えながら一億円を悪の商人の会長になって貰っている。
亀さんが日本をおかしくしたのは経団連だと言うのは突拍子のない様に聞こえ一昔まえなら暴言どころか大変な事で更迭になっただろうが、
今では何だか応援する人が多いから笑ってしまう。
経団連も土光さんのいた頃と人材の質が違い
欧米スタイルのせこい経営者ばかりで何とも天下国家を語るための経団連からは乖離しすぎている。
年末の派遣切りなどやりたい放題の大企業のやり方を見ていれば誰も亀さんよく言ってくれたと思うだろうし経団連には蟄居謹慎をしてほしいくらいだ。
それにしても欧米スタイルは完全に国民からは
そっぽを向かれた感がする。
 
 
 
まあまあ ものは言いようだがね (作業員)
2009-10-09 18:24:25
>退場すべき企業

よう汁に、と書いても要するに、と読んでくれそうもねのがポンちゃんだが。
時給でたったの千円ポッチも払えね企業
ハケン乞食しか雇えね企業

これらが、退場すべき企業、なわけだがね。亀井先生が創造的破壊をなさっておられる、とは、さすがに思わねが、政権交代してしまったんだから、しかたね、イスラム金融、わかる? 宗門改め、ってことにして、ここはひとつよろしく。
 
 
 
ちょっと山崎さんに似ている。 (Unknown)
2009-10-09 19:20:35
顔とキャラクターは全く山崎氏とは違うが
基本的に天の邪鬼で
誰ものが王道と思う事でも
平気で周囲を凍らせて
ひっくり返す発言をするところは
よく似ている。
山崎さんの頃はマルクスは歴史の授業で
東大も大いに近代経済学が幅をきかせた
時代だろうが
同じ時代に生まれていればyouも間違いなく
マルクスに心酔したことだろう。
しかしマルクスも資本主義を経て
共産主義になると唱えていると聞く。
そろそろ
フリードマンも終わりかな?
 
 
 
似てねぇ~よ (かくせいⅢ)
2009-10-09 19:53:38
どこが違うって、度胸が違う。

あれだけ、警察関係におりながら(居たためかも知れないが)ワルとちちくりあうなんてぇーのは、店主にはできないでしょう。

亀井氏は、闇金融の世界では有名人である。20年前、仕手戦で有名だった「コスモポリタン」の池田保次社長が「失踪」した事件で、亀井氏は重要参考人だった。池田は山口組の企業舎弟で、株の暴落で組からの借金が返せなくなって殺されたとみられている。

これ以外にも暴力団のからんだ多くの仕手戦で、亀井氏の名前が取り沙汰された。「光進」の小谷光浩の国際航業乗っ取りをめぐる恐喝事件では、株を買い占められた国際航業側と、国際航業のスキャンダル記事を書き続けていた旬刊紙の「手打ち」を亀井氏が仲介し、2000万円を受け取ったと朝日新聞(1990/5/27)は報じている。

こう言うえげついことは店主には出来そうにない。

なぜかと言うと、それは面構えが違うからです。
亀井氏の顔は、やの字の顔と思いません、みなさん。
 
 
 
落ちぶれて、ひたすら落ちぶれて (かくせいⅢ)
2009-10-09 20:35:49
>それにしても欧米スタイルは完全に国民からは、そっぽを向かれた感がする。

その通りです。
だから、この国の子孫は、必ず乞食になるか、春を売る。

落ちぶれると言うのは、侘しいね。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2009-10-09 21:09:31
自民党が与党のときは政権交代しろといい、
政権交代したら新しい政権に文句いう。
で、自分では文句を言う以外に何もしない。

評論家ってのは、全く役に立たない人種だな。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2009-10-09 22:50:03
↑文句ばかり言う阿呆と、そんな文句をわざわざ読んでいる阿呆。

どっちの阿呆がより可哀想かは明らかだな!
 
 
 
良いポジション (ny)
2009-10-10 01:13:57
亀井さんには最適なポジションですな。
優等生ぞろいの民主党でひとり無茶を言ってしまうような。そりゃ注目もされます。

無茶苦茶を言っている割には、こいつは即時更迭だ!といった話にならないのはやはり弱者救済というか、ポーズだけでも国民の味方というフリをしているからでしょう。

ゆうちょの上場も止めたいようで、本気で勘弁という政策は今のところそれくらいでしょうか。

苦笑いというか、ギャグのような存在でありつつもツボはおさえているような、自民党の権力闘争でもまれた人の凄さってのはあるんでしょうね。
まあ居なくなったところで困りはしませんが。
 
 
 
意外と (RealWave)
2009-10-10 06:34:28
最初は滅茶苦茶のように見えた亀井の「モラトリアム法案」が実効性は別にして、法案の形になりそうになってきました。法案の効果が小さければ、毒も小さいでしょうから、それはそれで良いということでしょう。少なくとも、少数党の存在感と自分の実行力をきっちり示したという点で、亀井の立場では大成功です。

考えてみると小泉首相と正面衝突した郵政法案は、参議院で否決してしまったのですから、常識的には亀井の勝ちだったわけです。小泉が衆議院解散という超奇策に出たため、やられてしまいましたが、相手が小泉でなければ政治的勝利は亀井のものでした。

亀井という人は、がらっぱちに見えるし、多分本当にそうなのでしょうが、意外と頭は緻密にできているのでしょうね。警察官僚は官僚の中では内務省の流れをくんで、結構秀才が集まります。長年政界を泳いできたのですから、うまい落とし所は最初から考えていたのでしょう。「亀井もついにボケたか」とも思いましたが、そうではなかったようです。

もう一つの「意外」は、山崎さんが結構短気なことです。これからどうなるかわかりませんが、今回「政権交代」自身を目的として民主党政権ができたとすると、公共事業の執行停止、核密約の精査など、政権交代がなければありえない政策が出てきていると言っても良いのではないでしょうか。結果はまた評価しなければならないとは思いますが、滑り出しとしてそれほど順調でないとは、私には思えないのですが。

またまたもう一つの「意外」は、かくせいⅢさんが「時代に合わない、退場すべき企業を救いますから、生産性の向上など望むべくもありません」とおっしゃっていること。私の新日鉄への批判も、言葉にすると同趣旨です。こんなことを言うと、かくせいⅢさんに「退場理由が百害あって一理ない25%の温暖化ガス削減では、話が違う」と叱られそうです。これはあくまでも印象ですから、念のため。
 
 
 
感想 (ドゥビ)
2009-10-10 22:23:52
山崎様

>鳩山氏は、陳謝して、頭でも丸めたらどうか。国民もこの種の追及には些かうんざりしているから、「許してやろうよ」という話になるのではないか。

そういう問題ではないと思います。自分でも調査(場合によっては自白ともいうべき点もあるかもしれません)すると同時に、普通に法に則って処理すればよいだけではないでしょうか。

さらに言えば、ご自身が仰っていた秘書と議員の関係に照らせば、仮に秘書が立件されれば、議員辞職も当然でしょう。野党だったから好き放題に言った、というのは甘えでしょう。まぁ、その甘えが特定の人に対して許されるのがわが国の評論家やマスコミのようですが。

>西川氏をはじめとする日本郵政の経営陣への退任要求も、いったいこれから日本郵政をどうするつもりかという肝心の問題がサッパリ見えてこないとしても、それなりに世間の耳目を集めそうだ。

西川氏の更迭については鳩山首相も断言していますので、速やかなる処置を期待しています。当然、それに対する理由付けや証拠、郵政のあり方の展望なども示されるでしょう。また、それが視野に含まれているからこそ「更迭断言」をしているのだと思いますが、まぁ、お手並み拝見といったところでしょうか。

最後の部分、山崎様の「~そうだ」の繰り返し、文章としてちょっと気になります。あと、個人的な感覚で言わせていただければ、「読者へ」という言い方もちょっと気になります。本文は「~だ」体の文章で、カッコ内は「~ですます」体になっているだけに、ここは「~ですます」体に合わせて「読者の皆さんへ」あたりが妥当ではないでしょうか。どうでもよろしいことですが。

>実は、愚図でのろまに見えている鳩山内閣の仕事ぶり

個人的には相当に深刻に思われますよ。補正予算執行停止の内訳も大枠といくつかの詳細が限定的に示されただけで、その全体像はどうにも分かりません。ダムについての検討資料もろくに提示された記憶はありません。約束していたはずの北朝鮮貨物法も結局は見送りになりましたし(これは国連決議に関連するものではなかったでしょうか)、菅副総裁は立法権と行政権の両方を預かると述べています(こういうことは、実質上どうであれ責任ある政治家が発言すべき種のものではないでしょう)。

そして、国会も開かれず所信表明演説さえなされていない状態。その前提となる改革を今行なっていると良心的に解釈するにしても、あまりに独善的であり、拙速に過ぎる感をいなめません。閣僚の発言の不一致やブレもひどく、緊張感もなければ国をよき方向に導く努力の痕跡も見えません。~会議を作るばかりで、仕事はすべて官僚に「~してこい」のみです。これが政治主導の姿だとは私は思いませんが。

山崎様は批判なされていますが、むしろ前原大臣が矢面に立っている印象であり、皮肉にも亀井大臣や福島大臣が一定の存在感を持つことで、辛うじて内閣(この内閣は千葉大臣と藤井大臣を除いて影があまりにも薄い)というものが日本に存在していることを思い出させてくれているようです。

政権交代を待ち望んできた以上、愚図でのろまとのんびり構えていればよい山崎様はそれはそれでいいのでしょうが、私には、民主党に対し、一体今まで何をして来たのか、何も準備をしていなかったのか、という絶望と情けなさ以外には、何も感じられません。私は朝日新聞一紙(それと朝鮮日報)しか読まずテレビも全くといっていいほど見ませんが、とりわけテレビの民主党礼賛はほとんど異常の域に達しているようですね。

日本が、将来の子どもたちのために誤った方向に進まないことを願うばかりです。それ以前に、今生きている私たちが大きな負担を背負うことになりそうな勢いですが。評論家という看板を山崎様も掲げていらっしゃる以上、よき方向性の提示と厳しい現実批判を期待しています。山崎様は基本的に民主党に非常に甘い印象がありますので、今回の鳩山総理へのご意見あたりが限界かもしれませんが。
 
 
 
Unknown (日経ビジネスアソシエ10月6日号)
2009-10-10 23:28:37
>もう一つの「意外」は、山崎さんが結構短気なことです

転職の帝王の山崎様が短期なのは当然という気がします。

>政権交代がなければありえない政策が出てきている・・・滑り出しとしてそれほど順調でないとは、私には思えないのですが。

同感です。1945年8月15日以降も敗北した日本が(アメリカと共同して)朝鮮を統治していたという時期もありました。新政権の尻を叩く必要はありますが、過渡期はこんなものかもかと。

以下は余談です。

10月6日号にマネックス証券の松本大社長の時間術が載っていましたが、あまりのハードワークさに驚きました。金融業界やコンサル業界の一線のはみんな同じような感じなのでしょうか?

また同号9ページで山崎様の著書に「エコノミック恋愛術」とかいう本が記載されていました。この本は今まで知りませんでした。
 
 
 
その位に在らざれば、その政を謀らず (朝風夕波)
2009-10-11 07:04:09
金融プロの知見をもつ評論家山崎元が、政治プロ(金融アマチュア)亀井静香の金融「政策」を、金融理論としてはバッサリ切り捨ててハラハラしつつも、「政策」としての政治ジャンケンの出し方としては、なかなかのベテラン政治家の知恵なのかもしれない、改めてセイジの世界は、「その位」にいないものには想像しがたいところがある世界だ、と言っているのだろう。
山崎さんのこの手の論評に対して、民主党、自民党、両ファナティック(もしかして、「その位」の関係者?)から非難が出るのが恒例行事のようだが、別に両党との「利権の構造」もなさそうな山崎さんに対しては、「自由な」立場の発言を期待したい。春秋戦国ならぬ民主主義の時代、そういう意味での、政を謀るのはアリであり、民主主義の基盤でもある。
危邦には入らず、乱邦には居らず。
 
 
 
理解できんのです (かくせいⅢ)
2009-10-11 09:33:03
RealWave さま

分かりませんなぁ、あなたの話が。私は、赤字企業は世の役に立っていないのだから、市場から退場すべきを、90年代後半にも貸し渋り、貸し剥がし防止の行政指導で、ゾンビ企業を沢山作って、それが、GDPの伸びを阻害していると言ってる訳です。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/3c23abe9c9ac0f15d3d308a65174aa77

それに対して、新日鉄は、赤字企業ではないし、以前にも申し上げたように自動車の世界的な視点での競争力にも貢献しているのだから、退場する必然性は何もない。逆に、あなたの重厚長企業はもういらないと言う考えが間違いで、日本から鉄鋼業を追い出しても世界的な需要がある限り、どこかで鉄はつくられるのだから、CO2排出量には変化がない。(逆に新日鉄のエネルギー効率は高いと言われているので、新日鉄を追い出すと世界ではCO2は増えるのかもしれない。)

だから、あなたの考えが理解できないですねぇ。

朝風夕波 さん

店主は、ファナティックな意見も大歓迎だと思いますよ。多分、ラフロイグを飲みながら、「それは、言いすぎだ」とか、「ピンボケだ」とか楽しんでおられるのでしょう。そういう意見が出ない、エントリーの時は、しくじったと思っておられるのではないでしょうか。と私は想像しております。
 
 
 
ラフロイグ (朝風夕波)
2009-10-11 11:06:21
かくせいⅢさん
人の、言いすぎ、ピンボケを楽しむほど、お人が悪いかどうかは保留しますが、山崎商店アンテナショップへの来客に丁寧に対応しておられるのは事実だと思います。私のようなピンボケ、舌足らず書き込みでも、思い切ってクリック出来る所以です。
前に、焼き鳥のエントリーは読んだことがありますが、ラフロイグの肴には何が合うのでしょうか。専ら、熱燗に季節の近海魚の私にはサッパリ解りません。

 
 
 
いえいえ蒸し返しているのではありません (ealWave)
2009-10-11 11:51:41
かくせいⅢさん、

新日鉄の話を蒸し返そうと言うのではありません。「企業の退場」というところだけ、摘み食いしただけです。

企業が退場させられてしまう理由は色々あって、強力な競争相手が現れた、顧客からそっぽを向かれた、研究開発を怠った、など自分の責任でしかないものもありますが、環境規制が厳しくなった、不況になったなどは、必ずしも自分の責任とばかりは言えません。

企業からすれば、同じように努力しているのに、突然「それじゃダメ」と言われるわけですね。含み経営が許されなくなって、企業は何かあるとすぐ市場から退場しなくてはならない可能性が高くなりました。

>新日鉄は、赤字企業ではない
温暖化ガス削減コストを内部化させられると、赤字転落してしまうのですよね。(これは私ではなくて、新日鉄の経営者の主張)

>どこかで鉄はつくられるのだから、CO2排出量には変化がない
まったくその通りです。日本のCO2排出量は世界の4%。日本だけしか削減努力をする国がなければ、文字通り削減努力は「徒労」です。

>あなたの重厚長企業はもういらないと言う考えが間違い
これはかくせいⅢさんの思いこみです。私は重厚長大産業が不要とは別に言っていません。削減目標が達成できないなら、日本から出ていくと言うから、(売り言葉に買い言葉で)「そんなら出て行ったら」と言っただけです。

とかなり蒸し返してしまいましたが、新日鉄には新日鉄として日本から退場させられるとすると色々言い分はあるでしょう。

金利、元金の減免も、「天気が晴れたら傘を貸す」という銀行の体質が一層ひどくなったのを何とかするべきだとの主張は、それなりに意味があるわけで(技術的に有効な策を打てるかどうかは次の問題です)、銀行の貸し渋りに追い詰められて、「そんな企業は退場!」と言われたら言い分がある企業は沢山あると思いますよ。現に(新日鉄同様に)貴重な技術を持つ中小企業が倒産に追い込まれるケースはいくらでもあるわけです。

それでも企業の新陳代謝は必要ですから、木の間伐をするようなことは考えなければならず、何でもかんでも救ってやろうというのは間違いです。

かくせいⅢさんと私の違いは企業の退場ということに関しては、退場させる理由が違うだけで、間伐が必要ということは同じではなかろうか。とそういうことです。
 
 
 
ラフロイグには・・・ (五十路もおばさん)
2009-10-11 12:16:16
 山崎さん、こんにちわ。
↑朝風夕波さん、わたしはブルーチーズとか鯛のカルパッチョを少しいただきながらラフロイグの12年ものを味わいます。主人が下戸なので、もっぱら外で友人たちと。ホントは一人でホテルのバーなんぞで・・・と思います。肴は別になくてもいいですね。
 ところで、「亀ちゃん」ですね。私たち飲み仲間の間では嫌われていません。「あーあ亀ちゃんはいいのよ。」だそうです。たしか、竹中平蔵さんに「経済」の無知を指摘されていたのを憶えています。どっちもどっちと思いますが、水と油の関係ですね。亀井さんも落としどころを考えてはいるのでしょうけど。
 山崎さんにお尋ねします。法律を学んだ人は経済学に弱いように見受けられます。(私の独断と偏見ですが)
かって社会党の委員長でした土井たか子さん、文学部の教養の法学を教えておられたのですが、経済に関しては全くとんちんかんでした。どーも、自民党の総裁になられた谷垣さんも・・・。財務大臣をおやりになったことはありますが。逆に経済から法律は割合入りやすいのでは。いかがでしょうか。
 
 
 
是非野村監督の事を取り上げて下さい。 (Unknown)
2009-10-11 19:02:46
山崎氏の素晴らしいところは
どんなに良いポジションにいても
おかしなトップには苦言する人です。
亀井さんの事でなくて申し訳ないです。
 
 
 
カキのボーモアをたらして食する (かくせいⅢ)
2009-10-11 19:41:45
朝風夕波 さま

ラフロイグは、スコットランドのアイラと言う島にある蒸留所です。そこの中心の町は、ボーモアと言う町で、同名のウイスキー工場があります。(ラフロイグほどスモーキーではありません)そのボーモアと一番合うのは、アイラのカキだと言われています。(どの案内書にもそう書かれています)だから、ここからは推測ですが、同じ系統ですから、カキは合うのではないでしょうか。案内書では、カキにボーモアをたらして食べるのは最高と書いてありまして、日本で食べたら美味かったです。店主もミニチュアを持ち込んで食べたとか書いておられたように思います。

RealWave さま

以前に、
>経団連が依然として重厚長大(御手洗会長のキャノンもは重厚長大ではありませんが、輸出型企業の代表です)の利益集団を代表しているのでは、企業のリーダーシップをとれるはずがありません

と書かれていたので、重厚長大は消えろとお思いかなと思ってた次第。今回のコメントで了解でございます。
 
 
 
ラフロイグの肴 (山崎元)
2009-10-11 20:04:18
ラフロイグは、スモーキーでクレゾール的な刺激臭が特色のモルトで、加えて些か感覚的ですが、酒質が太く、陽性でドライな感じがします。従って、ソーダ割りには非常に適しています。

「とりあえずビール」の代わりに「まず、ラフロイグ・ソーダ」というのは、一晩の優れた始め方です。

長熟物はソーダで割るにはもったいないので、オフィシャルの普通のボトルで十分です(10年物、スーパーで3000円くらい)。是非やってみてください。

ラフロイグの場合、甘くないので、ソーダ割りにしても食べ物の味を殺すことがありません。スペイサイドのフルーティーなモルトやブレンドもののウィスキーのソーダ割りは単体で飲むと美味しいことがありますが、白身の魚の刺身のような繊細な味のものには合わない場合があるように思います。その点、ラフロイグは安心です。英国のチャールズ皇太子はラフロイグ好きらしいですが、いい趣味ですね。

もちろん「牡蠣とボウモア」のように「牡蠣とラフロイグ」もOKです(生牡蠣にラフロイグをかけて食べます)。この場合は、通常のオフィシャル・ボトルよりも味が濃いカスクの(カスク=樽、出しの意味。度数が50数度と高い)ラフロイグの方が美味しいかも知れません。

ラフロイグを中心に肴を探すということになると、塩気があって、スモーキーな感じと合っていて、ある程度オイリーな物がいいように思います。具体的には、ベーコンを軽くあぶったものやカモの燻製などがあると幸せではないでしょうか。

もっとも家で飲む場合は、私は夜中にベーコンをあぶるほどマメではないので、チーズやピクルスなど、冷蔵庫から出して直ぐに食べられるものをツマミにしています。
 
 
 
 (朝風夕波)
2009-10-12 07:38:52
今角栄から、名前もなかなか覚えられないラフロイグ談義に発展してしまい、大いに慌てております。
私は、カントリー・ライフが長かったせいか、山海の珍味、自然の恵み、手作り野菜に、琥珀色を添えて舌鼓を打つのを楽しみとして来ました。もし、彼我の楽しみに共通項を設けるとすれば、やはり、熟成した時間と、自然の産物(時間の推移、季節)の組み合わせの妙というところでしょうか。彼においては、熟成に重心があり、我においては、時間の推移をより珍重するということがあるかもしれません。これからは、牡蠣や平目、鯛なども美味しくなる季節、折角ご紹介いただきましたので、一度ラフロイグで味わってみましょう。

角栄さんの新潟は、米どころ、酒どころ、肴も美味しいところでした。息子さんのラフロイグ・コレクションは意外な絆で結ばれていたかも知れませんね。昔の小学唱歌は、日本のメロディーとばかり思っていましたが、イギリス民謡が多いと聞いたことがあります。音楽家の心のメロディーにも共通性があったのでしょうか?
 
 
 
東大経済学部の時代 (ぎんえもん)
2009-10-12 10:33:06
政党の党首が全員東大出身ということで話題になってますが、東大経済学部出身の経済関係の論客も亀井さんはじめすごいメンバーですね。

亀井 静香(金融大臣)
白川 方明(日銀総裁)
榊原 英資(経済学者)
森永 卓郎(経済アナリスト)
高橋 洋一 (経済学者)
池田 信夫 (経済学者)
植草 一秀 (経済評論家)

一度テレビでこのメンバー+店主の経済討論番組を
やってもらいたいものです。
視聴率取れると思いますよ。
どういう結論になるのかは想像つきませんが。

 
 
 
お祭り (麿)
2009-10-13 10:36:08
亀井さんは派遣の自由化について改正当時、「人を安く使おうとか、そんなことばかり考えてちゃいかん」と言って反対しておられたのが、とても印象に残っています。当時は何につけても自由化こそが正義だったので、良し悪しはともかく、亀井さんの軸がぶれていないのを感じます。

民主党については、年明け以降我慢比べのような経済状況が続くに従い、支持率等なども落ちついて(下降して)くるでしょう。
お祭りは準備期間が一番楽しい時間です。
そしていつまでもお祭り騒ぎを続けているわけにはいきません。

ただ、羽田の国際化などの話を見ていると、民主党に一度政権が移ったのは、悪いことばかりではなかったとも思えます。
とはいえ、夫婦別姓と教員免許更新制度の改悪だけは、なんとかやめてもらいたいですが。
 
 
 
Unknown (まや)
2009-10-20 00:38:05
来年は今年以上に融資難民が増加

かなり厳しい状態に陥る人が増加する

先生稼業が今年以上に忙しくなる

記事に関係なくてすいません。
 
 
 
designerhandbags118@yahoo.cn (knockoff handbags)
2012-02-06 21:30:17
It’s my first time to read like this article.
 
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