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【現代ビジネス】「馬券裁判男」の馬券術と株式運用の共通性

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「元ファンドマネジャーが仰天!「競馬で1億5000万円儲けた男」に学ぶマネー運用の"鉄則"」というタイトルで記事を書きました。

 馬券で得た利益を申告しなかったことで巨額の課税を受けた会社員が裁判で争った一件は、最高裁において、外れ馬券を経費として認めるという判決が確定しました。
 馬券に対する課税もさながら、競馬ファンが真に驚き興味を持ったのは、28億7千万円の馬券を購入し、30億1千万円の払い戻しを得て、1億4千万円も儲けたという馬券裁判被告人の馬券術です。

 その会社員「卍」氏が自著「馬券裁判 競馬で1億5000万円儲けた予想法の真実」(株式会社メタモル出版)において、自身の馬券術について説明しているというので、一競馬ファンとして読んでみましたが、実際、驚きました。卍氏の馬券術は、私がファンドマネジャー時代に株式のポートフォリオ運用で行っていた運用法と、考え方の上でも、諸々の実行方法の点でも、非常によく似たものだったからです。

 もともと株式投資と競馬はよく似ています。株価とオッズ(馬券が当たった場合の払い戻し倍率)の形成原理がよく似ているからであり、卍氏の馬券術の中核となる「適中の楽しみを捨てて、回収率を重視する」ことは、株式の運用にあっても重要な考え方になります。
 その他、本書には若いファンドマネジャーに是非読ませたくなるような内容がいくつも出てきますが、前書きの中ほどに、注目すべき記述を見つけました。「しかしながら、私が馬券で得た利益の約半分はリーマンショックの時に投資信託での損失として消えてしまっており」とあります。
 競馬では緻密な資金マネジメントをしていた卍氏でしたが、投資信託では実質的に過剰な集中投資になっていたようです。お気の毒ですが、どこかの金融マン、あるいは書籍などの情報を、過剰に信じてしまったのかもしれません。
 卍氏のように、本業(?)にあっては緻密で成果を上げていても、資金運用の失敗で大損をした、あるいは、しつつある、という人は少なくないのではないでしょうか。他山の石として頂けたらと思います。
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