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「休眠預金」にたかるシロアリに要注意!

 今週のダイヤモンド・オンライン「山崎元のマルチスコープ」では、「『休眠預金』は預金者に返せ」というタイトルで、休眠預金の活用をダシに新たな「シロアリの巣」(=余計な天下り組織)が作られることになるのではないかという懸念を書いてみました(http://diamond.jp/articles/-/21654)。

 名前からして胡散臭い「成長ファイナンス推進会議」のとりまとめ資料(7月9日付)を見ると、休眠預金の活用を検討することが書かれていて、資料の別紙には新機構のスキーム図が載っています。今年度に検討を終え、来年度に「必要な制度整備を終え」、2014年度から「休眠預金の管理・活用に向けた体制を構築」というスケジュール観のようです。
 注目すべきは、とりまとめ資料の本文中に、「休眠預金を一元的に管理する機構を設ける制度案を中心に検討する」と早くも書き込まれていることです。
 日経の記事によると年間にざっと500億円くらい使えるお金が生まれるらしい休眠預金を活用する「機構」を作りたい、ということのようです。
 ポイントは二点。
 先ず、仮に(百歩譲って)ベンチャーへの投資・融資などへの資金活用を行うとしても、対象を発見・審査するのは、民間がやった方が明らかにいいので、この「新機構」は不要だと指摘しました。必要なのは、休眠預金に関するルールの整備と公知であって、余計な新組織はいりません。この点に関しては、異論の余地がないと思っています。
 次に、休眠預金の発生経緯を考えると、これは預金者全体に返すのが筋ではないかと私は思います。家計の貯蓄性預金(ざっと500兆円)に1ベイシス利息を追加できます。こちらの方は異論があるかも知れませんが、薄くても、広く、公平に、ということです。

 もっとも、ルールに基づいて、広く、非裁量的に、公平にお金を配る政策は、官僚や業者のメリットが乏しいので、嫌われる傾向があり、預金者への還元は実現しそうにない、というのが私の「予想」です。
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「小沢新党のマーケティング戦略」(夕刊フジ「経済快説」)

 私は、水曜日発売の夕刊フジに「経済快説」というタイトルの連載コラムを書いています。原稿の文字数は11字×100行=1100字です。
 今週は、「小沢新党のマーケティング戦略」というタイトルで、新党「国民の生活が第一」について書きました。ライバル紙、「日刊ゲンダイ」は小沢氏の応援が鮮明ですが、ここで書いたのは、批判でも、応援でもありません。小沢新党の政策選択が「案外」次の選挙で奏功するのではないか、という話です。

 先ず、同党の「国民の生活が第一」という党名は、語呂は悪いながらも、他党と異なる語感であることで目立ちます。また、ニュースなどで、党名を言ってもらうたびに同党のキャッチフレーズを訴えることにもなるので、短期的なキャンペーン戦略としては、案外悪くないのではないかと思っています。
 また、「反消費税増税」、「反原発」、「反TPP」という同党の政策、及び「小沢一郎氏」という同党の看板は、支持が過半数に至るかどうかはともかくとして、それぞれマニア的に熱心な支持者がいます。政策に投票してくれる有権者の票を小沢新党が集めることが出来れば、票が割れる小選挙区の中で一位を取る場合もあるのではないでしょうか。一回生、二回生議員が多く、候補者の点で有利とは思えない小沢新党ですが、今回の政策選択は、候補者の弱さをカバーできる面があると評価してみました。
 乏しい手持ち資源の中ではあっても、それなりの戦略を持っており、「案外」侮れないのではないか、というのが目下の印象です。

 以下は、コラムに書いていないことですが、小沢氏は、経営者に喩えると「創業」と「営業」(=政治家の場合は選挙)が得意なタイプなのでしょう。しかし、時々に側近はいても、後継者やブレーンがいない「人事」の弱さ、幹事長時代に政務三役で役所をコントロールしようとした「政治主導」が全く機能しなかった「オペレーション」の弱さは、深刻な弱点だと見ます。
 名前をあげるのは控えておきますが、実業界にも、このタイプの人はいるように思えます。
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