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沖縄に講演に行ってきました

 24日に沖縄タイムス様の主催の講演会で話をしてきました。那覇空港到着時の気温は16度で、地元の人々は異口同音に「今日は寒い」と仰るのですが、ざっと10度ほど寒い東京から行くと、コート無しで歩くのに丁度快適でした。食べて、飲んで、さらにその後に夜中の街を一人で一時間半くらい散歩しましたが、ほろ酔いの酔っぱらいには、寒くも熱くもない適温でした。
 お客様は沖縄の経済界の人々で、講演の後の懇親会が新年会を兼ねるということもあり、ざっと100名様くらい(目算です)の方々が集まって下さいました。
 話の内容は、メモ書きからテキストだけ抜粋すると以下のような項目です。当ブログの読者であれば、説明しなくても内容をご推察頂けるでしょう。

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(1)サブプライム問題は第二ラウンドに入った
-証券化商品の損失問題が第一段階、不動産価格の米国景気への影響が第二段階
-不動産は「サブプライム」だけではないし、価格はまだ下がる
-日本のミニバブルも終わった
-「一回目の修正は不足、三回目からは過剰」?
・2008年、日本の成長率;政府=2.0%、IMF=1.6%
-<認識>が<事態>に追いつくまで株価は下がる

(2)サブプライム問題では儲けた奴にも注目しよう
-証券会社、銀行、不動産屋、建設業者、ヘッジファンド、格付け会社、保険屋
-成功報酬は貰いっぱなし!
-「オプション」としての成功報酬・成果主義のリスク拡大効果

(3)「日本株一人負け」の理由は二つある
-輸出企業への依存の大きさと、政策への絶望
-米国は金融緩和+減税、日本は金融引き締め懸念+増税懸念

(4)日銀総裁は福井体制の延長線上ではダメ
-福井総裁はやっぱり不適格だった
-「フォワード・ルッキング」が外れた責任
-現在の政策委員はダメだとすると誰が?

(5)国家ファンドはなぜダメか
-国家を通じて運用するよりも直接運用する方がいい
-国家ファンドは「巨大なカモ」!

(6)年末の日経平均を試算してみよう
- 益利回り+利益成長率=金利+リスクプレミアム、の関係から計算
・長期的な成長率を一定と仮定して、今年の名目GDP成長率を代入
・リスクプレミアムは5%、6%、7%で、6%が標準

(7)日本人が運用下手だという根拠はない
-家計金融資産伸び率は家計の「運用力」を表さない
・日本もバブル期(80年代)は10年で100→277だった
-外国人が上手い訳ではないことに注意

(8)退職金が振り込まれた銀行ではお金を運用するな
-銀行に限らずセールスマンは「味方」ではない
-「一見いい運用」が「本当にいい運用」なら売っている筈がない
-財布の中身を見せながら取引するな
-アドバイザーから商品を買うな

(9)シンプルで手数料が安いETF(上場投資信託)で運用しよう
-「いいファンド」は事前には見分けられない
-"幕の内弁当"は複雑で割高
-投資家が選べるのは手数料だけ

(10)たとえば、日本株と外国株を4:6で組み合わせてみよう
-分散投資効果は確かにある
-外貨預金、外債(外国債券)は個人に不向き
-自分のリスクの大きさを決めてシンプルに投資するだけでいい
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 相場と投資戦略に関する大筋は、家賃利回りから見てアメリカの不動産価格がまだ下落して景気に悪影響を与えるであろう事をはじめとする各種の不安材料を説明し、事態の悪化に市場参加者の認識が追いついた辺りに「底」を期待して、下がったところで株式のエクスポージャーを増やせばいいのではないかということを説明し、内外の株価指数に連動するETFを4:6で買えばいいのではないかと申し上げました。加えて、現日銀のダメさ加減、シティバンクがこれまでいかに悪辣で日本を舐めているか(情報開示が信用できない段階で上場させて、その状態を漫然と許しておく東証も不思議ですが)、そして銀行で投信・個人年金保険などのリスク資産運用を行うことがいかに不適切か、と結果的には、各種の銀行批判に力点を置きました。まあ、どの銀行に関しても、話す側としては、気持ちよくこき下ろしたと言っていいでしょう。
 講演後の懇親会の挨拶をされたは地元の銀行の偉い方だったのですが、私の話に困っておられて、「銀行といってもいろいろあるので、その辺のところを、ご理解いただきたい」と仰っておられました。「銀行窓販で買ってもいいと思える投信は一本もない」、「銀行に資産運用の相談をしてはいけない」といった私の話の内容には全く嘘はないのですが、聴衆の中に地元の銀行の方がいらっしゃることは計算外で(←本当です)、少し申し訳なく思いました。銀行のお偉方がいるくらいのことで話の内容は変えませんが、事前に意識していれば(講演前に主催者から出席者リストを見せて貰いましたが、私は、そこまで気が回りませんでした)、もう少し丁寧にからかってあげたのにと、いろいろな意味で残念でした。

 今回の講演は、沖縄タイムスの講演会のご担当の方が、当ブログを見て、このブログのメールアドレス(yamazaki_hajime@mail.goo.ne.jp)にメールを送って下さって実現しました。主催者の沖縄タイムス様には、完璧かつ過分のアレンジをして頂き、気持ちよく話をさせて頂きましたし、一泊の旅程で短時間ではありましたが、大変快適に過ごしました。ご同業の方々(←講演する人)には、沖縄タイムス様主催の講演は快適だ、とお伝えしておきます。
 以上、当ブログから発生した講演なので、読者にご報告します。
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