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週刊エコノミスト(3/7号)の東証の記事

現在発売中の週刊エコノミストの3月7日号の15ページに、金融ジャーナリスト・森岡英樹氏による「『魔の30分問題』市場の歪みを放置する東証の怠慢」と題した文章が載っている。

「魔の30分」を例の30分の間の先物の仕掛けだけによって起こる現物・先物の乖離の問題であるかのように書いている物足りなさはあるが(実際は、バスケット注文のヘッジが多く入っているだろう)、東証が市場の歪みに対して鈍感すぎるという趣旨は、その通りだ。

この記事に注目した理由は別にある。議論の本筋ではないのだが、文章の終わり近くに「・・・問題は裁定が働かない空白の30分を放置している東証にあろう。東証はライブドア株の大量売買によりシステムがダウンする懸念から現物株の取引開始時刻を30分遅らせているのが本音であれば、早期にライブドアを上場廃止にし、カジノ化している市場を正常化する必要があろう」とある部分が捨て置けない。

先ず、市場を見ている(或いは日経くらいは読んでいる)人ならご存知だろうが、目下ライブドア株の取引は14時-15時の一時間に制限されている。つまり、エコノミストの記事のこの部分は、まず事実誤認しており、従って、筆者の邪推なのだ。

筆者である金融ジャーナリスト森岡氏の他に、「週刊エコノミスト」のこの欄の担当者、同じく編集長(さすがに読んでいるだろう)の3人がこの点を見逃したか誤解していたということなのだろう。

お粗末といえば、何ともお粗末だが、経済誌に書いてあることを、簡単に信じてはいけない、ということだ、と一応言っておこう。経済誌にも信頼度の違いがあるような気がするが、「雑誌も間違うことがある」という一般論には間違いない。経済誌各誌の比較は、書いてみたい気もするが、事実を収集してから書かないと、民主党の永田議員のようになるから、今は、止めておく。

ところで、先の引用の中の、「カジノ化している」という一節だが、確かにライブドア株の売買と値動き(特に比率で見た動き)は激しいが、同株を抱えて苦労している個人投資家もいるわけで、ライブドア株の売買をカジノに喩えるのは失礼・不適切だろう。

ライブドア=悪い会社=早く上場廃止にせよ!、という観念連合があるのかも知れないが、些か視野が狭いように思う。株主の立場で考えると、ライブドアの旧経営陣がもちろん大いに悪いが、こうした会社の決算を見抜けなかった監査法人、分割その他を許してきた東証、さらに事件発生後はシステムダウンして、通常なら管理ポストでも普通に売買できるはずなのに、時間を制限し、信用取引を制限して、株を有利に売るチャンスを制約したやはり東証も「悪い」のだ。

東証は、「お客様に悪いことをした」という意識をまず持つべきだし、その罪滅ぼしに、むしろ整理ポストに入れてから(今後、上場廃止を正式に決めてから)、通常よりも長めの売買期間を設定するくらいでいいのではないだろうか。

現在のライブドアに対して、早期の上場廃止で罰を与えることに意味があるとは思えないし、「ライブドアのことを早く忘れたい」であろう東証に加担する必要もない。
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