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【エンジニアの生きる道】凡人が秀才を逆転するために必要な5つの要素

 株式会社VSN様(技術系人材サービス業)のWEBサイトにて、「経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」」というタイトルで、月一回、エンジニアの方に向けたコラムを書いています。

 今月は、「凡人が秀才を逆転するために必要な5つの要素」と題する記事を書きました。

 仕事における処理能力とは、高校レベルの国語・数学・英語の運用能力が、その全てではないとしても、大まかには当てはまるように思います(但し、この三科目を、高校レベルで文字通り「完璧」に使いこなす人は、私のビジネス経験上殆ど見たことがありません)。
 そして、「秀才」と呼ばれる人々が一般的に「凡人」に比べて仕事の処理能力が高いと言われるのは、個人差があるとしても、これらの能力が相対的に優れているからであり、そのために、ビジネスの世界でも「あの人は、出来る」と評されるのでしょう。

 しかし、業務全般の処理能力が高い秀才が、必ずしも、ビジネスの世界で高い成果を上げて出世するかというと、そうはなっていないのが現実です。

 それでは、秀才ではない者に、仕事の「処理能力」に勝る秀才を逆転する余地が現実にあるのだとしたら、逆転を可能にするためには何をしたらいいのでしょうか。

 後天的な努力によって変化が可能な「逆転のための要素」を抜き出すと、以下の5つが目に付きました。
 今回の記事では、それぞれについてまとめています。

1・対人能力
 恐らく最大の要素でしょう。問題は、努力によって改善可能であることに、本人が自覚的であるかどうかと、改善のための努力の仕方を知っているか、です。

2・人脈(=人間関係の集合)
 人脈を利用するには、作り方、維持の仕方、育て方等を知らなければなりません。方法を知って意図的に努力するかしないかで、大きな差が付きます。

3・芸
 有効な人間関係の形成に役立つ場合があることに加え、高度な達成度合いの芸事を持つ者は、仕事にあっても高い達成意欲をもつだろうと推定されて、人材評価を改善する可能性が十分あります。

4・健康
 高い処理能力も、健康と体力が無いと有効には機能しません。特に、差が付きやすい中年期以降は、仕事のパフォーマンスにも、経済的な有利不利も、さらに出世の可否にも大きな影響が出ます。

5・経験
 いつどのような仕事に関わったかという「経験」の差も要素としてあるでしょう。自分の「時間」という貴重な資源を、どういった経験に投資するか、常に自覚的であるべきです。
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【現代ビジネス】ソフトバンク孫社長の選択は「正解」だ~大物経営者の引き際を考える

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「ソフトバンク孫社長の選択は「正解」だ~大物経営者の引き際を考える」というタイトルで記事を書きました。
 ソフトバンク孫正義氏の事実上の後継者と見られていたニケシュ・アローラ副社長が退任するというニュースから、今回は、大物経営者の辞め方について考察をまとめています。

 報道によると、孫氏が社長を継続したいという心境になったことによるそうですが、孫氏の選択は正解でしょう。真の大物経営者は、自身のビジネスにあっては取り替えの利かない生き物なので、体力と情熱が続く限り自分の事業に関わるのがいい。
 先般の、セブン&アイ・ホールディングスの「カリスマ」こと鈴木敏文会長の退任に至る事例もそうですが、創業者に限らず、事業を新しく構築し、長らく会社の成長を主導してきたような大物経営者の引き際というのは、難しいことがわかります。

 大物経営者は、「後継者」や自身の「高齢リスク」などを問われたり、判断力の衰えや成功体験への固執などが非難される場合があります。しかし、ゼロからイチを作り出すようなビジネス・モデルの創造者においては、多くの場合、自分を上回る人物が出るまで自分は留まるのだという覚悟で、自身のポテンシャルを使い尽くすことに注力する方が、会社のためでもあり、ひいては社会のためではないでしょうか。
 但し、これを、「ゼロをイチに変える」能力の気配が全くない凡庸な社長にやられると、会社にとっても社会にとってもありがたくないのが大変難しいところです。
 「ゼロをイチにする経営者」と「単なる社長」を正しく区別して適切に扱うことが、会社と社会の双方にとって重要です。
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【楽天証券】確定拠出年金について伝えたい5つのメッセージ

 楽天証券ホームページでの連載「山崎元のホンネの投資教室」に「確定拠出年金について伝えたい5つのメッセージ 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 確定拠出年金は、課税される金額以上の所得が見込まれる方にとって、「ほぼ確実に儲かる」と言える数少ない金融サービスであるにもかかわらず、利用していない人の多い制度です。
 記事では、確定拠出年金について今、是非ともお伝えしたい・言いたいと思っている以下の5項目について書いています。

確定拠出年金について伝えたい5つのメッセージ
1・利用しないと「もったいない!」
2・運営管理機関・運用商品の「地雷」を避けよ
3・金融機関による投資教育を警戒せよ
4・手数料が安い外国株インデックスファンドを選べ
5・70歳まで加入可能にして欲しい

 今月、確定拠出年金の改正法案が国会を通過しましたが、ちょうどそのタイミングで「確定拠出年金の教科書」(日本実業出版)という確定拠出年金の解説書の出版を進めていたため、ぎりぎりで改正法案の内容を本文中に紹介することが出来ました。先の5項目は、それぞれ拙著にて更に詳しい説明をしています。

 確定拠出年金については、今後要望したい点が大きく言って二つあります。

 1つには、移換をはじめとする各種手続の改善です。一部の手続は恐ろしく面倒ですし、全体的にみても手続きは不便で遅く、手数料も掛かかります。この改善は継続的に要望していこうと思います。
 もう1つは、原則として60歳迄としている年金の拠出可能年齢を、早急に70歳迄に引き上げることです。日本人が相対的に長寿・健康であること、働き方が多様化していることなどを踏まえても、加入資格年齢の引き上げは、政策が目指す方向性と合致するはずです。

 皆さんには、ご自分の加入資格を確認して、確定拠出年金を是非使ってみて欲しいと思っています。そのためのガイドブックとして、拙著が少しでもお役に立つなら、著者としては大変嬉しく思います。
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【告知】「確定拠出年金の教科書」一部修正します

 6月9日に「確定拠出年金の教科書」(日本実業出版社)を上梓しました。地味なテーマということもあり、売れ行きを心配していましたが、先日、増刷の連絡がありました。有り難いことです。
 本来なら、増刷のタイミングで誤植等の修正を加えるのですが、1点だけ、修正が間に合わなかった箇所がありました。この場を使って告知できればと思います。

 掛け金が全額、非課税になるという箇所で、会社員の企業型DC加入者を事例に説明していますが、これを、個人型の加入者である自営業者の例に置き換えたいと思います。
 企業型の場合、実際に掛け金を拠出するのは事業主であり、加入者本人が非課税になるのは、「マッチング拠出」で拠出した掛け金の額に限られます。修正前の説明では、掛け金全額が控除の対象になるかのように書かれていましたが、これは正しくありません。「図表1-1」の数値を含め、下記の通り修正したいと思います(金融ジャーナリスト竹川美奈子さんにご指摘頂きました。有難うございます)。

■該当箇所:p19~p21

〔第1のメリット〕
掛け金が全額「非課税」になり、所得税や住民税が減る

■修正後の内容

 確定拠出年金では、通常は毎月決まった金額を掛け金として拠出する。個人が掛け金を拠出する「個人型」の場合、金額は後から変更可能だ。「企業型」(詳細は63㌻参照)では個々の企業の制度による。これを日々運用していった成果を老後に受け取る。

 税金のメリットの1つ目では、この掛け金が全額、非課税になる(企業型の場合は、加入者が拠出した掛け金の全額)。所得税は、所得が大きくなるほど税金の額も大きくなる。確定拠出年金では、拠出した金額を差し引いて「圧縮」された所得額を元に、納める所得税の額を計算することが出来る。また、住民税も所得が対象になるので、計算の元になる所得が確定拠出年金の掛け金分だけ圧縮されると、税額が減少する。

 具体的な数字で見てみよう。
 ここに、課税対象となる所得が400万円になる自営業者がいるとしよう。この場合、適用される所得税の限界率は20%であり、住民税と合わせた納税額は78 万5300 円となる(次㌻図表1-1)。ところが、彼(又は彼女)が個人型の確定拠出年金の加入者であり、毎月6万8000円、年間81万6000円を掛け金として拠出していたとすると、この額は大きく変わってくる。因みに、月額81万6000円は、自営業者等の国民年金第1号被保険者が拠出出来る最高額だ。

 この場合、課税の対象となる所得の金額は、確定拠出年金の拠出額81万6000万円を差し引いた318万4000円となる。ここから所得税と住民税を改めて計算し直すと、税額は54万8900円となり、1 年間で23万6400円もの税金を「節約」出来るのだ。

 後で述べる企業型の確定拠出年金の加入者の場合、掛け金を拠出するのは事業主であるため、この段階では大きな節約にはならない。しかし、「マッチング拠出制度(63㌻参照)」を利用して、加入者である従業員が事業主の掛け金に上乗せして拠出した場合、この分の掛け金については、個人型同様、全額が非課税になる。

 この「節税」によって得られる金額と同じだけを株式投資によって手に入れようとした場合、仮に、運用期間中一定して5%のリターンが得られるとして計算すると、1年で23 万6400 円の運用益を得るには、元金として472万8000 円もの資金が必要だ。しかも、株式投資は、必ず期待通りのリターンが得られる訳ではない。当然ながら、マイナスになる可能性もある。

 非課税によって「確実」に節約出来るという確定拠出年金の威力は、金融の世界において、どれだけ「まれ」で「貴重」なものなのかが想像できよう。

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【DOL】ベーシックインカムという優れた制度が日本で実現しない訳

 ダイヤモンド・オンライン『山崎元のマルチスコープ』に、「ベーシックインカムという優れた制度が日本で実現しない訳」と題する記事を書きました。

 スイスで行われた国民投票で、ベーシック・インカム(以下BI)の導入が反対多数で否決されました。
 私自身は、BIの制度に賛成の立場です。BIには

1・予見性の高い安心なセーフティーネットである
2・行政の裁量を減らし効率を高めるシンプルな仕組みである
3・受給が恥ずかしくない再分配である
4・ミスや漏れが起こりにくい公平な仕組みである

といったメリットがあるからです。もちろん、上記以外にも多数のメリットが、BIにはあります。

 しかし、例えば「日本で今世紀の前半中に、BIは実現するか?」と問われたら、私は、「そうなればいいとは思うが、予想としては、そうならない方に賭ける」と答えるでしょう。

 制度の変化によって経済的に損をする人の抵抗は、得をする人の推進力を上回ることが予想されます。また、BIの長所とされる「行政の効率化」は、同時に、効率化される側の抵抗要因となり得ます。
 BIが日本で実現しにくいと私が考える主な理由は、こうした「既得権者の反対」と、効率化される側となる「官僚の抵抗」の2つです。BIが、少なくとも短期間で実現に向けて動き出すと考えることは難しいでしょう。

 既存の社会保障システムからBIに移行するためには、どんなに短くても十年、現実的には二十年くらい掛ける移行プロセスが必要ではないかと思います。
 それには、現行の社会保障関連の仕組みと行政システムを徐々に簡素化して、少しずつ「BI的」な仕組みや仕事のやり方を増やしていく方法がいいのではないでしょうか。
 具体的には、
1・行政の裁量ではなくルールに基づいて給付が決まる
2・基本的に使途が自由な給付金による再分配である
3・制度として簡素・効率的になる

といった制度の導入又は制度の変更でしょう。
 日本でも、諸外国に続いて「BI的価値観」が浸透していくことを期待しています。
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【DOL】企業内OB会は品がない!慶應三田会に見る「学閥」の功罪

 『週刊ダイヤモンド』最新号では、「慶応三田会 学閥の王者」と銘打ち、60ページを超える大特集を展開しています。
 そこで今週のダイヤモンド・オンライン『山崎元のマルチスコープ』では、学校単位の人的なネットワークとメンバー内部での便宜の図り合いを「学閥」と捉え、「企業内OB会は品がない!慶應三田会に見る「学閥」の功罪」と題する記事を書きました。

 客観的に見て、三田会を含めた慶応出身者の人的ネットワークは、個々の卒業生にとっても、学校自身にとっても、慶応を選ぶ「価値」の一部をなしているようです。慶応大学よりも、人数面で規模の大きい大学は他にもありますが、有力なポジションに就いているOBが多いか否かは、人的ネットワークの価値に直結します。

 出身大学を起源とする「学閥」について言えば、どの大学でも、どこででも、という訳ではありませんが、経済合理的な人的ネットワーク形成の一つになる場合があると考えられます。
 但し、この学閥を企業内にも持ち込んで、慶応大学の三田会とか一橋大学の如水会といった、卒業学校単位の親睦会を作ってOB同士が卒業年次を超えて寄り集まるのは、いかがなものでしょうか。

 例えば、地方国立大学の成績優秀者などは、慶応の卒業生と比べても、十分に優秀だと思いますが、東京本社の企業の多くにあって、彼らには三田会のような社内ネットワークはありません。
 三田会に限らず、企業内で学閥親睦会を立ち上げておられる方々は、例えば弱小勢力大学出身者の心情を慮って、社内での学閥活動を自粛するくらいのことを考えるのが、見識というものではないでしょうか。もちろん、全社内における公平性と、会社としての結束を図るために、企業の経営者が例え三田会の評議委員であったとしても、自社内に於ける学閥活動の自粛を実現することが、適切な振る舞いではないでしょうか。

 組織外の学閥ネットワークにはポジティブな価値があり、これを構築・利用することは構わないでしょう。しかし、三田会に限らず、「企業内」に作られた大学別のOB会は、「不公平」で「品が無い」ので、自粛すべき存在だと考えています。
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【現代ビジネス】カリスマの暴走「セブンの乱」に学ぶ、ビジネスパーソン「7つの教訓」

 セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長が、職を辞することを発表するに至った一連の経緯には、正直なところ驚きました。
 そこで、今回の現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)では、「カリスマの暴走「セブンの乱」に学ぶ、ビジネスパーソン「7つの教訓」」と題した記事を書きました。

 この「セブンの乱」には、組織で仕事をするビジネスパーソンが参考とすべき多くの教訓が含まれています。記事ではセブンに因んで7つの教訓を紹介しています。

■教訓1:勝てる票読みのない採決をしてはならない
■教訓2:情報漏れに注意すべし
■教訓3:自分の「残存価値」に敏感になれ
■教訓4:息子の扱いに注意せよ
■教訓5:社内の批判を外に向かって発信してはならない
■教訓6:破れたグループは一掃される
■教訓7:子分のことを考えて喧嘩せよ

 記事の最後に、セブン&アイ・グループの今後についての考察を加えています。
 今のセブンには、巨大な流通グループを指揮すると同時にビジネスの選別を行う能力と共に、ネットと関連するビジネス、ポイントと宅配の強化、金融事業の深化、といった課題があるように見えます。
 以下、私の空想ではありますが、セブン&アイ・グループは、例えば、ネット企業と経営統合してネット企業側の経営者にグループのCEOを託す、というのはどうでしょうか。将来セブンが一層成長するためには、これくらいの大技が必要になるのではないでしょうか。
 コンビニには、もっともっと「使いで」があるはずだと、安いのに、平均的な喫茶店の珈琲よりもずっと美味しいセブン・イレブンの珈琲を飲みながら、そう思いました。
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【エンジニアの生きる道】仕事に役立つ人脈ネットワークの作り方

 株式会社VSN様(技術系人材サービス業)のWEBサイトにて、「経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」」というタイトルで、月一回、エンジニアの方に向けたコラムを書いています。

 今回のテーマは「仕事に役立つ人脈ネットワークの作り方」です。
 ビジネス上有用な人間関係においては、一対一だけでなく、ネットワークとしての人脈を持っていることが、特に役に立ちます。ネットワークは、

1.価値の高い人と結びついている
2.多くの人と結びついている
3.その結びつきが強固である

の3つによって価値を高められます。
 この点で、人脈形成のダメな例として「異業種交流会」が挙げられます。視野を広げ、顧客の開拓につながることもあるでしょうが、
1.多忙であろう重要人物がその場に来ている確率は小さい
2.そもそもネットワークに乏しい人がそこに集まっている
3.異業種且つ短時間での大量の名刺交換は、将来につながる人間関係が出来にくい
といった構造的な問題があります。

 異業種交流会的なパーティに行く場合は、
1.食事は予め済ませておき、会では人との話に集中する
2.名刺交換はターゲットを絞り、次回に会う約束ないし合意をその場で取り付ける
の2点に注意し、その後にプライベートで会うことが出来た人とは、なるべく間を置かずに、もう一度会う機会を作るようにしましょう。そうすることで、相手を自分の人脈に組み入れることが出来ます。

 良い人脈作りについては、社内外を問わず「勉強会」を開催してその幹事をすることが、誰にでも出来て、且つ最も有効な手段ではないでしょうか。

 「勉強会」の幹事を自ら務めることで、全てのメンバーとの頻繁なやり取りが否応なく生じます。そうするうちに、メンバーと仲良くなる切っ掛けが出来やすく、また、一般には面倒だとされる幹事役を務めることで、個々のメンバーに「小さな恩」を売ることが出来ます。
 テーマは、仕事に関連するものであれば理想的でしょう。また、勉強以外の会であっても、「呼ぶ側」になって出来れば自分が幹事役を務め、コミュニケーションの中心に入ることが重要です。

 さて、ここまで記事を書き進めて、改めて自分の人脈ネットワーク戦略が不適切で且つ貧しいものであったことに気が付きました。
 遅ればせながら私も、勉強会等を作ってみようかと思っています。
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【DOL】 金融マンに相談するな! 入社1年目の「お金」の教科書

 ダイヤモンド・オンライン『山崎元のマルチスコープ』に、「 金融マンに相談するな! 入社1年目の「お金」の教科書」と題する記事を書きました。

 近年は25日以外を給料日とする会社も増えて来ていますが、今週25日に初月給を受け取ったという新入社員は、多いのではないでしょうか。
 発売中の『週刊ダイヤモンド』(4月30日・5月7日合併号)では、「お金の賢者と愚者」と題した大特集を組んでいます。
 そこで今回は、特に新入社員に知って欲しいこの特集の内容紹介と、特集では取り上げられていないけれども新入社員に是非知って頂きたい「お金の扱い方」についての補足を紹介しています。

 まず、「銀行との付き合い方」として、
・クレジット機能のついたキャッシュカードを持つとしても、決済にリボ払いを選んではいけない
・ネット専業の銀行でなくても、インターネット・バンキング機能を利用して、余計な金融商品のセールスを受けるリスクのある窓口には近づかない
・銀行はお金の運用に使うには、顧客の情報を知りすぎた手強すぎる相手である
・銀行員が積極的に売る運用商品に、良いものは皆無といってよい
等の注意点を紹介する一方で、これからお金を稼ぐことが楽しみになるような、「買っていい運用商品」についても、具体的商品名を挙げて紹介しました。

 記事の最後には、新入社員に言いたいこととして、以下、7項目を補足しています。
 これらはもちろん、新入社員以外の読者のご参考にもなるはずです。

1.本業に注力!
 若い時分(20代)は副業よりも本業に時間を投資する方が、投資効率がいい。

2.収支の合う生活ペースを掴め
 一年間、遅刻せず、借金せず、挨拶が出来るようになれば、ひとまず合格だ。

3.ダメな会社は辞めていい
 「石の上に三年」は無用の忠告だ。但し、次の就職先が確保出来る前に辞めるのは「絶対にいけない」

4.民間生保の生命保険には関わるな
 生命保険は「損な賭け」であり、会社の健康保険に入っていれば高額療養費制度が利用出来る

5.確定拠出年金は大きく利用せよ
 運用の選択肢は、「外国株式(先進国株式)のインデックスファンド」から考えるとよい。

6.さらに投資するならNISAを使え
 NISAではTOPIX連動型のETFに投資することがベストの選択肢になる可能性が大きい

7.金融マンに相談するな
 「無料相談」であっても、彼らに近づかない方がいい。プロの大人を甘く見てはいけない!
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【DOL】鈴木敏文氏、「カリスマ・サラリーマン経営者」の3つの敗因

 今週のダイヤモンド・オンライン『山崎元のマルチスコープ』では、セブン&アイ・ホールディングスの「お家騒動」について書きました。

 本件は、創業家である伊藤家及びセブン・イレブン・ジャパンの井阪社長サイドと、会長である鈴木敏文氏との間の、経営主導権を巡る権力闘争だったとみています。勝負は未だ完全決着した訳ではありませんが、今のところ、伊藤家・井阪氏サイドが鈴木氏を排除することに成功しつつあるように見えます。

 今回の一連の問題で、「鈴木氏の負け」だと私が判断するに至った、同氏の敗因ないしミスと思われるポイントは3つあります。

 まず、息子を自社の要職に就けていたことは、彼の「弱点」になりました。勝負に出る時期に「世襲懸念」が出ない程度には、息子を遠ざけておくべきでした。
 また、現在83歳と、勝負に出るタイミングが遅かったこと、そして、決定的なミスとして、現社長を対外的に批判したことが挙げられます。これは、結果的にセブン&アイ・ホールディングスにとって、マイナスの影響しか持ちませんし、普通の組織の論理からすると、鈴木氏の側に「残る」選択肢はもうありません。

 まだ「対案」は発表されていませんが、今後、同グループはどのような経営を行うのがいいのでしょうか。

 恐らくは、井阪氏が会社とグループを主導して経営して行く以外に、グループが求心力を持ちつつ同時に経営スピードを落とさずに進んでいくための道はあり得ません。
 将来、彼及び彼を支援する人々の力量が不十分だったことが明らかになった場合には、別の誰かによる新たな淘汰を待つことになるのでしょう。

 組織というものは、闘争を通じて進化するものでもあり、以前の実力者であり功労者が権力闘争の末に去り、新しい権力者が組織をリードするようになることは悪いことばかりではありません。もちろん、権力闘争の結果疲弊して衰えたり、無能な権力者が勝利して没落する組織が多数あるのも事実ですが、そうした組織は、いずれ別の組織に取って代わられます。

 個人的な意見を言うなら、「5期連続増益で、交代というのは世間が認めない」と社外取締役が考えたという井阪隆一氏の手腕に期待すべきではないでしょうか。会社は、先ずはそのストーリーを盛り立てるべくまとまるべきであり、それで駄目なら、また、その時に考えたらいい、そう思います。
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【楽天証券】「ランダムウォーカー流」財産の健康管理の10カ条を読む

 楽天証券ホームページでの連載「山崎元のホンネの投資教室」に「第267回 「ランダムウォーカー流」財産の健康管理の10カ条を読む 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 前回に引き続き、投資啓蒙書の名著、「ウォール街のランダムウォーカー」(バートン・マルキール著、井手正介訳、日本経済新聞社)の原著最新版である第11版を題材にしています。
 今回取り上げて、見解を付け加えた第12章「財産の健康管理のための10カ条」は、米国の読者に特化した内容であるとして前回の版まで割愛されていたものが今回の版で訳出されたもので、日本の個人が資産運用を行う上でも参考になるトピックを多く含んでいます。

第1条 元本を蓄えよ
 元本が小さいと投資の効果が乏しいというのは、本書が言う通りです。
 但し、そこそこのお金を貯める「習慣」には、「あらかじめ『天引きで』貯蓄額を決めておこう」とするのでないと、お金は貯まらないことを付け加えておきます。

第2条 現金と保険で万一に備えよ
 保険が必要なごく一部のケース以外は、保険料を払うよりも、その分を蓄える方が賢く、変額年金保険という商品はダメだと言う点は、日本においても同じです。

第3条 現金でもインフレ・ヘッジ
 日本の個人の場合は、「個人向け国債変動金利10年満期型」、「普通預金」をそれぞれ利用するといいでしょう。

第4条 節税対策と年金制度の利用
 日本の個人に置き換えた場合、確定拠出年金とNISAを最大限に且つ有効に活用することになるでしょう。

第5条 運用目標をはっきりさせる
 本書において、投資家に適切なリスクの程度を「運用商品」の別で選ぼうとしている表が出てきます。しかし実際には、リスクを取る運用商品への「投資額」で調節するのが、より確実であり、同時に効率的な方法です。

第6条 マイホームの活用
 「アベノミクス相場」が明らかに後半に差し掛かっていると思われる今から、不動産投資でリスクを取るのなら、現物の不動産に投資するより、本書で勧められているREITの方がいいように思います。

第7条 債券市場に注目
 外国債券について、マルキール先生は「外国に目を転じると、国内の債券よりも遙かに高い利回りが得られる国がたくさんある」と書いてありますが、通貨の違う債券の利回りを直接比べるような勘違いをされていないか、少し心配になります。
 尚、今の超低金利下で債券を持つなら、個人向け国債の変動金利10年型が、圧倒的に優位です。

第8条 金、ダイヤ、書画骨董、コレクター・アイテム
 これらの物への投資に対して、マルキール先生は消極的な見方であり、日本の個人投資家も、そのまま「そうだ!」と思っていいでしょう。
 敢えて付け加えると、金の購入は、資本として生産活動に関わる物への「投資」ではないので、基本的に必要無いと考えておくのが適切です。

第9条 投資にかかるコストに目を配る
 株価や債券価格の変動など、投資において、投資家にはどうしようもないことも多いが、コストに関してはその意思さえあれば十分コントロール出来る、という、マルキール先生の主張には、全面的に賛成です。
 コントロール出来る要因の改善に集中することは、投資だけでなく、人生全体にあって重要なポイントです。

第10条 分散投資が大原則
 マルキール先生は、分散投資を「現代ポートフォリオ理論の教えの要」と言っています。
 有効な分散投資で可能な範囲でリスクを低下させることも、投資家が自分で「コントロール出来る」要因を改善する行為の一つです。

 以上、マルキール先生の10項目のうち、最後の3項目は当たり前の内容ですが、重要且つ優れた指摘であり、投資家は、しっかりこれらの考え方を身に付けて欲しいと思います。
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【ダイヤモンドオンライン】消費増税がやはり延期されるべき現実的な理由

 ダイヤモンド・オンラインの『山崎元のマルチスコープ』に「消費増税がやはり延期されるべき現実的な理由」と題する記事を書きました。

 来年4月に予定されている消費増税が延期されるのではないか、という観測が方々で流れています。
 「どうなるのか」について、私は「政府によって延期されるだろう」と予想しています。根拠は記事に書きましたが、何より、既に増税延期が市場関係者の「期待」(≒予想)として相当程度織り込まれていることから、「延期は無し」というのは、事実上難しいでしょう。

 あらゆる経済主体は、将来どうなるだろうという「期待」に基づいて、自分の行動を決めます。仮に、消費増税がもっぱら消費に影響するのだとすれば、消費財販売業者や消費者向けのサービス業者は正社員の採用に慎重になるのは当然です。
 更に言えば、今より数ヶ月早く、消費増税の延期が決められていれば、春の賃金交渉の「ベア」にもプラスになったことでしょう。「デフレ脱却」のためには賃金の上昇が重要であることは、首相官邸でも十分理解しているところでしょうが、増税の予定が既に悪影響を及ぼしていることにも、早く気付くべきでした。

 一方、野党の方でも、この悪影響を上手く批判材料に使うことが出来ず、政治的センスを欠いた発言に終わっています。
 野党は、それこそ「選挙対策」をもっとまじめに考えた方がいい。政党が選挙に熱心で恥ずかしいことは何もありません。

 より正しい政策を実現してくれるなら、その主体は、与野党どちらでも構いませんが、「デフレ脱却」に向けて、今は正念場です。「期待」(経済の文脈では「予想」に近い)が果たす役割を考えると、こうした方向性の政策を打ち出すのは、少しでも早い方が良いはずです。
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【現代ビジネス】商社はまた「冬の時代」を迎えるのか

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「三菱商事と三井物産「大幅赤字」に、証券のプロとしてひと言! リスク管理の視点はあったのか?」というタイトルで記事を書きました。

 三菱商事と三井物産が、資源関連のビジネスの減損処理で大幅な赤字に陥ることを発表しました。

 商社にとって、個々の投資プロジェクトは、投資信託における一投資銘柄のようなものですが、投資信託のリスク管理には「ポートフォリオ」の視点が必要です。商社における投資ポートフォリオに、同様のリスク管理が働いていたのかは、大いに疑問の余地があります。

 かつての商品を動かして口銭を稼ぐ商人型のビジネスモデルから、プロジェクトや会社に出資し、時には人も出して、且つ商売にも絡む「物流付投資銀行型」とでも呼ぶべきビジネスモデルに転換することで、商社は新しいビジネスに対応すると共に、収益のスケールアップを果たしてきました。
 当面「物流付投資銀行型」のビジネスモデルを商社が止めることはないでしょうし、その必要もないと私は思います。ただ、投資したポートフォリオのバランス調整の機能をもっと強化するべきです。

 金融業にさらに学ぶなら、キャッシュフローを生む対象に自分達が投資し、これを保有するだけでなく、対象を証券化して転売することを可能にし、自分のポートフォリオの調整を可能にした、「証券化機能付きポートフォリオ運用」的なビジネスモデルを将来もっと強化すべきではないでしょうか。

 今回の資源関連の投資に於ける、「のめり込み具合」と「リスク管理の甘さ」は、少なからず、バブル当時の財テク運用の問題と似ているように思います。但し、資源価格バブルの崩壊は、かつての財テク運用と同等か、場合によっては、それ以上のマイナス・インパクトとなる可能性があります。
 現在の世界経済の停滞具合等を考えると、資源価格が簡単に回復すると期待することは難しいかも知れません。まだまだ、要注意の状況は続くでしょう。

 商社を真に「総合商社」たらしめるためには、全社のリスクを「ポートフォリオ」として管理するリスク管理機能と、リスクを現実に調節するための様々なビジネス機能とを、開発・強化する必要があるでしょう。
 総合商社は、日本独特の業態です。大いに進化しつつ、発展して欲しいと願います。
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【経済快説】ショーンKにあえてエールを送る インチキだったで片付けるには惜しい能力

 夕刊フジの木曜日号(水曜発売)に「経済快説」という短いコラムを載せています(web版はこちら)。
 今週は、ショーンKこと、芸名ショーン・マクアードル川上氏の経歴詐称問題について書きました。

 川上氏本人のスキャンダルとして軽く笑って終わりにするには勿体ない深みが、今回の問題にはあります。
 経歴詐称自体は感心しないとしても、彼が出演した数多くの番組において、彼のコメントが商品として通用し、テレビ局から高い評価を得ていた事実をどう考えるべきでしょうか。経歴を問題とするなら、それを確認しなかった番組のプロデューサー、ディレクター、司会者の仕事振りは杜撰としか言えません。今や、本人のコメントを聞くべきは、川上氏よりも、彼を使ったテレビマン達の方です。

 川上氏のセルフ・プロデュース能力自体は、驚嘆すべき高水準にあります。
 川上氏は、その外見にあっても、中身にあっても「これ以上ない位テレビ的な人」であり、メディアの本質を批判的に教える生きた教材です。ぜひ、消えずに活動して欲しいと願います。
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【現代ビジネス】日銀の次の一手は、民間企業への「異次元関与」か

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「日銀の次の一手は、民間企業への「異次元関与」か」というタイトルで記事を書きました。

 先般、日銀は自身の発表の中で、新たな株価指数に基づく新種のETF組成について言及しました。
 これは、株価指数の構成銘柄の形で、アベノミクスに協力的な企業を認定して、株式を買ってやると言う、いわば「アベノミクス協力企業株価指数」のインデックスファンドへの、日銀の投資宣言と読み取れます。
 日銀は、金融緩和だけではなく、民間企業経営への影響力行使にあっても、「異次元」の段階に入ろうとしているようです。

 現在日銀は、ETFの形で上場株式の買い入れを続けており、今や、GPIFに続く日本第2位の上場企業の大株主になっています。また、投資家としても、年間およそ3兆円の買い入れ額は決して小さくありません。
 「デフレ脱却」に向けた金融緩和政策の一環として、何らかのプラス効果を持っている政策だとは評価できる一方で、大株主・大投資家として、日銀が株式市場で存在感を増すことに関して、幾つか懸念があります。

<日銀は民間企業の経営に影響力を行使するつもりなのか?>
 公的機関であり、また銀行業界側の利害に深く関わる日銀が、株式の保有や売買を通じて、民間企業の経営に関与することは、少なくとも「余計」であり、同時に「有害」でもある可能性があります。
 また、金融緩和を目的に株式市場に資金を流入させることは、本来自然に形成されるべき株価を歪め、「自然な株価」を分からなくさせてしまう弊害もあります。

<日銀は持ち株の議決権行使をどうするのか?>
 大株主である日銀が、議決権行使に積極的に関わるなら、それは民間企業の経営への介入にあたり、関わらないと決めるとするなら、議決権の空洞化につながります。
 現実に株式を抱えている以上、日銀はその方針をはっきり打ち出すべきです。

<日銀は持ち株の出口戦略をどうするのか?>
 仮に、日銀が保有株式を市場で売却するとなると、株価に対してネガティブな影響が及ぶ公算が大きく、何れは売却を考えている場合、その「出口戦略」は、債券の場合よりも格段に難しいものになるでしょう。

 以上、これら不都合の根本的原因は、日銀が株式を買入対象にしたことの「筋の悪さ」にあると私は考えています。
 日銀には、はっきりとその考えを聞きたいものです。
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