山南ノート4【劇団夢桟敷】

山南ノート4冊目(2008.10.3~)
劇団夢桟敷の活動や個人のことなどのメモとして公開中。

タマゴ頭【2】

2009-04-14 23:37:15 | 「薔薇色之病室Ⅰ」三部作
 
 「戦争」と「犯罪」を同時進行で書いている。
 
 二つの劇では「タマゴ頭の女」と「タマゴ頭の男」が登場する。
 この「タマゴ頭」が出て来ないと、「戦争」と「犯罪」は劇としてバラバラに分解されてしまう。壊れる。
 タマゴは二つの劇をつなぐ。「つなぎ」だ。
 
 私は「戦争」も「犯罪」も同じことではないかと、魚眼レンズで覗いている。・・・人の頭がタマゴに見える。
 
 生まれる前にタマゴが割れる。
 生まれる前に見た夢とは・・・。
 胎児よ胎児、・・・。

 一見、国家と個人のレベルの差があるように見える「戦争」「犯罪」が、「破壊・殺人」の一点で交じり合う。
 エロスがつなぎになる。

 二つの劇に大義はない。言えば壊れる。・・・歌えやオドレ。
 
 ヒューマニズムが目覚めた。アバンギャルドな朝だ。

風組「眠り男」(2)

2009-04-05 23:20:14 | 「薔薇色之病室Ⅰ」三部作
  ←ドイツ映画「カリガリ博士」より
 ■「カリガリ博士」とは・・・ 
 「君はカリガリになる必要がある!」・・・1920年、ベルリンのいたるところにこのポスターは貼ってあった。好奇心を刺激された人々によって、この映画は大成功をおさめる。「カリガリスム」という流行。カリガリとは、何か?・・・抑圧的な狂気と不安の代名詞である。
 ☆
 事件は、見せ物小屋から始まる。カリガリ、という名の無気味な男のテントでは、眠り男が未来を予言するという。夢遊病者チェーザレに、寿命が明日までと言われた学生が翌日死亡する。学生の友人は、当然カリガリを疑って調べはじめる。
予想どおり、カリガリがチェーザレに催眠術をかけて人殺しをさせていたのだが、
真相は他にあった、、。
 ☆
 舞台セット・・・最初は、安上がりに済ませるために描き割りにしたそうだが、結局はこれが効を奏した。表現派の画家や建築家が、示したアイデアは、まさに気が狂った世界であった。ゆがめられた遠近、ねじれた家や木々、奇妙に膨らんだ煙突、モノクロ効果も手伝って、神経をいらだたせるような雰囲気がかもし出された。精神病院のセットは、さらにねじくれている。幽霊のような患者達がいなければ、ここがどこか解る人はいないだろう。
 支配権力の下で、一般市民は殺人者にされたり、被害者になったりするが、結局精神病院(世界)で一番の権威が精神をおかされているのだという。
 当時の日本でも、この映画にハマった人多数。大正10年4月、横浜オデオン座(今もあります)で、"眠り男"というタイトルで一週間の先行上映。翌月、浅草キネマ倶楽部で、"カリガリ博士"として公開されたこの映画は、様々な人に衝撃を与えた。徳川夢声の語り口も絶品だったらしい。
 精神病院、夢遊病、拘束服、催眠術、幻覚、狂人の幻想による殺人、これらがモチーフ。
 ←丸尾末広「薔薇色の怪物」。この中に「カリガリ博士復活」がある。
 名作"少女椿"や、"犬神博士"で人気の丸尾末広は、"薔薇色ノ怪物"(青林堂1982年)の中で、その名も"カリガリ博士復活"という短編を発表しているし、花輪和一と昭和編を競作した"無惨絵 英名二十八衆句"(リブロポート 1988年)には"眠り男"を描いている。

風組「眠り男」(1)

2009-03-27 21:14:09 | 「薔薇色之病室Ⅰ」三部作
 (注)資料。【秋葉原通り魔事件】
 2008年6月8日午後0時30分過ぎ、東京都秋葉原歩行者天国で、2トントラックが歩行者5人を撥ね飛ばし、運転していた男性は車を降りた後、撥ねられて道路に倒れこむ被害者や救護にかけつけた通行人・警察官ら14人を立て続けに、所持していた両刃のダガーナイフでメッタ刺しにした。
 さらにこの男性は奇声を上げながら周囲の通行人を次々に刺して逃走。事件発生後数分して万世橋警察署秋葉原交番から駆けつけた警察官が男性を追跡し警棒で応戦、最後には拳銃を抜いてナイフを捨てるように警告し、それに応じナイフを捨てた男性を非番でたまたま居合わせた蔵前警察署の警察官とともに取り押さえた。これらはおよそ5〜10分間ほどの間の出来事だった。
 事件当日は日曜日で中央通りは歩行者天国となっている区域だった。この日も多くの買い物客や観光客でごった返しているなかの凶行であり、事件直後に多くの人々が逃げ惑い、また負傷者が横たわる周囲が血の海になるなど事件現場はさながら戦場の様相を呈しており、まさに白昼の惨劇であった。
 容疑者 現行犯逮捕された容疑者は青森市出身の25歳の男性だった(1982年9月生まれ、年齢は犯行当時)。・・・派遣社員として、各地を転々としながら働いていた。
 さらに容疑者は携帯サイトの掲示板で約1000回の書き込みを行っていた。心のよりどころを携帯サイトの掲示板にするも、次第に孤立感を深め、次第に殺人を予告する書き込みを行うようになっていった。6月8日午前5時21分、「秋葉原で人を殺します」とのタイトルで「車でつっこんで、車が使えなくなったらナイフを使います みんなさようなら」との犯行予告を行ない、その後、沼津から犯行現場まで移動する間に約30件のメッセージを書き込んでいた。
 事件後複数のサイトにおいて、殺人などの犯罪予告が相次ぎ、7月7日までに33人を検挙した。事件前は月に2~3件だったが、事件後1ヶ月で100件以上になっている。このほとんどが10代と20代で、供述内容などからそのほとんどが悪戯とされている。小中学生が行ったものもある。
 警察庁は6月24日に、全国の警察本部にネット掲示板への犯罪予告の書き込みを厳正に取り締まり、摘発例を積極的に広報することなどの通達を出した。
 犯人の世代 この事件の犯人は1997年の神戸連続児童殺傷事件(1997年)の犯人(酒鬼薔薇聖斗・逮捕時14歳)や2000年の西鉄バスジャック事件の犯人(ネオむぎ茶・逮捕時17歳)と、世間から注目を集めた少年犯罪と同世代(同学年・1982年4月2日 - 1983年4月1日生まれ)であることから、「理由なき犯罪世代」として世代論について語られた。また西鉄バスジャック事件とはネットでの犯行予告という共通点もある。
 動機 たくさん人を殺せば死刑になれるから

 ■
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=40751817&comment_count=0&comm_id=2706181  
 ミチローは死刑という自殺の道を選んでいたのだろうか。ここに登場するミチローとは長い眠りから覚めた男の名前である。
 【注】青い文字のLINK先はmixiコミュニティー「メールドラマ」です。

空組「影踏み」(1)

2009-03-25 23:42:25 | 「薔薇色之病室Ⅰ」三部作
 2003年公演チラシ。 
 
 2009年9月より劇団夢桟敷【空組】公演のためのイメージを公開します。稽古でのテキストです。 
 【場面設定】何処でもない。と言いながら・・・(1)砂浜(2)ある町の路地(3)洞窟 をイメージしている。・・・1幕3場を混在しよう。
 【構成プラン】①砂浜にタマゴ頭の女が漂着する。老婆が少女を探す場②「少女椿」の悲しい物語・老婆が路地裏で少女の影を発見する場③大日本帝国と大サーカス団・影を踏むたびに時代は後戻る。1945年の沖縄。④闇の世界(あるいは洞窟にて)アメリカ軍がやって来た。日本兵の恐怖。「泣かないでおくれ少女椿」※「星砂がくる海」クライマックスより。⑤夜の砂浜・星が空から落ちてくるエピローグへ
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=40751707&comment_count=0&comm_id=2706181
 イメージを公開します。

幻想派宣言!

2009-03-15 23:13:21 | 「薔薇色之病室Ⅰ」三部作
 劇団夢桟敷9月公演より一年間(2010年8月まで)、二つの組、二つの演題で公演する。
 
 9月の熊本公演では二本立て。以降、ひとつの組が別々に各地を回る予定。しかも、違う方向へ進み始める。
 
 目的地は南の沖縄と東の秋葉原へ。(注:とんでもないところからの公演依頼も予想している。国境を越えるかも知れない。漂流さえ前提にしている。)

 それは「戦争と犯罪」(次回公演のテーマ)の<場><時間>現実に向かい合うためでもある。
 その方法として、幻想的な場面を並べる。ここには美しい肉体が転がっている。そして、立つ。歌う。オドル。
 稽古を重ねる内に役者はみんな美しくなっていくシステムが幻想派にはある。そのシステムとは日常感覚の削除を要求する。
 
 演劇の武器は<夢>であり<幻想>である。しかし、その武器こそ、演劇独自の想像力が要求される。応えられるのは肉体である。その肉体を役者体と名付ける。
 
 演劇は必ずしも<日常>説明することでは表しきれないものがある。
 つまり情報ではない。 
 
 劇言語の確立とは。・・・
 ここに演劇の魅力がある。
 
 衰弱した魂を甦らせる力が劇であり、それを表す肉体がある。
 
 日常会話が狂気に変わる時、ここに劇言語が飛び出す。
 呼吸する音が言葉だ。つまり、劇言語を言い換えれば「肉体言語」となる。

 「幻想派宣言!」

 演劇は妖怪として存在する。
 
 日常感覚では見えないものを送り出す。それが演劇独自の「力」だとも思っている。 
 
 ☆

 本日3.15より次回公演に向けてイメージを連載します。
 幻想派宣言!と銘打ちます。
 劇団夢桟敷の幻想的な場面を更に強調することになります。 
 
 上演に向けて、台本としてではなくテキストとして公開(連載)します。
 mixiが入口になっています。mixiに参加されていない方はごめんなさい。
 
 ☆mixiメールドラマ【コミュニティー】
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2706181
 
 興味ある方はご自由に参加して下さい。いち早く記事がご覧になれます。
 以下のドラマ(テキスト)は4月上旬には仕上がる予定です。
  
 【空組】「おばぁの影踏み」
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=40751707&comment_count=0&comm_id=2706181
   
 【風組】「眠り男復活」
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=40751817&comment_count=0&comm_id=2706181
 
 活字と肉体の大きさの違いが見える筈。
 「メールドラマ」(書簡演劇)の楽しさはその前提にある。
  
 劇作家や演出家、役者・スタッフの自己表現の場が舞台だと思ったら大間違い!
 ドラマは多くの他者との関係、時代との関係、場所との関係の中から生まれる。他者とは全ての環境を指す。

 関係が築かれない限り肉体すらもない。幻想を並べる肉体が実験演劇である。

色のイメージ

2009-03-10 23:39:56 | 「薔薇色之病室Ⅰ」三部作
 全体としてモノクロトーン。映像だったらセピアか。だが、舞台となると闇が欲しい。闇の黒。ここには永遠がある。
 フットライトで光を当てると背景に影が生まれる。影も黒である。実物よりも大きな影。 

 対する白とは何だろうか。純粋無垢である。何も無い。極限にそぎ落とすと、白になる。・・・紅色を入れる。影は登場人物からひとり歩きする。白は染まる。

 ☆ 

 20数年前だったか、「ドイツ表現主義の映画」を企画したことがある。あれ以来、頭の中が混沌となる。混沌から新しいものが生まれる。
 照明効果もあれに影響されている。影を強調したい。

 新しい古いという概念は時間の問題ではない。「ドイツ表現主義」は謎ばかり。

 モノクロに紅を差す劇へ!この紅が戦争と犯罪の劇に起爆剤となれるか。・・・政治よりも面白い「モノクロに紅を差す」思想を!

 【参考資料】
 ノスフェラトゥ (1)(2)(3)・/カリガリ博士 (1)(2)
 (劇団夢桟敷大阪事務所 所長 小島古々市より添付)

次の試み

2009-03-09 23:23:13 | 「薔薇色之病室Ⅰ」三部作
 劇団夢桟敷を細分化することを計画しています。細分化と言っても分裂ではありません。専門化です。言い換えれば分業化。
 制作・音響・照明・舞台美術の分野を役者一人ひとりが兼業する体制を作っていきたい。そのための期間を設けることにした。
 次回公演からはスタッフワークを実践するために組を三つに分ける。つまり出演していない組にはスタッフの視点から関わる体制を作る。 

 企画【1】 空組公演「おばぁの影踏み」
 企画【2】 風組公演「眠り男復活」
 企画【3】 大阪事務所

 機能するかどうか。劇団としての実験である。・・・試演会、ワークショップなどを公演までに繰り返します。
 公演のための台本は稽古中に完成予定。今、書いているものは試演会、ワークショップのためのテキストであり、公演は9月(熊本2本立て)からスタートします。