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大木昌の雑記帳

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食の安全が脅かされる(2)-マクドナルドとアメリカの輸入食品-

2013-06-25 22:37:15 | 健康・医療
食の安全が脅かされる(2)-マクドナルドとアメリカの輸入食品-


前回は,日本の食の安全が脅かされる背景について書きました。一つは,既に食料自給率は39%と,40%を下回っていることです。
言い換えれば60%以上は輸入食物に依存していることになります。

もう一つは,7月から日本もTPPに参加することになり,これにより輸入食料がさらに増える可能性があることです。

いずれにしても,食料が海外から輸入される場合,生産国での添加物,農薬,ホルモン剤,殺虫剤などの使用に加えて,運送の途中
および陸揚げ後には
防カビ剤や防腐などの,いわゆる「ポストハーベスト」が追加されます。

今回は,食の安全が脅かされている現状を,日本マクドナルドが販売するハンバーガーとアメリカからの輸入食品について考えて
みたいと思います。

マクドナルドを取り上げたのは,この企業がアメリカ企業であり,アメリカは日本の食料輸入相手国として最大でること,そして,
マクドナルドは日本で現在約3,700店舗も展開している,国内第一級のファーストフード企業だからです。

マクドナルドと食の安全については,今から15年以上も前から日本で問題視されています。

2000年2月に65円という驚異的な低価格のハンバーグを発売した時,一体,なぜそんなに安くできるのかという疑問が各方面から
投げかけられました。

当時それは,当時,世界で110カ国,2万8000店舗あったマクドナルドの店舗が使う原材料を,全店舗を統括するマクドナルド・
コーポレーション本社が,世界的な規模で最も安く購入するシステム(国際購買体制)を最大限に活用しているからだ,と説明されて
いました。

ハンバーガーの原材料は,バンズ(パン),ミンチで作ったハンバーガーパティ,ピクルス一切れ,少量のタマネギのみじん切り,
ケチャップ,マスタードで,チーズバーガーはこれにチーズが1枚加わります。

2000年ころ,マクドナルドについて調べた榊田みどり氏によれば(注1),ミンチの原料の肉は全量オーストラリア産だった。

というのも,オーストラリアの牛は牧草で飼育されるのが普通で,配合飼料も与えるアメリカの牛肉より安くなるからです。

ただし,スーパーなどで売っているオーストラリア産の肉は,食肉用の牛肉だそうです。

パンの原料の小麦粉はアメリカ産とオーストラリア産,チーズの原料は主にオーストラリアとニュージーランドのものでした。

また,ピクルスは海外で加工した製品を輸入する場合と,原材料を輸入して国内メーカーが製造する場合と二通りあるが,いずれも
原材料は輸入で,一番多いのはスリランカだそうです。

チキンタツタやビックマックなど一部のメニューで使用されているレタスやキャベツなどは国産が基本だが,半額セールとなった
ハンバーガーやチーズバーガーで,野菜と呼べるものはピクルスと一切れのアメリカ産タマネギだけです。

通常はほとんど使用しないトマトなどを大量に使う季節限定のキャンペーン商品では輸入生鮮野菜を使う場合が少なくありません。

調味料のトマトケチャップは,輸入ものか,原料のトマトピューレはほとんどが輸入物で,トルコ,アメリカ,中国が3大輸入国相手国。

以上見たように,マック・ハンバーガーはほぼ100%輸入食材でできています。日本マクドナルド(株)の創業者の藤田社長(当時)
は自由貿易と食のボーダレス化の推進論者で,

たとえば米なら,生産コストが安いベトナムやタイでコシヒカリを作り,日本に輸入すればよい,と自著でもいっています。

以上は,経済的な面からだけみたマックの安さの秘密ですが,lそれでは,安いマックの質はどうか,安全か否か,をもう少し細か
く見てみましょう。

まず,主役の肉ですが,使われるのは乳用種と肉用種があります。

乳用種は乳を搾るために品種改良された牛で,妊娠中と出産後に集中的に乳を搾るので,何回も出産したメスの牛の肉は最も安いけれど
肉としてはまずく,「ババ肉といって,食えたもんじゃない」というのが業界の認識です。

業界では,このような肉をどう処理するかが課題です。

これにたいして肉用種のオスの肉は,乳用種の肉よりはずいぶん高くなります。

こうして,最も安い,オーストラリアの乳用牛のメスの肉がマックのハンバーガーパティの主原料となります。

味は悪くても香辛料で味付けしてしまえば分かりません。

ここが問題で,オーストラリア産の牛肉には,日本で禁止されている抗生物質とホルモン剤が見つかっています。

成長ホルモンはいうまでもなく,より多くの乳を搾るためで,特にヨーロッパで問題になったのは,発ガン性のあるエストラジオール17β
というホルモン剤です。

マックは,これらを含む肉は使用しない,と公式には主張しています。しかし,厚生省が2000年に調査した結果,オーストラリアとアメリカ
からの輸入肉には,エストラジオール17βが,最大で国産の3倍も高い濃度で見つかっています。

もう一つ気になるのは,オーストラリア産の牛肉には,日本で禁止されている有機塩素系の殺虫剤,DDE,DDTなどが検出されたことが
あり,かつて,オーストラリアへ積み戻されたことがある,という事実です。

これは,牛の餌になる牧草が,他の作物(綿花など)への薬を空中散布したために,エサとなる牧草が汚染されたためです。

マックには,まだまだ問題があります。

たとえば,ある若者グループがさまざまなファーストフード店のフライド・ポテトをペットボトルに入れて放置したところ,
マックのフライド・ポテトは1年経っても,色は変わっていたが,腐ってはいなかったのです(注2)。

榊田氏によれば,マックは法律の範囲内(つまり残留化学物質など,基準値内)に留めようとしていることは間違いないが,それ以上の質を求
めない,と述べています。

ただ,この「基準値」そのものがアメリカの政治力によって決められる部分が多いため,基準値内なら安全というわけではありません。

たとえば,イチゴなどは,そもそも日本の検査対象になっていない残留農薬やポストハーベストが使われていて,法律的には問題ありませんが,
人体には有害な物質が輸入されています。

しかし,検査対象になっていないことがすでに,アメリカの圧力の結果なのです。

ところで,最近,TPP参加が目の前に迫ってきて,食の安全についての報道が増えました。特に『週刊文春』は連続してアメリカと中国からの
輸入食品について,現場まで行って追跡調査した記事を掲載しています。

それによると,日本におけるマクドナルドの食品の危険性は,アメリカ企業と中国産鶏肉とのコラボレーションといった感じです。

まず,2013年5月2・9日号の「あなたはそれでもチキンナゲットを食べますか? マクドナルドの中国産鶏肉が危ない!」を見てみましょう。

調査は,奥野修司氏と『週刊文春』の取材班によって現地に赴いて行われました。詳しくは記事を読んでいただければいいのですが,要点だけを
以下に示しておきます。

事の発端は,今年1月,中国共産党系機関紙『北京青年報』が,河南大用食品グループが病気で死んだ鶏を長期にわたって加工販売し有名な
ファーストフード店で売っていた,という衝撃的なニュースを掲載したことでした。

この有名はファーストフード店とはケンタッキーフライドチキンとマクドナルドのことで,これに先立つ数日前に,両社は,「成長ホルモンと
抗生物質を過剰に投与した鶏」を使用していた事実を認めて謝罪したばかりでした。

大用グループは鶏を年間4億羽を出荷し,世界中に輸出しています。日本マクドナルドも他の日本のファーストフードチェーンも大用社から鶏を
調達していることを認めています。

上記の調査班が大用社に鶏を納入している養鶏場を訪ねると,一坪あたり90羽という超過密状態で飼育されていた事実が判明しました。
通常のブロイラー方式では,一坪40羽が適性とされているのに,2倍以上の密度です。

超過密状態でのストレスの中では病気(特に病原性大腸菌症)が蔓延しやすくなります。実際,このグループの鶏舎で数万羽という鶏の大量死が
起こったのです。

そこで,大量の抗生物質が不可欠になるのです。しかし,抗生物質に耐性をもった菌が繁殖し,大量死は避けられないようです。

これがヒトの体に入れば,菌と同時に抗生物質を取り込むことになってしまいます。

この他,DDTやBHCなどの極めて危険な有機塩素系農薬についての質問にも,日本マクドナルドは書面で,中国の検査に任せている,
日本の残留基準を適用しているとのみ解答していますが,この日本の基準等というのが,非常に緩い状態にあります。

怖いのは,中国産鶏肉調整品はハンバーグだけでなく,唐揚げ,焼き鳥,フライドチキン,チキンナゲット,ミートボール,竜田揚げなどにも使用
されています。
2011年に中国から輸入された鶏肉22万トンのうち半分は外食産業で使われています。

外食産業の場合や味付けされた加工食品には表示義務がありません。したがって,私たちは知らないうちに有害化学物質を食べている可能性があります。

前号の『週刊文春』に続いて2013年5月28日号は「中国産に気を取られるあなたの食卓に米国産『危なすぎる食材』」というタイトルで,
米国産の輸入食品についてさらに対象を広げて特集を組んでいます。

まず,牛肉ですが,現在日本の国産牛肉は50万トン,輸入牛肉は52万トンで,うち米国産は13万トンを占めています。

数年前に現地視察した畜産業者によれば,アメリカの牧場面積は日本よりはるかに広いが,頭数も多いので,1頭あたりの面積は日本より狭く,
狭いスペースで運動を制限して太らせる飼育方法が採られているそうです。

しかも,アメリカでは効率良く育てるためにエストラジオールやゼラノールなどの成長ホルモンを投与することが許されており,実際に使われています。
日本では,これらのホルモン剤の使用は認められていませんが,ホルモン剤を投与された牛の輸入は認められています。

実に奇妙なことですね。結局アメリカからの牛肉の輸入を認める日本政府の苦肉の策です。

北海道対がん協会細胞診センター所長の藤田氏の調査によれば,米国産牛肉には,国産肉に比べて,赤身で600倍,脂身で140倍のエストロゲン
(女性ホルモン)が含まれていました。

ヨーロッパではホルモン剤を含む米国産の牛肉を24年前に輸入禁止するようになって,ホルモン依存性がんが一斉に減少し,とりわけ北アイルランド
で29%,オランダで25%,ノルウェーで24%減少など顕著な結果がでています。

アメリカ産輸入食物で危険な物は,オレンジでこれには運送中の不快を防ぐために,日本では認められていないの発ガン性のある,強烈な「防カビ剤」
(OPP,TBZ)が噴霧されています。これも,日本政府は一度は輸入禁止にしたのですが,アメリカが激怒して,日本に認めさせた経緯があります。

レモンやアメリカンチェリーなどにも同様に有害な薬品が使われています。

さらに意外な食品はアメリカ産の養殖サーモンで,回転寿司などでよく使われています。

アメリカの名門コーネル大学などの研究者が2005年に行った報告によれば,養殖サーモンのダイオキシンやPCBなどの有害物質濃度は,天然鮭より
遙かに高く,食べ続けると幼児にIQ低下や発達障害をもたらす危険が,食べない場合より300倍近くも危険性をもっています。

これは,養殖鮭は,沿岸で狭い範囲で育てられ,そこは農薬や殺虫剤などで汚染されているからです。とりわけ脂身はこれらの薬品が蓄積されやすい
部位です。

研究者は,養殖サーモンを食べるなら,年に6回以内にすべきだと警告しています。

上記の『週刊文春』はさらに,ダイオキシンの10倍,地上最強の天然発ガン性物物質,アフトラキシンが「カリフォルニア米」に混入していた事件
(2008年の,三笠フーズ汚染米転売事件)に触れて,アメリカからの輸入米の危険性についても報告しています。

TPPが導入されると,9割が輸入米で占められる可能性があり,2008年の事件のように,検査官の数が足りないために,有毒物質を含んだ米が検疫
を通ってしまう化可能性があります。

最終的には自分で自分の身を守るしかありません。安全な食品は割高かも知れませんが,他で無駄使いをしていることを考えれば,身を守るためには
多少高くても,心身の健康を考えれば,結局は安いのだと思います。

次回は,今回の書いた鶏肉を除いた中国からの輸入食品についてみてみましょう。


(注1)以下の,2000年当時のマックに関する記述は,榊田みどり「六五円ハンバーガーの裏」,山下惣一編著『安ければ,それでいいのか!?』
   (コモンズ,2001年,pp7-56)を参考にしています。

(注2)インターネット(You Tube)で一度見た映像を,今回,もう一度正確なサイトを探しましたが,見つかりませんでした。
この事例だけでなく,You Tube で「ポストハーベスト」で検索すると,薬品を食品に振りかけている動画が,たくさん出てきます。
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