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大木昌の雑記帳

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ミツバチが警告するネオニコチノイド農薬の危険性

2013-11-13 12:00:44 | 健康・医療
ミツバチが警告するネオニコチノイド農薬の危険性

2010年、世界経済をゆるがすほどの大事件ではないかもしれませんが、大げさに言えば、ある意味で人類の
将来に関わる出来事が発生しました。

それは、日本、アメリカ、カナダ、中国、台湾、インド、ウルグアイ、ブラジル、オーストラリアなどの国で、ミツバチ
の大量死と大量の失踪が発生したことです。

当初、大量のミツバチが忽然と姿を消してしまったことの原因が分かりませんでした。その後の原因究明の努力の結果、
大量死の主要因は、ネオニコチノイド系の農薬が関係しているのではないか、と考えられるようになりました。

ネオニコチノイドとは、ネオ(新しい)ニコチノイド(ニコチン様物質)のことで、1990年ころに有機リン酸系の農薬
の後に開発された殺虫剤です。ネオニコチノイドはアセチルコリンと呼ばれる神経伝達物資の受容体と結合して、神経
を興奮させ続ける作用があることが知られています。

果物の栽培などでは大量の農薬が使われるので、それらの花の蜜を集める際、ミツバチがネオニコチノイド系の農薬を
同時に取り込んでしまい、脳神経系にダメージを受けてたために死に至ったり、帰巣行動が取れなくなったのではないか、
と推測されています。

もちろん、ネオニコチノイドのような毒性の強い農薬の影響はミツバチだけに限られるわけではありません。ミツバチは

いわゆる指標生物、つまり環境悪化の前兆を知らせてくれる生物なのです。ミツバチは養蜂家がか監視している群れが多く、
健康状態や増減が分かり易いのです。

ミツバチ大量死事件は,今から50年以上も前にレイチェル・カーソンが『沈黙の春』という著作で,DDTをはじめと
する農薬などの化学物質の影響で鳥たちが鳴かなくなった春、というできごとを通してそれらの危険性を訴えたこととよ
く似ています。

ミツバチで起きていることは、多種多様な昆虫で起きている可能性があり、ミツバチの異常は環境破壊の警告とみること
ができます

たとえば、2009年には、ネオニコチノイド農薬の使用とアキアカネ(赤とんぼ)幼虫の減少との関係を示した論文が発表
されました。

また、全国のアキアカネ研究者たちが、このトンボの減少に注目し始めたのは2010年でしたが、このころからカメムシの
殺虫のためにネオニコチノイド系の農薬が全国の稲作地域で使われ始めたのです。(注1)


さらに、昆虫で起こっていることは、当然、人間にも影響を与えているはずです。2013年6月12日午後。頭痛や体調不良
を訴え、小、中学生らが群馬県前橋市にある青山内科小児科医院の青山美子医師のもとへ駆け込んできました。

その後、12日に高崎市、13日には甘楽(かんら)町で無人ヘリコプターによるネオニコチノイド系農薬(以下、ネオニコ
系農薬)・チアクロプリドの空中散布が行われていたことが分かりました。

実は、人体に対する影響にについてはしばらく前から一部の医師が警告していました。それらの幾つかを紹介しておきます。(注2)

まず、東京女子医大の平久美子医師によれば、ネオニコチノイド剤の使用が増え始めた2006年頃から、農薬散布時に自覚
症状を訴える患者が増加。中毒患者には、神経への毒性とみられる動悸、手の震え、物忘れ、うつ焦燥感等のほか、免疫系
の異常によると考えられる喘息・じんましんなどのアレルギー性疾患、皮膚真菌症・風邪がこじれるなどの症状も多くみら
れます。

日本では、果物の摂食、次いで茶飲料の摂取、農薬散布などの環境曝露と野菜からの摂取も多い。受診した患者では、果物
やお茶の大量摂取群に頻脈が見られ、治療の一環で摂取を中止させると頻脈が消失します。青山医院を訪れた農薬の慢性中毒
とみられる患者は06年8月から8カ月で1111人、うち549人が、果物やお茶、野菜を大量に摂取していました。

平医師はさらに、人体に取り込まれたネオニコチノイドは、人の意識、情動、自律神経を司る脳の扁桃体に存在する神経伝達
物質の一部に作用するため、動悸、手の震え、物忘れ、不眠、うつ、自傷や攻撃などの情動、焦燥感など、さまざまな症状と
なって現れます。

また、人の記憶を司る脳の海馬や、免疫を司るリンパ球に存在する神経伝達物質の一部に作用し、記憶障害や、免疫機能の障害
(風邪がこじれるなどの症状、喘息・アトピー性皮膚炎・じんましんなどのアレルギー性疾患、皮膚真菌症・帯状疱疹などウイ
ルスや真菌などの病原体による疾患、関節リウマチなど)の誘因と、述べています。


青山内科小児科医院 青山美子医師の報告によれば、医院のある群馬県前橋市で、松枯れ病対策としてネオニコチノイド系殺虫
剤が使用されるようになった2003年以降、ネオニコチノイド系殺虫剤が原因と思われる頭痛、吐き気、めまい、物忘れなどの
自覚症状や、頻脈・除脈等の心電図異常がみられる患者が急増しています。

青山氏は、患者の生活習慣として共通する特徴に、国産果物やお茶を積極的に摂取していることがあげられます。

日本のネオニコチノイド系農薬の残留基準は、欧米よりも緩い基準値(日本は、アメリカの10倍、欧州の100倍近い)である

ことが関係しているのではないでしょうか、と警告しています。

東京都神経科学総合研究所 黒田洋一郎氏は、ネオニコチノイド系農薬の人体への影響として、空中散布や残留した食品の多量
摂取による心機能不全や異常な興奮、衝動性、記憶障害など、急性ニコチン中毒に似た症状が報告されています。

また、ネオニコチノイド系は胎盤を通過して脳にも移行しやすいことから、胎児・小児などの脳の機能の発達を阻害する可能性
が懸念されます。

胎児への影響について東京都神経科学総合研究所の木村-黒田純子氏は、懸念されるのが、胎児、小児など脆弱な発達期脳への
影響であると警告しています。

両氏によれば、胎児期から青年期にいたるまで、アセチルコリンとニコチン性受容体は、脳幹、海馬、小脳、大脳皮質などの正常
な発達に多様に関わっています。ネオニコチノイドはニコチンをもとに開発された農薬です。

ニコチンは胎盤を通過しやすく、母親の喫煙と胎児の脳の発達障害との関連を指摘する報告は多いのです。タバコに由来するニコ
チンは禁煙で回避できるが、規制が不十分な食品中のネオニコチノイドは回避しずらいのが現状です。

また、東京都神経科学総合研究所 黒田洋一郎氏によれば、ヒトの脳の発達は、多種類のホルモンや神経伝達物質によって調整され、
数万の遺伝子の複雑精緻な発現によって行われます。

それを阻害するものとして化学物質の危険性があり、有機リン系やネオニコチノイド系など農薬類は、環境化学物質の中でも特に
神経系を撹乱し、子どもの脳発達を阻害する可能性が高いのです。

環境化学物質と発達障害児の症状の多様性との関係は綿密な調査研究が必要でありますが、厳密な因果関係を証明することは現状
では大変難しい。

生態系や子どもの将来に繋がる重要課題として、農薬については予防原則を適用し、神経系を撹乱する殺虫剤については使用を極力
抑え、危険性の高いものは使用停止するなどの方策が必要です。

以上の医師や研究者の臨床や研究結果が明らかにしているように、ネオニコチノイドがヒトや生態系に与える悪影響は深刻です。

とりわけ私は、医師たちが指摘しているように子どもたちの発達障害への影響に強い不安を感じます。

日本のネオニコ系農薬の食品中の残留基準はEUやアメリカと比べると、なんと数倍から数百倍も甘く、特に果物、茶葉については
500倍という顕著な差がみられたのです。しかも驚いたことに、日本では欧米と逆行して、一部のネオニコ系農薬についての残留
基準がさらに緩和されています。

例えば07年10月に基準が改定されたネオニコ系のジノテフランの残留基準は、ほうれん草で5ppmから15ppmに、春菊で5ppm
から20ppmに、チンゲンサイも5ppmから10ppmになった。

さらには2011年12月に改定されたネオニコ系のイミダクロプリドは、ほうれん草について従来の2.5ppmから15ppm、ナスで
0.5ppmから2ppmなどと緩くなりました。いずれもネオニコ系をより使いやすくする“規制緩和”です。

しかも、イミダクロプリドの数値が改定されたのは、11年3月の東日本大震災後です。5~6月にパブリックコメントを短期間募集して、
国民が放射能に怯えるドサクサにまぎれて改定していた格好です。

その後も似た症状の患者が後を絶たず、果物やお茶の摂取をやめさせると、症状は改善され、消えました。さらにはお茶を飲み、桃と
ナシを食べて胸が痛くなったと来院した30代の女性の尿からは、かなり高い数値のアセタミプリドが検出されたのです。

臨床結果から、お茶、果物などのネオニコ系の残留農薬が中毒の原因ではないかと疑った平医師が世界各国の残留農薬の基準値を調査し、
日本だけが突出して高すぎることを問題視しました。

青山医師と平医師は、厚生労働省食品安全部基準審査課に、残留基準を厳しくすることを求める手紙を書きましたが、今年2月に送られ
てきた返事は、期待はずれなものでした。

〈これら(手紙)については拝読させていただき、貴重なご意見として今後の業務の参考とさせていただきます〉などと書かれているだけで、
具体的な改善の兆しはまったく見られませんでした。そして冒頭に紹介した群馬県の“事件”が起こるべくして起こったのです。
( 以上、『週刊朝日』2013年7月12日号より)
    
ネオニコチノイドの危険性にたいして、欧米では強い警戒心をもって規制しています。2012年5月、ヨーロッパ連合(EU)が、ミツバチ
に被害を与えている可能性を否定できないネオニコチノイド系農薬のうち3種類を2年間の期限付きで使用禁止措置にすると発表しました。

これに関連して、同年9月12日にNHKの「クローズアップ現代」が「謎のミツバチ大量死 EU農薬規制の波紋」を放映し、この問題
が広く社会の関心を呼びました。

EUの理念は「予防原則」という考え方で、1993年に発効したEU条約は「予防原則」を次のように定義しています。 「何もしなければ
健康被害を生ずる科学的根拠(必ずしも完璧な証明でなくてもよい)があり、措置が費用対効果の合理的判断に基づいて正当化できるとき、
慎重な措置をとること」というものです。

2000年のヨーロッパ委員会はさらに「より包括的なリスク評価に必要な科学的根拠を提出する責任を課すことができる」としています。(注3)

「予防原則」は、ただ禁止措置をとるだけでなく、2年間のうちに農薬の有害性に関する科学的に検証することを義務づけています。

実際、その有害性が確認されて、EUは2013年12月より、3種類のネオニコチノイド農薬の使用禁止に踏み切りました。

こうした、ヨーロッパにおける趨勢にもかかわらず日本では、ネオニコチノイド農薬は禁止されないどころか、政府も厚生労働省も、
その規制を緩めようとさえしています。それはなぜでしょうか。

これを考える前に、ネオニコチノイド系農薬の特徴を見ておきましょう。ネオニコチノイド系農薬は、、①浸透性、②残効性、
③神経毒性、という特徴をもっています。

農薬としてみれば、これらの特徴は「有効性」でもあります。まず、浸透性ですが、ネオニコチノイドは水溶性で植物内部に浸透
することから、浸透性農薬とも呼ばれます。

つまり、この農薬を散布すれば、葉や茎、果実の表面から内部に浸透してゆきます。したがって、雨などで洗われても流れること
がありません。

残効性とは、浸透性とあいまって効果が長く続くという意味で。そして、神経毒というのは、これまでの殺虫剤とは異なり、昆虫
の神経系を破壊する毒性をもつということです。つまり、少量で殺虫効果は高い反面、その分毒性が強いのです。

浸透性と残効性という特徴によって、散布したネオニコチノイドは地中で1年くらいはその毒性を持続させるので、それは根から
吸収され、茎、葉、花、花粉、蜜、実のどこにでも浸透して長期間滞留しますから、どんなに洗っても落ちません。ここがもっと
も恐いところです。

このため、農業者からすると、少ない回数の散布で済むのでまことに効率的な農薬ということになります。

しかし、これは同時に、毒性がこれまでの農薬の数倍も大きいことをも意味しています。

このため、国内出荷量は過去10年間で3倍にも増加し、今後も増加し続ける傾向にあります。

ネオニコチノイド系農薬(殺虫剤)は、農業部門ではイネ、野菜、果物、菊バラなどの栽培に使用されていますが、このほか林業
ではマツクイムシによる松枯れ病の防除、家庭用ではシロアリ駆除、ペットの蚤駆除など、その使用範囲は拡大しており、私たち
の健康への悪影響が心配です。

問題の発端となったミツバチへの影響との関連で言えば、この農薬を散布した植物から摂った蜂蜜にはネオニコチノイドが含まれて
いる可能性が充分あります。

果樹栽培で、結実を確実にするためにミツバチを使って受粉させます。この時、もし果樹にオニコチノイド系農薬が使われていると、
それらの果樹から摂れた蜂蜜にもネオニコチノイドが含まれてしまいます。

時々、「減農薬」と表示した米や野菜が売られていますが、この場合の「減農薬」とは、散布回数や量について言っているのですが、
どんな農薬かは示していません。

もし、少量でも長期間有効なネオニコチノイド系農薬を使用していたとしたら、その米や野菜はとうてい健康な食べ物とは言えません。

ネオニコチノイドの使用が日本で異常に大量に使われているもう一つの重要な問題は、これらの農薬を製造しているメーカーの利害が
強く働いている可能性です。

今や、ネオニコチノイド系の殺虫剤は大きな産業になりつつあるのです。ネオニコチノイド系農薬の主要7製品のメーカーのうち日本

企業は、日本送達、住友化学、三井化学アグロの3社です。このうち、広く流通しているネオニコチノイド殺虫剤のクロチアニジン系、
とンテンピラム系の農薬は、現経団連会長の米倉氏が社長を務める住友化学です。

ところで、これだけ世界的にも国内でも危険視されているネオニコチノイドの使用に関して、政府・厚生労働省はどのような姿勢を
とっているのでしょうか。現在は、使用を制限するどころか、基準をますます緩くしています。

政府は、ネオニコチノイド農薬とさまざまな身体症状との因果関係が科学的に証明されていないから、という立場をとり続けています。

しかし、水俣病にしてもサリドマイド薬害にしても、公害の問題に関して日本の政府は一貫して同じ論法で、批判をかわし、結果
として甚大な人的被害、環境破壊をもたらしてきたのです。

確かに、病気の原因は複合的で、農薬と病気との因果関係を特定することは困難です。しかし、それでも、EUのように、疑わしい
場合には、まず使用を止めて、できる限りの原因究明を行うという「予防原則」は是非必要だと考えます。

農家の便宜・効率、企業万が一にでも、ネオニコチノイドの使用が企業利益のために規制を緩めたりすることがあってはならないと
思います。



(注1)http://no-neonico.jp/kiso_problem2/  

(注2)医師による臨床結果の発表については、ネオニコチノイド剤に反対するにたいする組織「Noネコチオ」のホームページ http://no-neonico.jp/kiso_problem1/ に抜粋が掲載されていますが、全文は、以下のNPO「ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議」のホームページのニュースレター、

http://kokumin-kaigi.sakura.ne.jp/kokumin/wp-content/uploads/2011/03/Letter59.pdf (NPOダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議ニュースレター vol.59 Nov.2009)

http://kokumin-kaigi.sakura.ne.jp/kokumin/wp-content/uploads/2009/12/newsletter58.pdf (上記ニュースレター Vol.58, August 2009)この号は、ミツバチと農薬との関係を何人もヒトが論じています。

http://kokumin-kaigi.sakura.ne.jp/kokumin/wp-content/uploads/2011/03/Letter64.pdf (同ニュースレター Vo.64 August 2010)
を参照されたい。
そのほか、インターネット情報誌『選択』の http://www.sentaku.co.jp/category/economies/post-2540.php を参照。
また、(『AERA』 2008/9/22号、2008/12/1号もネオニコチノイドの危険性について特集しています。
(注3)http://koide-goro.com/?p=2073
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