神さまということにずっと引っかかっているような気がする。いわゆる一神教の神さまも、イメージとしては起こしやすいけれど、実際どうかと自身に問いただすとはなはだ困るのだ。だいたい神がこの世を天地創造されたということが、ぴんとこないのだ。
古事記を読んでいて、これも神話だから神のお話である。けれど神と言わせるそれに無理を感じさせないのだ。この感覚はこの風土に暮らすものだからゆえのことなのか。
谷川健一の『日本の神々』(岩波新書)のなかで、神社の原型という章でこんなことをいう。
「日本各地のれいからして、祭場と葬地とが関連あることは否定できない。そのなかにはモリと称するところが多いが、うっそうとした森林ではなく、木が数本生えているところをモリと称している。それは神降臨の依代(よりしろ)として存在するものである。」
うん、そこの木一本にでも、草にでも、また虫にも神さまがおられると感じられるこの感覚は、モンスーン地帯に生きるものの与えられたものなのであろうか。そこに不思議さや神秘なものまでもかんじることができるということがおもしろい。