毎日必ず行う食事。その食事を見直し、自分を高める“武器”として使っていこうと提案する本が、『自分をバージョンアップする外食の教科書』(CCCメディアハウス)だ。
本書の著者で毎日放送プロデューサーの本郷義浩氏は、フェイスブックで仲間を募り、この5年で500回以上の食事会を幹事として開催している。「面倒くさい」と思われがちな幹事のメリットや、おいしい店の見つけ方について、話を聞いた。
●食事会の予定があれば人生が活性化する!
--「外食」に着目されたのは、なぜでしょうか?
本郷義浩氏(以下、本郷) 旅に出たり、芸術品に触れたり、何かに挑戦したり、自分をバージョンアップする体験にはいろいろありますが、食事は毎日することですよね。
では、毎日することを武器にしないでどうする? というのが始まりです。どうせ毎日することなら、楽しくて、おいしくて、人間関係が広がるようにやってみませんか? という提案が本書のテーマでもあります。
--確かに「おいしいものを食べる」というのは、ほかの趣味や娯楽に比べて、すぐに始められるのが魅力ですね。
本郷 はい。放っておくと、日常はダラダラとあっという間に過ぎ去ってしまいます。なんとなく会社で遅くまで過ごし、「帰ろうか……」と会社を出たら、空腹なのでどこか適当なお店に入って、ダラダラとビールを飲んで……となってしまう。それよりは、食事会の予定を入れておくほうが、「この日は早く帰らないといけない!」と生活が活性化し、充実しますよね。
--本郷さんは、この5年で500回、食事会の幹事をされています。幹事はやりたがらない人も多いと思いますが、そのメリットはどこにあると考えていますか?
本郷 参加者と接触する機会が一番多いため、好感を持たれやすくなる、というのがありますね。一参加者の場合は、全員とのつながりが薄いものになってしまいがちですから。
--幹事といえば、日程調整が面倒ですよね。多忙な人が1人いるだけで、いつまでも決まらなかったりしますし。
本郷 自分の都合で決めてしまえばいいんですよ。同窓会のように年に1回、というものなら話は別ですが、僕の場合は、数も多いのでいちいち気にしていられないという事情もあります。多数決で決めるか、自分で勝手に決めてしまえばいい。適度にいい加減なくらいでいいと僕は思います。きっちりしすぎる人が幹事をやると大変なストレスがたまると思います。
●なぜ飲み会でいつも遅れる人がいるのか?
--幹事の心配事として、参加者のドタキャンがありますよね。
本郷 500回の食事会を行った経験からいえば、1割ほどはドタキャンが出てしまいます。対策としては、フェイスブックに「ドタキャン対策連合」をつくり、ドタキャンが出たら代わりに参加する人を募ってリスクヘッジをしています。
そのほか、ドタキャンを見越して少なめの人数で店を予約しておく。これは、大きな店の場合は有効かと思います。大きければ「増える分にはかまわない」という店もありますので。50人入れる店なら「48人です」と言っておくわけです。ドタキャンで店に迷惑をかけるのが、一番よくないことですから。
--また、飲み会などで、いつも遅れてくる人がいますよね。本当に忙しいのかもしれませんが、“忙しいアピール”をしているんじゃないかと、あまりいい気もしません。「遅刻してきた人のお会計はどうなる?」といった面でも幹事の気を揉ませる存在ですが、どう対応されていますか?
本郷 仕事の関係で、その日にならないと都合がわからないという人がいますので、その人については、最初から1次会のメンバーには数えていません。本人にもそれを伝えています。もし間に合った場合は、コースとは別のものを頼めばいいだけですからね。
また、いつも遅れて来る人というのは、自分が迷惑をかけているという自覚がないんです。幹事をやったことのない人は、遅刻やドタキャンが迷惑なことだと実感としてわかっていないんだと思います。
--悪質な人は、どうしていますか?
本郷 ドライに切ります。2回ドタキャンをしたら、もう誘いません。
●人材交流会に行くのは無駄!食事が最高のコミュニケーション術
--大人になると、人との交流は、努力をしないとどんどん先細りになっていきますよね。
本郷 そうですね。ただ、僕は人材交流会に行くのは無駄だと思っています。名刺を交換しても、友達にはなれません。でも、おいしいものを食べたり飲んだりすれば、利害関係のない結びつきができるので、そこから人的ネットワークが広がっていくと考えています。
--また、一方で、家族とおいしいものを食べに行くことも提案されていますが、こちらはサボっている人も多そうですよね。
本郷 私自身もそんなにしているわけではないのですが、富裕層の方を見ると、本当に家族を大切にしているんです。ある店に行っておいしかったら、「今度は家族と一緒に来たい」とその場で予約をする。おいしいものを食べた時に1人で完結せず、「今度は家族と」と思うのって、とても優しいことですよね。
--そういった発想が、そもそも浮かばない人も多そうですね。
本郷 「この料理を家族にも食べさせてあげたい」や、本書で提案している「行きつけのお店もつくる」もそうなんですが、そもそも、そのような発想にならない人が自分も含めて多いと思います。
●「食べログ」の評価や星の数は見なくていい
--よく行く店はあるけれど、「行きつけ」という意識のない人は多そうですね。
本郷 行きつけの店の楽しさを知らないというのもあるのでしょうね。行きつけの店に行けば、嫌な思いはしませんし、店の人も自分の好みを大切にしてくれるし、一緒に行った人も大切にしてもらえます。
料理にしても、座席にしてもそうです。店としては、同じまぐろでも、おいしい部位と普通の部位があったら、おいしいほうは新規より常連の客に出しますよね。
語弊があるかもしれないですが、自分により良いサービスをしてくれる店があるというのはステータスだと思います。そういったものがあったほうが生活が円滑に進むし、何より楽しいですよね。
--行きつけになるまで、どのくらい通えばいいのでしょうか?
本郷 3回ですね。最初に名刺交換をして、間髪入れずにまた行けば、店の人に顔と名前を覚えてもらえます。そして、3回目の予約をすれば、もう行きつけになりますよ。
--「食べログ」など、飲食店の口コミサイトがあふれていますが、こういったサイトは参考にしますか?
本郷 「食べログ」は休店日、営業時間、席数など、基本情報がしっかり載っているので、私もよく見ています。ただ、おいしいものは「誰」が推薦するかが大切だと思います。その「誰」の部分を探す方法としては、「食べログ」ではなくSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使っています。
自分がおいしいと思う店を推していた人を15人くらいピックアップして、勝手にブレーンをつくってしまうんです。別に、知り合いでなくてもかまいません。その人が「おいしい」と言う情報が、自分のSNSにアップされるようにしてしまえばいいんです。
毎日必ず行う食事。その食事を見直し、自分を高める“武器”として使っていこうと提案する本が、『自分をバージョンアップする外食の教科書』(CCCメディアハウス)だ。
本書の著者で毎日放送プロデューサーの本郷義浩氏は、フェイスブックで仲間を募り、この5年で500回以上の食事会を幹事として開催している。「面倒くさい」と思われがちな幹事のメリットや、おいしい店の見つけ方について、話を聞いた。
●食事会の予定があれば人生が活性化する!
--「外食」に着目されたのは、なぜでしょうか?
本郷義浩氏(以下、本郷) 旅に出たり、芸術品に触れたり、何かに挑戦したり、自分をバージョンアップする体験にはいろいろありますが、食事は毎日することですよね。
では、毎日することを武器にしないでどうする? というのが始まりです。どうせ毎日することなら、楽しくて、おいしくて、人間関係が広がるようにやってみませんか? という提案が本書のテーマでもあります。
--確かに「おいしいものを食べる」というのは、ほかの趣味や娯楽に比べて、すぐに始められるのが魅力ですね。
本郷 はい。放っておくと、日常はダラダラとあっという間に過ぎ去ってしまいます。なんとなく会社で遅くまで過ごし、「帰ろうか……」と会社を出たら、空腹なのでどこか適当なお店に入って、ダラダラとビールを飲んで……となってしまう。それよりは、食事会の予定を入れておくほうが、「この日は早く帰らないといけない!」と生活が活性化し、充実しますよね。
--本郷さんは、この5年で500回、食事会の幹事をされています。幹事はやりたがらない人も多いと思いますが、そのメリットはどこにあると考えていますか?
本郷 参加者と接触する機会が一番多いため、好感を持たれやすくなる、というのがありますね。一参加者の場合は、全員とのつながりが薄いものになってしまいがちですから。
--幹事といえば、日程調整が面倒ですよね。多忙な人が1人いるだけで、いつまでも決まらなかったりしますし。
本郷 自分の都合で決めてしまえばいいんですよ。同窓会のように年に1回、というものなら話は別ですが、僕の場合は、数も多いのでいちいち気にしていられないという事情もあります。多数決で決めるか、自分で勝手に決めてしまえばいい。適度にいい加減なくらいでいいと僕は思います。きっちりしすぎる人が幹事をやると大変なストレスがたまると思います。
●なぜ飲み会でいつも遅れる人がいるのか?
--幹事の心配事として、参加者のドタキャンがありますよね。
本郷 500回の食事会を行った経験からいえば、1割ほどはドタキャンが出てしまいます。対策としては、フェイスブックに「ドタキャン対策連合」をつくり、ドタキャンが出たら代わりに参加する人を募ってリスクヘッジをしています。
そのほか、ドタキャンを見越して少なめの人数で店を予約しておく。これは、大きな店の場合は有効かと思います。大きければ「増える分にはかまわない」という店もありますので。50人入れる店なら「48人です」と言っておくわけです。ドタキャンで店に迷惑をかけるのが、一番よくないことですから。
--また、飲み会などで、いつも遅れてくる人がいますよね。本当に忙しいのかもしれませんが、“忙しいアピール”をしているんじゃないかと、あまりいい気もしません。「遅刻してきた人のお会計はどうなる?」といった面でも幹事の気を揉ませる存在ですが、どう対応されていますか?
本郷 仕事の関係で、その日にならないと都合がわからないという人がいますので、その人については、最初から1次会のメンバーには数えていません。本人にもそれを伝えています。もし間に合った場合は、コースとは別のものを頼めばいいだけですからね。
また、いつも遅れて来る人というのは、自分が迷惑をかけているという自覚がないんです。幹事をやったことのない人は、遅刻やドタキャンが迷惑なことだと実感としてわかっていないんだと思います。
--悪質な人は、どうしていますか?
本郷 ドライに切ります。2回ドタキャンをしたら、もう誘いません。
●人材交流会に行くのは無駄!食事が最高のコミュニケーション術
--大人になると、人との交流は、努力をしないとどんどん先細りになっていきますよね。
本郷 そうですね。ただ、僕は人材交流会に行くのは無駄だと思っています。名刺を交換しても、友達にはなれません。でも、おいしいものを食べたり飲んだりすれば、利害関係のない結びつきができるので、そこから人的ネットワークが広がっていくと考えています。
--また、一方で、家族とおいしいものを食べに行くことも提案されていますが、こちらはサボっている人も多そうですよね。
本郷 私自身もそんなにしているわけではないのですが、富裕層の方を見ると、本当に家族を大切にしているんです。ある店に行っておいしかったら、「今度は家族と一緒に来たい」とその場で予約をする。おいしいものを食べた時に1人で完結せず、「今度は家族と」と思うのって、とても優しいことですよね。
--そういった発想が、そもそも浮かばない人も多そうですね。
本郷 「この料理を家族にも食べさせてあげたい」や、本書で提案している「行きつけのお店もつくる」もそうなんですが、そもそも、そのような発想にならない人が自分も含めて多いと思います。
●「食べログ」の評価や星の数は見なくていい
--よく行く店はあるけれど、「行きつけ」という意識のない人は多そうですね。
本郷 行きつけの店の楽しさを知らないというのもあるのでしょうね。行きつけの店に行けば、嫌な思いはしませんし、店の人も自分の好みを大切にしてくれるし、一緒に行った人も大切にしてもらえます。
料理にしても、座席にしてもそうです。店としては、同じまぐろでも、おいしい部位と普通の部位があったら、おいしいほうは新規より常連の客に出しますよね。
語弊があるかもしれないですが、自分により良いサービスをしてくれる店があるというのはステータスだと思います。そういったものがあったほうが生活が円滑に進むし、何より楽しいですよね。
--行きつけになるまで、どのくらい通えばいいのでしょうか?
本郷 3回ですね。最初に名刺交換をして、間髪入れずにまた行けば、店の人に顔と名前を覚えてもらえます。そして、3回目の予約をすれば、もう行きつけになりますよ。
--「食べログ」など、飲食店の口コミサイトがあふれていますが、こういったサイトは参考にしますか?
本郷 「食べログ」は休店日、営業時間、席数など、基本情報がしっかり載っているので、私もよく見ています。ただ、おいしいものは「誰」が推薦するかが大切だと思います。その「誰」の部分を探す方法としては、「食べログ」ではなくSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使っています。
自分がおいしいと思う店を推していた人を15人くらいピックアップして、勝手にブレーンをつくってしまうんです。別に、知り合いでなくてもかまいません。その人が「おいしい」と言う情報が、自分のSNSにアップされるようにしてしまえばいいんです。
僕は、フェイスブックに「いつか行く店」のリストを非公開で自分用につくっています。そういうものをつくっておかないと、本当に忘れてしまうんですよね。
--では、「食べログ」の評価コメントや星の数は見ないんですか?
本郷 見ません。自分が選んだ人たちの評価を信用しているからです。さらに、行った店についてSNSで「おいしくない」と書く人は少ないですから、「もう一回行きたいですか?」と個人的に聞いてみるんです。反応はいろいろですが、そういったことも参考にしています。
--何気なく行っていた「外食」も、こう考えると、いろいろと楽しみ方がありますね。
本郷 はい。どうせ外食をするなら、人生を活性化する武器として使わない手はないと思うのです。外食には、自分をバージョンアップし、人間関係を広げ、日々の生活をおいしく楽しくする力があると僕は思います。外食を通じて、幸福感を得る。これこそが、本書のテーマです。
(構成=石徹白未亜/ジャーナリスト)
構成=石徹白未亜/ジャーナリスト
出典元 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160525-00010002-bjournal-soci&p=1