どの国の食文化にも共通しているのが“医(薬)食同源”という考え方。
人間の身体は、食べたものからできています。
だからこそ日々の食事で、自分の健康状態に合わせた食材や調理法を選ぶことが大切なんだと思います。
韓国でも薬食同源の考え方が根付いていて、
食卓には主菜、副菜、キムチ、スープにごはんと、バランスのよいメニューが並びます。
今回は、1985年に来日以来、日本に韓国家庭料理を広めるため尽力してきた
「韓国旬彩料理 妻家房 COREDO日本橋店」総料理長 柳 香姫さんに基本の韓国料理を教えていただきました。
ヘムルチョンゴル(韓国の海鮮鍋)
海に囲まれた韓国には、海鮮料理も豊富! なかでも人気なのが、この海鮮(=ヘムル)鍋(=チョンゴル)。味を左右するのは、自家製万能だれ「タデギ」。タデギを、煮干しと昆布で引いた合わせ出汁で割って、スープにします。スープができてしまえば、あとはお好みの具材を入れるだけ。魚介からのうま味、野菜の甘味、きのこのうま味が渾然一体となって、丸みのある辛さに仕上がります。辛いのが苦手な方はタデギの量を調整してみてくださいね。また、このレシピのタデギは鍋用のものなので、多めに作っておいて海鮮以外の具材で鍋料理を楽しんでもいいでしょう。
ムルギムチ(水キムチ)
「キムチ」と言えば、白菜に唐辛、にんにく、ニラ、塩辛を合わせて漬けた白菜キムチが思い出されますが、韓国には、200種類をこえるキムチの種類があるといわれています。なかでも「水キムチ」は、他のキムチとはひと味もふた味も違うキムチで、汁気が多く、辛味は控えめのあっさり味。たっぷりの漬け汁に野菜を浸け、1週間ほどすると乳酸発酵が進み、酸味が出てきます。それが食べ頃のサイン。乳酸菌の宝庫ともいえる漬け汁も、一緒に飲みながらいただきます。この汁を、鶏や牛の出汁で割ると冷麺のスープになるので、合わせて作ってみても楽しいですね。
2000年代以降に起こった韓流ブームによって、多くの韓国料理店が日本に現れ、韓国料理は、今ではすっかり日本に定着。でもその何年も前から、日本と韓国の架け橋を努めてきた柳 シェフ。毎月開催している料理教室は、常に人気を誇り、20年以上も続いているとか。長く愛される秘訣を確かめに、参加してみたいですね!
文:一杉さゆり
写真:千々岩友美