社会において基準となる考えや価値観のことを「常識」と言うが、時に「常識」は我々の目を曇らせる。これまで私(中澤)は「常識で考えたら」「普通はしない」という言葉を何度耳にしたかわからない。だが、考えてみてほしい。常識とは、先人たちの非常識の積み重ねではないだろうか。

すなわち、普通なら揚げるパンを揚げずにカレーパンにしたローソンの「油で揚げていないカレーパン」は未来のスタンダードと言える。以前の記事で激ウマであることをお伝えしたこのパンだが、もう一歩踏み込んでみることにした。「油で揚げていないカレーパン」を油で揚げてみたのである。

・揚げ物をしたことがない

我ながら求道者すぎる発想だ。だが、現代のガリレオ・ガリレイこと私は、そこに真実の断片がある限り追求せずにはいられない。ふふ……困った性(さが)である

それはさておき、揚げ物をしたことがない私。ぼんやりとしか揚げ方が分からない。とりあえず、煮物用の金物鍋にサラダ油をヒタヒタにして熱してみる。

・古い記憶を呼び起こしながらチャレンジ

お母さんが揚げ物をしていた時のことを思い出すと、なんかパチパチなってたはずだが、全く沸騰的な雰囲気はない。これ、どうなったら投入していいんだろうか? 試しにカレーパンを入れてみよう。

・言うても揚げるだけでしょ?

ジュラジュラジュラー! おおおお、これこれこれ!! お母さんもこういう感じで揚げてた! できてね? これって完全に揚げれてね? なんだ揚げ物って超簡単じゃーん! と思いきや……

焦げた。全体的に満遍なく真っ黒だ。「黒ゴマ饅頭」みたいで逆にちょっとウマそうなくらいである。そう思ったら、どんどんウマそうに見えてきた。これ、やっぱり成功してるのでは? パクリ。

めちゃくちゃウマイ! サクサクした皮の内側にモチっとしたパンの層があり、そのさらに奥のカレーは無傷のまろやかさ。口の中で、カレーの辛みと皮のサクサクとパンのモチモチが三位一体となり極上のハーモニーを奏でる。普通のカレーパンの100倍(当社比)くらいウメェェェエエエ!!

・記事のオチが変わるくらいウマイ

こんなにウマくなるなんて予想外すぎる。どれくらい予想外かと言うと、当初考えていたオチが使えなくなってしまったくらいだ。味的には大成功なのだが、どうせなら焦げていないのを作ってみたい。

・経験者に手伝ってもらった

そこで、普段から揚げ物を作っているという姉妹サイト Pouch の百村モモに手伝ってもらうことに。煮物用の金物鍋を見た瞬間、「え……この鍋でやったの?」とドン引きの百村。

どうやら、揚げ物はフライパンなど厚めの調理器具でやることが普通なようだ。そういえば、お母さんも厚手の鍋を使ってた気がする。やれやれ、また常識打ち破っちゃった

・手際よく完成

徒競走で言うと、スタートの前からコケている私をよそに、フライパンに油を流し込む百村。しばらく火で熱した後、パン粉をパラつかせる。油は沸騰しないので、落としたパン粉で温度をうかがうという。

「ジュララララ!」とパン粉が油の上で踊るのを確認して、「油で揚げていないカレーパン」を投入。さすが、家でやってるだけじゃなく Pouch でレシピ記事を書いてるだけあるぜ! よっ、揚げマン!! 数秒後、揚げ終わったのか、手際よく皿にカレーパンを並べていく百村。おお……これは……

焦げとるやないか! 私の揚げたものより若干マシとは言え、その表面は悲しい色をしていた。どうやら、かなり早めに揚げた方が良いようだ。ちなみに、味的には百村も満足の出来で、「ウマっ! 実はカレーパンがあんまり好きじゃないけど、これは本気でウマイですね」とのこと。

・ウマイのは間違いない

一度食べたらサクモチ食感が癖になるこのカレーパン。カレーパン嫌いもやみつきになるほどガチで激ウマなことは間違いないので、カレーパンマニアはぜひチャレンジしてみてくれ。行こうぜ! カレーパンの向こう側へ!!

Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.