山形の森 保守醒論

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大コケに終わった映画「おしん」、リアル無きゆるキャラ制作観に乗った山形県の大失墜

2013-12-17 18:48:30 | Weblog

映画村に移設したのはロケ控家、実際のNHK撮影「おしんの生家」は左手樹木付近にあった。

残念なことであるが、(公開前記載の)予想通りに映画「おしん」の興行結果は大コケに終わった。
県費支出をして、県内民放メディアに製作委員会参加を求め、挙げてこれまでにない宣伝工作を繰り広げたにも係わらずである。 宣伝下手の山形県をまたまた晒してしまった。
おしんマニアですら見に行こうとする気にならなかった。
マニアだからこそ、「おしんイメージ」のリアル無きキャスティングのゆるキャラ制作観に、製作発表時点で唖然としたものである。
ネットの書き込みなどを見ても、同様に「(おしん)イメージ無視のキャスティング」の散々意見が大多数である。 高視聴率を記録した「NHKドラマのおしんイメージ」の素地が、世界中の共感を呼んでいるのである。
製作責任者は事前にミスキャストをまったく感じなかったのであろうか。
「おしん」は、山形県にとって最高の素材であり、国際的にも今後これを上回るほどの有為な素材が出てくるのかは難しいだろう。
それだけに「おしん」を活かした、山形県の知名度アップ策にはとっておきの映画製作企画であったのだが、大コケの興行結果はこれまでの「おしん県イメージ」にもマイナスとなってくる。
最高の素材がありながら、駄作映画をつくってしまった。 
国外配給如何によっては製作会社セデック、庄内映画村の経営難に及ぶことも考えられる。
最上川上流から酒田河口まで県内を縦断して行く、県全体を網羅する原作「おしん」の人生ドラマであるのに、「庄内映画村、庄内のおしん」に矮小化してしまっている。
出生モデル地の白鷹町栃窪、最初の奉公先・大江町左沢、尾花沢市銀山温泉などはまったく取上げられていない。 無理解で異議を挙げる市町もなかったようであるが。
はたして製作陣は、「おしん」をどこまで理解していたのだろうかと、疑問に思ってしまう。
電通、オスカーなどを製作参加させる小手先の商業的感覚だけで、企画製作に臨んだのではなかろうか。
そしてそのゆるキャラ観こそが、あだ花となってしまっている。
おしん探究にのめり込んだマニアからすれば、激動の20世紀の歴史観こそが「おしんの人生」そのものなのである。
自らに投影できなくとも、父母、祖父母、曾祖父母につながる縦軸の歴史ドラマになっていることを感じ取ることが必要だ。
ともあれ、山形県としてこの失墜を取り戻さなければならない。
原点(原作「おしん」)に返って、歴史変遷のリアルさのなかで「おしん(谷村しん)」の生きざまを、まずは山形県民がしっかりと理解することであろう。
大コケに終わった映画「おしん」、リアル無きゆるキャラ制作観に乗った山形県の大失墜。
県土再起への総括私論は、本物の「おしん探究」。
コメント
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