山形の森 保守醒論

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TPP交渉参加問題の二分論、経産省(賛成)VS農水省(反対)

2011-11-23 12:56:14 | Weblog
山形県の中央部に(西村山郡)河北町がある。
江戸中期から最上川舟運で栄えたベニバナ商家が立ち並んだところで、地場産業として草鞋・下駄製造の所縁からスリッパ製品が有名である。
20年ほど前のことになるが、当時業界の指導的立場にあったY会長から、「安価な(スリッパ)製品が大量に輸入されるようになり困っている。品質で負けることはないので、輸入品に原産国表示があれば、日本人は(高品質な)国産を選んでくれるのだがなあ。」との声を聞かされた。
早速、当時の通産省に赴き、担当職員に「輸入製品への原産国表示の行政指導」を申し入れたのだが、答えは「原産国表示義務付けは非関税障壁となるので、逆に(国内製品に)日本製の表示対応をして欲しい」であった。
農水省ならば「原産国表示の行政指導」をする姿勢なのだが、通産省では真逆の立場を取っていることに出会ったことを思い出してしまった。
このたびのTPP交渉参加問題もこうした役所の基本スタンスが二分論を表わして、経産省(賛成)VS農水省(反対)の構図となっているようだ。
1967年から始まった5次に亘る資本の自由化と相まって輸出産業による貿易自由化が、日本の高度経済成長を形成してきたことは否めない。
約20年を経た河北町のスリッパ産業は生産額で3割程度に落込み、倒産廃業したところも多く開発新商品等に生残りの活路を見出したところだけが生産継続している。
TPPはたしかに表題的には経済連携であるのだが、各国政治力のパワーゲームがリンクしていることは既定の事実である。
APEC直後の東アジアサミットで、中国の温家宝首相が、日本がTPP参加意志を表明したことに反応し懸念の談話を語っている。
さらにはハワイAPECの前日に、ロシアのWTO加盟合意が決まり、手続きを経て明年前半にも正式加盟となりそうである。
2012年のAPECはウラジオストックで開催され、議長国ロシアは親日派と見られるプーチン大統領の再登場となる見込みだ。
日本による投資を目論むプーチンとの間で北方4島返還問題の外交交渉チャンスとなる可能性も出てくる。
ロシアのWTO加入により、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)の議論に発展することもありうる。
TPP参加問題で報じられる日米二国間の問題以上に今後の展開によっては、米中ロの3人の花婿候補が、日本花嫁の取込みを目論む争奪戦になることだってあるのではなかろうか。
TPP参加を含んだ悩ましい連立方程式のような可能性を秘めた外交交渉になるような気がする。
そこでの危惧はタフなサムライ交渉人がはたして現政権にいるものか、甚だ心もとない。
TPP交渉参加問題の二分論、経産省(賛成)VS農水省(反対)は入場前の一幕でしかない。
日本にとって、決して「平成の壊国」であってはならないのだが、リスクを取らなければリターンもない。
震災復興を人質にして円高デフレの現状ながらも消費増税論議を先行させる財務省政権では、TPPの前に国が沈みかねない。
先に為すべきは麻生内閣以降、骨抜きにされた「公務員制度改革」と脱デフレの景気回復で国民の理解を得ることあろう。
形式増税よりも実質増収策を考えろ!。
コメント
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