稲村亭日乗

京都の渓流を中心にルアーでトラウトを釣り歩いています

12月のイワナ

2024年08月11日 | トラウト
 12月にイワナは釣れるのか?
 何年か前の12月。

 ある日、一本の電話が入った。

「神田さん、12月にイワナは釣れますか?」

 電話の主は知り合いの大学の先生だ。

「さあ?どうでしょう・・・」
「研究上、○○川のイワナのサンプルが急に必要になりまして・・・」
「でも、今は禁漁期ですから・・・」
「いえ、〇〇川を管轄する漁協はありません。
 ただ、今の時期の捕獲は条例(都道府県)に抵触するんです。
 でも、そちらの方は私から大学を通じて関係局に許可を申請しますから大丈夫です。
 同行してもらえませんか?」

 そういうことならと引き受けた。

 とはいえ、解禁時のぼくの経験からは、寒い時期のイワナは釣りにくい。

 果たして釣れるのか?
 
 水温7℃の川で
 さて、12月半ば、ぼくは先生とその川を訪ねた。

 見上げる山々の峰はうっすら白く、山道の所々にはザラメ状の雪。

     

 間もなく小さな流れを見つけた。

 盛期であれば、比較的簡単にイワナが釣れそうなところだ。

     

 入ってみた。

 しかし、まったく反応なく、悪い予感。

 水温は7℃。

 イワナたちはどこか深いところでジッと耐えているのではないか?

 そこで、この川の主流部に入ることにした。

          

 ぼくはやや深くなったところをねらってミノーを送り込んだ。

 すぐに黒い影がミノーを追ってきた。

 が、食わずに反転。

 居たっ!

 しかも動きは早い。

 これは予想外で、驚きだった。

 第二投目にも黒い影、しかしこれも食わずに反転し、あとは沈黙。

 これは釣れそう!とそこから釣り上がることにした。

 イワナたちはもう産卵を終えているだろうから、
ぼくらは産卵床を傷めないよう岸や護岸を伝って歩いた。

 次の落ち込み、ここでぼくの竿が曲がった。

 イワナだ。

 ぼくの当初の心配をよそに、12月のイワナはあっさり釣れた。

     

 その後岸際を歩くと、驚いたイワナが下流に向かって逃げていく姿も目にした。

 全般に川は浅かったが、イワナの密度はかなり高いと思われた。

 こうしてぼくは比較的短い時間で3匹(16.22.23cm)のイワナを釣った。

 この時点で「もう十分です。このあたりでやめておきましょう」と引き上げることにした。

 12月という時期のイワナ
 そんなわけで、12月のイワナは意外にもあっさり釣れた。

 しかもイワナたち、2月や3月の解禁時に比べれば、
瘠せ衰えはみられず、動きも活発に見えた。

 思うに、夏から秋に貯えた体力がまだ十分残っているからなのだろう。

 歩きながら川面や山道を見回した限りでは虫は一匹も飛んでいなかった。

 イワナたちにとっては、これからが本格的に厳しい寒さ、そして空腹の季節となるようだ。

     

 先生のおかげで12月のイワナ釣りという貴重な体験をさせていただいた。
 
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